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京都の柊屋で輪島の八汐という宿を紹介され訪れました。
投宿した翌朝に中居さんに「お勧めの漆器店はどこですか。」と訊くと観光地図をもとにほぼ地図上の漆器店を解説してくれました。
そこで気が付いたのが一つの漆器店が説明されず飛ばされていました。
よし、ここに行こうと地図を頼りに「慶塚」を訪れました。
しかしそこには店構えがなく普通の民家の佇まい。
表に看板があるので間違いはないはずですが引き戸は締まっています。
覗き込んでいると後ろから「すいません今開けますから。」と若い女性が開けてくれました。
玄関に入ると年配の紳士が出迎えてくれました。
初めに通された部屋には漆黒のテーブルにその漆黒面から立ちあがる水差しや花卉。
まるでレンブラントの絵画です。
これほど深い黒は初めて見ました。
それから次々と室内を回りいくつもの漆器を見せてもらいました。
「漆器とは本来日常的なもので耐久性もあり高価なものではありませんでした。
「ほらご覧ください。」と年配の紳士がポケットから車のキーを取り出し目の前の天板が全て螺鈿で埋め尽くされた座卓に放り投げました。
壁は漆喰、柱などは全て漆塗、欄間も床の間もすべて意匠が見られます。
そんな純和風の室内の空間にいろいろな漆器が展示されています。
気が付くと値札がない。どれにも価格が表示されていない。
かみさんが螺鈿で覆われた手に収まる蓋つきの見事に丸い器(棗)をいたく気に入り、「これはおいくらですか。」と訊くと「100万円です。」と言われ思わず棚に戻しました。
片っ端から値段を訊くうちにマイセンと同じように絵付けがされたものや、螺鈿の施されたものが高額であることが分かってきました。
その日は日曜日だったのか工房がお休みでした。
工房の中も見学させてもらいました。
漆器作成の工程を丁寧に説明していただきました。
慶塚は木地も漆もすべて国内生産だそうです。
二階へ上がる踊り場に見事な溜めの一輪挿しがあり、これは手の届く範囲だろうと値段を訊くと五万円。買った。!
最後に応接間に案内されお茶を頂く。
一輪挿しはあとで箱を作成し送ってくださるとのこと。
名刺を頂く。
肩書は社長でした。
ペアの珈琲カップが見えたので値段を訊くと23万円。
ペアで48万円か。諦めました。
帰り際に漆塗りの箸を二膳頂きました。
後に私の癌快気祝いにお世話になった人たちにこの箸を慶塚から直接送ってもらいました。
慶塚で漆器のすばらしさを再認識したので折角輪島に来たのだからと他の漆器店を見て回りました。
しかし慶塚と同じような、どこまでも深い黒には出会いませんでした。
以下は慶塚さんが発信しているFBです。
https://www.facebook.com/wajima.keizuka/
写真はその時入手した一輪挿しとその後入手した菓子器。
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