タカネビランジを求めてー灼熱の聖・兎岳・赤石を歩く
長野県
静岡県
hirokok510
- GPS
- 74:59
- 距離
- 42.7km
- 登り
- 4,815m
- 下り
- 4,602m
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10日（土）：3:58小屋出発−5:26樺段−6:11茶臼小屋6:20−6:41稜線−7:00茶臼岳7:06−7:23分岐−8:38奇岩竹内門−9:12上河内岳肩−9:26上河内岳9:28−9:36上河内岳肩−10:28南岳−11:30岩頭？−12:26聖平−12:30聖平小屋
11日（日）：3:50聖平小屋出発−4:20薊畑分岐−5:21小聖岳−6:33聖岳6:37−7:53聖兎コル−8:51兎岳避難小屋9:02−9:11兎岳9:32−10:29小兎岳−11:26中盛丸山−11:50百�瞭恐執濺澄�12:46百�瞭胸海硫�13:33−14:47百�諒拭�15:34赤石岳肩−16:52赤石岳避難小屋
12日（月）：4:41避難小屋前でご来光撮影5:10-5:13避難小屋出発−5:17赤石岳−5:36赤石小屋下降点−6:43水場−7:49富士見平−8:28赤石小屋−10:10樺段−11:28登山口−11:35椹島ロッジ
| 天候 | 9日：晴れ、10日：晴れのち霧、11日：晴れ、12日：晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2013年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 バス
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
GPSのログが二か所ほど切れている箇所があり、手書きで足したために、少しグラフがおかしくなっているのであしからず。修正方法をご存知の方、ご教示のほどお願いします。 このエリアはコースが長く、標高差、アップダウンが大きく、小屋の間も長いので、体力強化、周到な計画が必要。いざというときに避難小屋泊まりも覚悟する必要がある。避難小屋も無人と有人があり、その辺を事前にチェックして、装備を考える必要がある。 畑薙第一ダム−横窪沢小屋：ヤレヤレ峠手前の鉄塔前の分岐で鉄塔・尾根方面に進むと畑薙山に向かってしまうので、トラバース道を進むこと、足元に道標があるので注意。ウソッコ沢避難小屋まではアップダウンのある谷を何回か越える道で、ウソッコ沢から横窪沢峠までは標高差400m近い急登（最大の急登らしい）、横窪沢小屋は下ってすぐ。 横窪沢小屋−茶臼小屋：標高差700mの急登はきつい。 茶臼小屋−茶臼岳：稜線まではすぐ。茶臼岳は割と短い距離。 茶臼岳ー上河内岳：竹内門まではなだらかな登りでお花畑もあって気持ちの良いコース。竹内門前後から森林限界を越えると直射日光がきつい。上河内岳は好展望なので時間が許せばよるべき。 上河内岳ー聖平：標高差は500mの下り、距離はさほどでないはずなのにアップダウンがあり、けっこう疲れる。 聖平ー聖岳：標高差700m以上の急登で、十分な足ごしらえが必要、軽装のピストンなら楽だ。 聖岳−兎岳：コルまで400mの急下降、ザレ場、岩場が多く慎重に。コルからは200mの登りで。タカネビランジの大半は登山道から外れた岩場のがけにあるので、撮影は望遠レンズが好ましい。兎岳までは遠いので体力が必要。 兎岳ー百�瞭供�中盛丸山までは結構遠い。聖のような急登はないが、最後の登りは結構足に来る。百�瞭恐執濺世�ら山小屋までは300mの下りで一時間は見ておくとよい。 百�瞭供疾崟亞戞�稜線まではすぐだが、直射日光がきつい。百�諒燭泙任賄个蠅�結構長い。300m登る。そこからさらに馬ノ背、赤石岳ノ肩からのトラバースがあり、400m近く登ってようやく赤石岳避難小屋、山頂に出る。 赤石岳ー赤石小屋：お花畑の中の急降下、ザレ場が多く、下降注意。富士見峠までは登り返しが多あるが急な登りはない。 赤石小屋ー椹島：なお1400mの標高差を下る。3時間半のコースタイムだが、足に自信のある人は2時間半から3時間で下れる。 |
写真
上河内岳手前の亀甲状土：・直径1m〜3mの礫質多角形土（大小の礫が規則的に並んでつくられる、地表の多角形の模様）が形成されている。 ・礫質多角形土の周囲にはウシノケグサ・ミヤマアキノキリンソウ・タカネハリスゲなどの草本の高山植物が生育している。
・礫質多角形土の周囲にはウシノケグサ・ミヤマアキノキリンソウ・タカネハリスゲなどの草本の高山植物が生育している。
・多角形土を形作る礫の大きさは、大きい礫が最大55cm・平均15cm、小さい礫が平均3〜5cmである。 ・大きい礫の集まる部分と小さい礫の集まる部分境界が明瞭で、多角形の形をよく保存している。
・礫質多角形土は現在、草本の高山植物などに覆われていることから、過去の寒冷な時期に形成されたと思われる（静岡県HPより）
・大きい礫の集まる部分と小さい礫の集まる部分境界が明瞭で、多角形の形をよく保存している。
・礫質多角形土は現在、草本の高山植物などに覆われていることから、過去の寒冷な時期に形成されたと思われる（静岡県HPより）
・上河内岳から連なる稜線に分布する線状凹地にお花畑が成立している。 ・お花畑の周囲には、シラビソなどの亜高山性の針葉樹が生育する。 本地域に形成された礫質多角形土（亀甲状土）は大型で、大きさは現在、大雪山や北極域で見られるものに匹敵する。これは、南アルプス南部地域でも過去の寒冷な時期には、現在のこれらの地域のような環境下にあり、大型の構造土が形成されたことを示す証拠（化石地形）である。
よって本地域の構造土は、地球環境が激変していると言われる今日において、過去そして現在の環境を知る上で、非常に重要であると言える（同）。
・お花畑の周囲には、シラビソなどの亜高山性の針葉樹が生育する。 本地域に形成された礫質多角形土（亀甲状土）は大型で、大きさは現在、大雪山や北極域で見られるものに匹敵する。これは、南アルプス南部地域でも過去の寒冷な時期には、現在のこれらの地域のような環境下にあり、大型の構造土が形成されたことを示す証拠（化石地形）である。
よって本地域の構造土は、地球環境が激変していると言われる今日において、過去そして現在の環境を知る上で、非常に重要であると言える（同）。
岩の表面には、縞模様の浮き彫りがみえる。チャートはもともと二酸化珪素に富む部分と泥質な部分とが層をなしているのだが、高山という過酷な条件下で強い風化と侵食をうけ、泥質な部分が掘られて珪質な固い部分のみが浮き上がってしまった（飯田市美術博物館・南アルプスの山旅ー地形・地質ガイドより）
亀甲状土などは周氷河地形の化石地形という貴重なものらしいが、登山道が真ん中を通過しているので、形状が変わってしまうという−−保存法を考えるべきでは？。
上河内岳は百名山から漏れているので、素通りする人も多い、と同宿の人の話。しかし聖、光岳、赤石岳、荒川三山とすべて見える好展望の山だ。
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中盛丸山は直登コースから巻くように登るコースに変わった（楽になった）と誰かが言っていた。遠くから見ると右側の稜線を登る踏み跡も見えた。
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感想
灼熱地獄になりそうな週末、引き続き南アルプス南部の今回は聖岳・兎岳にチャレンジ、その主目的は兎岳周辺のタカネビランジの撮影。聖岳は往復でもふつう三日かかる遠い山。二週間前に歩いた荒川三山では千枚岳付近で数輪開花を始めたビランジを見た。今回は四日かけて茶臼・聖から荒川三山を回って、千枚のビランジも見てみようという欲張った計画。しかし結果的に灼熱地獄とロングコースに計画縮小を余儀なくされたのはやむを得ない。それでも絶好の天気の中、兎岳のビランジを心置きなく楽しめ、良い山旅だったーー。
当初は毎日アルペン号で早朝に畑薙ダムあるいは、井川観光協会の送迎バスに乗り換えて、大吊橋から茶臼小屋に入る予定ーーしかしアルペン号が満席で、しずてつジャストラインで午後、畑薙ダム到着、すれ違いが多く、13時半前に遅れて到着、女性ハイカー二人と、テント装備の若い男性ハイカーの4人が同じ目的地に向かう。13時40分過ぎから歩きはじめ、畑薙第一ダムから沼平を過ぎ、大吊橋で若い男性に追い抜かれる。吊り橋は畑薙湖を渡り、高く長いーー揺れてなかなかたどり着かないので少し怖いーー。高さ30m位で、長さ130mだ。若者を追いかけて橋を渡り、ヤレヤレ峠に向かう。テント装備の若者はあっという間に姿が見えなくなる。二人の女性は茶臼から光岳がこの山域の登山ルートで残した場所だという。ヤレヤレ峠まで標高差は
100m強、途中、中電の送電鉄塔があり、鉄塔のある尾根への踏み跡をたどると畑薙山に出てしまう。よく見ると足元にまっすぐが茶臼方面というプレートがあった。ここで間違えて畑薙山に向かってしまった人の記録が最近のヤマレコに出ていた 女性たちは私よりこの山域の経験が豊富のはずだが、とりあえず、後ろの状況を見ながら歩く。アップダウンの多いウソッコ沢避難小屋までの道、私が休むと女性たちが追いつく進行が避難小屋まで続く。若者も避難小屋で休憩中、私が先に出発し、追いつ追われつになった。若者が先にぬいて行き、虫ノ段付近で追いつく。そこからは荷の軽い私が横窪沢小屋に先着した。5時半だった。横窪峠まではかなりの急登の連続で、茶臼までのコース最大の急登らしい。小屋前にテント場にはまだ数えるほどのテント、若者もすぐに到着してモンベルのステラリッジ1を設置していた。女性たちもそのあとすぐ到着し、私も着替えて寝床の準備をして順次食事をとった。食事はハンバーグに地元のとうもろこしなど、悪くない。到着して休む暇なくあわただしかったがやむを得ない。横窪沢小屋は登山口から4時間半から5時間くらいと比較的近いので、朝出発できるハイカーはほとんど茶臼小屋に泊まる。
翌朝、小屋ののにぎり弁当をもって4時前に出発、暗いうちから茶臼小屋までの急登に挑む。途中、朝食用のサンドウィッチを補給、後から来た軽装の高齢ハイカーに追い抜かれた。この人は昨夜小屋で一緒で、光岳までピストン（14時間くらい？）の予定。光岳小屋が満員で、茶臼からのピストンを進められたハイカーが多かったらしい。最近、光岳ブームなのかな？一通り南アルプス南部を歩いたハイカーが次に目指すのが光岳だ。女性の下山者とすれ違う。このコースはきついという。標高差700mの急登が続き、90分くらいで樺段に出る。ここからは少し傾斜が緩み、6時過ぎに茶臼小屋に出る。ここで行動食を補給し、稜線に向かう。テントはかなり多い。ここにテントを張って光岳ピストンが最近のブームか？？−−昨日の若者も、今朝ここにテントを張って光岳に向かうようだ。20分弱で稜線に出て荷物をデポして茶臼山頂に向かう。前回の赤石岳ピストンの時は元気で山頂まで駆け上ったが、今回は足が重い。やはり横窪沢からの700mの急登は、きつかったようだ。
20分くらいで山頂に出ると、数名の高齢者グループが休憩中、便ヶ島に車を置き、易老渡から聖を越えて、光岳を周回するという。結構な健脚チームだ。山頂からは光岳への縦走路が見え、台形のような広い山頂を持つ光岳の小屋も見える。7時10分前に引き返し、7時20分過ぎに分岐に戻る。
そこからは稜線下の緩やかな巻道を進み、亀甲状土の中の登山道を進む。静岡県は南アルプスをジオパーク・エコパーク・世界自然遺産として登録することを目指しており、地形・地質・動植物などの調査が行われて様々な報告書が出ているようだ。ただこの亀甲状土の地形の中心を登山道が走っているので、化石地形に対する人為的な影響は避けられない。保存対策が必要だろう。
お花畑にはコバノコゴメグサ（ヒメコゴメグサ）の大群落や、ウサギギク、ハクサンフウロなど小さなかわいらしい花が多い。亀甲状土のお花畑の中を歩いているうちに8時を回った。気温がぐんぐん上がってくるのがわかる。亀甲状土周辺の草原両側にはシラビソの樹林帯があり、その樹林帯が切れると、奇岩竹内門の見える森林限界の上に出る。8時半過ぎ、強烈な日差しを浴びながら竹内門を抜ける。そこから30分余り、イワツメクサやミヤマダイコンソウが点々と咲く稜線を登り、上河内岳ノ肩に到着。ここでザックをデポして上河内岳山頂に出る。登り14分、下り8分だった。百名山に入っていないのでパスするハイカーも多いそうだが、山頂からは聖岳・光岳、赤石岳、荒川三山や大無間小無間など南アルプスを一望できる。
大河内岳の肩に戻り、ここから南岳まではなだらかなお花畑の道。ハクサンフウロ、タカネナデシコ、マツムシソウ、ヨツバシオガマ、ウサギギク、ミヤマダイコンソウ、シナノキンバイ、ホソバトリカブト、チングルマ、ヒメコゴメグサなどの咲くお花畑の中をのんびり歩く。さらに進むと、ホソバトリカブト、マルバタケブキ、タカネコウゾリナなどが主体のお花畑の中を進む。そして再びマツムシソウやタカネナデシコやミネウスユキソウなどが現れると、緩やかに登って南岳に到着。ここから聖平までは一時間とあるが、暑さのせいか撮影のせいか（この間4〜50枚くらいしか撮っていない）、実際には2時間もかかってしまう。10時半前に南岳を出発し、撮影しながら岩頭という聖平への下降点に出たのが11時半前――なぜこんなに時間がかかったのかわからない。ともあれ、やや急な聖平への下降路を歩きながら巨大な聖岳を見て、今日の状態ではとてもこの700m以上の登りと兎岳避難小屋への400m下降＋200m登りに耐えられそうもないと思い始める。途中の下りのどこかで滑って左足の太もも辺りを少し痛める。筋肉も相当張っており、足や体全体の疲労度が大きいようだーー。そう思いながら下降を終え、12時半頃に小屋に到着。小屋周辺には多くのテントやハイカーが休んでいた。聖岳方面を見ると、急激にガスが昇り、山頂は見なくなる。これで決心がついた。今日は半日休んで、明日早朝に聖岳を越えようーー。
小屋にチェックインし、着替えて、汗まみれのシャツやソックス、タオルを洗って干す。翌日のために水を補給、スポーツドリンクも準備する。外の日蔭の休憩所（自炊所）でナッツ類のおつまみにビールにお酒・塩スイカ水などを加えたカクテルを飲みながら、のんびり過ごす。途中、小屋のウエルカム・フルーツポンチも食す。持参の「神々の山嶺」を読んだり、小屋の蔵書の高山植物図鑑（ヤマケイの「カラー名鑑高山植物」や白旗史朗氏の高山植物図鑑などを眺めて過ごす。聖岳は依然、ガスの中、ますます濃くなって何も見えなくなる。−−そのうち4時が過ぎ、食事の時間。小屋は満員で寝床はぎっしり詰まり、食事も25分刻みで進んでいく。私の番は4時半だ。昔は食事の出ない避難小屋だったり、おかわりなしのカレーライスのみという時代から、地元の食材なども使った絵料理に改善されたという。豚汁のおかわり話だがご飯は三杯おかわりをして、明日の登りに備える。食事後再び高山植物図鑑などを見ながら、薄暗くなるまでのんびりし、干したシャツなどを寝床のそばに移し、床に入る。ガスで夕日も見えないのでそのまま就寝。かなり疲れていたようだ。夜中に何度か目を覚ます。3時過ぎになると起きだす音がしはじめる。3時半前に目が覚め、急いで着替えて準備し、3時50分過ぎに朝食も食べずに出発。まだ暗い。
ヘッドランプをつけて暗い道を薊畑（あざみはた）に向かう。薊畑からは聖岳への登山道と便ヶ島の聖光小屋方面への道の分岐。4時20分、ここから聖へ登山道に入る。登るにつれて次第に夜が明けはじめる。樹林の間から見える富士山と布引山・笊ヶ岳の間あたりが赤くなる。5時前、日の出前後になるとかなり明るくなりヘッドランプをしまう。森林限界を過ぎ、稜線に出ると聖が大きく見える。出発時は一番早い方だったが、軽装のピストン登山者に抜かれていくが、慌てずゆっくり進む。富士山や、茶臼、光岳などはガスがかかってぼんやりとしか見えない。薊畑から一時間くらいで小聖岳に5時20分、岩稜地帯のザレ場を滑らないように慎重に進む。稜線はイワギキョウ、チシマギキョウ、ミヤマホツツジ、タカネツメクサなど高山植物の種類は少ない。6時を回り、奥の山頂が見え始め、多くの登山者が見える。ミヤマダイコンソウ、タカネツメクサ、シラネヒゴタイ、ミヤマオトコヨモギなどが点々と咲くザレた道を登って6時半山頂に到着。奥聖も見えているが、今日はこれから兎岳、中盛丸山、百�瞭兇�ら赤石岳まで足を延ばすので、奥聖には向かわずに早々に兎岳に向かって出発。山頂のハイカーの中で一番遅く到着し、一番早く出発。聖兎のコルまでは急激な岩場、ザレ場の下降が続く。途中何組かのハイカーとすれ違い、また数名のハイカーに抜かれる。一度すれ違った後に、うっかり登山道わきの草地の穴から片足が落ち、危うく転落を免れた。大事に至らずほっとする。ウサギギク、チシマギキョウ、ミネウスユキソウ、タカネシオガマ、タカネツメクサなどの高山植物を撮影しつつ、慎重に下る。しばらく下るとトウヤクリンドウを発見。この下り数か所で見ることができた。下降路は次第に険しさをまし、滑りやすいザレ場が多くなる。昨日滑って左足を少し痛めたので慎重になる。痛みは今はない。足元に注意していたら後ろから迫ってきたハイカーと話をすると少し上の岩場にタカネビランジが登山道脇に咲いていたという。しまった――見逃したかーー。昨日、小屋の隣のハイカーと話をして、ビランジは兎岳山頂と登山道脇のがけ以外は登山道わきに一か所だけ咲いていたという話を聞いたが、コルの先と思い込んでいたのでコル手前はビランジを探していなかった。戻ることもできたが、コルから先に多いはずなので、そのままコルに下り、補給・休憩して兎岳の登りに入る。20分も登ると左手の岩場に色とりどりの高山植物が張り付いている。チシマギキョウ、マツムシソウ、タイツリオウギなどの群落の外側に白く光るタカネビランジの群落があった。上下左右の岩場に数株張り付いている。うれしくなる。望遠レンズとオリンパスペンを持ってこなかったことを後悔する。少し進んで、やはり左の岩場に今度は少しピンクがかったビランジがーー。厳しい岩場でほかの植物が育ちにくい場所にかろうじて残っている可憐な花ーー。南部のシロバナタカネビランジは千枚岳付近とこの兎岳付近にしかない。赤色（ピンク）のビランジは北岳や鳳凰三山、さらに白山にあるらしい。北海道などにはカムイマンテマ、スガワラマンテマなど同じマンテマ属の花があるが、かなり外見が異なる。鳳凰三山などにもあるオオビランジが母種だそうだ。トウヤクリンドウやビランジを眺めながら一時間余りで避難小屋に出た。昨夜泊まる予定だったので登山道から少し下って小屋に向かい、一応中をのぞく。ザックが置いてあった。中はきれいに補修されているが、扉は壊れて閉まらない。昨夜泊まったハイカーの話では風も入らず、気温も高めだったので寒くはなかったそうだ。今日はかなり混むことも予想される。昨夜は二人だったらしい。小屋周辺のお花畑を撮影し、10分くらいで山頂手前のタカネビランジの前に出る。ここ山頂付近では崖ではなく平らな所に咲いているので近づいて撮影できる場所。心置きなく撮影、すっかり魅了される。先にしばらく撮影し、山頂に出る。9時15分、予定より少し遅れているだけ。山頂には10数人のハイカーが休憩中で聖に向かう人が多い。百�瞭曲�面からやってくるハイカーが多く、聖からは少ないようだ。コル手前で出会い、タカネビランジの開花株があったと教えられたハイカーも再開して、話をする。百名山を終了し、「百高山」をあと中盛丸山・大沢山で終了するという。今日中に達成できるのだが、その後の目標をどうするのか尋ねると、もう大きな目標を持たずに奥多摩などのバリエーションハイキングなどを行うのだという。
山頂で15分余り補給、休憩、撮影をして9時半過ぎに兎岳を出発。素晴らしい晴天で、昨日無理して登らないでよかったと思う。しかしこれから気温が上がって暑くなりそう。山頂からゆっくり下り始め、一時間くらいで小兎岳に到着。道標（山名板）は古くて字は読めない。途中抜かれたテント装備の若者二人が休憩中。小兎手前に良い水場があるらしいが、それらしき標識もなく（往復10分と地図にはあるが――）どこだか不明。おいしい水という評判があるそうだが、もったいないーー。先に出発し、中盛丸山に向かう。お花畑の多い緩やかな道を進む。100m位下ってから中盛丸山の肩から直登せずに左の谷に回り込み、巻いて登る。昔は直登がきつかったようだが、今の道は比較的楽だ。先ほどの二人組に追い抜かれ、道が次第に急になると大荷物の一人が遅れはじめ、その人を追い抜いて、先行者を追って30分ほどで山頂に出る。この酷暑でテント装備では相当厳しいようだ。この山頂の山名板も古くなって読めず、紙に書いてあるものが置いてある。ここから先に下るが、途中再び、一人に追い抜かれ、百�瞭曲�岐で再び合流、大沢山に登るかどうか、どちらから登るか、思案中だった。ガイドには登るならここからピストンがよく、越えていく道は下りが悪いとなっている。後ろの仲間を待っているので、11時50分、先に失礼して小屋に向かう。お花畑を撮影しながらゆっくり下ったので、コースタイムの40分ではつかず、1時間近くかかってしまう。途中、あまり見かけない模様の蝶が枯れた丸太に泊まっていたので、撮影した。あとから図鑑などで調べたら、絶滅危惧種のクモマベニヒカゲのようだ。
12時50分前に小屋の食堂に入り、ご飯ものが少し残っているがかつ丼は売り切れ、回鍋肉ならできるというので、それを注文し、1時半近くまで休憩。外はうだるような暑さでテン場も灼熱地獄、川に入る人や洗い物をして干す人、木陰で寝ているハイカーなど、暑さしのぎが大変ーー。小屋の中が一番涼しい。水を補給し、スポーツドリンクを作って、1時半前に出発。今日はあと3時間の登りに何とか耐えられる余力がありそうーー。百�瞭兇涼�の源頭に向かい、登りはじめ、暑そうな日当たりのすごいテン場を抜けて、稜線を目指す。テントはさすがに開け放してもぬけの殻だ。赤石方面から下ってくるハイカーが多い。途中の登りから振り返ると大沢山への分岐の踏み跡や下のテン場が見える。何組かとすれ違い、百�瞭兇�ら70分くらいで百�諒燭暴个襦Ｉ期諒燭鮨覆漾�馬ノ背に入る。先行者が一人、避難小屋に向かっている。途中すれ違ったハイカーによれば、荒川小屋の予定だったが、暑さでスピードが上がらず避難小屋に予定変更という。もう一人、トレランスタイルの軽装ハイカーが猛烈なスピードで追い抜いて行った。荒川小屋まで向かうという。先行者二人はすぐ見えなくなる。赤石岳の肩に出て、ガレ場のトラバースはさほど歩き難くはない。肩からトラバース道を進み、4時前に避難小屋まであと30分という道標に出るが、30分ではいかないと話したハイカーは口々に言っていた。30分登って、避難小屋のコーヒーはいかがの道標？に出るが、ここからまた二重山稜の上り下りがあり、15分近くかかって、5時前に小屋に到着。すぐ先に山頂が見える。二週間前に来た時はガスで何も見えず、この小屋すら見えなかった。避難小屋の前は人でいっぱい、山頂にも大勢のハイカーがいる。小屋は避難小屋であるにもかかわらず超満員。夕食は出ないが、カップ麺などはある。夏だけいる管理人は面白そうな山男のおやじだ。大柄でいかにも若いころは山岳部や山岳会などで鳴らしたと思われる。その親父さんが宿泊の手配で四苦八苦も、やがて寝床を割り振りが終わって案内された。夕食はビール、カップうどん、おでんを注文し、手持ちのおにぎりやスープ、コーヒーなどと合わせて、明日の下山に備える。お湯を提供してくださるので実にありがたい。今回は極力軽量化するためにストーブは持っておらず、小屋のお湯に期待してスープなどを持ってきただけ。なんとかなった。
食事後、6時40分過ぎに夕日を見るために山頂に向かう。大勢が三脚などをもって準備している。雲がやや多く、6時40分過ぎには雲の向こうに隠れてしまう。空全体が赤くなりはじめ、積雲から積乱雲に近くなり、もくもくと上昇氏は自演る。白い雲と黒い雲が持ち上がり、二人の白黒入道が立ち上がり、茜空の光を反射してきれいだ。7時近くまで撮影し、いったん小屋に戻る。その後ビールカクテルを外のベンチでもう一回飲みはじめ、小屋の親父さんや他のハイカーとよもやま話。昨夜は星がきれいだったという話をよく聞いたが今晩はどうだろうか？明日朝の富士山がよく見えれば完璧だと親父さん。消灯時間ぎりぎりまで空を眺めながら歓談、親父さんは天の川やさそり座、いて座やアンタレス、夏の大三角形など、レーザーを使って教えてくれた。12時ごろ見るとさらに良いという。8時過ぎに急いで就寝。
10時ごろいったん目が覚めて外に出る。星が素晴らしいーー。天の川がよく見え、ベンチで星を見ていた若者と話をする。暑くて眠れないという。まだ山を始めて二年目という。いったん寝床に戻り、二回目に目が覚めたのは2時ごろ、トイレに行き、再び星空を見る。今度は天の川は見えなくなっている。やはり12時ごろがよいようだ。しばらく眺めて寝床に戻る。
翌朝はゆっくりするつもりだったが、3時過ぎには大勢起き出し、予定を変えて、朝食を早めに済ませ、荷物を準備してご来光を見ることに。残ったスープを小屋のお湯で溶き、残っているコンビニお稲荷さんを三つ食べて、支度をして小屋を出る。大勢が山頂と、小屋前の丘に陣取っている。4時50分が日の出時刻だが、時間になっても太陽は出てこない。雲があるのだ。辛抱強く待つ。雲の際はすでに赤い。待っている間に富士山の前にたたずむ美女と高山植物などの話をする。5時を回り、すでに周囲はかなり明るくなっている。5時3分、ついに太陽が顔を出した。二分余りで全体が出て光が一挙にあふれる。
しばらく太陽と空を眺めていたが、5時10分過ぎに出発。前回は赤石岳からの下山は6時半過ぎだったので、一時間以上早い。そこでのんびり景色や植物を眺め、撮影ながら歩く。のんびりしすぎて、赤石小屋分岐は5時36分、そこから少し下るとイブキジャコウソウの大きな群落、前回よりも成長し、開花が進んでいた。さらにシナノキンバイの大群落にほれぼれ。しばし撮影、その下には、タカネヤハズハハコ、オンタデ、チシマギキョウ、タカネグンナイフウロ、ハクサンフウロなど群落が次々に現れる。水場に出るまで1時間以上かかり、これはいかんとお花畑が切れるあたりから少しスピードアッする。
道は途中から富士見平に向かって登り基調になり、アップダウンを繰り返す尾根をまくトラバース道となる。幾人ものハイカーとすれ違、暑いですねとあいさつ。ロシア人とおぼしきグループともすれ違い、その後、日本語も話す若くきれいな外国人の女性ハイカーともすれ違う。立ち止まって少し話をするとこれから荒川三山にむかい、中岳避難小屋あたりに泊まるつもりだという。話をしていると地図を持っていないことがわかり、私の山と高原地図を持っていくよう勧めた。彼女は最初断ったが、地図なしで歩くのは大変と、地図を持っていくよう勧め、彼女も受け入れた。持っていたのは2012年の地図で、2013年の地図を家に置いてあるので、大丈夫。自分はもうこのコースは一度歩いており、地図はいらないしGPSもある。
7時37分、冬道（尾根コース）入口、7時49分、富士見平に出る。途中、すごい勢いで追い抜いて行った若い男女4人組が休憩していた。ヘルメットなどの装備から沢歩きをしたらしい。私が先に出発したが、赤石小屋手前で再び追い抜かれ、8時20分頃、赤石小屋に到着。ここで少し残った行動食などを補給し、水もボトルに補給して8時半前に出発。二週間前より30分くらい早い出発。もうさほど急ぐことはないが、途中、前回も見かけた沢歩きの若いハイカーがすごいスピードで追い抜いて行った。そのあともう一人ロープとヘルメットを持つやや年配のハイカーがすごい勢いで追いかけていった。その後、例の4人組にも抜かれる。トップの人はすごいスピードで女性一人を含め、ややあとから降りてくるので、しばらくはそのハイスピードのトップを追って、下る。そのうち、後ろの三人が迫ってきて、足先も痛くなったので、道を譲る。今のマムートの靴がどうにも足の外反母趾の出っ張りなどにあたって、最後は痛くなってしまう。今回はテーピングを施したが、やはり痛い。靴選びはいつも慎重に行っても難しいものだ。どうしたら足に合う靴を得られるのか――？？
途中、椹島まで90分の道標があるが、そこからはまだ1000m以上下らねばならず、とても一時間半で下るのは自分には困難。小屋から3時間半とあるが、超スピードの人で2時間半、自分はせいぜい3時間だ。道標から20分で林道に出て、再び急降下、10分くらい、10時10分にで樺段、そこから80分くらいでようやく登山口まで下った。登山口の少し手前の樹林帯で野鳥二羽を見かけた。「ウソ」かなーー？？写真はぼけていて頭のあたりがよくわからず、確認できないーー。
11時40分前にロッジに到着、バス券とシャワー券を入手し、シャワーを浴びて着替え、レストハウスでカレー昼食、。1時の送迎バスの乗ると先の4人組も乗っており、女性が隣だったので、見ると大きなザックにピッケルもさしてあった。尋ねると赤石沢を登り、百�瞭胸海硫箸暴蒜顱�3時45分頃出発して下山したという。お別れを言って、畑薙ダムで下車、しずてつバスに乗り換える。車中、一つ前の席の女性がカメラの写真をチェックし、ケータイで友人らにメールを送りまくっている。車中のほとんどをカメラとスマートフォンの画面を見て過ごしていたが、大半の人が寝ており、そのバイタリティーに圧倒される。覗き込むのはよくないが、すぐ目の前でつい見えてしまった。タカネビランジなど、スマートフォンで花のチェックも行っているようだった。帰宅。バスで静岡駅に出る途中の山の中−−井川駅で雨が降り出し、特に新横浜から横浜線に乗り換えたら、すごい勢いで雷雨となった。しかも小田急線で落雷があり、電車が大幅に遅れ、一時間以上遅い帰宅となった。
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聖岳の最新記録
上河内岳の最新記録
初めまして。
写真みて自分が写っていたので驚きました。
そして、写真を頂きました笑
自分はあの日どうにか百間洞まで頑張り最終的に北岳まで行く事が出来ました。
今回は晴れ間が続いてイイ山旅でしたね。
あの暑さでテントを担いで北岳までとは頑張りましたねーー。間もなく還暦の私ですが、トレーニングを積んでチャレンジしたいですねーー。
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