日本百名山
花の百名山
新・花の百名山
北海道百名山
日本の山岳標高1003山
北海道の山(分県登山ガイド)
日本の山1000
魅力別で選ぶ日本新百名山
温泉百名山
わが愛する山々
特選日本名山50
花の50名山
北海道の百名山
日本百富士
白籏史朗の百一名山
日本の活火山111(登山可能85座)
歩いてみたい日本の名山
日本いで湯百名山
北海道百名山(1993年版)
道東・知床

最終更新:ヤマレコ/YamaReco
オホーツク海と国後島を望む知床半島最高峰

羅臼岳は北海道の知床半島の最高峰で、標高は1660mです。
世界自然遺産に選ばれるほどの原始的な自然や、オホーツク海と北方領土の眺望が魅力の山で、日本百名山に選ばれています。

山名の「羅臼」は地名からくるものとされています。「羅臼」の由来は諸説ありますが、どれもアイヌ語にちなんでいます。例えば一説によると、「獣の骨が多い場所」を意味する「ラウシ」が転じたとしています。
一方でアイヌの人々は、羅臼岳のことを「チャチャヌㇷ゚リ」と呼んでいます。これは「おじいさん(またはお父さん)の山」を意味しており、親しみと敬意を込めてのようです。
また見る場所によっては、端正なシルエットを呈することから「知床富士」の愛称も持っています。
世界遺産「知床」

羅臼岳を含む知床半島の中央部から先端にかけては、海岸から急峻な山々が立ち上がり、半島の背骨のように連なっています。手つかずの自然と独自の生態系が色濃く残されており、2005年に世界自然遺産に登録されました。

知床半島の植生は、標高に応じて変化する典型的な垂直分布を示しています。緯度が高く、風雪にさらされる厳しい気象条件のもと、山頂付近ではハイマツが密生し、本州の高山帯に近い風景が広がります。
さらに羅臼岳は花の百名山にも選ばれています。短い夏のあいだに高山植物が一斉に花を咲かせ、登山者の目を楽しませます。

また硫黄山や知円別岳、遠音別岳(おんねべつだけ)の周辺は、知床半島の固有種であるシレトコスミレを観察することができます。

一方で知床半島には複数の火山があり、火山の荒々しい一面も持っています。
羅臼岳は成層火山で、山頂部はお椀を伏せたように盛り上がった溶岩ドームです。一帯は大きな安山岩がごろごろとしています。

硫黄山も安山岩から成る成層火山です。いくつもの火口を有し、噴火の爪痕が残る裸地や岩場が火山らしい景観を展開しています。
山名の通りかつては硫黄の採掘が行われており、1936年の噴火では溶けた硫黄が大量に噴き出すという世界的にも珍しい現象が記録されました。
自然体験プログラムも人気

登山と合わせて、自然を満喫するアクティビティも人気があります。
知床五湖は、麓の原生林に囲まれた5つの湖です。硫黄山の火山噴出物が流れてできた凹凸地形に、水が溜まって形成されました。ほとりを散策することができ、湖面に映る逆さ知床連山が見どころのひとつです。
遊歩道は高架木道と地上遊歩道があり、地上遊歩道を利用する場合は、事前の申請とレクチャーを受ける必要があります。またヒグマの活動期は、ガイドツアーに参加した上で通行します。

カムイワッカ湯の滝は、硫黄山から湧き出る温泉がカムイワッカ川に流れ込み、川そのものが温泉のようになっている珍しい場所です。
滝登りのアクティビティでは、上流へ進むにつれて水温が高くなる不思議な感覚が味わえます。こちらは専用のツアーに申し込むことで体験することができます。
山頂からは斜里岳や北方領土を望む

羅臼岳の山頂は、溶岩が冷え固まってできた安山岩の岩場です。二等三角点が設置されていますが、金属製のプレートで地面に埋め込まれています。

周囲は遮る物がなく、抜群の見晴らしを誇ります。
硫黄山や遠音別岳といった知床半島の山々や知床五湖、羅臼湖や斜里岳などを望むことができます。さらにオホーツク海の向こうには北方領土の国後島もよく見えます。
ヒグマと共生する山

羅臼岳がある知床半島はヒグマやエゾシカ、キタキツネなどの生息地です。登山道では動物の姿や糞を目にしたり、鳴き声を聞くことも珍しくありません。なかでもヒグマは人を襲うことがあり、被害を防ぐためには適切な距離を保ち、干渉しないことが重要です。

クマ鈴やクマ撃退スプレーなどの携行は必須です。
さらに登山中の調理行為や荷物のデポは避けるなど、トラブルを防ぐ行動が求められます。
宿泊はテント泊のみ

山中には山小屋はありません。宿泊は羅臼平の指定地における
テント泊のみが認められています。
水場はいくつかありますが、エキノコックス感染のリスクがあるため、使用する際には浄化処理が必要です。

匂いの強い物はヒグマを誘引するおそれがあります。調理や食事はテントから十分に距離を取って行い、テント内には匂いの強い物を持ち込まないようにします。生ごみや食糧は、必ずフードロッカーに保管します。
定番の登山ルートは岩尾別温泉から

羅臼岳への主な登山口は、斜里町の岩尾別温泉と、羅臼町の羅臼温泉の2箇所です。なかでも多くの登山者に選ばれているのが、岩尾別温泉からのルートです。

山頂手前の羅臼平までは1本道で迷いにくく、ポイントごとに道標が立てられいます。各所で山頂までの距離が記されており、行程の目安として役立っています。

登山口のそばには、宿泊施設の地の涯(ちのはて)と、素泊まり専用の木下小屋があります。いずれも温泉に入ることができ、木下小屋では露天風呂のみが利用可能です。

また近くには野天風呂「三段の湯」や「滝見の湯」もあり、登山後の疲れを癒してくれます。

登山道の序盤は樹林帯の中を登っていきます。

緩やかな極楽平を過ぎると、仙人坂の急な登りを迎えます。

大沢では、谷筋のガレ場を登ります。周囲は高山植物が咲き誇り、癒しの風景が広がります。初夏までは雪が残り、雪渓の上を歩く場合もあります。

羅臼平に出ると、山頂部の溶岩ドームを間近に望みます。ここはテント指定地となっており、知床連山の登山道を拓いた木下弥三吉(きのしたやさきち)のレリーフも設置されています。
ここは羅臼温泉ルートと硫黄山縦走路の分かれ道に位置しています。

羅臼平から山頂は、岩場が続きます。

道中には、弥三吉水、銀冷水、岩清水と呼ばれる水場が3箇所あります。飲むためには浄水器の使用や煮沸処理を施します。

また銀冷水のそばには、携帯トイレ用のブースがあります。
登山口 |
岩尾別温泉 羅臼温泉登山口 |
---|
基本情報
標高 | 1660m |
---|---|
場所 | 北緯44度04分32秒, 東経145度07分20秒 |
山頂 | |
---|---|
展望ポイント |
山の解説 - [出典:Wikipedia]
羅臼岳(らうすだけ)は、北海道・知床半島にある火山群の主峰および最高峰で標高1,661メートル。1964年(昭和39年)6月1日に知床国立公園に指定され、2005年7月にこの山域を含む知床半島が知床 (世界遺産)に正式登録された。深田久弥による日本百名山に掲載されており、新・花の百名山に選定されている山である。標高は1995年に国土地理院の調査で1,661メートルに改定されたが、より正確に測定できるGPS調査により、2008年5月1日に1,660メートル(1,660.36メートル)に改定。しかし、GNSS測量等の点検・補正調査の結果、2014年4月1日の『日本の山岳標高一覧-1003山-』で1,661メートルに再び改訂された。
流紋岩質から安山岩質の溶岩による活動は成層火山を形成したものの、最終的に山頂付近は溶岩円頂丘を形成させているほか、年月を経て地すべり・崩壊地形が多数形成されている。約500年前まで火山活動を続けていた活火山であり、1964年には山麓の羅臼町で100回を超える群発地震や間欠泉の噴出を観測している。
羅臼八景の一つ。1965年(昭和40年)に、『羅臼湖畔から仰ぐ羅臼岳』の知床国立公園の10円切手が発売された。
付近の山
この場所に関連する本
この場所を通る登山ルート
おすすめルート
-
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月自然豊かな知床半島の最高峰となる羅臼岳。 ヒグマの棲み処となる原生林をたどり、高山植物と素晴らしい展望を楽しむ登山です。斜里岳や海別岳と組み合わせると、より充実した山旅になるでしょう。