八甲田山雪中行軍関連の本を資料を蒐集した小笠原孤酒、陸軍に矛先を向ける松本明知と読み進め今回は新田次郎に矛先を向けた川口泰英氏を読みました。私は新田次郎を「孤高の人」と「強力伝」ぐらいしか読んでいませんが、新田次郎は素材を貶める小説家に思えます。それに対して戦後戦前戦中の考え方や帝国陸軍を批判して良識ぶる文化人に嫌気がさす川口氏の感覚は馴染めます。当時正しいと思われていた思想を理解せずして、本当の歴史の反省は出来なと思います。その意味においては洲之内徹は優れていると思います。話を戻して雪中行軍関連をここまで読み、結局のところ軍隊という究極の組織において、気象遭難の最中に於ける指揮官の判断ミスが119名の死をもたらし、弘前隊では7名の民間嚮導者、というと聞こえはいいですがラッセル専従者の犠牲の上に成り立っていたのですね。地元で集められた猟師などが嚮導に当たったのですが、大半の人が帰郷後重度の凍傷により四肢を失っています。
上記4冊を読んでいる最中にDVDで「八甲田山」を観直して、次は箸休めに新田次郎の「八甲田山死の彷徨」を読んでみます。
そのあとに明治35年4月18日発行の「第五聯隊遭難始末」八班増補と2001年2月28日発行の「白兵」北上秋彦が控えています。(笑)
私もボラフさんに触発されて雪中行軍の本を読んでいます。
図書館川口氏の「雪の八甲田で何が起こったのか」を借りて読み終わり、今は最近の出版物で「八甲田山 消された真実」を読んでいる途中です。
後者の著者は元自衛隊員で、軍隊組織の命令系統などが他の著書では触れられていない事項も書かれています。
将校にも貴族出身将校と平民からのたたき上げ将校があり、山口少佐は華族出身で神成大尉は平民出身だったという、階級以外のヒエラルキーがあったというのは、自分にとって新しい発見でした。
しかし、ボラフさんの読書量もすごいですね。とてもついて行けません。
今日から新田次郎の「八甲田山死の彷徨」を読み始めました。参考資料として小笠原孤酒の文章が多く引用されているのがよく分かります。小笠原孤酒の「吹雪の惨劇」がどこまで事実なのかは分かりませんが、その文章を脚色して小説に仕立てる新田次郎の手腕も知れて面白いです。「吹雪の惨劇」には陸軍士官学校在学考科表というものが掲載されていて、(族籍 士族 倉石一)(族籍 華族 水野忠宣)(族籍 平民 田中稔)となっています。平民から大尉になった神成文吉も福島泰蔵は異例だったようですね。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する