記録ID: 108204
全員に公開
沢登り
丹沢
日程 | 2011年05月04日(水) ~ 2011年05月05日(木) |
---|---|
メンバー |
![]() |
天候 | 5/4 曇り時々晴れ 5/5 曇り |
アクセス |
利用交通機関
寄大橋
車・バイク
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|




地図/標高グラフ


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コースタイム [注]
5/4
寄大橋7:00
-8:40雨山峠8:50-
9:33ユーシンロッヂ10:10-
10:23檜洞沢入渓-
10:43石小屋沢出合-
11:10檜洞沢・ユーシン沢二俣-
12:55ゲタ小屋沢出合-
12:59標高1155m二俣13:10-
13:40金山谷乗越-
13:48金山谷ノ頭14:08-
檜洞沢・ユーシン沢中間尾根下降-
15:14檜洞沢・ユーシン沢二俣-
16:03ユーシンロッヂ(泊)
5/5
ユーシンロッヂ5:43-
6:20同角沢下降点-
6:25同角沢F1基部6:40-
7:07三重ノ滝基部7:30-
7:58不動ノ滝基部(左岸高巻き)8:48-
9:30ダルマ石-
10:21行水ノ滝-
10:32名無しノ滝基部11:00-
(右岸高巻き)11:59-
12:35遺言棚-
14:48東沢乗越15:09-
15:14同角沢徒渉点-
15:54同角山稜 標高1290m地点-
16:20大石山16:24-
大石山南稜(同角沢・ヤシロ沢中間尾根)下降-
17:33玄倉川河原17:50-
17:53雨山橋-
18:25雨山峠18:30-
19:52寄大橋
寄大橋7:00
-8:40雨山峠8:50-
9:33ユーシンロッヂ10:10-
10:23檜洞沢入渓-
10:43石小屋沢出合-
11:10檜洞沢・ユーシン沢二俣-
12:55ゲタ小屋沢出合-
12:59標高1155m二俣13:10-
13:40金山谷乗越-
13:48金山谷ノ頭14:08-
檜洞沢・ユーシン沢中間尾根下降-
15:14檜洞沢・ユーシン沢二俣-
16:03ユーシンロッヂ(泊)
5/5
ユーシンロッヂ5:43-
6:20同角沢下降点-
6:25同角沢F1基部6:40-
7:07三重ノ滝基部7:30-
7:58不動ノ滝基部(左岸高巻き)8:48-
9:30ダルマ石-
10:21行水ノ滝-
10:32名無しノ滝基部11:00-
(右岸高巻き)11:59-
12:35遺言棚-
14:48東沢乗越15:09-
15:14同角沢徒渉点-
15:54同角山稜 標高1290m地点-
16:20大石山16:24-
大石山南稜(同角沢・ヤシロ沢中間尾根)下降-
17:33玄倉川河原17:50-
17:53雨山橋-
18:25雨山峠18:30-
19:52寄大橋
コース状況/ 危険箇所等 | ■丹沢の沢登り記録全般 http://mt-farm.info/tanzawakiroku.html ■檜洞沢 遡行グレード:1級 丹沢とは思えない石英閃緑岩の白とエメラルドグリーンの釜が連続する 好感度の高い沢。西側のユーシン沢も同様で双方お奨め。 2011年度(2012/03?)まで玄倉川林道は随道工事のため、歩行者もすべての 交通手段も通行禁止のため、アプローチは寄から雨山峠を越えなければ ならない。雨山峠〜玄倉川林道/雨山橋までの間は、一部ザレ場があったり 桟道が崩れている箇所もあるので慎重に歩く。 ▲罅璽轡鵐蹈奪故△砲△觧蛙斥佑猟撒鏗段を登り、古い径路を進むと 玄倉発電所の施設小屋があるので、これを巻き堰堤を越え沢に降り立つ。 最初の3m滝は深い釜を持ちきれい。右壁を登ることも可能(卦+)だが 一旦戻り左岸20m上に伸びている踏み跡から巻ける。沢に降りる箇所が 岩混じりの急峻な箇所でクライムダウン。またはよく探すとさらに上先に 踏み跡は続いていて、さらに上流で降りることもできる。 ぅ吋襯鵑両茲辰3m岩が右岸に鎮座している箇所で出合うのが石小屋沢。 これを過ごししばらくで釜を持った4m滝に行く手を塞がれる。 ここは左岩壁を10mほど登って越える巻きがある。(卦-) すぐに岩の下を流れるL5mナメ、L3mナメ、3m多条の滝ときれいな トロが連続する。 イ修里垢宛紊派弦865mでユーシン沢、檜洞沢の二俣。水量比はほぼ1:1。 左の檜洞沢に入るとL2〜3mのきれいなナメが続き心が和む。 少し先には広いテーブル状の岩があるので晴れた日は昼寝によい。 ι弦960mで左からザンザ洞が2段3m滝で合わさっている。水量比2:3。 3m級の小滝を幾つか越えると標高1040m付近で3m+4m+6mの3段滝。 上段は右側から小さく巻いて越える。幅が広いのでこの滝もきれい。 この先から視界がよく開け気持ちよい河原歩きだ。 標高1145mで左から1:5でゲタ小屋沢、1155mで3:1で経角沢の二俣。 一旦左側の本流である経角沢に入り、20mほど上流で右から入る枝沢へ。 5mくらいのナメを越し水の涸れた本流を歩くと、檜洞沢と蛭ケ岳をつなぐ 一般登山道上、金山谷乗越に出られる。平穏な詰めだ。 下山は一般道なら檜洞丸から同角山稜を降りてユーシンロッジ。 また少々読図が必要だが古い径路として残っているユーシン沢・檜洞沢の 中間尾根を使えば両沢の二俣に戻れる。随所にテープが巻いてある。 もし間違うとテープもなくなるので注意。取り付きは金山谷乗越から 右の小尾根に取り付けられた古い傾き加減のハシゴを登り。通行禁止ロープ を越えピークに立ってから地形図とコンパスを降りる尾根を探る。 一本手前に入り込みそうになるので注意。 ■同角沢 遡行グレード:2級上〜3級下 登攀困難な大きな滝が最初から最後まで続く上級者向けの沢。 滝の高巻きもルートファインディング力が必要で困難が伴う。 ー茲衂佞は玄倉川林道を雨山橋から下流(西)に歩き、随道(トンネル)を 2つ潜って、道が左にカーブし出した曲がり口(通行禁止の黄色看板、電柱、 カーブミラーあり)から河原に降りるロープが張ってある踏み跡を下る。 通行禁止区間の手前である。 河原に降りて30mほど下流対岸に同角沢F1(L10m+10m)が見えるので わかりやすい。水の少ないときは飛び石で濡れずに徒渉できるが、水量多い と苦労する。 F1は流芯右側の壁を卦蕕らいで登れるが、さらに右手の小カンテから ブッシュ頼りに巻き上がることもできる。流芯左のえぐれた壁に古いトラ ロープが垂れているが、スタンスが切れると木にぶらさがってしまうので やはり右側がよい。(過去の経験上) F1を越えるとすぐにL(長さ)10mのF2、堰堤と続く。 さらにL1.5m、L5m(左だが滑りやすい)、3mと越せば 見栄えのするF3-2段20m三重ノ滝が現れる。 せ綾泥梁譴留κ匹砲聾鼎ず燭2本ぶらさがっている。 鎖自体は古いのでいつかは破断するであろうが、アンカーはかなり丈夫。 鎖と残置ロープ沿いにアンカーにランニングを取りながら45mほどロープを 伸ばすと最後のアンカーまで届く。卦-くらい。 セ綾泥梁譴里垢粟茲砲気蕕妨栄えのするF4-30m不動ノ滝。 直登するなら流芯左から取り付き、真ん中で右に徒渉し右上に伸びるクラック を登ることになろうが、シャワー必至だし、アンカーも古いハーケンと スリングばかりなので巻いた方がよいであろう。 高巻きは左岸(右側)だが、今回は一番滝に近いルンゼではなく、一つ下側 の土ルンゼを登り上部の尾根状に乗り込んで、50mロープいっぱい伸ばして 木をビレイポイントとした。見上げればすぐ上にテープの巻かれた踏み跡が あった。これに従うと枝沢をトラバースして不動ノ滝上部に降りられた。 ι弦755mで右から急峻な無名沢が4m苔滝で合わさる。 本流は3m滝、ダルマ石(左側からの方が越えやすい)、少し離れて2m、3m、 10m岩塔と続く。ここから白い大きな花崗岩が沢を埋めており、乗り越える のが少々ボルダーチックだ。 標高830mで右から暗くて急峻な大杉沢が15m棚で合わさる。 この沢も直登、高巻きとも困難な棚を幾つか掛けているようで、入渓するのを 拒絶しているような威圧的印象。 本流は少しでゴルジュ状となる。 10m棚を掛けた枝沢を左に見送れば、大きな流木が2本掛かった3m滝。 流木の間には遭難者向けなのか古い献花が挟まれていた。 申し訳なかったが、流木に乗って滝を越えさせてもらう。 3m滝を3つ越えるとF5-5m行水滝。左の岩ルンゼを登る。上部はルンゼ より右のカンテに半歩出て登った方が楽。(卦) 右にチムニー棚の枝沢を見送ればF6-20m無名ノ滝。 滝基部から左側2つ目の短い土ルンゼを登り小尾根を弱点つきながら ロープ50m近く出して木でビレイ。そこから20mトラバースすれば その先に沢へ戻れる斜面が見える。 2〜4m小滝を5つ越していよいよこの沢のハイライトF7-3段45m 遺言棚だ。今回は水が涸れていたが、時期や天候によっては水流がある。 1段目5mは右のバンドからテラスへ。バンドの最初にあったハーケンが 岩ごと崩れていた。バンドの少し先にもう一つだけハーケンがある。 岩も部分的に脆い。(卦+) 2段目15mは流芯左の草付きフェイスに古い残置スリングだけ顔を出して いたハーケンがあるがぐらついているものが多く決してテンションを掛け られない。ルートの左手は砂岩なので脆いし、真っ直ぐ上へは脆そうな草を ホールドにしなければならないようで、今回は中間から右の乾いたカンテ に出て更に右手の流芯スラブへ寄る。 見た目よりかなり悪くて、右側のクラックに足をニーロックさせ、狭くなって いるポイントに#0.25のカムをセットし、ハーケンを打つよう努めてみたが、 よいリスはなく、また残置ハーケンも皆無なので結構しんどかった。 最後は意を決して左足をスラブ内にスメアリングし、ステミングで徐々に 身体を上げて何とか突破。(RCCよりデシマルグレードで5.9+くらい。 ランニングはほぼ取っていないに等しいので精神的にはもっと上に感じた) テラスには残置ハーケン2枚のみなので、さらにクロモリHalfを打つ足し フォロワーをビレイ。 3段目は左側にトラバースし、木を頼りにルンゼを登る。(卦) 50mいっぱい伸ばして木をボレイポイントとする。 ここから上を目指せば、東沢乗越に到達する。 東沢乗越から大石山方面へ少々悪い径路を一旦同角沢の河原に下る。 すぐ対岸に登り口があり、白砂の径路を行くが、途中から径路がわかり にくい。登りながら少し右へ行くと再発見できた。あとは尾根に上がり 明瞭な径路を同角山稜まで登る。 ■大石山南尾根(同角沢・ヤシロ沢中間尾根) 今回は大石山から南尾根(同角沢・ヤシロ沢中間尾根)を使ってみた。 標高1060mのコル上部が非常に悪い! 右から同角沢の支流無名沢の詰めが入ってきており これが垂直の深いルンゼ(というより井戸の底)となっている。 下降して立派な松ノ木2本の左側を行くように降りないと コルに達することはできないどころか無名沢ルンゼに転落リスクがある。 それ以外は読図がしっかりできれば問題はない。 |
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ファイル |
20110504-05hinokibora&doukakusawa.xls
![]() |
過去天気図(気象庁) |
2011年05月の天気図 |
写真
感想/記録
by kawamasa
Kamog師匠と丹沢玄倉川の秀渓を行く
【5月4日】
(寄〜ユーシンロッジ)
丹沢最深部のこの地は、今年は、まだ、春が遅いのか、早春の風情も残している。
初日の早朝、寄大橋に車を停め雨山峠越えでユーシンに入る。玄倉川林道が通行止めのためもあるが、かつては玄倉流域に入るために登山者がカモシカで超えた伝統の路。
雨山峠への道は、寄木沢に沿って進み、途中、後沢、水棚沢、鷹巣沢、清兵衛ノ沢、山ノ神渡ノ沢が出合い、さらに、地獄崩から寄コシバ沢に沿って峠に至る。峠は快晴、早春の木々の梢越に、遠く富士山も望めた。
峠からは雨山沢に沿い玄倉川本流へ。玄倉川に出合ってユーシンに向かう道にも右手からいくつかの沢が出合っている。9時半過ぎにユーシンロッジに到着。ロッジは現在、営業を休止しているが、休止であることが惜しい素晴らしい佇まい。かつてロッジの管理人だった佐藤氏が手がけた庭には様々な花々が咲いている。
(檜洞沢)
今回の宿であるロッジに荷物をデポし、今日は、檜洞沢に。入渓前にロッジの裏にある山ノ神に安全を祈願し、発電所の経水地の脇を通り入渓。入渓したところには、まだ三椏が咲いている。この日は春らしいとても良い日和だった。
檜洞沢は、石英閃緑岩を青い水が流れる美渓、丹沢にはめずらしく青空が広がる開放的な沢。特に、この時期は三椏だけでなく、豆桜、躑躅や馬酔木と言った木々に咲く花もあり、足元にはスミレやリンドウも咲き、素晴らしい空間が広がる楽園と言っても良い場所。むずかしい箇所も殆ど無く、沢を志向する人全てに、この時期の入渓を薦めたい。
【5月5日】
(同角沢〜大石山南尾根) (※文中の左右は沢の上流に向かったときの位置です)
今日もロッジ裏の山ノ神に安全を祈願し出発。玄倉川林道を同角沢出合まで下る。トンネルを二つくぐり抜け、少し行ったところが同角沢の出合。出合が早くもF1。丹沢では最難関の沢のひとつだけあって、入口からして人が分け入るのを拒絶しているようだ。
F1は右のフェイスも登れそうだが、のっけなので慎重に右側を巻く。その上に現れるF2のナメ滝と堰堤を越えると、F3三重の滝。右側に古い鎖が二本さがっているが、かなり古そうだ。少し前に水無川本谷の鎖が切れたこともあり、古い鎖に頼って良いものかしばし思案。ただ、左は切れたっていて巻けそうもなく、巻けそうな右も前面に壁があり、巻く場合は稜線にまで出てしまう大高巻きになりそうなので、直登を選択。ロープを出し、鎖で一段上がり、残置スリング、岩と鎖を繋いでいる太い鉄杭を支点に超えた。
続いてF4不動ノ滝。滝の右側は途中がハングしており、右側は滝の落ち口のトラバースが悪そうだ。中央部まで滝の左側を登り、ハングしている手前で、滝に打たれつつ右側にトラバースし滝口に出るのが素直なルートと思われるが、この時期のシャワークライムは自虐的過ぎる。よって右側から巻くこととする。
F4を超えると、小ダルマ石(勝手に命名)、鉄梯子が壊れた堰堤、ダルマ石、胎内潜り石(これも勝手に命名)と楽しい場所が現れる。そして、その先に右手から大杉沢が出合ってくるが、出合った場所が、入れるものなら入ってみろと言っているかのような厳しい枯滝。中間右手に2つ残置スリングが見えたが、いったいどのくらいの人が入渓しているのだろう。
このあたりからゴルジェが深くなり、やがてF5行水の滝。流芯左にクラックがあり、夏ならば、それを使って登るのだろうが、確実にズブ濡れになる。なので左手のルンゼを使って突破する。
その後しばらく進むとF6無名ノ滝。これも流芯の左側から取付き、滝に打たれながら右へ、そして左へとトラバースして突破するのが直登ルートと読んだが、とても登る気はしない。よって左側から巻くことにするが、この巻きも上り口が砂岩で苔むされてボロボロ状態でかなり悪かったが、細い枝や根などを支点にしながら巻き切った。沢に戻った先で、左側から岩の崩壊箇所があった。崩壊は、かなり新しく、おそらく震災によるものと思われる。
その先が、いよいよ最後のF7遺言棚。この滝は3段40メートル、今回は棚は涸れている。1段目は簡単そうに見えることから、はじめは、1段目はフリーで登って、2段目の基部からロープを出そうとの戦術を取ったが、1段目の砂岩がボロボロで、1段目からロープを出し、3段目基部でピッチを切り突破した。
遺言棚はフォローであったが、かなり冷や汗をかいた。2段目の左の草付からカンテ状を乗り越し(けっこう高度感があって痺れる)、そこから、何とか届くクラックに右手、右足を、なんとかねじ込んで一服し、そこからステミング気味に身体をせり上げていくのだが、ホールドに乏しく、かなり厳しい登攀であった。確保支点も固め打ちしてある残置ハーケンと、打ち足した効きが確実でないハーケンの2つのみで、フォローであっても、とても落ちるわけにはいかない。2ピッチ目の3段目は右手の草付を登るが、ここもボロボロで悪い。
名著「丹沢の谷110」では見た目より簡単とあったが、まったく逆の印象である。いずれにせよ、この遺言棚が今回の2日間の沢のハイライトといえる。
遺言棚の残置支点の埋まり具合からすると、少なくとも同沢の今シーズンの入渓は我々が初めてだろうと思われる。
【5月4日】
(寄〜ユーシンロッジ)
丹沢最深部のこの地は、今年は、まだ、春が遅いのか、早春の風情も残している。
初日の早朝、寄大橋に車を停め雨山峠越えでユーシンに入る。玄倉川林道が通行止めのためもあるが、かつては玄倉流域に入るために登山者がカモシカで超えた伝統の路。
雨山峠への道は、寄木沢に沿って進み、途中、後沢、水棚沢、鷹巣沢、清兵衛ノ沢、山ノ神渡ノ沢が出合い、さらに、地獄崩から寄コシバ沢に沿って峠に至る。峠は快晴、早春の木々の梢越に、遠く富士山も望めた。
峠からは雨山沢に沿い玄倉川本流へ。玄倉川に出合ってユーシンに向かう道にも右手からいくつかの沢が出合っている。9時半過ぎにユーシンロッジに到着。ロッジは現在、営業を休止しているが、休止であることが惜しい素晴らしい佇まい。かつてロッジの管理人だった佐藤氏が手がけた庭には様々な花々が咲いている。
(檜洞沢)
今回の宿であるロッジに荷物をデポし、今日は、檜洞沢に。入渓前にロッジの裏にある山ノ神に安全を祈願し、発電所の経水地の脇を通り入渓。入渓したところには、まだ三椏が咲いている。この日は春らしいとても良い日和だった。
檜洞沢は、石英閃緑岩を青い水が流れる美渓、丹沢にはめずらしく青空が広がる開放的な沢。特に、この時期は三椏だけでなく、豆桜、躑躅や馬酔木と言った木々に咲く花もあり、足元にはスミレやリンドウも咲き、素晴らしい空間が広がる楽園と言っても良い場所。むずかしい箇所も殆ど無く、沢を志向する人全てに、この時期の入渓を薦めたい。
【5月5日】
(同角沢〜大石山南尾根) (※文中の左右は沢の上流に向かったときの位置です)
今日もロッジ裏の山ノ神に安全を祈願し出発。玄倉川林道を同角沢出合まで下る。トンネルを二つくぐり抜け、少し行ったところが同角沢の出合。出合が早くもF1。丹沢では最難関の沢のひとつだけあって、入口からして人が分け入るのを拒絶しているようだ。
F1は右のフェイスも登れそうだが、のっけなので慎重に右側を巻く。その上に現れるF2のナメ滝と堰堤を越えると、F3三重の滝。右側に古い鎖が二本さがっているが、かなり古そうだ。少し前に水無川本谷の鎖が切れたこともあり、古い鎖に頼って良いものかしばし思案。ただ、左は切れたっていて巻けそうもなく、巻けそうな右も前面に壁があり、巻く場合は稜線にまで出てしまう大高巻きになりそうなので、直登を選択。ロープを出し、鎖で一段上がり、残置スリング、岩と鎖を繋いでいる太い鉄杭を支点に超えた。
続いてF4不動ノ滝。滝の右側は途中がハングしており、右側は滝の落ち口のトラバースが悪そうだ。中央部まで滝の左側を登り、ハングしている手前で、滝に打たれつつ右側にトラバースし滝口に出るのが素直なルートと思われるが、この時期のシャワークライムは自虐的過ぎる。よって右側から巻くこととする。
F4を超えると、小ダルマ石(勝手に命名)、鉄梯子が壊れた堰堤、ダルマ石、胎内潜り石(これも勝手に命名)と楽しい場所が現れる。そして、その先に右手から大杉沢が出合ってくるが、出合った場所が、入れるものなら入ってみろと言っているかのような厳しい枯滝。中間右手に2つ残置スリングが見えたが、いったいどのくらいの人が入渓しているのだろう。
このあたりからゴルジェが深くなり、やがてF5行水の滝。流芯左にクラックがあり、夏ならば、それを使って登るのだろうが、確実にズブ濡れになる。なので左手のルンゼを使って突破する。
その後しばらく進むとF6無名ノ滝。これも流芯の左側から取付き、滝に打たれながら右へ、そして左へとトラバースして突破するのが直登ルートと読んだが、とても登る気はしない。よって左側から巻くことにするが、この巻きも上り口が砂岩で苔むされてボロボロ状態でかなり悪かったが、細い枝や根などを支点にしながら巻き切った。沢に戻った先で、左側から岩の崩壊箇所があった。崩壊は、かなり新しく、おそらく震災によるものと思われる。
その先が、いよいよ最後のF7遺言棚。この滝は3段40メートル、今回は棚は涸れている。1段目は簡単そうに見えることから、はじめは、1段目はフリーで登って、2段目の基部からロープを出そうとの戦術を取ったが、1段目の砂岩がボロボロで、1段目からロープを出し、3段目基部でピッチを切り突破した。
遺言棚はフォローであったが、かなり冷や汗をかいた。2段目の左の草付からカンテ状を乗り越し(けっこう高度感があって痺れる)、そこから、何とか届くクラックに右手、右足を、なんとかねじ込んで一服し、そこからステミング気味に身体をせり上げていくのだが、ホールドに乏しく、かなり厳しい登攀であった。確保支点も固め打ちしてある残置ハーケンと、打ち足した効きが確実でないハーケンの2つのみで、フォローであっても、とても落ちるわけにはいかない。2ピッチ目の3段目は右手の草付を登るが、ここもボロボロで悪い。
名著「丹沢の谷110」では見た目より簡単とあったが、まったく逆の印象である。いずれにせよ、この遺言棚が今回の2日間の沢のハイライトといえる。
遺言棚の残置支点の埋まり具合からすると、少なくとも同沢の今シーズンの入渓は我々が初めてだろうと思われる。
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エメラルドグリーン本当に綺麗ですね。
近いうちに行ってみます〜
この両沢は同じような渓相でとてもお奨めです。
癒されますよ。
同角の遺言棚はかなり悪いです。
中段で一時セミになりかけました。
マイクロカムを忍ばせておいて助かりました。
なければおそらく精神的に登れなかったかも。
かわいい「この子」は、馬酔木(あしび)らしいです。
kamogさん、kawamasaさん、こんばんは、。
一日違いのユーシン泊だったようですね。
熊木ダムのエメラルドグリーンには毎回癒されますが、
こんな美しさを間近で体験できるなんて
素晴らしい沢登りですね。
沢は怖そう、山で十分、と思っていましたが、
ちょっと心惹かれている私がいます
ユーシンロッジ裏の沢の上流に建物があることは知っていましたが、
発電所の関連施設でしたか。
kawamasaさん>馬酔木・・・すてきな香りですね。三椏と同じくらい好きになりました。
melonpanさん>沢はいいです。山のすべての要素が詰まった究極の原登山だと思いますよ。
僕の思いですが、沢は、この時期が一番素敵だと思います。冬から目覚めた木々の緑、鳥の声。。。
山に優しさがあるとすれば、まさに今だと思う瞬間に満ちあふれています。
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