谷川連峰東西縦走【お花畑天国は灼熱地獄だった】

2018年07月14日(土) 〜 2018年07月16日(月)

• GPS: 27:42
• 距離: 27.2km
• 登り: 2,771m
• 下り: 2,500m

コースタイム

1日目

• 山行: 6:39
• 休憩: 2:05
• 合計: 8:44

8:40 土合駅
8:48 8:48 白毛門登山口駐車場
9:01 9:35 土合口駅／谷川岳ベースプラザ
9:40 9:44 西黒尾根登山口
12:38 13:21 ラクダの背(ラクダのコブ)
13:28 13:33 ラクダのコル
15:23 15:32 ザンゲ岩
15:50 16:06 谷川岳・肩の小屋
16:13 16:19 谷川岳（トマノ耳）
16:41 16:49 谷川岳
17:13 17:13 谷川岳（トマノ耳）
17:24 谷川岳・肩の小屋

2日目

• 山行: 10:12
• 休憩: 0:40
• 合計: 10:52

5:02 谷川岳・肩の小屋
6:22 6:22 オジカ沢ノ頭
7:33 7:33 小障子ノ頭
7:48 8:02 大障子避難小屋
8:34 8:35 大障子ノ頭
10:33 10:33 万太郎山
11:59 11:59 越路避難小屋
12:25 12:43 毛渡乗越
15:05 15:12 エビス大黒ノ頭
15:54 エビス大黒避難小屋

3日目

• 山行: 6:36
• 休憩: 1:07
• 合計: 7:43

4:34 エビス大黒避難小屋
5:22 5:34 仙ノ倉山
6:13 6:14 平仙鞍部
6:50 6:50 平標山
7:39 8:18 平標山の家
10:20 10:27 平元新道登山口
11:40 11:40 平標登山口
11:45 11:49 平標登山口駐車場
11:55 11:59 元橋バス停
12:17 ゴール地点

天候

14日：快晴．午後から稜線に少し雲がかかった．
15日：朝は霧．午前中は快晴．午後から雲が多くなり，夕方は霧がかかった．
16日：朝は霧．午前中は晴れ．

アクセス

利用交通機関：

電車 バス

【往路】
上野駅 06:42-上越新幹線 たにがわ401号-08:06 越後湯沢駅 08:13-上越線-08:28 土合駅
【復路】
山鳥原バス停 12:47-南越後観光バス 西武クリスタル線- 13:22 越後湯沢駅 16:01-上越新幹線 Maxたにがわ412号-17:22 上野駅

コース状況／危険箇所等

【全体】
・道はよく整備されている．
・登山者が多い山のためか踏み跡がしっかりしている
・分岐点には指導標が整備されている．
【西黒尾根】
・ラクダのこぶ手前の最初の鎖場までは通常の登山道
・最初の鎖場からからは急に岩場・鎖場が多くなる．
・鎖場以降は地質が変わり(花崗岩→蛇紋岩)，岩の表面がかなり滑りやすくなる．
【谷川岳〜仙ノ倉山】
・岩場・ヤセ尾根もあるが，基本は普通の(森林限界を超えた)尾根道．
・大部分で踏み跡がしっかりしており，指導標も整備されている
・オジカ沢ノ頭に鎖場あり
・越路避難小屋〜毛渡乗越では踏み跡が不明瞭になっている
・エビス大黒避難小屋〜仙ノ倉山は下草が刈り取られている
【仙ノ倉山〜平標山】
・木段・木道などよく整備された登山道が続く．歩きやすく，難所はない．

その他周辺情報

・土合駅，谷川岳ベースプラザ，登山指導センター，平標山登山口駐車場のトイレ前に登山届のポストあり
・谷川岳ベースプラザに飲食店などの売店あり．平標山登山口周辺には売店・休憩スペースなどがなかった (そのため山鳥原公園の茶屋まで移動してバスを待った)
・平標山登山口駐車場のトイレ横には登山客のための水場があり，泥で汚れた靴を洗うことができる．

写真

7/14 8:41

登山客で賑わう土合駅を出発．

7/14 8:59

谷川岳ロープウェイは元気に稼働中．

7/14 9:32

谷川岳ベースプラザで水分補給と荷造りを行う．

7/14 9:39

林床に咲くヤマアジサイの花

7/14 9:43

西黒尾根を登攀開始．

7/14 10:10

鉄塔を潜る．

7/14 10:12

薄暗い林床に目立つアカショウマ．

7/14 10:32

最初はこのような樹林帯がつづく．比較的緩い登り．

7/14 10:55

ヨツバヒヨドリ

7/14 11:20

登山道のど真ん中にあった，絶妙なバランスのケルン

7/14 11:49

目の前に武尊山が見えてきた．

7/14 12:00

最初の鎖場が出現．ここからが西黒尾根の真骨頂．

7/14 12:05

谷川連峰東部の山々(白毛門，笠ヶ岳，朝日岳...)．いつか登りたいものだ．

7/14 12:20

さらに鎖場が続く．

7/14 12:31

この鎖場の左は奈落の底...

7/14 13:02

何とか鎖場を越えて，ラクダの背に到着．

7/14 13:02

岩根こごしい谷川岳．

7/14 13:02

振り返れば天神平と赤城山．

7/14 13:22

マチガ沢には雪渓が残っていた．

7/14 13:23

シモツケソウのつぼみ．

7/14 13:28

クガイソウ

7/14 13:29

オオカサモチ．

7/14 13:29

厳剛新道との合流地点．

7/14 13:30

シラネニンジン

7/14 13:31

カラマツソウ

7/14 13:33

こんな所に純白のヤマアジサイが咲いていた．

7/14 13:34

シモツケソウとミヤマシャジン．西黒尾根は花の尾根でもあった．

7/14 13:36

コバイケイソウ越しに見る赤城山．

7/14 13:37

オオバキボウシ．

7/14 13:59

さらに急登は続く...

7/14 15:04

氷河の擦痕？

7/14 15:23

ザンゲ岩を巻いていく．

7/14 15:44

やっと肩ノ広場に到着！

7/14 15:50

まずは肩ノ小屋に駆け込み，受付をすます．

7/14 16:09

小屋の横にある祠に祈りを捧げ，

7/14 16:17

10分ほどでトマノ耳山頂に到着．

7/14 16:19

トマノ耳より谷川連峰主脈を望む．明日はあんな所を歩くのか！

7/14 16:22

オキノ耳もすぐ横に見える．

7/14 16:25

名前が分からないが，小さな白い花

7/14 16:27

わずかに咲いていたウラジロヨウラク．

7/14 16:30

ハクサンフウロ

7/14 16:32

山小屋で急病人が出たらしい．救助のヘリが出ていた．

7/14 16:32

ミヤマキンポウゲ

7/14 16:34

ハクサンボウフウ

7/14 16:39

岩と花の名山...谷川岳！

7/14 16:40

タテヤマウツボグサ

7/14 16:41

名前が分からないが，小さな白い花(2)

7/14 16:50

オキノ耳山頂に到着．

7/14 16:45

オキノ耳より望む燧ヶ岳と至仏山

7/14 16:45

同じく，平ヶ岳

7/14 16:45

少し雲がかかっているが，巻機山

7/14 16:45

谷川連峰東部の山々．大源太山，朝日岳など．

7/14 16:46

オキノ耳の岩場に咲いていたミネウスユキソウ．すぐ右側は奈落の底...

7/14 16:51

葉と茎の色が濃いが，キオンでいいのかな？

7/14 16:53

ウサギギク

7/14 16:53

ミヤマシャジン

7/14 16:55

ジョウシュウオニアザミ．

7/14 16:59

ミヤマカラマツでいいのかな？

7/14 17:00

タカネニガナ

7/14 17:01

アカショウマ

7/14 17:03

キンレイカの蕾

7/14 17:11

キオン

7/14 17:14

しおれかかったヨツバシオガマ？．

7/14 17:17

コバイケイソウの群落．

7/14 17:17

トマノ耳直下のニッコウキスゲの群落

7/14 17:18

岩と花の名山...谷川岳 (2)

7/14 17:20

なかなか味のある風景．明日はあの稜線を歩くのだ．

7/14 18:22

オオバコの一種？小屋のすぐ前に咲いていた花

7/14 18:19

小屋の中に戻る．ここにもヤマノムスメ達が．

7/15 4:43

肩ノ小屋ライブラリー．もちろん，ヤマノス◯メもあります．

7/15 5:05

翌日，朝霧の中を出発する．

7/15 5:18

オジカ沢ノ頭と俎グラ，影谷川．

7/15 5:34

谷川岳より太陽が昇ってきた...!

7/15 6:01

切り立った稜線のオジカ沢ノ頭．

7/15 6:13

アヅマシャクナゲでいいのかな？

7/15 6:23

オジカ沢ノ頭に到着．

7/15 6:24

逆光の谷川岳．

7/15 6:24

行く手に聳える万太郎山．標高差400mを登り返す．

7/15 6:29

オジカ沢ノ頭避難小屋で朝食をとる．

7/15 6:49

俎グラ山稜の切り立った稜線．

7/15 7:17

タカネコンギク

7/15 7:19

ひたすら笹原が続く稜線．全く樹木がない．

7/15 7:31

クルマユリ

7/15 7:34

小障子ノ頭を通過．

7/15 7:37

タテヤマウツボグサ

7/15 7:46

大障子ノ頭の稜線を登っていく．

7/15 8:05

お花畑では蜂たちが忙しく飛交っていた

7/15 8:36

大障子ノ頭を通過．

7/15 9:32

ニッコウキスゲの大群落

7/15 10:17

思い出深い苗場山が遠くに見える．

7/15 10:28

万太郎山山頂から谷川岳を振り返る．

7/15 10:28

たくさんのアキアカネが飛んでいた．巻機山の向こうに顔を出しているのは中ノ岳？

7/15 10:54

ニッコウキスゲが咲き乱れて，とてものどかな風景に見えるが...

7/15 11:05

強烈な太陽光線が直接降り注ぐ，灼熱地獄なのです．

7/15 11:12

灼熱地獄の中のお花畑天国...

7/15 11:15

花に埋もれた越路避難小屋．

7/15 11:57

仙ノ倉山のラスボス感．あの大きな山を越えないと水場にたどり着けない...

7/15 15:06

ついにエビス大黒ノ頭で力尽きる．避難小屋泊まりを決意する．

7/16 4:32

翌朝，満を持して仙ノ倉に挑む．ついに水の残量が500mLを切った．

7/16 5:06

ニッコウキスゲの花畑の中を登っていく．

7/16 5:35

ついに仙ノ倉山に到着．谷川連峰の最高峰を制覇した！

7/16 5:50

平標山ノ家が見えた！あそこに水場がある．

7/16 5:56

朝露に濡れたミヤマカラマツ？

7/16 6:02

平らな稜線にはニッコウキスゲの大群落が咲いていた．

7/16 6:04

もう見飽きた感のあるニッコウキスゲ...

7/16 6:12

朝露に濡れたチングルマ

7/16 6:12

花が終わったチングルマの群落

7/16 6:14

縦走最後のピーク，平標山はすぐ目の前．

7/16 6:17

南北方向に伸びる風食地形

7/16 6:49

平標山の山頂に到着．

7/16 6:51

美しい裾野を広げる浅間山．その向こうは八ヶ岳連峰．

7/16 6:58

稜線から望む姿とは打って変わって，嫋やかな姿の仙ノ倉山．

7/16 6:59

オトギリソウ

7/16 7:00

キオン．

7/16 7:10

平標山ノ小屋を目指して下ってゆく．

7/16 7:26

キンコウカ．なぜかこの辺は黄色い花が多い．

7/16 7:31

キンコウカの大群落！

7/16 7:41

ヨツバヒヨドリの花

7/16 7:59

やっと平標山ノ家に到着．水をがぶ飲みする．この時点で飲料水の残量は100mLを切っていた．

7/16 8:16

最後に仙ノ倉山にあいさつしようとしたが，雲に隠れていた．
笹穴沢を水が轟々と流れていた．

7/16 8:41

平元新道に入る．周囲は樹林帯になる

7/16 10:15

シロバナニガナ．

7/16 10:21

標準タイムの2倍の時間をかけて，平元新道の入口に到着．

7/16 10:43

あとは沢沿いに林道を歩くだけ...

7/16 11:09

途中の清水でのどを潤す．

7/16 11:15

駐車場方面に出るには河原を歩く．

7/16 11:42

平標登山口駐車場に到着．

7/16 12:12

登山口駐車場には待ち合わせ場所がなかったので，20分ほど歩いて山鳥原公園まで移動．そこの茶屋で30分ほどバスを待った．

7/16 13:34

越後湯沢駅にバスで移動後，駅前の食堂へ行った．ビールと一緒にキノコの天ぷらを山ほど食べた．

写真まとめ「谷川連峰の高山植物」

写真まとめ2「谷川連峰の地形・地質・山岳展望」

撮影機器：

D5100 ニコン

iPhone 6s Plus Apple

感想

Hetareman

せっかく晴れの連休だったので，憧れの谷川連峰を縦走してきた．
初めて入る山域なのに，西黒尾根直登，谷川岳〜平標山縦走などという，かなり無謀なことを計画し，挑戦してしまった．

初日の西黒尾根直登はほぼ予定時間通りで成功した．ラクダのこぶ直前の鎖場まではほとんど標準タイムで歩くことができた．しかし鎖場と岩場の急斜面に手こずってしまい，結局は標準タイムの1.5倍の時間をかけて，肩ノ小屋にたどり着いた．最も，私は自分の亀足を自覚しているため，当初から山行計画を標準タイム×1.5倍の時間で計算していた．その意味で，ほぼ予定通りにスケジュールをこなすことができたと言える．

二日目は谷川岳から平標山を目指して，稜線を縦走した．
名高い谷川連峰の稜線はお花畑天国だった．どこまでも緑の稜線が続き，点在するニッコウキスゲが色を添える．岩場があり，山があり，ダイナミックで鮮やかな風景が広がっていた．しかし，お花畑の天国は灼熱地獄でもあった．森林限界を超えて遮るものが何もないため，直射日光が降り注いでくる．文字通り身を刺すような暑さで，本当の天国に逝ってしまいそうだった．

結局スタミナ切れと直射日光で，万太郎山を過ぎたあたりからバテてしまった．しかもその周辺には水場がない(沢に下りればあるらしいが)．毛渡乗越から望む仙ノ倉山はあまりに大きく，険しく，恐ろしく見えた．あの大きな山を越さないと，水場にたどり着けないなんて...　その絶望感といったら，半端なかった．

結局，宿泊を予定した平標山ノ家まではたどり着けなかった，その夜は急遽，エビス大黒の避難小屋に泊まることにした．その段階で水の残量は1.5Lを切っていた．

避難小屋ではたまたま居合わせた3人の登山者と一緒になった．彼・彼女らも平標山ノ家に宿泊する予定だったが，間に合わなかったらしい．

翌朝は霧の中，仙ノ倉山・平標山の稜線を早足で歩き，平標山ノ家へと急いだ．山ノ家に到着したときの水の残量は0.1mLを切っていた．のどがカラカラだったので，山ノ家の仙平清水を浴びるように飲んだ．水がこれほど美味しいと思ったのは初めてだった．

無謀な計画であったが，何とか自分の足で谷川連峰を歩きることができた．亀足の私がこんな長距離を縦走できたなど，今でも信じられない．

今回は山の偉大さ，怖さ，水の大切さを身に染みて感じた．それと同時に，誇りと自信を身につけた山行となった．