新穂高温泉〜双六岳〜黒部五郎岳〜折立


- GPS
- 22:59
- 距離
- 37.2km
- 登り
- 3,018m
- 下り
- 2,785m
コースタイム
- 山行
- 5:13
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 5:23
- 山行
- 6:20
- 休憩
- 0:07
- 合計
- 6:27
- 山行
- 8:34
- 休憩
- 0:18
- 合計
- 8:52
過去天気図(気象庁) | 2024年07月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
写真
感想
北アルプスは13年ぶりの登山であり、小屋泊に限れば実に21年ぶりであった。久しぶりの高山への挑戦に胸が高鳴り、楽しみで仕方がなかったものの、日が近づくにつれて緊張も高まった。山中でも「歩けるだろうか」「怪我をしないだろうか」と期待よりも不安の方が大きくなり、登山当日を迎えることとなった。
1日目
晴れ渡る空の下、新穂高温泉を出発した。焦らず、ゆっくりと歩を進める。笠新道入口、わさび平小屋を通過。小池新道入口手前には残雪と水量の影響で、看板が立てられ、迂回路の利用が勧められていた。目印のテープに従い、慎重に沢を渡った先から小池新道が始まる。
秩父沢との出合では流出した橋が再設置され、安全に渡ることができた。登山道は丁寧に整備されており、登山者の安全が関係者の地道な作業によって守られていることを実感した。急登が続き、息を整えつつ振り返ると、乗鞍岳、焼岳、西穂、そして特徴的なジャンダルムの山容が広がっていた。「この景色が見たかった」と感動しつつも、終わりの見えない登りに汗が止まらなかった。イオン飲料をこまめに摂取していたが、水分が不足していたのか、しゃがんで写真を撮ろうとした際に脛から足の甲にかけてつってしまった。伸ばしているうちに治まったものの、水分と塩分をさらに摂取しながら歩き続け、何とか鏡平小屋に到着した。
小屋での受付を済ませた後、鏡池に戻ると、雲の中から槍ヶ岳が姿を見せてくれた。鏡平小屋はリニューアルされており、快適な空間に生まれ変わっていた。相部屋であっても、1人分のスペースが壁で仕切られており、プライバシーがしっかり守られていた。食事はボリューム満点で、普段より多めではあったが、翌日の行動に備えてしっかりと食べた。ドコモの電波は食堂で通じた。
2日目
朝から厚い雨雲に覆われており、レインパンツを着用して出発した。双六小屋でレインジャケットも着用した。小屋でルートの状況を確認し、双六岳直登ルートで登った。雨は次第に強まり、山頂からは本格的な雨となった。
三俣蓮華岳への途中では、何羽かのライチョウを見かけた。中には5羽のひなを連れた親鳥もおり、ライチョウの生息数が増えていることを感じた。
三俣蓮華岳から黒部五郎小舎までは一気に下る。ただし雨の勢いが増すに連れ、登山道はぬかるみ、水がたまり、次第に小川のようになっていった。靴は濡れて内部まで水が染み込み、全身ずぶ濡れの状態で小屋に到着した。すぐに乾燥室に案内され、濡れた物を干してから受付へ。5人部屋を1人で使うことができた。キャンセルが多かったためと思われる。逆にテント泊から小屋泊に切り替える登山者も見受けられた。
雨風はさらに強まり、夕食時には翌日の行程を変更するという話題が飛び交っていた。私は変更の予定はなかったが、夜中に風雨が一層激しくなり、不安であまり眠れなかった。
3日目
朝、小屋の明かりが灯るのを待って起床した。食堂では、朝食をとる登山者はごくわずかで、多くが早朝から出発していた。食事を終え、黒部五郎岳に向かって出発。登山道は川のようになっていると予想していたが、意外にも水量は増していなかった。山頂近くでは水が引くのが早いのだろう。
黒部五郎カールはまさに別世界であった。巨岩と草原、そして下部だけが見える雪渓が織りなす景色に心が惹かれた。高山植物は咲いていたが、見頃には少し早かったようである。天気の良い時期に再訪したいと思った。
稜線までの急登では、岩をつかんで登る箇所もあった。稜線に出ると冷たい雨と風が吹き付け、体温が急速に奪われていくのを感じた。黒部五郎岳の山頂からは何も見えなかったが、達成感は大きかった。
太郎平までの下りでは、いくつかのピークを登り返しながら徐々に高度を下げていく。風が強く寒さを感じたが、ハイマツの背が高くなってくると安心感が増した。やがて高山植物を楽しめる道となり、太郎平に近づくにつれて天気が回復。草原に池塘が点在する伸びやかな景色が広がっていた。風景を楽しみながら歩いていたが、またもや大雨に見舞われ、再び全身濡れた状態で小屋に到着した。
太郎平小屋は約22年ぶりの訪問であり、変わらぬ雰囲気に懐かしさを覚えた。
4日目
この日は下山日であった。バスの時間に合わせてゆっくり出発する予定であったが、午後から天気が崩れる予報のため、予定を早めた。時折雨が降ることもあったが、下るにつれて天候が回復し、途中で富山湾やその向こうの能登半島まで望むことができた。「昨日も今日くらい天気が良ければよかったのに」と思いつつ後ろを振り返ると、山は依然として暗い雲に覆われていた。山の天気はなかなか安定しないものである。
下山後、私の後から来た登山者がクマを目撃したとのこと。見たかった気持ちもあるが、無事に帰還できたことが何よりである。
反省点
ザックの防水性能が低下していた。長年愛用しているザックであったが、雨水が浸透し、ザック下部に収納した物の袋が濡れてしまった。コーティングの劣化か、縫い目や背面から浸透したのかは不明だが、ザックカバーだけでは不十分であり、レインポンチョがあると便利かもしれない。
雨天時の行動食の取り扱いに課題があった。ザックを開け、食料を取り出し、袋から出して口に入れ、ゴミをしまうという一連の動作を雨中で行うのに抵抗があり、結果として1日まったく食べずに行動する日もあった。
ヘッドライトの事前点検と予備電池の準備は行っていたが、実際に使用すると点灯しなかった。電池蓋の留め具が緩んでいたようで、今後は買い替えが必要である。
携帯電話(ドコモ)
鏡平小屋:食堂で電波が通じた。
黒部五郎小舎:圏外。
黒部五郎岳稜線:電波あり。
太郎平小屋:受付・食堂周辺は微弱ながら電波あり。外に出る方がつながりやすい。
宿泊予約
予約開始直後に満室となる小屋もあったが、数日後には空室が出ることもあった。そのため、満室表示が出ていても、こまめに予約サイトを確認することが重要であると感じた。
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