【第二次瑞金作戦】国師ヶ岳・北奥千丈岳・朝日岳・金峰山・瑞牆山【甲56.9】


- GPS
- 12:26
- 距離
- 23.7km
- 登り
- 2,289m
- 下り
- 2,283m
コースタイム
- 山行
- 10:44
- 休憩
- 1:41
- 合計
- 12:25
天候 | 曇り後晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
国師ヶ岳・北奥千丈ヶ岳:木段が整備されているなど歩きやすい。 朝日岳:山頂直下の急な傾斜は応える。 金峰山:積もっている石伝いに歩くが、時々浮いているものあり。 金峰山〜大日岩:急な登りの連続 瑞牆山:岩をよじ登る感じ。 雨が続いたこともあって泥濘と化している個所多数。ただし、ほとんどは午後乾く。 林道:段差、排水溝が浮いている個所あり。夜間は鹿が遊弋中。 http://pinterest.com/narodniki/mt-kinpu-mt-mizugaki/ |
写真
感想
まず、今回は非常に多くの方々と親しく懇談することができた。厚く御礼申し上げる。また、いつものことながら、暖かく(熱過ぎるほどに)迎え、送り出していただいた山々に感謝申し上げる。
【前説】
時々、天気予報が直前にコロッと変わることがあるが、土曜日朝の天気予報を見て脳の動きが俄かに慌ただしくなった。梅雨の真っただ中とあって先の週末もずっと雨。この週もかと思っていたところに晴れ間の予報である。だが、梅雨の合間ということもあるし慎重に見極めなければならない。
最初は、北方なら前線から離れているし天気も固いということで至仏山を考えたが、この山は6月いっぱい登山道閉鎖だった。尾瀬だけでも、いやいや日光方面は?ここは草津白根山辺りで…となかなか悩ましい。
そうこうしているうちに新しい予報では関東甲信地方南部においても晴れ予報が固くなってきた。これは、ずっと温めてきた金峰・瑞牆をやるチャンスでは?前線が大幅に南下することが分かった以上、決断は速かった。
【山行前夜】
山行が決まると緊張感が高まってくる。何しろ前回の大規模山行から一挙に1000mも標高アップだ。鳳凰三山の時も八ヶ岳の時もそうだったが、さすがに標高2500m超級の山を複数歩くとなるとアウェー感が増して不安になる。
しかも、ここしばらく車の運転をしていなかったので山行以前の不安もあった。とにかく、焦らず慌てず、無事に帰ってくるぞと強く思うのであった。
6月17日、昼食を済ませて東京を発つ。車の運転は都内を走る時が一番緊張する。走行車線が突然右折専用レーンになるなど厄介極まりない。八王子でそれに捉まった。右折専用レーンだと気づいたのは交差点の手前だったが、前の車がそのまま直進したので「右折…直進?!」と一瞬戸惑ってしまった。直後に白バイのサイレンが鳴って我に返る。危ない危ない。
何とか日の入り前に山梨県山梨市の万力公園に着き、ニュース・天気予報を聞きつつ日没を待つ。朝晩曇りというのが気になるが天気はもう大丈夫だろう。
6月〜7月で梅雨以外に季節を感じさせるものといえば、花を除けば、やはりホタルだろう。前の週末は都内でホタル鑑賞としゃれ込むつもりだったが残念ながら終日雨で断念した。今回はぜひとも入れ込みたいと、ちょうど途上にあった万力公園に目をつけたわけだ。19時40分頃からチラホラとホタルの光跡が現れ始め、数は多くなかったが、一つだった光が突然二つに分かれるなど、幻想的な光景を1時間ほど楽しんだ。
ホタルを楽しんだ後はいよいよ大弛峠だ。久しぶりの運転で夜間の峠道など戦慄ものだが慎重に車を進める。対向車のすれ違いは1回のみで済んだが、道が所々ぼこぼこ。そして鹿が一頭、二頭、三頭・・・合計7頭。最初はお互いに顔を見合わせたりしていたが、最終的にラッキーセブン。縁起が良い。
22時30分頃、大弛峠に到着。暗くてよく見えなかったが他に何台か停まっているようだ。
車から降りてみると頭上に広がる満天の星。スキルが拙く画像ではよくわからないが、ここまでたくさんの星があるのか!というほど隅から隅まで光り輝いている。これが標高2000mの星空か。それまで見た中で最も星が多く見えた空の何十倍も星が見える。ホタルの光と星の光。2つの光に十分満足し、明日もこの調子で晴れるだろうと就寝…
しようと思ったのだが、なかなか寝られない。非常によろしくない。気分が高ぶっているのと、車の構造上体を伸ばして寝られなかったのとで目だけ閉じて横になっているだけの状況。一時本当に寝られたようだが、短時間で目が覚めてしまった。その後は時折風がゴーゴ鳴るのを聞いて「明日も風が強かったらどうしよう」などと悶々としながら時間だけが過ぎていった。
【山行第一段:山頂で日の出を見よう!】
結局、ろくに寝ることもできないまま起床予定時刻を迎えてしまった…。外を見ると、到着したときの晴天はどこへやら。一面真っ白。どうしようかなあ。一眠りして北奥千丈はパスしようかなあなどとも思ったのだが、ちょっと明るくなったので全てを山に委ねようと歩き出す。
画像でわかるとおり明るくはなりつつあったが、あたり一面霧である。北奥千丈か国師ヶ岳のいずれかから日の出を楽しもうと考えていたが、頂上に達すれば雲を抜けるのではという淡い期待もむなしく、奥秩父最高峰の北奥千丈岳も雲は晴れず。
国師ヶ岳へ転進する。国師ヶ岳では若干晴れ間があったが、太陽は南側の開けているほ方ではなく、木々の向こう側で光を放っている。季節が違ったか。うーむ、残念。また、いつか来て展望を楽しむこととしよう。振り返ると、一時的にではあったが、北奥千丈が見えた。そして遠くに富士の山。急いでシャッターを切ったが、その後物凄い勢いで雲が流れてきて視界が遮られてしまった。朝食をとりながら晴れるのを待つも晴れる気配なく戻ることとする。展望が望めないので夢の庭園もパスした。展望は残念だったが、また来る十分な理由ができたと思えばどうということはない。道は前国師のちょっと前まで木段が整備されており、ひょいひょいと行ける。残雪も硬すぎず軟らかすぎず、歩行の妨げにはならなかった。
【山行第二段:朝日・金峰ライン】
大弛峠に戻り、ライトと朝食ごみを車中に置いて、いよいよ本格的な山行の始まり。寝てない割には眠くない。眠くなかったから寝られなかったのだろうか。寝られないときの対処法についてよく考えないといけない。
山道に入ってしばらくは樹林帯の中を歩く。あちこちがぬかるんでいるので慎重に。だんだんと、特に北方が晴れてよく遠くが眺められるようになったのがわかるのだが、なかなか展望の開ける所が無くもどかしい。
朝日岳山頂直前の岩がゴロゴロしているところから展望を得られるようになるが、ほぼ360度の展望だ。雲に覆われていた西方でも甲武信ヶ岳や三宝山が見えたのは嬉しい。富士山も堂々とした威容を誇っている。
朝日岳で小休止。南ア、八ヶ岳の方が上空は晴れているようだ。それにしても美しい。あんなにくっきり晴れた日に歩いてみたらどんなだろうか。結構雪が残っているようだが、歩くとしたら無事歩けるだろうか。何度見ても飽きない。この後、いずれの頂でも南アを眺め、また、南アも終始その姿を見せてくれた。
さて、朝日岳から金峰山だが、その間一度下らないといけない。その端緒、朝日岳山頂直下の下り(帰りは上り)が傾斜が一体何度あるんだという感じで急なのである。しかも石がゴロゴロ転がっている状況なので慎重に降りないといけない。ただし、そこを抜ければ上り返しはそれほど区でもない。鉄山の朽ちた看板を横目にさくさく行けばすぐに森林限界を突破し、北方の山々もまた眼前に立ち現れる。
こんにちは、瑞牆山!
久しぶり、八ヶ岳!
先日、丹沢歩いたときも思ったのだが、森林限界上もまたよし。爽快感がある。
みずがき山荘や金峰山小屋から続々人が上がって来るかなと思っていたが平日だけあって静かなものだ。五丈石傍でテントを張っていたカップルのみ。昨夜は風がゴーゴーなっていたがよく張ったものだ。
挨拶みたいなもので五丈石に取り掛かる。登ったことがあるとはいえ、楽ではない。万一のことを考えると足ががくがく震える。慎重に、慎重に。前回もそうだったが、膝を岩にぶつける。毎度ぶつけてたんじゃ足が持たないので、ぶつからないように登る術を身につける必要があるだろう。
岩の上で軽食でも思っていいたが、風がまだ強めだったので周りの景色を見回した後降りる。しかし、病み付きになると、五丈石に登らないと金峰山に「来た」という気持ちにはなっても「登った」という気持ちにならなくなってしまう人もいるのではと考える。もっとも、金峰山はゴールデンピーク、それだけでも十分素晴らしい山であることは間違いない。
【山行第三段:瑞牆山へ】
金峰山一帯は大きな岩が幾重にも重なっており、その上を次から次と歩いて渡る。或いは石が転がっている道を、石を落とさないように歩く。とにかく岩と石の道である。南側の切り立った崖を覗き込んだりしつつ、そのような道を昇降を繰り返しつつ徐々に下降。それが、砂払いノ頭からは急降下となる。気の抜けないガレた道だ。
小川山登山道入口到達。すぐ傍には大日岩が堂々とそびえている。しかし、大日岩上で遊ぶのは帰りに八丁平から戻って来る時にしようと、岩を横目に大日小屋・富士見平方面へ下る。
すると続々と山行者が上ってくるではないか。今日は休日だったっけ?と思うほど、老人、若者、男性、女性と歩いている。さすがに子供はいなかった。さすがに休日だと倍以上の人が訪れるのだろうが、来ている人が想像以上に多くて驚いた次第である。
大日小屋からだんだんと道が歩きやすくなってきて、転がっている石同士がぶつかってカラコロ面白い音を出すようになったら富士見平はもうすぐである。
やや下にある水場で水分を補充した後、いよいよ瑞牆山へと足を踏み出す。ガーンと下った後にドーンと上り。
単に「登山道入口」等の標識等があって始まる山とは異なり、この山は、川を渡るとエントランスのような広い空間があり、その空間には巨大な岩がオブジェとして鎮座ましまし、その岩の傍の階段部分を始めとして岩の垣根が十重二十重に張り巡らされている。この頂に至るまでの構成もまた、瑞牆山の瑞牆山たる所以であろう。
山頂は近くに見えるが、それは短距離で高度を稼ぐということである。目の前に立ちはだかる岩峰に「これはしんどいぞ」と覚悟を決める。
上り始めは展望も無いが、岩の合間を縫って歩くことそれ自体が楽しい。ただ、延々と歩き続けた身にはちょっと大変。展望が開けたところで一息ついて、もう一踏ん張りと岩歩きに集中したら、意外とすぐに着いたような気がする。
時間帯もあるのだろうが、金峰山よりも多くの人が山頂で憩う。自分も少々疲れたのでその一端に腰を下ろして景色を眺めながら、やや長めの休憩をとる。
遠く金峰山を見やる。五丈石が朝日岳から眺めた時よりも小さい。あまりに小さい五丈石に少々不安になり、山頂を辞することにした。
【山行第四段:無事に帰ろう!】
まずは瑞牆山からの下り。登ってくる人もまだ多いので、足元に気をつける必要はあるが、重力に従ってサクサクと下りる。
当初は八丁平・大日岩経由で金峰山に至る予定だったが、よく晴れ渡り気温も上がってきている一方で疲労も蓄積されつつあったので、確実に水分等を得られる富士見平・大日小屋コースを戻ることとする。
富士見平下の水場で再度水分を補給。時間は十分。焦って転けて怪我でもしない限り大丈夫との確信をもって歩き出す。
しかし、大日小屋へ至る緩やかながらも距離のある上りはなかなかハードだ。前を男性二人組が歩いていたのだが、元気な時であればドンドン距離が縮まるところ、逆に距離が開いて見えなくなる始末。これは焦らず休憩を大事にして歩いていこうということで、小川山登山道入口までたどり着いたところで一休み。
大日岩の上で存分に遊びたかったのだが、限られた資源は集中せねばならない。今回は残念ながら横と下から眺めただけだ。
さらに傾斜を増す上りだが森林限界再突破を目指して奮戦敢闘。砂払いノ頭を過ぎて樹林帯を抜けた時には大きなため息を吐く。
瑞牆山から見たちっぽけな五丈石がある程度大きくなったことに安心して一歩ずつ足を進め、金峰山頂に到達。朝とは打って変わって風の落ち着いた山頂の岩の上で最後まで晴れ渡った四方の山々を眺める。大弛へと至る最高峰を押さえたと思って若干ホッとする。
しかし、これからが本当の試練の道だった。鉄山辺りまでは良かったのだが、いよいよ朝日岳といったときに、その前に一旦下らないといけないのだが、まず、目の前に石の道が垂直に伸びているんではないかと思える山頂直下の山肌を見てウゲッとなる。
その後、重力に従って下ったのは良かったが、この辺りからやたらと体が熱くなってくる。風が無いのに加えて背中に当たる日差しがやけに熱い。あまりに熱すぎて日の当たる所を長く歩いていられない。日向を20〜30秒歩いて日陰で1〜2分休まなければならないくらい。呼吸するのも苦しくなってきた。後で夕食をとっている時にわかったのだが、咽喉に炎症が起きていたようだ。道理で空気や飲食物が咽喉を通りにくいわけだ。だが、いつまでもチビチビ歩いてはいられない。山の中腹まで肉薄したところで意を決して残りを一気に登る。
これで最後の難関は突破した。あとはほとんど重力にしたがうのみ。(重力に対して)反抗期を続けるのはなかなか大変だ。熱すぎるのをとにかくどうにかしなければならないので下着を一枚脱ぎ、上着は袖を通さず肩にかけることにした。これにより体が若干クールダウンし歩きやすくなる。
朝日峠で数分寝転がった後、最後の奮闘を見せ、概ね予定時刻よりも早く帰着することができた。何とか無事帰ってこられたとはいえ、最後は大変だった。もう夏だなあと痛感した次第である。
時間はあったのだが、翌日が仕事なので早く帰りたいと思い温泉に立ち寄ることなく帰る。今回の心残りといえばそのくらいだ。しかし、金峰山・瑞牆山は何度でも来たくなる山だ。今後、何度も来れば立ち寄る湯もいくらでもあるさ。
最後の最後まで晴れてくれた天地に感謝しつつ意気揚々と帰京したのであった。
【総括】
・下界が暑い時は山も暑い
晴れて暖かくなったのは良かったが、日差しが強いうえに風も無くなり陽光が身を焼くような状況。理科で習った、「高度1万mまでは100m上がるごとに気温が0.55〜0.6℃低下する」というのは一体なんだったのか?
・睡眠不足は論外。
前日、ほとんど寝られなかった。風が時折ゴーゴー吹くのを聞きながら寝返りを繰り返す。しかも、身体を伸ばして寝られなかったため、帰り鉄山を過ぎた辺りから背中が痛くなる。
・夏の山行は暑さ対策がカギ。
今回は、水分・塩分補給に気を配る一方で、いつもより一枚多く着る等ちぐはぐな、中途半端な対応が後半の苦戦を招いたものと考えている。確かに明け方は若干冷えたが、大弛峠に戻った時に一枚脱いでおくべきだった。朝日岳で一枚脱いだ後、若干体が楽になったことからもそう言える。脱ごうと思いつつも面倒くさがって脱がなかったのが失敗。
・今後の夏季山行に向けて
2500m級では何とか無事に戻ってこられたが、3000m級ではこうも行くまい。よりきめ細かな配慮が必要。
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