今年のゴールデンウィークは意外なほど雪が残りました。
金峰山を越えて、大弛峠からの新しい道を知らず、林道をまっすぐ突っ切り、稜線沿いにやっとの思いで国師ヶ岳に着きました。
国師ヶ岳で大休止。北奥千丈が岳でもコーヒーブレーク。
翌日は白檜平からゴトメキを経て大ダワに向かうも、ルートを失う。
どのように歩いても北に下降してしまう。
東に折れる場所が見つからない。
そのたびにゴトメキまで雪に潜りながら戻るが、3回トライして諦めました。
鶏冠山林道を降りることにする。
林道とはいっても1年を通して一般車は入れないので気分は悪くない。
道路脇に白いものが見える。
猛禽類の羽が散らばっているのかと近づくと、鹿の死体である。
頭骨からつがいのようだ。
それぞれの骨は軟骨から離れ、内臓は勿論、皮も無く、白い毛が目立つばかりです。
暫らくするとまた有った。
「酷いことをする。」とかみさんが怒りだす。
「車で轢かれて可哀そうに。」
「轢いといて知らんぷり。」
道を曲がるとまた、あった。
「轢かれて道路の真ん中は無いだろう。」
「車が通れないから、脇にどかしただけよ。」
「ここは一般車が入れないところだよ。」
「じゃー林業の人が轢いたんだ。」
「いくら害獣だからって酷い。」
痩せた鹿が木の皮を必死で剥いでいる。
今回唯一見た鹿でした。
また、あった。
「またつがいだ。」
「つがいで轢くなんて酷い。」
「多分餓死だよ。大雪で身動きが取れなくなって、少しでも歩きやすい林道に降りてきて力尽きたんだよ。」
「そーかなー。」
「誰が13頭も轢くかよ。車壊れちゃうよ。」
「誰も一台の車が全部轢いたなんて言っていないわよ。」
不思議なことに標高が高いところの屍はばらばらになっていましたが、標高が下るに従い腐敗が始まる前のきれいな状態でした。最後に確認した屍は眼球も残っていました。
4組はつがいか親子でした。
帰りのタクシーの運転手さんが「今年は季節外れの大雪で、しかも腹を擦るような深い雪では動けなくなって餓死しちゃうんですよ。」というのを聞いて、やっとかみさんも「そうか車に轢かれたんじゃないんだ。」と怒りを収めました。
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