18きっぷで南ア深南部へ 寸又峡〜前黒法師岳〜黒法師岳〜六呂場山〜黒沢山〜奈良代山〜水窪駅
- GPS
- 73:39
- 距離
- 59.4km
- 登り
- 5,257m
- 下り
- 5,514m
コースタイム
- 山行
- 2:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 2:00
- 山行
- 7:30
- 休憩
- 2:13
- 合計
- 9:43
- 山行
- 7:35
- 休憩
- 2:04
- 合計
- 9:39
- 山行
- 9:19
- 休憩
- 0:43
- 合計
- 10:02
天候 | 4/7 雨 4/8 晴 4/9 晴 4/10 晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2016年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
都内〜金谷駅 JR普通列車 金谷駅〜千頭駅 大井川鉄道 千頭駅〜寸又峡温泉 大井川鉄道バス 復路 水窪駅〜都内(中央線経由) JR普通列車 |
コース状況/ 危険箇所等 |
概ねトレース有り 笹はいろんなトレース有り 2000m近辺に残雪有り 鎌崩は、難しいというよりは純粋に危険。できれば通行したく無いところ |
その他周辺情報 | 山王峡のしらかば荘 日帰り入浴は休業との事 |
写真
装備
備考 | アイゼン(2軍)、ピッケル、ロープ(8mmx30m、スリング120cm、HMS)を持参 アイゼンとロープは1回使用 ピッケルは使用せず |
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感想
低気圧
当初、越後の残雪を歩こうと思っていたのだが、生憎低気圧通過で大雨、かつ気温上昇の予報で雪崩、雪稜崩壊では目も当てられない。おまけに低気圧通過後の西風で天候が期待できない。確保した休みは4日間、既に18きっぷ2日分を手配しているので、これを活用して普段行けない所に行ってみる事にした。
計画
噂に聞く南ア深南部。直近の記録を見ると雪は少ないらしい。1日めは大雨強風なのでアプローチの日として、できれば小屋に泊まりたいところ。寸又峡から入山して990m辺りに良さそうな小屋があるようなので1日目はここまで。残り3日でどこまで行けるか。できるだけ長く歩きたい。寸又峡〜黒法師岳〜丸盆岳〜黒沢山〜鶏冠山〜遠山郷、なんて良さそう。しかし時間的に難しそう。思わしくない時は黒沢山から南西に奈良代山の尾根を辿って水窪駅に下る。また鎌崩が危険箇所で、無理な場合は引き返して前黒法師山〜常光時山〜水窪駅とする事にした。
急遽地形図を印刷する。全体図、詳細図合わせて14枚にもなった。恐るべし。
1日目
寸又峡温泉行きのバスは7,8人といったところ。皆温泉で降りてしまった。到着は14時。山に入る人なんか当然誰も居ない。予定通り雨。しかも強い。モチベーション上がらないまま、傘をさしてとぼとぼ歩く。森林鉄道跡の道路で警備の方が2名。山が崩れそうなので監視しているとの事。ご苦労様です。
前黒法師岳登山口から傘をさしたまま取り付く。しばらくして湯山集落跡の看板。石垣で整地されていてテントを張ったら快適そう。ザックを降ろしたくなる衝動を堪えて前に進む。明日に疲れを残さないようにゆっくり登るが、軽量化がへたくそなので20kgを余裕で超過している。へばってきた頃、ようやく林道に到着。あったあった、写真で見た小屋が。ドアも窓も無い(笑)。それでも屋根はしっかりしているので十分快適。板の間になっていて幅1mぐらいあるので丁度テントが張れる。物干し竿もあってありがたかった。
食事してのんびりしていると、なぜか左足の4本の指が血だらけに。土間のガラスの破片でも踏んでしまったかと思うが痛みも無し。ふとテントの隅に奴がいるではないか。実はヒルに噛まれたのは人生初。状況が理解できたのでほっとする。香辛料入りの高級な塩をかけてあげた。
2日目
打って変わって快晴。山はこうでなくては。干した濡れ物もすっかり乾いている。世話になった小屋を後にする。
実線登山道なので歩き易い。高度を上げると視界も開ける。北に見える白い山は光岳なのだろうか。
よたよたあるいて前黒法師岳。まあまあ順調。更に西へ進む。
しばらくして林道と合流。こんな所まで道を作ったのか。ヘリポートと呼ばれる広場。トラックが半分埋もれている。それほど古くない。黒法師林道の表示が。昭和58年度、って僅か30年前?もったいないなぁ。。
稜線伝いに歩いて黒法師岳。静かでなかなかいい雰囲気。西に見えるのがバラ谷ノ頭?どんな所だろう。自分は丸盆岳の指示に従って北へ。等高尾根を左に見て北東の尾根を下る。時刻が13時を過ぎているので、今日は鎌崩を越えれない。水を調達したいところ。コルに来ると、人か獣か分からないがいかにも水場に行きます、と言わんばかりのトレースがある。ザックを置いて辿ってみる。途中でトレースが曖昧になった頃、右の沢から水の音が聞こえるので下ってみる。
出ている出ている。これで今日と明日は安泰。コルから-150mぐらいだろうか。
ずっしり重くなったザックを背負って北へ。何やら広々した草原という感じ。看板があってカモシカ平と書いてある。整地された場所もいくつかあってザックを降ろしたくなる。
しかし、日程に余裕が無いので丸盆岳を登る。果たしてテント張れそうな場所があるか。
あった。しかも雪もあった。水も汲まなくても良かったかも。まぁ、沢の水の方が旨いからいいか。窪地で風も無く快適な夜だった。
3日目
朝から緊張する。果たして通過できるだろうか。
静かにルートを下る。トレースはある。かつてはそれなりの通行があったのだろうか。
寸又峡発北行きとした理由は、地形図を見たときこの鎌崩の通過が北上の方が危険が少ないと思ったからだ。コルから北側の鎌崩岳側がガレている。ガレを下る方がより難しくなる。
のはずだったが、丸盆岳からの下りも難しかった。ガレてはいないがホールドが無い。滑るわけにはいかないので緊張した。30mロープを持っていたので余程出そうかとも思ったが、今出すと退路を絶たれてしまうような感じがして粘ってしまった。
何とか下りるとコルが見えた。雪が付いているのでアイゼンを出す。折角なのでロープも出した。久しぶりにムンターヒッチで下降する。結局、アイゼン、ロープを出したのは1回だけだった。
対岸の残置ロープを辿って進むと、出たぁ鎌崩様がぁ。。
呼吸を整えて、先ず安全そうなところを、ゆっくり、1歩1歩進む。
また呼吸を整えて、今度は左にトレースがあるので、ホールドを確かめながら1歩1歩。但し、岩を強く揺すると落ちてしまうかもしれないので、そこそこの加減にして、あまり強く頼らないようにした。
また呼吸を整えて、今度はいかにも石を積んであるだけ、というような所だった。積んであるので、上から押さえる分には崩れないだろう、という予想をして、両手で上から押さえるような感じで、稜線を跨ぎながら進んだ。
何とか痩せたところは通過できた。あとはガレを登るだけだ。
左にトラバースする。岩があってその左はガリー状態。石が細かいのでガリーは無理。岩を登る。ところが岩が脆い。見た目丈夫そうなのに左右にテストした瞬間突然亀裂が走って分離する。慎重にホールドを選んで体重を移動する。
抜けた。ほっとした。正直心臓に良くない(笑)。
鎌崩岳を過ぎると癒しの稜線。向こうにゴルフ場のような平地が見える。行ってみると笹の原。実際ゴルフしたら玉捜すのが大変だろう。
不動岳はパスして西北西の尾根を降りる。適当に歩いたらちょっと外れていて修正する。もう、なんか適当な感じになってきた。
六呂場山までは地形図どおり痩せていて、結構アップダウンがある。
突然、向こう側から人が歩いてきた。日帰りの方で六呂場山の尾根を上がってきたそうだ。いかにも軽量そうなザックが快適そう。例年より雪がとても少ないそうだ。地元浜松市の方だそうで、2時間半で来れるとは羨ましい。結局山で出会ったのはこの方だけだった。
六呂場山を過ぎて一面笹だらけになる。何も無ければ良いのだが、倒木が隠れている。足元を確かめながら避けて乗り越えると結構くたびれる。だんだんスピードが鈍くなってきた感じ。今日は黒沢山を越えて2095辺りまでは進みたいと思っていたが怪しくなってきた。昼も過ぎてしまったので水を確保する事にする。
出発前、地形図を見ながら水が取れそうな候補地を予めマークしておいた。何箇所かある中で最も容易に取れそうな候補地の1つが1901コルから北側の沢だった。
実際水は出ていた。但し雪が残っていたのでラッキーだった。沢もちゃんと流れがあった。標高差-80mぐらだろうか。
また、重くなったザックを担いで黒沢山に上がった時は既に15時近かった。
更に2時間歩けば2095の平野に。翌朝ヘッデンスタートすれば遠山温泉まで行けるかもしれない、と少し考えたのだが、気持ちはテン場を探していた(笑)。
4日目
結局、夜は連続して風が強かったが、樹林帯のお陰で快適だった。
今日は下りるだけ。エスケープその1の、奈良代山の尾根ルートだ。何が安心って、途中から点線もあるし、林道もある。歩き続ければいつかは駅に着くだろう。
安心ではなかった。
笹が高い。胸ぐらいか。純粋な笹ならまだ良い。倒木だらけだ。しかもでかい。重なっている。どうやって進むのか、と喘いでいると時間は過ぎていった。
しかし、1867を過ぎると落ち着いてきて、シヤウヅ山に来ると快適な道になった。登山道の何とありがたい事か。
秋が良さそうな広葉樹の森を下ると、突然不自然な平地が。林道だ。渡って少し登ると奈良代山。
試しにスマートホンをオンラインにしてみるとdocomo電波を捉えた。4日目にして初めてだ。実は水窪駅の時刻を調べてなかったので確認する。1308の次は1556。1556は18きっぷ最終便で、都内到着は日付が変る。まぁ仕方が無い。
林道を下る。眠くなってきた。時間もあるので、日清のどん兵衛生そば食感をつくる。旨い。で、昼寝をする。気持ち良い。頭がすっきりした。
また、てくてく歩く。適当にショートカットする。858付近から林道を離れて西に下りる。地形図上では橋があるはずなのだが道は人が歩いている気配が全く無い。車を使うようになったので歩く人など居ないのだろう。果たして。。
良かった、橋は通れた。水窪唯一の立ち寄り湯、しらかば荘に寄る。さあ、温泉だ!
玄関に何か張り紙が。
「◎日帰りの外来者 入浴は都合により休業中」
があ〜ん。やってしまった。そんな気がした。去年も戸倉に下りた時、1件も温泉が営業していなかった。仕方が無いので、河原に下りて、タオルで体を拭いて着替えをした。。
またてくてく歩いて、ようやく飯田線のレールが見えてきた。
お疲れ様でした。
ホームで下り列車を待っていると、やがて来るはずの無い、登り列車がやって来た。時刻表の確認を間違ったか、と思って一瞬焦ってしまった。
よく見ると373系秘境号だった。列車交換のための運転停車だった。暫くして待っていた下り列車がやってきた。やれやれ。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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鎌なぎを通過もですが、寸又から水窪を都内から。
地図枚数も多いでしょうが、思いでも多かったことでしょう
まだ地図読み等初級者なので、寸又三山の奥はまだ未踏です
段々と奥へと考えてます
今度寸又に行ったら入り口の図書館へ寄ってください
マニアックな山の本と山好きがいますよ
Sumata33 さん、コメントありがとうございます。
地元の方なのですね。羨ましいです。
今回初めて訪ねたのですが、とても魅力的な山だと思いました。
とにかく広いので、次は日程に余裕をもって行きたいです。
図書館があるのですね。
本読み始めたら、はまって山行けなくなっちゃいそうですね(笑
そうですね、お宝ものがたくさんあります
図書館に来る人達は深南部のベテラン達でいろんな話を聞いています
一昨年栗代から大無間を目指し風イラズまでで終わりましたが、千頭ダムからも一泊で行けるようです
水場の情報は有りがたいです
深南部は基本樹林帯なので、水が豊富なのでしょうか。
縦走の時は有難いですね。
大無間の方も行ってみたいですね。
kihaさん、初めまして!
四日間にも渡る深南部お疲れ様でした。自分は日帰り派なのでなかなか長い縦走は出来ないのですが、深南部にはちょくちょく入っています。しかしもうヒルの季節なんですね〜^_^;
ホントお疲れ様!
Daishoh さん、こんにちは。ありがとうございます。
こちらは庭、といった感じでしょうか(笑
追追記録拝見させて頂きます。
そうなんです、この日気温が高く、雨もざーざーだったので、出て来ちゃったんでしょうか。
最初、訳分からなくてポカンとしていました。
夏はもっと出るんでしょうかねぇ
思い付かないルートです、さすがですね。
初日から血だらけ?ガラス踏んだ。じゃなくてよかったけどもう注意の季節になりましたね。先日は長いーいニョロニョロがいて、ギャー!でした。
バリなんて生易しいものじゃないルートとやせ尾根、岩場のソロ、うらやまくもありますが考えられません。達成感は半端なく?
次はどちらへいらっしゃるのでしょう、、、
5?年生きてきて、やつに噛まれたのは初めてでした(笑
びっくりしました。
ルートは、鎌崩以外はそれ程難しく無いと思います。
踏み跡もあります。
笹薮はいろんなトレースが自由に走っています。
鎌崩は技術的問題というよりは、純粋に危険です(笑
出来れば避けて通りたい、という気持ちです。
穏やかな山、緑の原っぱ、広葉樹の森、清らかな水。。
何と言っても静かな時間、
きっとden-dero さんも気に入っちゃうだろうな、と思いました(笑
南アにこんなコースがあったんですね。
初めて知りました。
秋〜初冬に行ってみるのもおもしろそうですね。
あまりないことなんですが、すっかりレコに見入ってしまいました。
kihaさんの縦走コースはライン取りがきれいですね。
周回でなく反対側へ伸びているところがいいです。
鈍行での移動を含めお疲れ様でした!
kobetaka さん、ありがとうございます。
>ライン取りがきれいですね。
あはは、そう言って頂けると嬉しいです。
初めての、知らない道を通って、初めての駅に到着する、って感慨深いですよね。
本当はもっと北西に着地したかったのですが、根性無かったです(笑
鈍行良かったです。
大井川鉄道も楽しいですし、飯田線は水窪から北側が秘境駅地帯で、天竜川沿いに桜が咲いていたりして眠いのを我慢して車窓を眺めていました。
18きっぷ通年発売してくれると嬉しいんですけどね(笑
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