インディアス群書などで白人によるアメリカ大陸の侵略誌は多く読みましたが、それ以前の文明の発生と言う観点の書物は初めてでした。著者は河川による4大文明以外にも赤道周辺の高地にこそ文明が発生したと記します。定説の玉蜀黍や麦類ではなく、馬鈴薯の原種こそがインカ帝国などの高所文明を生み出したと、「馬鈴薯から文明は発生しない」という書斎派研究者に対してフィールドワーカの著者の矜持が光ります。高所ではじゃが芋を足で踏みつぶせば昼夜の寒暖の差と乾燥した空気が天然のフリーズドライ「ニューニョ」を数日で生みだし、有効な保存食となったそうです。
謝辞に梅棹忠夫や関野吉晴、小林尚礼など山屋になじみの名前が登場して納得しました。赤道周辺の高所の存在を初めて意識しました。エチオピアで古くから栽培されているテフをインジェラに加工して現在も主食にしているそうですが、このテフがインターネットで簡単に手に入り、スーパーフードとしてもてはやされているそうです。情報の世界では地球はどんどん小さくなっていますが、本を読むと知らない世界はどんどん広がっていきます。困ったものです。
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