爺ケ岳〜鹿島槍〜五竜岳・・・絶景満喫でも No Stick 無謀でしたぁ。
- GPS
- 56:00
- 距離
- 22.5km
- 上り
- 2,749m
- 下り
- 2,557m
コースタイム
- 山行
- 7:07
- 休憩
- 1:14
- 合計
- 8:21
- 山行
- 10:23
- 休憩
- 1:40
- 合計
- 12:03
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
柏原新道は整備が行き届いています。鹿島槍ヶ岳から先は八峰キレット、五竜岳の登り降りでクサリ場、通過に注意が必要な個所や岩稜帯での落石等に注意が必要です。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
行動食
非常食
飲料
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
タオル
ストック
ナイフ
カメラ
|
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感想
「彼(敵)を知り己を知れば百戦 殆(危)うからず」という有名なことわざが中国の古い兵法書「孫子」にありますが、その続きには「彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し」というくだりがあり、その意味は「敵のことも味方のことも知らなければ必ず負ける」ということで、今回は大反省の巻。
毎年、この時期にその年のメインイベントとなる山行を計画するワケですが、今年は師範代より、扇沢から入って爺ケ岳を通ってメインの鹿島槍ヶ岳、難所の八峰キレットを通過して五竜岳、下山はそのまま遠見尾根を通って下山もしくは唐松岳経由で八方へ下山の山小屋3泊5日コースの提案がありました。
海の日をからめた3連休は混雑も予想され、また、例年、梅雨明けするかしないか微妙な時期なので、それは避けてその翌週でどうでしょうということでしたが、会社を2日休むことになり、お盆に長い休みを予定しているのと、多少の業務都合もあり、5日コースはちょっとねえ・・・とシブっていたところ、「じゃあ、山小屋2泊の4日で」という代案。そうなると、山小屋1泊目は冷池山荘、2泊目は五竜山荘になりますが、その区間は鹿島槍に登頂して八峰キレットがほぼ中間点、さらにその先、五竜を征服して、少し下ってようやく五竜山荘・・・のコースタイム8時間のロングコース。
最近ではどこに行ってもコースタイムより少しかかるペースでしか歩けないのと、3人ともそれぞれ足腰に不安要素を抱えた今の状況では、非常に不安。稜線歩きになるので、午後の天候も心配、しかも途中、キレット小屋しか逃げ場がない・・・と不安要素満載。が、結局、師範代の代案どおり山小屋2泊の日程での山行となりました。
が、鹿島槍から先、八峰キレットをはさんで五竜山頂までがどれほどたいへんなコースか十分に調査せず、また、自分たちの実力や当日のコンディションを把握しないまま挑戦した今回の山行は、まさに最初の「必ず負ける」の条件にピッタリあてはまりました。お天気はバッチリ、たくさんの種類のお花も楽しめ、ライチョウにも会えて、それになんと言っても妙高、浅間から八ヶ岳、富士山、南ア、中央、槍穂、ツルタテ(遠くに白山?)から白馬まで、ぐるーーーーーっと一周、何座の百名山が見えたでしょうっていうくらいの絶景をほぼ1日楽しむことができたのは最高のシアワセでしたが、その一方、途中で「もお、アカン、もお、かんにん。頼むから山小屋、ここまで連れてきて。」とか、西郷どんなら(山中でのお泊りの覚悟を決めて)「もお、ここらでよかろかい」というコトバを発するくらい最悪の消耗戦になりました。
金曜日の夜、風が通らず異常に暑い都庁バス駐車場を出発した「まいにちアルペン号」は予定通り扇沢の登山口に到着。さすがにここまで来ると都内の暑さとは別世界。まだすこし夜が明けきれない中、準備をして出発です。が、新兵器のストックにちょっとしたトラブル発生、結局、1本ストックで登り始めましたが、やっぱりなんだかバランスがもひとつ。
まずは種池山荘を目指します。小屋まではコースタイムで4時間ほど。柏原新道はよく整備された登山道でしたが、夜行バスにゆられ&なまった身体には、ちと試練。八ツ見ベンチとかケルンとかのチェックポイントを通過していきますが、高度を上げていくとだんだん展望も開けてきます。扇沢のターミナルや稜線上に建つ種池山荘を見ながら進んで行きます。
樹林帯の中は風の通りがもうひとつ。お天気もいいので汗も容赦なく出てきます。水分を補給しながら登っていきますが、そこそこ斜度のある坂道が続き、山荘直前にひかえるのはその名も「鉄砲坂」。ようやく樹林帯を抜けたところで種池山荘に到着。たまらず山荘に駆け込んで、まずはバヤリース1本、イッキ。まだ、足りなくて追加もう1本。もうこのあたりでカラダの水分が1回入れ替わったんじゃないかと思うくらい。
さて、かなりゆっくり休憩をとりましたが、ここから爺ケ岳を越えてようやく今日の宿泊地の冷池山荘です。コバイケイソウがにぎやかな山荘をあとにして、1時間ほどで爺ケ岳南峰に到着。天気は悪くありませんがガスがかかってきて、近くの剱立山はともかく(いや、これだけでもホントはナットクなんですけど)、遠くの眺望はイマイチ。少し休んで北峰に向かって・・・行かずにマイてしまいました。
歩きやすい道で、途中、去年、暴風雨の小蓮華岳あたりで初めて見たたった一株だけのコマクサに、今日はたくさんお目にかかることができました。去年はじめて見た時にも思いましたが、想像していたより小さくて、なかなかカワイイもんです。
冷池山荘までの道は北峰を「巻きはじめ」として、ほぼ「まきまき」の感じでしたが、小屋直前になってちょっとこたえる階段の登り。南峰から1時間半くらいで冷池山荘に到着しました。けっこうグッタリきました。後続の2人も到着しましたが、2人ともちょっと調子悪そうです。
個室に入れてもらい、3人とも「もお、アカン」状態。ゆっくり昼寝をして起きたら、もうすぐ夕食の時間になったので、師範代と軽くお茶だけにして、夕食まで外のベンチでまったり。夕食後も外でガスがかかったり晴れたりの大きな鹿島槍をながめながらひと時を過ごして、1日目はごくふつうに終了。
さてモンダイの2日目。5時過ぎに朝食のお弁当を持って出発。ちょっとガスがかかってますが、ほどなく晴れてきて、稜線に出た時には思わず「どっひゃ〜、うほほ〜い」の絶景が。
ここから先、鹿島槍南峰の頂上までが至福の時。小屋を出てから1時間ちょっとで布引岳2,683mに到着。さらに1時間ほどで鹿島槍の頂上へ。これはもう、どう言い表せばいいのかわからないくらいの景色です。その絶景のなかでお弁当をいただいて・・・・この時間、ずーーーーーっと続けばよかったんだけど。
絶景を十分に堪能したあと、ここから先はコワイ、トオイ、オモイの3重苦も十分に堪能させてもらうことになりました。南峰を下ったところで北峰はパス。そのまま八峰キレットに向かって進みます。
キレットまでの行程も岩場の急斜面、靴の幅だけの切れ落ちたルート、クサリも出てきます。慎重に下りていきますが、だんだん背中の荷物も重く感じられてきて、いよいよ核心部のキレット。
あの水平ハシゴは思ったほどの恐怖感はなかったですが、その水平ハシゴを越えた先のタテのハシゴを登り切った1歩目が「あら、どうしましょ」と一瞬考えるくらいの恐怖でした。後続の二人も無事キレットを通過して、キレット小屋でホッと一息。
と、轟音をたててヘリが降りてきました。物資とともに「火災報知器」の業者の方も運んできたようです。この設置業者の方、小屋の火災報知機を設置・点検したあと、(ワタシらを途中で追い越したのか)五竜山荘で再会し、話を聞いたんですが、山小屋といえどもちゃんと消防法が適用されるということで、数日後の消防署による検査にそなえて設置点検に行ったようです。キレット小屋の位置は五竜山荘の位置と同様、「微妙に富山県」にあるので、所轄は富山県の消防署らしいです。消防署員の方もたいへんです。ヘリで往復ならいいですが、そうでなければ「ジャンケンで負け」たら(かどうかわかりませんが)五竜岳を越えてキレット小屋点検?・・・命がけですね。
冷池山荘から鹿島槍、五竜経由で五竜山荘までの行程は地図上のコースタイムでは9時間あまり。キレット小屋のあたりがほぼ中間点になるワケですが、朝5時過ぎに出発して、キレット小屋出発が11時すぎ。
すでに6時間、コースタイムの1.5倍くらいかかっていて、さらにこの先険しい五竜岳への登りが待っています。疲れも出てきますが、ピークも次から次に出てきます。鹿島槍頂上から見ると、五竜岳へのルートが見えていましたが、全部見えているワケではなく、「あそこのピークはきっと巻いているにちがいない」と淡い期待というか勝手な思い込みをしていましたが、登山道を開いたのはきっとマジメな人だったんでしょうね、期待を裏切り(勝手な思い込みなのに「裏切り」はヒドイよねえ)、ぜーんぶキッチリ登り降り。(というかそのルートしかなかったんでしょうね)あいかわらずロープもクサリもない細いルートや岩場の急斜面が出てきたり、ただでさえ重い1歩を何センチか後戻りさせるザレた急登が続きます。
よしもとの座長は「顔パンパン」。こっちはこの状況に重い荷物で「ももパンパン」です。だんだん前に進む力が衰えてくるのがわかります。注意力も散漫になりがちですが、気の抜けない箇所が続きます。登りは続くし、足はまったく前に進まないし、G5の手前の少し広い場所で、もうどうしょうもなくなって、ついに・・・・アレが。
まさかアレをあんなところでとは夢にも思いませんでしたが、パワー補給と荷物の軽量化に一石二鳥。サッとザックを下ろして中から引っぱりだしたアレ・・・はい、「めろん」です。ナイフでササッと切ってむしゃぶりつきましたが、あんまりあわてたもんで、ついでに指まで切ってしまい、血染めのめろん。
二切れほど食ったころ、あとの二人が追いついて、二人とも同様の状態でかぶりつきます。水分補給はするもののきっと軽いシャリバテ状態だったんでしよう。かといって固形物も食べる気が起きないところに「めろん」は抵抗なく入ったので、効果はあったんだろうと思います。
なりふりかまわずの補給だったので、メロンのタネも少しは落としてきたかも。冷涼な気象条件がぴったり適合して、隠れたメロンの産地になってしまったらどうしましょう。五竜名物、野生の「G5メロン」?
さて、そうしている間にも、時間は刻々と過ぎていくわけで、G5を過ぎた鞍部ですでに14時半。このままではとうていマトモな時間に小屋にはたどり着けそうにないので、ここで師範代がケータイで小屋に連絡。「今からではキケンなので、救助隊出します」という返事があるかと思ったら、あっさり「はい、わかりました」って。
今からG4を越えて本峰頂上へ、さらにそこから1時間ほどの下りを考えると、気持ちはあせるばかり。とにかく前へ前へと一歩一歩、足を前に出しますが、なかなかペースは上がりません。だんだんガスもかかってきて、視界も悪くなり、何か標識のあるピークらしきところまで来たときには、グッタリきて?手持ちの水も心細くなり、もうかなりアブナイ状態。ホントにもうダメかと思い、「この季節だから雨さえ降らなければ一晩ならなんとかなるか」と、ほとんど覚悟も決めたくらいです。
じつは、師範代もワタシもG4の後、さらに頂上までの登りがまだ残っていると思っていました。タブレットで位置確認ができればよかったんですが、持ってきた充電コードか違ってたので小屋で充電できず、すでに電池切れ。
が、もういちど標識を見返すと五竜山荘を指して、道も下ってます。ガスも少し薄くなってきて・・・なんと、頂上までほんの少しのところに来ているじゃないの。ラッキー。が、もうどうにも動けません。一番元気なナベちゃんを頂上アタック隊?に指名しても、やっぱり厳しいようで、結局、そのまま小屋へ向かいました。
いやいや、助かった〜。頂上直下でライチョウにも会えましたが、とにかく暗くなる前に小屋までたどり着かなくてはの思いだけで急斜面を降りました。小屋に着いたのは17時半。ナベちゃん、師範代も少し後に到着し、一番最後に夕食をいただいたあとは、もう、なーーんにもできずにそのままフトンに倒れ込み。
ホントならウエットティッシュで身体を拭いて、シャツを着替えてラクな服装になるところ、そんな気力も体力もなくなって、ヒドい消耗状態。これまでいろいろなところを歩いてきましたけどね、これほどのところは初めてでしたよ。
翌日は「机上の」予定では、去年行くはずだった唐松岳経由で八方尾根へ下山するところでしたが、もう唐松岳を登り返す体力気力の余裕もなく、遠見尾根をそのまま下山することにしました。とは言っても多少のアップダウンはあるわけで、消耗した身体にはけっこうこたえます。天気は問題ないものの、山頂にはガスがかかって前日のような展望は望めず、その点では運がよかったのはマチガイないんですが、山中泊覚悟の12時間を超える行程はねぇ。
大遠見、中遠見、小遠見(これはパスした)を越えて、最後はニッコウキスゲをはじめたくさんの高山植物が咲く木道を通り、長い長い3日の行程を終えたのはテレキャビンの山上駅。ここまで来たら自販機の飲み物も「通常価格」。一気に2本飲んで、おまけの名物ソフトクリームをいただきながら、テラスをわたる下界の猛暑を感じさせる風のなかで、「無事に」ここまでたどりついたことを実感しました。
思えば何か月か前、師範代との放課後の作戦会議?で心配していたことがそのまま結果になってしまったワケで、自分たちの力量の見極めが甘くて、また、コースの研究も十分でなかったことから、この結果はある意味「当然」でした。監督のノムさんがよく言うように「負けに不思議の負けなし」です。もちろん、これ以上は望めないくらいの好天の下での大パノラマ(いったいいくつの百名山が見えたんでしょう。高い山から順番に5つは確実に見えてました。)はコトバには言い表しがたい感動をもたらしてくれましたが、自分たちの力に見合った行程、不測の事態に備えた装備・食料・水など、もういちど考え直す必要をイヤというほど知らせてくれた今年のメインイベントでした。(こんどからコースタイムの1.5倍です。)
一昨年の夏、縦走中の劔&立山連峰から真東に眺める鹿島槍ヶ岳は、双耳峰で
ありながら北峰が南峰の後方に位置する為、端正な三角錐のピークを1つ天に
突き刺しています。
そこから更に北へと連なる後立山連峰(五竜岳〜唐松岳)の重量感溢れる山容
は「ツルタテより先にこちらが先だろ!」「早くこちらにいらっしゃい!」と
誘いかけているようさえに感じられました。
更に今年、私達の大師匠から推奨のアドバイス「大絶景を楽しむなら鹿島槍ヶ
岳」「360度あらゆる名山が適当な距離間で眺めながら縦走を楽しめるルート」
を聞き私の頭の中では即決で「今年の夏は鹿島槍ヶ岳から五竜岳への八峰キレ
ット超え」の文字が固定されました。
ここまでは早かったのですが、、、心の葛藤が始まります。
扇沢〜柏原新道〜爺ケ岳〜鹿島槍ヶ岳〜八峰キレット〜五竜岳〜下山のルート
・多くのガイドには3拍4日のコースとして紹介されている。
・グレートトラバース1の田中陽希クンが八峰キレットを超え五竜岳に到着した
時に一言「険しすぎますよアナタ!」の言葉を発しています。
これを見るにつけ、頭をよぎるのは
⇒「平均年齢5〇歳(〇はカナリ上の数字!)&運動不足気味のオジサン3人が
このルートを2泊3日で踏破しようなんて『ムボウ』の頭文字が付くな!」
「かと言って、もう1日仕事を休む訳にもいかないしネ〜」
ここで留まっていては、いつまで経っても憧れの絶景を拝む事はできません!
決行に向けて徹底的な裏付調査に奔走?開始です。
行程経験者へのヒアリング
社内(大師匠、Sさん)果ては金峰山小屋で隣に寝ていたおじさん等々に
短刀直入「私達2泊3日で行けますか?」を聞いたところみな異口同音に
「あ〜行けるヨ!普通に、」とか「五竜岳への登りさえ頑張れば行けるヨ」
とか、期待を持たせる返答が反ってきます!(私 ヒアリングの人選を
誤ったのかも知れません??)
過去経験ルートとの比較
過去4年間、私達が足を運んだアルプスロングルートの距離&標高差グラフ
数枚見比べながら、比較検討を行ないました。
⇒ 「1日で標高差1700mの登り経験あり」(白馬、北岳)
「朝5時〜16時 11時間超歩き続けた経験あり」(劔岳〜立山)
「数時間の岩場通過経験あり」(西鎌尾根〜槍ヶ岳〜東鎌尾根、劔岳)
(へ〜!私達意外とやるジャン!)(完全に過信状態!)
会社帰りに作戦会議
「2日目のロングルートに挑戦するしかない!」「ツルタテの11時間歩行を
思い出そう!」(結局『自己暗示』のセカイ)
このような経緯の末、猛暑が続く金曜の晩23:00、新宿発扇沢行き夜行バスに
乗りこむ平均年齢5〇歳(しつこい!)3人登山隊の姿がありました。
(ルート紹介)
(扇沢登山口〜柏原新道〜種池山荘)
非常に良く整備の行き届き登り易い道です。 南方が開けると針ノ木雪渓を
前面に添えた針ノ木岳、蓮華岳の姿が望めます。 一方足休めの少ない急峻な
ルートは、疲れが出始めた頃に種池山荘へ到着となります。
(種池山荘〜爺ケ岳〜冷池山荘)
種池山荘を出発していきなり、待望の劔岳&立山連峰の雄姿が目に飛び込んで
きます。 多くの歓声があがる瞬間です。 ルートは反時計回りに回り込みな
がら、爺ケ岳登頂〜アップダウン〜樹林帯を登り返して冷池山荘へ到着となり
ます。 ここまで来ると後立山連峰の稜線に辿り着いた実感が湧いてきます。
(冷池山荘〜鹿島槍ヶ岳山頂)
相変わらず整備の行き届いた快適な道を、鹿島槍ヶ岳(南峰)に向けて高度を
上げていきます。向かう山頂(南峰)の右肩には釣り尾根〜双耳峰の(北峰)
が寄り添うように姿をのぞかせ 迫力と優美さ 実に綺麗な秀峰です。
朝のうちかかっていた雲が晴れ、大絶景(後述)に囲まれた登山ルートは、
贅沢な時間を過ごさせていただきました(^^♪
(鹿島槍ヶ岳山頂〜南峰下山〜八峰キレット〜キレット小屋)
今回行程の(精神的な)ハイライトであり、最も楽しい(?)時間は間違い
なくここでしょう。
高度感抜群の南峰からの下り、ほぼ靴幅だけの絶壁のトラバース、真下が透け
たハシゴの綱渡り等、次から次へと番組でお馴染みの「STAGE」幕が開閉して
いきます。
自分が今、日本三大キレットの1つに挑んでいる緊張感の中、この「STAGE」
踏破は今回の「目的」でもあった訳で、1つ1つの難所が充足感を持って感じ
られます。
キレット核心部を通過後程なく、真下に見下ろすキレット小屋に到着し、小屋
のスタッフが明るく出迎えてくれます。
(キレット小屋〜北尾根の頭〜G5〜G4〜五竜岳山頂分岐〜五竜山荘)
ここに「五竜岳山頂」の文字はありません(._.)! 手元の高度計で標高差は
約40m、時間にして数分の距離かと思います。が、、疲労困憊の私達の足は登
り方向への足運びを容赦せず、時刻は16時30分、分岐から五竜山荘への下りを
選択する決断となりました。 この決断に不思議と未練は感じませんでした!
疲労困憊の要因はなんだったのでしょうか?
・3人とも当日あまり食欲がなく水分ばかりを摂取し、朝からお弁当1/3〜
1つのエネルギーだけで五竜岳への長いアップダウンに挑んでいた。
(いわゆるシャリバテ?)
G5手前でStantonが担いできてくれたメロンの緊急エネルギー補給も追い
付かず、、
・G4通過に気づかず(お恥ずかしい!)、分岐点から先更に山頂への長〜い
登りが控えていると思ってしまった。(気持ちに余裕ゼロ!(;_;))
・五竜岳への登りは、ザレており一歩踏み出すと1/3後退するようなロス感
が想像以上に足&心肺に堪えた。
・五竜岳の岩場は浸食が大きく、十分な補助設備(鎖、梯子)が不足気味、
気持ちの上でも疲れてしまった。(これは理由にできませんネ)
(↓ヤハリ これかな〜)
・平均年齢5〇歳(超シツコイ!)計画段階で既に計算違いをしていた!
=加齢による体力の低下係数を、ほとんど加味していない。
冒頭に書いたように、五竜岳への登りは、田中陽希クンの言葉どおり「険し
過ぎますよ!あなた」は事実かもしれません。 しかし細心の注意で身の程を
わきまえなかった私は初歩的なミスをしていた事を猛省中ですm(__)m。
(五竜山荘〜遠見尾根〜アルプス平)
当初案では、下山ルート選択肢の中に唐松岳経由八方スキー場ゴールを第一
候補にあげていましたが、登り恐怖症!?から回復していない私達は、迷う
ことなくなく最短下山コースの遠見尾根ルートを選択しました。
とは言え、コースタイム4時間のこのコース、途中3つのピークを越えるアップ
ダウン、上部には鎖場もあり、五竜山荘の掲示板には「意外とたいへん!」
と案内されています。
それを救ってくれたのが、南方に広がる八ヶ岳〜富士山〜南アルプスの眺望と
眼下次第に近づいてくる白馬の町の景色がゴールへの期待を高めてくれます。
残念な事に稜線の上部に雲がかかり、大迫力と絶賛される遠見尾根からの鹿島
槍ヶ岳(北峰)は望めませんでしたが、最後はお花畑に迎えられてアルプス平
テレキャビン駅へ到着となりました。 (下界は更に暑かった 酷暑!)
(絶景堪能)
疲労困憊したオジサン達の惨めな姿ばかりを書いてきましたが、ここでは3日
間に渡り堪能した絶景について書いておかなければなりません。
大師匠が推奨してくれた言葉「大絶景を楽しむなら鹿島槍ヶ岳」正に的を射た
アドバイスだったと実感しています。
好天に恵まれた山行中、一生忘れられないような大絶景に囲まれながら、歩み
を進め、立ち止まり、シャッターを切ってきました。
景色の中、主役はやはり剱岳でしょうか、共演は槍穂高、それを囲むのは
妙高〜浅間山〜八ヶ岳〜富士山〜南アルプス〜中央アルプス〜黒部源流〜白山
〜立山〜日本海 フルキャスト総出演とも言うべき名峰達です。
疲れが癒えた今、心の中の多くを占めているのは、大絶景の中に身を置く事が
できた「至福感」です。
写真だけでは伝えきれない唯一無二の感覚がそこにはありました。
(まとめ)
「キツイ!」と感じた山行は、北岳他過去何回かありました。 今回の五竜岳
への登りは「最も堪えた」最右翼だったと感じています。
白馬の町へ下山後、バスの待ち時間を利用して、私1人この町へ移り住んいる
かつての上司の家を訪ねてみました。 十数年前私を3000mクラスの山々へ
誘い入れてくれた恩人です。
「五竜岳にはまいった!」の報告をしたところ、上司は「昨年、五竜岳に行っ
た際やはり自分もバテて座り込んでしまった。」と話をし、あわせて「誰も
が気楽に行ける山域ではない」とねぎらってもくれました。
再会を約束し別れた後、2人の元へ戻りつつ「鹿島槍〜五竜への山旅、本当に
よく頑張った、来て良かった。」の気持ちに心が満たされていました。
同行のお2人へ
私が足を引っ張る要因が多々あり恐縮しています。
反省する所は反省して、これに懲りずに今後とも宜しくお願いします。
お疲れサマでした!
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