山靴を今までに何足履き潰しただろうか。
寸法が小さくて処分した靴を除き、革製の山靴のみに限れば、たぶん3足だと思う。
初めてのハイキングから2,3回の山歩きは山靴ではなかった。
だが最初に履いた本格的な山靴は、革製のトリコニー付きナーゲルで岩登り用であった。
それから後、一時的に布靴も履いたが、ほかに2足の革靴を履き潰し、4足目の現在の靴も革製である。
新品の革靴を入手して「最初の手入れ」と「履き慣らし」、そして「日常の手入れ」について想い出を交えて書いてみたい。
今日は新品革靴の初手入れについて書くことにする。
昔は革靴を買うと、手入れ用のオイルとワックスをサービスで付けてくれた。
シリコンを含有しない古いタイプでオイルは保革用、ワックスは防水用だった。
当時の靴はオイルなめし黒革の表出しであったから、まず甲皮に薄く満遍なくオイルを塗り、適当に浸み込んだら、その上からワックスをかけた。
底皮にはワックスだけを、特に縫い糸の糸目のメ止めになるよう丁寧に塗りこんだ。
買った靴を家に持ち帰ったら靴全体にまず皮膜を作ってしまう。
この作業は面倒だが楽しみでもあった。
現用の革靴はオイルなめしではあるが裏出し(バックスキン)である。
防水力の強い表皮面は靴の内側を向いている。
だから外側の裏出し皮面には防水力が無い。
外側の防水は塗りこめたワックスのみが担うことにより、更に強力な二重の防水となるのである。
はじめに保革オイルを靴ブラシに付けて甲皮に薄く満遍なく塗る。
このとき決して塗り過ぎない事が肝心だ。
一定時間を置いて、歯ブラシに防水ワックスを付けてたっぷりと塗り、靴ブラシをかける。
表面が乾いたらワックス掛けを数回繰り返す。
数日これを繰り返すと表面が黒っぽく光沢を帯びてくる。
底皮とその縫い目は、前の靴と同じようにワックスだけを縫い糸の糸目のメ止めに重点を置いて塗り込んだ。
この頃には品質の良い保革オイルと防水ワックスが販売されており、私はキイウイのミンクオイルとウエットプルーフを購入し、以来日常の手入れにもそればかり使っている。
保革性能、防水性能共に申し分ない。
現用靴(写真左)は黒光りして未だ新しい靴のように見えるが、20年以上履いている。
最初の手入れは大切なのだ。(続く)ainakaren
・写真右 最初のナーゲル靴(国産の一般既製品)
・写真左 最後になる現用靴(トップ靴店注文品)
*革靴・履き慣らし http://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-19481
おはようございます。革靴の手入れを面倒だという方がいるのが、不思議でなりません。道具の手入れも道楽のうち、実に楽しく、かつ気持ちが整うものだと思います。
手入れの済んだ靴の匂い、なぜか安心します。
jinzaemonさん、おはようございます。
初手入れは新しい皮の匂いに、オイルとワックスの匂いが乗って何とも云えない好い気分です。
新品の革山靴は、最初の入念な手入れがきちんと出来ていると、しなやかさが増して、履き慣らしが巧く行きます。
次の日記で履き慣らしの方法と、その楽しみについて書きたいと思います。
手入れや履き慣らしを楽しめるのは革製の山靴だけだと思います。
靴が自分の体の一部になっていくような、いとおしい気持ちがするのです。ren
記事中に説明不足がありましたので、補足します。
キイウイのミンクオイルは保革油で、革を柔らかく柔軟にする作用があります。
撥水性のためシリコンが配合されています。
靴の甲の部分に塗布しますが、過剰になると型崩れの原因になります。
年1、2度位に少しだけ塗布します。
靴底の縫い目やビブラムとの接合部には絶対に塗ってはいけません。
剥離や弛みの原因になります。
キイウイのウエットプルーフは防水ワックスです。
靴の使用後の手入れに常に使用します。
甲の部分と靴底の縫い目とビブラムとの接合部に塗布します。
革を適度な硬さのまま保持し防水性を高める作用があります。
過剰に塗布しても害はありません。ainakaren
今晩は。
シックスの、べた打ち好いですね。
疲れた足を引きずりながらの帰り道、小石に蹴躓くとボーと火花が出て瞬間足元が明るく成りますね・・・
#6は焼きが入っているので爪が折れ易くその後、#7のベタに変えました。結局、鋲靴2足 ビブラム1足を夫々処分し、今は軽登山靴2足だけです。
保革油を塗る時は、指先に付けてよく擦り込む様に塗ったりしてました。 たまらなく懐かしい思い出です。
なんとなく保革油の匂いが甦って来ました。yamakato
yamakatoさん、今晩は。
この小さい写真でよく判りましたね。
ご覧のとおり爪先部のトリコニーが既にいくつか欠落しています。
結局このナーゲル靴は谷川岳東尾根登攀中に破損し、廃棄しました。
そうでしたねぇ〜!、夜の歩行中に岩にトリコニーが当ると火花が飛びましたね。
ポッと一瞬の明るみ、懐かしいです。
そう!、昔の表出しの茶利皮のときは、保革油を人差し指1本で塗っていました。
裏出しのバックスキンになってから指では塗りにくくなり、ブラシになりました。
保革油の匂い、今でも大好きですよ。
ピッケル木部や麻ザイルに塗った亜麻仁油も懐かしい香りですね。
昔の山靴が懐かしいです。
QooPAPAさんがナーゲル靴の完品の写真を日記に掲載されています。
http://www.yamareco.com/modules/diary/11156-detail-13798
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