剱岳・立山連峰縦走
sada
- GPS
- 51:00
- 距離
- 18.7km
- 登り
- 1,977m
- 下り
- 1,972m
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富山駅6:30⇒8:40室堂ターミナル8:50⇒9:00みくりが池温泉10:00⇒地獄谷⇒雷鳥平⇒11:15新室堂乗越（昼食）12:00⇒13:15別山乗越13:30⇒15:00剣山荘（泊）
７月２０日（日）
剣山荘4:40⇒一服剱⇒前剱頂上（朝食）⇒前剱ノ門⇒平蔵の頭⇒平蔵のコル⇒カニのタテバイ⇒剱岳山頂⇒カニのヨコバイ⇒平蔵のコル⇒平蔵の頭⇒前剱（巻き）⇒一服剱⇒11:10剣山荘（昼食）13:30⇒15:00剱御前小屋（泊）
７月２１日（月）
剱御前小屋6:00⇒別山⇒真砂岳⇒富士ノ折立⇒大汝山⇒雄山⇒一ノ越⇒室堂⇒11:00みくりが池温泉（入浴・昼食）12:15⇒室堂ターミナル12:45⇒（黒部アルペンルート）⇒15:05信濃大町
| 天候 | 7月19日：晴れ 7月20日：雨 7月21日：晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2008年07月の天気図 |
| アクセス | |
| コース状況／ 危険箇所等 |
【剱岳：別山尾根ルート】 ・前剱の大岩の鎖は使用禁止（岩に亀裂あり） ・アイゼン不要（雪は剣山荘を過ぎた最初の部分のみ） ・仮設トイレは下山ルートにある（カニのヨコバイ後の梯子を降りた先） 【立山】 ・雄山〜室堂は、一般観光客が多いため適切な気配りを。 |
| 予約できる山小屋 |
|
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感想
新田次郎 「剱岳・点の記」を読み、登りたいと思い続けていた。
映画化が決定し2009年初夏に公開。もう行くしかないと決断する。
ムーンライト信州の指定が取れず、上野から夜行列車で富山へ。
７月１９日早朝、日本海沿いを走る車窓から山々が見えた。
剱岳を見失うことは無かった。
富山駅の改札口を出る。
柴崎測量官と宇治長次郎が初めて出会った場所はここだろうか。
室堂まで直通バスで３時間。途中、ドライブインで１５分ほど休憩。
立山信仰の拠点である芦峅寺を通過し更に高度を上げて行く。
美女平を過ぎて予定より早く室堂に着いた。
初めての室堂。天候晴れ。
すぐに登山モードになることなく温泉に浸る。
地獄谷から雷鳥平までは観光ムード満点。
新室堂乗越を目指し登山開始。
雪渓を登り尾根に着けば剱岳が見えた。
憧れの山を眺めながら昼食をとる。
眼下に登ってきたルートを確認し感動する。
別山乗越まで登れば後は下るだけ。
剱沢まで雪渓を行き剣山荘に到着した。
天候に恵まれた気持ちのよい午後。
シャワー後に外のテーブルでビールを飲んでいるとベテラン登山家と出会った。
のちに彼の姓は自分と同じ「○藤」と知る。
【○藤さん】は北岳バットレスで負傷しながらも見事に復帰。
今も登山インストラクターをしていらっしゃる。
自分は剱に対する不安を彼に話した。
「登れるよ！登れるヤツは登れる。登れないヤツは見てわかる。大丈夫だ。」
その言葉をいただき安心する。
百名山好きなお兄さんが寝床で隣になった。
昼食中に出会った人である。
その【百名山のお兄さん】と夕食を御一緒した。
明日に備え早めの休息。
しかし、、やっぱり眠れない・・・。。
７月２０日４：４０天候曇り、登山開始。
一服剱を過ぎると雨粒が落ちてきた。
前剱の大岩付近で本格的な雨となってしまった。
レインスーツを着て様子をみる。
最低限の荷物しかザックに入れていない。
ザックカバーは小屋に置き忘れてしまっていた。
降りる人、静観する人、登る人に分かれた。
”この雨で登山者が減るかもしれない”
小屋が３件、幕営もいる。全員が登れば必ず渋滞する。
逆にチャンスと思い前進した。
前剱頂上に着き霧雨のなか朝食をとる。
ここから先が難所である。足場も鎖も滑りやすい。
決断するまで多少の時間を要した。
”行けるところまで前進してみよう”
柴崎隊もこんな時があったに違いない。
前剱ノ門を通る。
幅４０ｃｍ・長さ４ｍほどの金属製の橋を渡るとすぐに鎖場になる。
既に雨は気にならなくなっていた。
ベテランの御夫婦が単独のお嬢さんと「雷鳥」について会話している。
その【雷鳥娘】の後ろに続くことになった。
平蔵の頭は鎖を頼りに降りて前進、登って前進。
しかし鎖のせいで行動しずらい所が多々存在する。
”あまり鎖に頼ってはいけないな”
数人が行列となっている。
”カニのタテバイだ”
【ベテラン御夫婦】、【雷鳥娘】、自分の順で登る。
”ＮＨＫ日本の名峰では「最大の難所」と言っていたが、鉄の棒で足場を設けているため意外と楽だ”
そう思っていた時、【雷鳥娘】の一声。
「足がっ！」
彼女の左足が浮いている。
「左の棒に乗せて！」
真下の自分は叫んでいた。
上では【ベテラン御夫婦】が終始励ましている。
無事に【雷鳥娘】は登りきった。そして自分も。
山頂部に続く稜線に出ると風雨が増した。
”北岳も辛かったけど、こいつも辛い”
ガスで見晴らしの悪い中を慎重に登り続ける。
頂上は静かに現れた。８：０９登頂。
そこには嬉しそうな面々。
しかし全身で喜びを表現する者は誰もいない。
天候のせいか、下山への不安か、疲労のせいか、
それとも何かを感じるゆえか。
山頂に祠は無かった。新たに設置するらしい。
３人組に写真を撮ってあげて自分もそうしてもらった。
【雷鳥娘】は風雨のなか独り静かにパンを食べていた。
新しい三等三角点を確認し、８：３０下山開始。
早月尾根ルートから登頂したピッケル持参のお兄さんと会話を楽しみながら下山する。
山の話から家族の話になり、息子さんの名前は「剱」と知った。
再び人の行列。
”カニのヨコバイだな”
【雷鳥娘】が恐怖のあまり固まって進めないようだ。
【ベテラン御夫婦】のサポートで無事にクリアした。
絶壁の「コの字」に切れたところへ足を置くが、最初の一歩が実に迷う。
下はガスで全く見えず想像すると進めない。おまけに強風だ。
”ここは気楽にカニのように・・・”
渡り終えた時、身震いを感じた。
すぐに梯子を下り、平蔵の頭、前剱の頂上を巻く。
そんな時に生徒２人を連れて【○藤さん】が登ってきた。
自分は「登れました」と報告。彼も喜んでくれた。
「気をつけて、またお会いしましょう」とお決まりの挨拶を交わす。
いくつかの鎖場を経て前剱の大岩。
一服剱まで降りると雨は無かった。
剣山荘に１１：０９到着。ここで【ピッケル兄さん】と別れる。
彼はこのまま室堂へ出て東京へ帰るそうだ。
初の剱岳登山はこうして無事に終えることができた。
山荘で昼食を済ました後、剣山荘に連泊するのをやめた。
前日に「中村トオルが今日来る」と聞いており、撮影隊の混雑も予想できる。
ゆえに剱御前小舎に泊まる事にした。
明日の立山に余裕ができるし、色々な小屋を知りたかったのも本音。
山では色々な人と出会えるのは嬉しいが別れは辛い。
雨天のため剱を明日に延期した【百名山のお兄さん】と別れる。
お互いの健闘を願って。
剱御前小舎までいくつもの雪渓を行く。
登るのに９０分もかかってしまった。
さすがに身体は疲労していた。
剱御前小舎の乾燥室はジェット方式。
濡れたザックがすぐに乾いた。
ここまで来て正解だと感じた。
偶然か、いや当然なのだろう。
【○藤さん】、【ベテラン御夫婦】も同じ小屋であった。
夕食の時間まで【○藤さん】と飲みながら語った。
山について、人生について。
夕食時は５人グループの中に独り加わる。
剱に登ってこられた６０代の方々である。
「人間って凄いね」、グループのおばさんが言う。
上手く言葉を返せなかったが意味は良く分かった。
明日は立山を縦走する。
悪天候のせいか部屋は混雑することなく熟睡できた。
７月２１日曇り、６：００登山開始。
小屋を出るとき【○藤さん】と握手をして別れた。
雄山へ続く道を登っていると小屋の窓から彼は手を振ってくれた。
嬉しかった。
今にも雨になりそうな展望の無い尾根を独り登っていく。
別山から剱は全く見えなかった。
ここで柴崎測量官は事前調査のため剱をデッサンした。
この白い先にはあの巨大な岩と雪の殿堂があるのだ。
そう思うと、天候に恵まれた初日に立山を縦走するべきだった。
剱岳にターゲットを絞り、体力温存と考えた自分を憎んだ。
小屋を出て２時間後、真砂岳を過ぎると日が差してきた。
ガスは速度を増し白い帯となって東へ流れていく。
”青空が広がる！”
目前に立山が姿を現した。雄山神社も見える。
”でけぇ！高いなぁ〜！”
振り向けば剱があった。槍ヶ岳も見えた。
お椀の底のような雷鳥平。その先には富山湾。能登半島の山も見えた。
富士ノ折立を登る途中、ギターを担いで縦走している御夫婦に出会った。
後に西国立で居酒屋を経営していると知る。
「晴れましたね。槍もだいぶ見えてきました。あっちは白馬でしょう。」
【居酒屋御夫婦】に白馬を教えてもらった。
急な斜面を登り、富士ノ折立を過ぎれば大汝山。
岩場を登ると青緑の黒部湖を見下ろせた。
北アルプスを一望できるほど素晴らしい眺めだった。
雄山へ着くと人の多さに驚く。
”まるで高尾山だ”
神主が立っている光景を目にした。実に絵になる。
御守を買い、三角点を確認し下山する。
一ノ越への急斜面では泣いている子供もいた。
家族連れや御年寄りが多いので慎重に降りる。
幾つもの雪渓を渡り室堂に１１：００到着。
一般観光客の多い中、登山姿の自分は浮いていた。
みくりが池温泉で２日分の垢を流す。
湯上りに生ビールと昼食をとる。
荷揚げのヘリコプターが忙しそうに往来していた。
帰路は黒部アルペンルートだ。
ターミナルビルに入いれば再度この光景を目にすることはない。
立山連峰を脳裏に焼きつけ、思い切ってターミナルへ。
”ありがとう、また逢おう！”
完
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素晴らしい写真と名文。いつもの事ながらありがとうございます！特に、今回はカニのよこばいの難所など、自分も一緒に登っている気分でぐっと引き込まれました
私も体力を磨き、次は、”元祖ナカムラトオル”も含めて
最後に、この度ご不幸があったとのことで、ご愁傷様でした。今後ともよろしくお願いします。by ひろ
残雪多かったです。今年は例年になくドカ雪だったそうです
（後で知った・・・）
行きたくなったら御一緒致します。ちょっと遠いですが。。
秋はどこでも良いので宜しくお願いします。
元祖ナカムラトオル氏、よろしければビッグワン氏も御一緒できれば幸いです
軽い日帰りが宜しいでしょうね。キツイ日帰りでも結構ですよ。
夏はどこかに登るのでしょうか？またレポート期待しています。
では秋に
最初から最後まで、感動しました。
まず最初の夜行でいいたときから、自分が初めて寝台で行って登った加賀の白山を思い出しました。（そちらは椅子の夜行だったので疲れたと思いますが）
また、昨年いったアルペンルートのことも。私は家族と8月に行ったのですが、7月だと雪の多さに驚きです。剣は天候不良で残念でしたね。
また、山へ行くと人との出会いもいろいろありますね。（特に単独行の場合）
最近、こちらは
その時はよろしくお願いします。
元祖ナカムラトオル様
白山、遠いですが一度は登ってみたい山です。行くなら寝台車がいいですね
楽しみにしていたアルペンルートは、登山後の自分には疲れました（笑）。
乗ったり降りたり、担いだり降ろしたり、おまけに混んでて・・・
でも黒部湖を訪ねる事ができて良かったです。
数時間前に立っていた山頂を見上げることができました。
今月下旬に夏休みをとり山に入っていようかと思っています。
山選びに苦戦中です。
では秋に
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