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久々に小説の醍醐味を味わいました。
1945年から2009年まで有色人種差別が公然とあるアメリカ南部で最下層白人として生まれた一人の女性が主人公です。6歳の時に父親のDVで一家が離散で小屋の残された主人公は湿地帯の少女として差別と偏見の中にも数少ない支援者を得て最後は「湿地帯の少女」として顕彰されるまでを描きます。
周囲に人家のない湿地帯で水鳥とともに眠る孤独な女性が身と心をどう守るかが主題だと思いました。
著者は生物学者で70歳を過ぎて初めて出版した小説だそうです。
原作が良いのか翻訳が良いのか優れた表現力で描写される世界観が素晴らしいです。
戦争の傷跡、DV、ジェンダー、自然保護、開発、観光、陪審員制度、偏見、差別、物価などが湿地帯、沼地の生態系の描写の中に織り込まれています。
図書館予約を1年間待っての読書でした。
登場人物一覧と小説の舞台となる湿地帯の地図が冒頭にあり親切です。
非常に読み易かったです。
巷では推理小説とされていますが、そのようには読みませんでした。
ザリガニは鳴きません。
体を斜めにして呼吸するとき小さな鳴き声のような音が聞こえます。
生きるために呼吸します。
自然界で彼女が生きるための必然の結果だと思います。
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