仙ノ倉山北尾根・平標山・ヤカイ沢
- GPS
- 29:19
- 距離
- 18.2km
- 登り
- 1,680m
- 下り
- 1,261m
コースタイム
天候 | 一日目 快晴/夕方から強風、夜半に止む。 二日目 快晴のち霧/強風、曇、雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2022年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
元橋-越後湯沢駅 南越後観光バス \600 ザック代\100 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・毛渡橋-バッキガ平 雪は良く締っており、ツボ足で充分。時期が遅いと林道に増水があふれる大滑沢も雪が繋がっていた。 ・バッキガ平-小屋場ノ頭 雪は固くアイゼンが良く効く、傾斜の強い箇所にシャクナゲ、笹、灌木が出ており手こずる。 ・小屋場ノ頭-1390m圏峰 吊り尾根と雪稜は南面なので踏み抜く、先行組はワカンだったがツボ足で踏み抜くところはワカンでも踏み抜く。この時の雪稜は切れ落ちてなく幅があった。1390m圏峰の急な登りは硬くアイゼン、ピッケルが良く効く。 ・1390m圏峰-1620m圏峰手前鞍部 1390m圏峰からは稜線のふかふかの藪を避け西側の固い斜面を登る。傾斜が緩くなるころ東側にクラックを見る。1530m圏峰は雪が少なく笹が出ていた。 ・1620m圏峰手前鞍部-シッケイノ頭 1620m圏峰への急な雪壁の登りが北尾根の核心。アイゼン、ピッケルが良く効いたが、雪の状態によっては危険。シッケイノ頭まで斜面は硬く平坦な稜線はふかふかの傾向。東側はクラックで開いている。シッケイノ頭の登りはルートを選べばさほど困難ではない。 ・シッケイノ頭-仙ノ倉山 広大な雪原。西側の一部に笹が出ていた。三ノ字ノ頭の登りも傾斜の緩い所を選んでジグザクに登っていける。三ノ字ノ頭に到着しホワイトアウトして目と鼻の先の仙ノ倉山の方向が判らなかった。 ・仙ノ倉山-平標山 ホワイトアウトでは、ピークを外すと広い緩斜面なのでGPSなしでは現在位置が特定できない。雪は固く、平標山が近づくにつれ植生や夏道が出てくる。 ・平標山-ヤカイ沢 踏み跡多数あり 標高を下げると雪が緩くなりアイゼン不要。 |
その他周辺情報 | 越後湯沢駅 湯の沢 タオル・バスタオル込\800 バスから江神温泉前に行列が見えたのでこちらにした。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
靴
予備靴ひも
ザック
アイゼン
ピッケル
スコップ
行動食
調理用食材
調味料
飲料
水筒(保温性)
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
調理器具
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
ツェルト
ナイフ
カメラ
テントマット
シェラフ
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感想
2019年4月に1620m圏峰への急な雪壁の登りで腐った雪の為に敗退して、以来チャンスをうかがっていた。最近のテント泊雪山は今回の為の偵察と体調維持と軽量化試行。その甲斐あって体調もまずます、およそ残雪の状態も予想が付きワカンも省けて、水なし飯付きでザック10kgに収まった。当日の気温は低く北面なので雪が締って踏み抜きの少ないことが予想された。
一日目
予想通りの雪質で良く締っていたので、ツボ足の林道でも踏み抜きなし。バッキガ平から小屋場ノ頭への登りでアイゼン着用、急でしんどいが、階段状で平坦になる度に休み休み登る。途中藪あり。小屋場ノ頭からの吊り尾根と雪稜は南面なので踏み抜く。途中で休憩していた先行の二人組を追い抜き、先はノートレース。前回の雪稜より切れ落ちていないので安心感があった。1390m圏峰への登りも急でピッケルを突き刺し四つ足で登る。北東から枝尾根を合わせる1390m圏峰は前回の宿泊地。笹が出るところのあり吹き溜まりでふかふか。先稜線の東寄りは藪っぽいので、稜線の西寄りを斜行する。登り切って傾斜が緩む。クラックに気を付けながら進むと1530m圏峰は雪が少なく笹が出ていた。先の鞍部前回の敗退箇所手前で幕営。丁度稜線上に幕営跡があり西側斜面に盛雪をして整地する。雪が少なくブロック積は無理。夕方から風が出てきてツェルトが叩かれるようになったが、夜半には静かになった。翌朝目覚めるとツェルトの西側のファスナーが風で開らかれていたのには驚かされた。
二日目
同じ場所で幕営された途中の二人組が先行された。前回の撤退箇所の急な雪壁を男性の方が途中まで登った。フォールラインを避けて待っていた所、同じ高さにいた女性の方が登るのを躊躇されて私に先行を促した。パーティーの間に割り込むのには気が引けたがいつまでも進まない訳にはいかないので登り始める。急ではあるが雪は良く締っておりアイゼンの前爪とピッケルのダガーポジションが良く効いて四つ足で登り、斜面途中で男性を追い抜く。北尾根の核心はここだと思う。登り切ると傾斜は緩む。
大根下シ沢右岸尾根が合わさる1627m峰の東側にはクラックができていた。シッケイノ頭は最初の細尾根を過ぎてからは傾斜の緩い所を選び西寄りを登った。
シッケイノ頭からは大雪原が広がる。どこの極地かと思うほどの別世界だ。来れてよかった。暫くすると群馬側から雲が稜線を乗越してきた。見えていた三ノ字ノ頭が雲に隠れて行く。登りに掛かる頃には周囲はすっかり霧に包まれ風が急速に強くなってきた。三ノ字ノ頭の登りはカチカチの箇所と植生が露出している所が混在する。傾斜が緩い所を選んでジグザクに登ってゆく。ルート取りが同じになるのだろう古い踏み跡を見かけたりする。シッケイノ頭は藁状の草が露出している。完全に真っ白で足元しか見えない。最初眼鏡の霜の所為かと思ったが、拭っても変わらない状況に愕然とした。この状況を予想していなかった為にコンパスはザックの中だった。面倒を惜しみスマホのGPSで方向を確認しながら恐る恐る進んで仙ノ倉山に辿り着いた。
ホワイトアウトの仙ノ倉山で到達の感慨に浸ることなく、下山に向けGPSで方向を確認しながら平標山への僅かなトレースを追う。足元しか見えないのでトレースがあったとしてもすぐに見失う。東ゼンに降りそうになったり2021m峰南尾根に降りそうになったりするのを都度修正する。強風の為に霜が付ついて役に立たない眼鏡を外して歩いてみる。1980m圏峰の北側でスマホの電源が落ちる。ザックを降ろし、モバイルバッテリーとコンパスを取り出し、眼鏡も拭う。モバイルバッテリーを接続しても低温の為充電できないの表示。スマホは起動してくれたので以降GPSでは現在地のみ確認しすぐ節電、方向はコンパスと地形図で合わせることにする。視界は多少改善して来たが1950mからの北西尾根に引きこまれるのを警戒して広尾根でうろうろした後、マツダランプの赤色標が見えた時にはほっとした。木道が現れ雪のない夏道がはっきりするようになり平標山に到着した。
平標山からは松手山へ下山のつもりでいたがトレースが僅かしかない。もう安全に降りたいので視界もトレースもない状態では平標の肩からの急な降りも嫌だし下部の1220mの尾根分岐も嫌だ。少しすると登山者が現れた。聞くとヤカイ沢のバックカントリールートの様だ。見ると山の家方向へは複数のトレースがある。ヤカイ沢左岸尾根は末端から登ったことがあり様子はわかっている。分岐を見逃したとしても平元新道の尾根を直に降りればよいだろう。こちらも登ったことがある。ヤカイ沢左岸尾根に向かいトレースが追えれば尾根を離れバックカントリールートを降りることにした。
ヤカイ沢左岸尾根への分岐は標高とトレースで特定できた。少し降りると藪が現れてそのまま尾根を末端まで降りるのは嫌だと思った所、スキーヤーが休憩しておりルートを教えてくれた。また左岸尾根途中で追い越していった平標山で出会った登山者が先行してくれたので、窪状のバックカントリールートを降りる事とした。尾根から外れ降り始めると豊富な残雪が現れヤカイ沢も目視できるようになった。後は雪の繋がったヤカイ沢を林道まで降り平標登山口BSへ。
■通過時刻詳細
一日目
7:38 タクシー毛渡橋着
7:52 出発 パワードライフーディー、Haloキャップ、サングラス、テムレス着用、トレッキングポール2本、つぼ足 駐車は登山口に4台、高架の所に5台
7:57 高架を過ぎても除雪がされているがカラーコーンとバーで通行止め。茂倉山はまだまだ白い。小沢は滔々と流れている。
8:02 D5.0℃ 除雪後に残った雪は硬い。除雪は重機が置いてあるJR高架前まで。その先もトレース多数で雪は硬い。
8:09 平標新道分岐 昨日新雪が降ったようで杉植林に僅かな着雪を見る。
8:21 最初の堰堤を過ぎ林道脇の小沢の雪も割れている。先行者のワカントレースがあり、雪が割れて露出した林道を避けて雪を繋ぐ。
8:36 導水管前の開けたところで北尾根を見る。やけに雪が白いのは昨日降ったせいだろう。北ケドノ頭上部の樹々は霧氷が着いているように白い。
8:40 大滑沢前はまだ雪が繋がっており徒渉せずに済んだ。
9:06 一旦樹林に入り小屋のある所に出る。20日前より小屋の積雪は減って屋根の雪は消えた。1Fの窓と入口の破損が露わになった。タカマタギの枝尾根の末端が降りてきている。また北尾根方向が開け、登るルートを見ながら進めるのは気持ちが好い。毛渡沢に掛かる鉄橋が雪に因ってか捻じ曲がっている。タカマタギ側は雪解け水が滔々と流れ出している。雪崩跡を過ぎ何度かタカマタギの枝尾根の末端を見るようになる。
9:37 小松沢 下部の雪はもう割れているようだ。長釣尾根取付きにトレースはない。露出した林道を避け雪を繋ぐ。北ケドノ頭と白い万太郎山が白い。
9:52 群大ヒュッテ前 表札には群大仙ノ倉山●とある。 小屋場ノ頭の末端が目の前だ。
9:54 バッキガ平 毛渡沢に掛かるコンクリート橋を渡る。 平標新道 長釣尾根 北ケドノ頭 荒沢山 足拍子岳 林道の法面をそのまま直登する先行のトレースを追う。
10:14 780m AL780(0) D7.8℃ 雪は硬い層の上に薄く新雪が乗っている状態。急登に備えてアイゼン着用、ピッケルトレッキングポール両手持ちで出発。
10:30 860m 左から枝尾根を合わすとペンキマークあり、展望も開ける。長釣尾根とタカマタギ南東尾根1388m峰
10:41 920m AL923(+3)少し傾斜が緩んで踊り場状 長釣尾根 日白山 1581m峰 1388m峰 北ケドノ頭 平標沢方向
10:53 950m AL957(+7) D10.4℃ また踊り場状で一息入れる。根開けの様子を見るにここの積雪は50cm程度。
先行者は頻繁にワカンとアイゼンを換装している模様。
11:02 990m AL1006(+16) 尾根が広がる。
11:11 1030m シャクナゲ藪。
11:26 1060m 小屋場ノ頭が見えるようになる。二居俣ノ頭 長釣尾根 日白山 1581m峰 タカマタギ 1388m峰 荒沢山 足拍子岳 コマノカミノ頭
11:37 1100m 傾斜が緩み山頂は間近 ブナ美林。
11:51 1160m 左側が開け小屋場ノ頭山頂の一角 。
11:55 小屋場ノ頭 △1182.0 AL1209(+17) シッケイノ頭までのルートを望みながらランチ。ルートの雪は繋がっている。吊尾根に先行の二人組を発見する。大展望
12:19 出発
12:27 一旦降って登りに転ずると踏みぬくようになる。
12:38 1210m D14.5℃ 1230mの先で休憩されていた二人を追い越してノートーレースの雪稜を進む。左右はそれほど切れ落ちていない。表面の新雪の下は硬く沈まない。1300mからは急登となる。
13:15 1320m 傾斜が増し、ピッケルを刺して四つ足で登る。
13:32 1390m峰 枝尾根が合流し平衡が回復して安堵する。前回の幕営した展望良い適地。稜線上は藪が出て、吹き溜まりとシュカブラで歩きづらい。少し進んだ後、硬い西側を斜行することにする。
13:54 1440m 傾斜は緩んだが、新雪に隠れたクラックに注意する。
14:07 1460m 稜線は笹が出ているか雪稜状。東側は切れ落ちているか雪庇。西斜面はテカテカ。 エビス大黒ノ頭
14:33 1530m圏峰 前方の1620m圏峰登りに影のようになってる前回の撤退箇所が見えた。この時はそこを避けてクラックの上の樹々の生えている右下から左上へのラインを登れないかと考えていた。シッケイノ頭 三ノ字ノ頭 仙ノ倉山 エビス大黒ノ頭
14:43 1520m鞍部
15:54 設営完了 途中追い越した二人組が到着して近くに幕営。
17:00頃 麻婆春雨とウイスキー
18:00頃 就寝
二日目
4時起床 D-3.0℃ 夕方からは強風だったが夜半に止んだのでよく眠れた。見るとツェルトの西側のファスナーが全開になっている。強風の仕業であろうと驚く。霜が全面に着いて触ると落ちてくる。通気状態はこの上なかったはずなので、結露ではなく強風による着氷であろうか。朝食でガスを使うと濡れる。
5:51 1520m AL1543(+23) D-2.3℃ 風があるのでツルギJKTのフードをきっちり被りアイゼン、ピッケル、ポール両手持ち。
5:54 二人組が先行され、まず男性が途中まで登った。私は下にいた女性が登るのを暫く待っていたが、躊躇された女性に先行を促されて登り始め、途中で男性を追い越した。以後は一人旅。アイゼンの前爪とピッケルのダガーポジションが良く効いたが緊張した。
6:27 1590mで傾斜が緩む。
6:33 1620m圏峰 東側にクラックが開いて稜線の雪の下に岩が見えている。シッケイノ頭が目前。
6:41 1627m峰 足元の雪の下は岩。
鞍部に降りシッケイノ頭の登りに掛かる。樹々のある東端の稜線を辿った後1660mから右上を目指す。
7:24 1710m シッケイノ頭の一角に登り切り傾斜が緩む。
7:36 シッケイノ頭 1740m圏 目の前は広大な雪原。
7:50 一旦緩く降った後 三ノ字ノ頭へ登りに掛かる。
8:00 群馬側から稜線を滝雲が乗越、周囲は急速に霧に包まれてゆく。
8:06 1810m 三ノ字ノ頭の主稜線に乗る。傾斜の緩い所を選びジグザクに登る。
8:37 1920m 傾斜が増す。硬い地面に露出した笹と新雪が乗る。地面にもエビのしっぽが発達している。
9:06 三ノ字ノ頭 2010m 藁状の草が凍っている。足元しか見えない酷いホワイトアウトになり、GPSで進む。
9:17 仙ノ倉山 △2026.3 三ノ字ノ頭よりは視界は改善したが、雪の中では足元しか見えない状況は相変わらず。風はますます強まり厳冬期の八ヶ岳並み。下山を急ぎ山名同定盤で平標山の方向を確認する。
10:18 平仙鞍部手前1910m 迷走の後やっとの思いで露出した夏道にでる。
10:39 平標山 △1983.8 CAL1984 下山に備え高度計を校正する。
10:57 1880m ヤカイ沢左岸尾根分岐
11:06 1810m 大きなクラックが開いている。
11:09 1780m 藪がでてくる。
11:22 1680m 稜線の北側を巻く
11:37 1530m 尾根を外れブナ美林の中ヤカイ沢へ降る。
11:44 1480m 樹林が消えてスキーゲレンデの様だ。 暑くなってきたのでフードを脱ぐ。
11:51 1400m 根開けはあまり進んでいない。
12:03 1300m 1640m圏からの枝尾根が降りてくる。
12:22 1190m とうに不要となっていたアイゼンを外し、ピッケルも片付けて休憩
12:26 1170m 雪が割れて沢が露出する。こんなに雪が繋がった開豁な場所とは意外だった。
12:37 1080m 堰堤前を右岸から左岸へ
12:43 1040m 林道分岐 河内沢の流れに和む。
12:47 林道/登山道分岐から沢沿いの登山道を行く。
12:56 別荘地端で林道に戻る。
13:05 松出山コース分岐。松手山コースは根開けが進んでいる。
13:08 平標登山口BS 13:00のバスが出たばかり、次発の14:20まで1時間以上ある 降ってきた雨を避け駐車場のトイレの陰で後片付け、元橋ヒュッテ先の廃屋で雨宿りしてバスを待つ。
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