北岳バットレス第四尾根



- GPS
- 20:59
- 距離
- 21.7km
- 登り
- 3,360m
- 下り
- 3,337m
コースタイム
- 山行
- 5:44
- 休憩
- 1:18
- 合計
- 7:02
- 山行
- 8:10
- 休憩
- 5:00
- 合計
- 13:10
天候 | 5日 白根御池まで:晴天 ※ノースリーブ+網の下着でも暑い 下見:二俣あたりから曇ってくる。気温は高く、風もほとんどないので暑い。 白根御池にもどる:登山道へもどったあたりからポツポツと雨が降り出す 白根御池テント場:ポツポツ降ったり止んだり〜本降りの雨。まだ昼過ぎなのに薄暗い。テントが浸水。 夕方:日が傾きはじめた頃雨が上がる。 6日 朝(深夜):1時前に起きる。晴れ。気温高め。 行動開始〜登攀終了:晴れ。無風、青空。 北岳山頂〜下降開始:ガスってしまう 草すべり:湿った空気 白根御池:晴れ時々曇り 広河原へ:第一ベンチで休憩中にポツポツ |
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過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
直近の記録に合致。ほぼイメージ通り。 全天候にさらされている山はルートも当然老朽化するのを感じることができました。 クラシックなルートならなおのこと、崩落が進んでいることが伺えます。 C沢上部、バットレス側壁の崩落は近年また発生しそうな亀裂が見えました。 2010年の崩落跡、先月報じられたばかりの真新しい第二尾根の崩落跡、共にダイナミックで恐ろしかった。 |
その他周辺情報 | 白峰会館 750円 下山後すぐ入れるのが良い。桃は2個入(500円)と4個入(1000円)。 まだ硬そうなので、いただくのはお家で追熟してから。 白峰ICまでの道すがら直売所で、巨峰もゲット。 旬の山梨フルーツも手に入り大満足。 |
写真
装備
備考 | 【サプリメント】 今回, 自分の体力, 足が残せるかが心配で, アミノ酸系のサプリメント(お高いジェルタイプ)を多めに持っていった。 青アミノバイタル(BCAA)は口に入れると涙が出そうなほどで, 1回しか飲めなかった。BCAAは錠剤も持ってきていたので, それから飲んだ。 赤アミノバイタル(プロリン)のほうが飲みやすく, 即効性も感じられた。 マグオンは高いけど, カロリー摂取も同時にできて味も食感も悪くなかった。 また更年期なのか, 体力なさすぎるのか, 発汗が多く, すぐに滝のように汗をかいてしまうので, 登攀日には粉のVAAMと水1.5L(1Lは消費してしまった)を持ち, すぐに飲めるように, 500mlナルゲンボトルをハーネスにぶら下げて持ち歩いた。 【プロテクションなど】 キャメロット〜 #3 ✕1set (ラインの取り方, ピッチの切り方次第ではあるけど, ランナー, ビレイ点構築に #0.75〜#2 くらいが1セットで足りる)ナッツは不使用 細スリングはあるだけ、アルヌンは4-5本、クイックドローは3個くらいあると安心 |
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感想
天気予報が微妙だったのでギリギリまで行くか迷った山行。
北岳は遠い。気楽に来れる場所ではないから、機会は逃したくないけど、、
そして、計画中もハイシーズンの週末ということもあり、登攀中で待ちがながければ、終バスに間に合わないのでは…と帰りのメンバ同士打ち合わせもせずに、3人揃って、こそっと有休申請しているし、夜叉神峠から歩くか、なんて案まで。
前日の天気予報も両日共に午後から雨とのこと。
楽しく、完登することが目標。 安全は保ちつつ、スピード重視。
事前のルート研究はこれまで以上にいくつかのトポや記録を見比べた。
2週前に若手男子パーティの記録を同じ会のNKT君が残してくれていたのと、他会の友人がコメントと共にかなり細かい記録を公開してくれていたのも参考になった。
便利な情報化社会。
個人的には、長いルートなので全ピッチリードをWKさんにおまかせするのは申し訳ないので、前半の簡単なピッチはリードするつもりで来たが、
前日の雨、午後からの雨予報と混雑回避のための早出(ヘッデン登攀)につき、すっかりその思いは消え…
リードとかフリーとかA0とか残置無視とかそういうことには一切こだわらず、以下にスムーズに進行し、雨に濡れずに(できれば1泊で下山できるように)楽しむことを重要視して行動した(つもり)
結果。
私の体力と登攀力が足かせになるのでは…と不安でしたが、
頼もしいメンバーのお陰で、アプローチ、天気、登攀中の混雑、すべてのリスクを回避し、想定以上にスムーズな山行となりました。
そしてこのルートの人気の訳も納得できました。
下部岩壁から、十分にルートの長さもあり、展望はよく、露出間が高い。お花もたくさん。
それでいて、比較的登りやすいグレードに、岩も固く、残置ハーケンも剱・谷川と比べたら、しっかりとしたものが、たくさん残っている。
CL+全ピッチリードのWKさん、WKさんのコントローラでビレイを積極的に受けてくれたTSちゃん、
頼もしい2人のお陰で心の底から楽しかった。ありがとうございました!
- 前夜発 21時前
乗り合わせて名古屋を出る
- 5日 1時すぎ:芦安駐車場
第2に駐めることができた。車中泊。暑いけど、窓を開けると蚊が入ってくるので注意。
同日に別パーティで着ているはずの女子チームの車が探せず、ゆっくり来ることにしたのかなーと思っていたら、すでに着いていて寝ていたとのことでした。
## 1日目
- 4時半:相乗りタクシーのりば
- 起きてパッキング。相乗りタクシーのりばへ行くとザックの列。「荷物で数えてるんだから置いておかないと乗れないからね。あと2人?荷物おいてないね。バスのほうがいいんじゃないの?」とドライバーに嫌味を言われつつも、他のドライバーに「あと3人いける?」と掛け合ってくれて、席を確保。時間まで白峰会館の観光情報など見る。
- 5時過ぎ:タクシーで広河原へ。
途中、ドライバーさんが「今日もきれいに見えてますね」と窓を見ると、快晴の北岳。
- 6時頃 広河原
- 広河原山荘がピカピカ、と思ったら、本体は橋を渡ったところに。昔、見た記憶が。
- 昨年、広河原も上高地に条件は似ているから、もっと観光開発をという 記事を見た気がするが…似てる??
- ここから白根御池まで全装(しかも軽量化してない)と暑さで、牛並の速度。ハイカーに抜かれまくり、滝汗かきながら這うように歩く。自身の体力を過信していたことを反省。今年はボッカもしていない…
- 8:45頃 白根御池小屋
- コースタイム以上の時間がかかってしまったが、テンバに着く。
- トイレのニオイが漂っていたので、クンクンしながら臭いの来ないところにテント設営。フラットで張りやすい。
- 9:30 アプローチの下見へ
- 雨具と水と行動食、地図とトポだけ持ってアプローチを確認しに行く
- カラミでも滝汗かきながらの歩きがしんどい。体力なさすぎて泣けてくるが大樺沢から時折、雪渓で冷えた風に癒やされる。
- 人気ルートはトポや記録がたくさん出てるのでありがたい。実力だめしの山行ではなく、楽しく完登するのが目標なので、事前にしこたま見てきた。ほぼイメージ通りのアプローチ。
- 先月Twitter(現X)でバットレス第二尾根の崩落の瓦礫がC沢にというのを見たが、確かに新しい石屑が。(ガラガラしてるところを興味深くウロウロしてすみません…)
- C沢のすぐとなりに枯れ沢のD沢。一般道出ないところにもピンクテープ。人気ルートならではか。
- 記録で見たケルンから踏み跡、というか道になっているとおりに辿っていくと、これまた見たことのある下部岩壁の光景。割りとすんなり来れた。
- 登攀予定のdガリー大滝と五尾根支稜の位置を確認して、小屋へ戻る。二俣あたりまで戻ってきたらポツポツと雨
- 13:00 白根御池
- 池に戻ると、レディースチームがテントから手を振ってくれる。
- みんなに会えて嬉しい。女子テントでしばらくおしゃべししたり、一緒に写真取ったり。
- 豆花おいしかったよ、と聞いてさっそく食べに行く。おいしい。雨が本降りに。
- 夕飯食べて寝るには速すぎるので、レディースチームのNちゃんとおしゃべりしたり、小屋の中で写真見たりして遊んでからテントに戻ると、テントが床上浸水していた。
- 16:00 食べて寝る
- 小腹が空いてきたので各自夕食をとって18時前に寝る。
- 暑くてシュラフもいらないくらいだったけど、夜になるとシュラフが快適。防寒着はいらなかった。
## 2日目
- 白根御池:起床
- 1時起き、1時半発の予定通りだけど、目覚ましがどういうわけか0:20に鳴ってしまう。ゴメンナサイ…
- 気を取り直し、予定通り1時半すぎに行動開始
- 3:15:下部岩壁 取付き(dガリー大滝)
- 登攀準備。すぐに前日の下見でもお会いしたダイヤモンドフェースのパーティも来て挨拶。
- 3:35:登攀開始
- アプローチシューズのままヘッデン登攀のため慎重に。
- ドッペルのため2番手はマイクロトラクション
- dガリー大滝からの予定だったが、岩が濡れていて、リードのWKさんのトレランシューズではさすがに滑るようだった。
- 左上して第5尾根支稜へ変更。明るくて乾いていれば大したことないが、濡れていて暗いので慎重に2ピッチ。振り返ると空が明るく、グラデーションが美しい。
- 2ピッチ登って、フリーで横断バンドへ。TSちゃんはルンゼから、私とWKさんはロープは繋いだまま左のハイマツ帯沿いを歩く。
- 途中1箇所、ハイマツの枝を踏まないと上がれないところがあって、藪に慣れない私はビビって確保してもらう。沢ヤは何も感じてないみたいだった。ナルホド。
- 5:05:横断バンド〜C沢〜ヒドゥンスラブ
- 朝日を浴びたトラバースする小道がある。よそ見して躓いたりしない限り落ちる心配はないが、落石させないように、そろそろと歩く。
- 横断バンドの真ん中当たりで四尾根取付きへ直答するリッジがあり、どちらにするか迷ったが、せっかくなので?わかりやすそうなC沢からヒドゥンスラブ経由で行ってみることに
- C沢に来ると岩に赤ペンキまで付いていた
- ヒドゥンスラブのビレイ点でクライミングシューズに履き替える。
- ヒドゥンスラブは写真で見た印象よりだいぶ傾斜がゆるく、壁というよりは坂という印象
- 6:00:第四尾根取付き
- 1P目はトポに「つるりとしたクラック」とあったが、その通り磨かれたチャートで、特にクラック登りもいらないくらいなのだけど、滑りやすく少し気持ちが悪い。
- 念のため持ってきたキャメロット#3の出番は全ピッチ通してここだけ。
- 後続も来たので、50mロープほぼいっぱいに伸ばしたところでピッチを切る。
- 狭いので少し先に広いテラスと立派な残置で切りなおす。
- 7:00:第四尾根 2P目(トポの1-3Pを2Pで)
- ピラミッドフェースの頭までロープを伸ばす。クラシカルなルートは剱岳や谷川岳のような脆くて悪いイメージだったけど、ここは岩も固く、浮石や脆い草付きも少なくて快適。後続のリードの方に"煽ってしまって、すみません"のようなことを何度か言われたけど、すでにリードのWKさんはスタートしているし、追われているのは雨雲。しかしまだ青空。
- 第四尾根 3P目
- 今日イチ悪いところ出てきたから、とWKさんがスリングを置いて行ってくれた。行ってみると、たしかに細かかった。フリーでも行けそうだったけど、スピード重視、晴天のうちにはやく先へ進みたい。ということにして迷わずお助けスリングに手を伸ばし、マッチ箱を目指す。
- 7:40 第四尾根 4P目
- マッチ箱のコルへ懸垂下降。TSちゃんから順に降りる。下降後、引くには引けたがロープが重くちょっと焦った。
- 8:00 第四尾根 5P目
- dガリー奥壁の城塞が近づいてくる
- 枯れ木テラスを目指しリッジを登る。露出度が高く、気持ちのいい登攀。
- 枯れ木テラスの少し手前で一度ピッチを切る。
- 後ろはマッチ箱を懸垂中の後続パーティの列。さすが人気ルートの日曜日。
- 富士山は隠れてしまったが、鳳凰三山のオベリスクがいい感じで見えていた。
- 8:25 第四尾根 6P目
- 枯れ木テラスへ
- 2010年の歴史的な大崩落跡、Twitter(X)で山梨の山岳警備隊が注意を促していた第二尾根の崩落の大きさがわかる。
- また近い未来に崩落しそうな雰囲気もあり、数年後にはまた条件が変わっているかもしれないと思うと、ここにこれたことがより貴重な経験と思える。
- 8:40 第四尾根 7P目
- 最終ピッチ。古いトポには3級のスラブを左上とあるが、現在は見る影もない。奥壁の城塞ハングからトップアウトする。
- エイヒレみたいな岩峰をトラバース中の切れ落ちたギャップ、少しずつ広がっているとか。
- 城塞ハング、ハングというほど被っているわけでもなく、ワイド登りじゃなくても登れる。ハーケンやスタックしたカムや残置もありランナーは取れる。
- 回収を忘れて自分の右肩でアルヌンを挟んでしまい、体勢を立て直そうとしてテンション。不甲斐ない、、アルヌンを回収して、気を取り直して登ったら、手も足もしっかりして、たいして力も使わずに登れた。
- 9:15 北岳バットレス第四尾根主稜 終了点
- ハイマツで終了点。無事に登攀を終えられたことに感謝。
- 行動食を口に入れながら、クライミングシューズを履き替え山頂へ
- 山頂まではちゃんと道がある。そして見たこともないほどの多様なお花が咲く高山植物の御花畑。まさに百花繚乱。
- 10:00 北岳山頂
- 最後によっこいしょとハイマツをまたぐと登山道に合流。
- 山頂はガスで真っ白なのが残念。
- 3人で証拠写真を撮る
- 10:25 肩ノ小屋
- 大休止して登攀具をザックにしまう
- 29年前、中学生の頃に父親に三山縦走に連れてこられた記憶が蘇ってきた。
- その時は叱られたばかりで一つも楽しくなかったが
- 10:40 下降開始
- 無事に雨に振られず、しかも想定より早く登攀を終了できた。
- これは今日中に下山まで完了して帰れるのでは
- ならば浸水したテントにもう一泊するより、雨がふらないうちに完全撤収したい
- 草すべりあたりで、雲行きがあやしくなり、撤収を急ぐため、WKさんに走ってもらう
- 下りは長く感じる。でも草すべりのお花もたくさん。
- 11:45 白根御池
- テントが近付いてきて、おもわずTSちゃんに着いたねーと喜びを確認
- すでにテンバに戻ってきていたWKさんがテントの底を乾かしてくれていた
- ここから広河原まで頑張れば今日中に帰れる。お風呂にも入れる。
- テントの前に先にピークハントを完了し下山したレディースチームのNちゃん(HBD)から手紙と塩熱飴❤
- 12:45 下山開始
- この山行で個人的に一番つらかった。
- 久しぶりに長時間のクライミングシューズのあとの、軽量化してない全装を背負って、アプローチシューズで降りる。
- 足の指がうっ血して痛いのを誤魔化しながら、ゆっくり歩かせてもらった
- 14:35 広河原
- あの橋が見えた。先についていたWKさんがゲートでなにか言っている。
- なんと、相乗りタクシーがあと3人で最後に乗る私を待っていると
- 待たずにタクシーに乗れる幸運
- そしてタクシーが走り出してまもなく、土砂降りの雨
- 15:35 芦安駐車場
- 完全試合みたいな気分で、お風呂へ向かっていると前方から手を振る女子たち。
レディースチームにまた会えた。嬉しくて2パーティで集合写真❤
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