四十数年ぶりにルノアールに入りました。
当時は全面ガラス張りの路面店が大半でパーテションも低く、公安が近づくとすぐにわかるので、活動家の人たちの打ち合わせ場所によく利用されていたようです。
さて今日は地下のお店。
椅子に座るとスプリングがお尻に感じます。
思わず座面を確認してしまいました。
メニューは至ってシンプル。
キリマンジェロもモカもブラジルもなく、オリジナルブレンドのみ。
隣に老紳士とその娘さんらしき婦人が座る。
ウェイトレスさんが注文を受ける。
老紳士が右手を上げ親指と人差し指で1センチぐらいの隙間を空け
「コーヒーはこれだけ。あとはミルクね。」
「バターを塗らないハニートースト。」
「蜂蜜たっぷりね。」
「あと野菜サンド。」
ウェイトレスさんは特別な注文にどぎまぎしています。
老紳士はそれを感じ取り
「大丈夫厨房の人は分かるから。」
「僕の名前は佐藤敏夫。そういえば通じるから。」
ウェイトレスさんは少し安心して
「あ、常連さんなんですね。」
老紳士はご機嫌になって
「うん、で彼女の名前は本間佳代。」
と向かいに座る婦人を紹介します。
するとその婦人は老紳士の勢いを止めるように
「もうよしなさいよ。」
私は帰り際、老紳士の耳元に
「砂糖と塩、ホンマカヨ、頂きます。」と囁くと
老紳士は満面の笑みを浮かべ、婦人は閉口していました。
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