好天の八ヶ岳・天狗岳-赤岳-真教寺尾根
- GPS
- 13:13
- 距離
- 21.5km
- 登り
- 2,023m
- 下り
- 2,370m
コースタイム
- 山行
- 3:29
- 休憩
- 1:52
- 合計
- 5:21
- 山行
- 6:15
- 休憩
- 1:38
- 合計
- 7:53
天候 | ■21日:晴れ時々曇り ■22日:快晴のち曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2020年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:美し森からバス小海線清里駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・西天狗基部までの樹林帯は北八ヶ岳らしい苔むした小岩の多い道。西天狗上部は岩の堆積で急勾配となる。東天狗から根石岳付近と、硫黄岳付近の森林限界上は小石か砂利のような溶岩、横岳から赤岳は立派な岩稜、真教寺尾根下部の樹林帯は普通の土と、登山道の足元が変化する。 ・真教寺尾根を下るとき、標高2460mの露岩で右(南)寄りにルートを外しました。岩の5mほど下に足跡が見えたのですが、岩を下る際の難易度が高く、その先の道?もすぐ不明瞭になったので変だと気付き、引き返しました。足跡は同様に間違えた人のもののようです。ちょっと岩の左側を見ればルートは一目瞭然でした。 ★Caution!★ らくルートの真教寺尾根・赤岳→牛首山の下りタイム(101分)は、かなりハイペースの設定と感じました。私の場合、らくルートの山行計画と比較して他の区間は標準の0.85倍前後の時間で歩いているのに、ここはほぼ標準タイム。岩場は決して遅い方ではないつもりですし、遅れに気づいて後半の平坦路は少し足を速めたのに、どうも腑に落ちません。ここを通る山行計画はタイムに余裕を持って作ることをお勧めします。 |
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ
予備電池
1/25000地形図
ガイド地図
コンパス
筆記具
保険証
飲料
ティッシュ
バンドエイド
タオル
携帯電話
計画書
雨具
防寒着
ストック
水筒
時計
非常食
緊急保温シート
着替え
ツェルト
ファーストエイドキット
医薬品
カメラ
GPS
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感想
【21日】
一時は満席だったあずさ1号から茅野駅で大勢が下車した。幸い大半は北横岳ロープウェイ行きバスの列に付き、渋の湯行きバスはちょうど満席程度で出発。定刻で終点に到着した。ところが、運転手は「車を回してドアを開けます」と言ったきり、延々と切り返しを繰り返している。どうやら頭の中で車の挙動が分からないらしい。見かねた目の前のホテルの男性が誘導し、ようやくバスが回頭して降りることができた。なぜ客を先に下ろさなかったのか、理解に苦しむ。
高原の秋の日差しで気分を直してトイレに寄ると、個室にウォシュレットが付いていた。掃除も行き届き、ますますいい気分になって、少し下った先の唐沢鉱泉方面登山口から山に入った。
先月、白駒池から天狗岳を目指したルートによく似た苔むした林床が続く。200mほど登って尾根を越し、意外に早く唐沢鉱泉に着いた。渋の湯に登山ポストが見当たらなかったので、駐車場にいた従業員に聞いて玄関わきのポストに計画書を入れた。朝が早かったので、登山口前にあった岩に腰かけて昼食とする。
登山口の沢にかかる橋を渡ったところからすぐに樹林帯の登りが始まる。鉱泉客の家族連れが歩いていた。苔むした岩は滑りやすいが、男の子が関係なく両親を置き去りにしている。ほかにもそんな散策者を追い抜いた。昼食中に「頂上までどのくらいですか?」と尋ねてきた男性もいたが、3時間ぐらいと答えるとすごすごと去って行った。気楽に行ける見晴台もなく、そういう方には少々つまらない宿かと思う。
やがて下山者と次々にすれ違うようになった。尾根道に合流し、相変わらず展望の利かないコメツガかシラビソの林の道を詰めていくが、登りの人には行き会わない。日帰りには遅すぎる時間だからだろうか。
計画より30分ほど早く第一展望台に到着。最初に視界が開けた所がそうかと思ったら、少し先に看板が立っていた。白いガスが見ているうちに薄まり、稜線が覗く。左にそそり立つのは西天狗、その右奥で三角の頂を見せているのが根石岳だろうか。
若干勾配が緩んで第2展望台。休憩中の2人と言葉を交わすと、朝に渋の湯を出て黒百合ヒュッテから天狗岳を回って降りてきたという。唐沢鉱泉にバス便がないので一山越えて渋の湯に戻るそうで、最後の200m登り返しがこたえそうだ。
鞍部を経て日が差し始める中、林が忽然と終わって西天狗の岩場が現れた。何人かが恐る恐ると言う風情で降りてくる。白駒池近くの高見石と同様、岩壁ではなく岩が乱雑に積み重なった急斜面で、それが延々と続く感じだ。〇と矢印マークに従って登っていくと、右前方に遠く赤岳方面の稜線が見えてきた。手前には硫黄岳火口に絡むガスを背景に今夜のお宿の根石岳山荘。振り向けば遠く諏訪湖が霞んでいる。
正面に東天狗岳が見える西天狗岳山頂は素晴らしい眺望だった。auスマホの電波も良好で、珍しく自撮り写真をヤマノカミへ送信。先月、その東天狗まで同行したAlps165にも登頂を報告した。突然の雨で仕方なく西天狗をあきらめただけに、折り返し「抜け駆けだ」と憤慨する返信があった。
たっぷり休んで結構な急勾配を下り、東天狗へ。3歳程度の男の子がお父さんと登ってきたのには驚いた。当方はリュックをデポしてすぐ先の天狗の鼻へ向かう。単に天狗岳と言う場合は西天狗を差すそうだが、この岩こそ天狗の名の由来のピークではないかと思えてしまう。東側は剣呑なので若干南西側に回り込み、無事てっぺんに立つことができた。ガスの沸き立つ東天狗山頂がいい雰囲気に見える。
ここでも時間を使ってしまったので、そろそろ宿へ急ぐことにする。岩場を少し下って桟道を渡ると徐々に傾斜が緩み始め、歩きやすい白い小石と砂利の道になった。大した距離は歩いていないが、いささか疲れて足が重い。少しは巻くのではという期待を裏切った道が根石岳山頂に至ると、すぐ下に山荘が見えた。前方の稜線にもほとんど雲はなく、明日の天気は期待できそうだ。
マスクを着用して山荘に入る。ビニルカーテン越しに小屋番さんが「夕食は3交代の3番目です」と告げた。どんなコロナ対策か興味があったが、かなり混雑しているのだろうか。そう思いながら本館2階に案内されて唖然とした。20畳ほどの部屋の片側が2段の蚕棚になっているのだが、下段はすべて布団等の収納に充てられ、上段は段ボール製の屏風で3区画に仕切って布団が各1組。平間も2枚の屏風で2区画に仕切り、一方に2人、残りに1人が寝る。つまり、部屋全体でたった6人! 混雑した小屋しか知らない身には驚くべきぜいたくと感じられてしまう。
食事も一度に10人に絞ったゆえの3交代で、席は向かい合わせにせず、自分は壁に向かった席をあてがわれた。勢い会話はあまり弾まないが、食事中はマスクを外さざるを得ないから、これは当を得た措置だろう。感染予防のマナーとして、今回は当方も寡黙を装っている。実は話し始めたら止まらないタイプの御仁がおり、申し訳ないが挨拶以外は一切口を利かなかった。
風呂もあったが、これはパス。広い個人スペースがあるから油断して、辺りにリュックの中身を散らかしたまま8時消灯となった。
【22日】
4時過ぎから目が覚めてはいたが、食事が5時40分なので寝床でぐずぐずし、外が白み始めてから起きだした。部屋を見渡すと誰もいない。5時からの食事組もいるが、多くは朝日を拝みに行ったらしい。こちらも防寒着を着込んでカメラ片手に根石岳を目指す。すでに10人ほどが山頂にいるようだ。
西風が冷たい。間もなく東の空のオレンジ色が強くなり、次いで雲の一部が金色に輝いた。地平線には低い雲があるようで、やがてその中から赤いものが顔をもたげる。朝日だ。山頂到着から約10分、赤く丸い太陽は地平線を離れるや強烈な光芒を放ち始めた。はっきりとしたモルゲンロートは見られなかったが、振り返ると西天狗だけがわずかに赤く山体を染めていた。満足して宿へ戻ると、ちょうど朝食の呼び出しがあった。
そそくさと食事を済ませて急ぎ荷物をまとめる。この時、全く気付かないままスマホを布団の陰に残して部屋を出てしまった。西天狗山頂でいったんズボンのポケットに収め、山荘が不感地帯(Wifiは利用可だが)なのでリュックにしまい直すつもりで忘れてしまったようだ。
そんなこととは露知らず、6時半過ぎに宿を出発。箕冠山への道を少し登ると、北西に北アルプスが見えた。早くもすれ違う人がいる。箕冠山でオーレン山荘への道と別れ、低い樹林帯を緩やかに下ると夏沢峠。二つの小屋は営業休止だ。
学生風のグループとすれ違い、硫黄岳へ登り返す。2500mを超えた辺りで教科書通り森林限界の上へ出た。右後方には北アルプスが遠く立山方面まで連なるのが見え、真後ろには蓼科山がそびえている。ケルン風の道しるべをいくつか辿ると傾斜が緩み、広々した小石の広場の硫黄岳山頂に着いた。行く手の赤岳、阿弥陀岳が良く見える。
東側は旧火口がすっぱり切れ落ちている。行き止まりの道に入って東から旧火口を眺め、満足して縦走を再開した。南の方に今山行で初めて富士山が見えた。鞍部に這いつくばるような硫黄岳山荘を経て、今度は横岳への登りに挑む。山頂はギザギザの岩稜で、ここまでの砂利道とは様相が一変する。台座の頭で持参のヘルメットを装着した。
若干空気も薄い(750HP)この高度の登りでは、足で歩くより両腕も使う鎖場の方が当方としては息が上がりにくく、人並み以上の速度が出せる。切れ落ちる岩の高度感はなかなかのものだが、少しずつ先行者を抜いて横岳奥の院に着いた。ただし、山名標には単に横岳とある。ロープをまとめているご夫婦がいて、当方にはご縁のないそういう本格的登攀も楽しめる山だと得心した。
引き続き岩場を登降し、三叉峰を経てどれがどれやら分からないピークをいくつか越えて地蔵の頭。赤岳が迫り、ハイカーの数も増えた。赤岳天望荘前でリュックをおろして一休み。気になり始めたスマホを探してみたが、見当たらない。途中で落としたことはあり得ないから、あるとすれば山荘だ。じたばたしても仕方ないので捜索を諦め、汗をぬぐって最後の難関・赤岳へ踏み出した。
とんでもない急斜面で息が上がるが、こちらの斜面は岩場というわけではない。たまに手を使う程度で地道に足を運び、20分以上かけてようやく頂上山荘前に到達。たまたま同着した年配男性と互いに息を弾ませながら笑顔で登頂を喜び合った。山荘には「コロナで今シーズンは休業」と掲示がしてあった。
息を整えて本来の山頂へ移動。山名標の周りは20人近い人でちょっと「密」になっている。割り込みは遠慮して祠の写真を納め、人がいないその裏手に回り込んでリュックを下ろした。硫黄岳にいたころ、赤岳がガスに巻かれたのを見たが、今はよく晴れている。ただ、南北アルプスは上ってくるガスに飲まれつつあり、金沢から来たという男性に雲上のピークの名を尋ねられたが答えられなかった。
さて、清里行きバスの時間があるので、あまりのんびりはしていられない。昼食は真教寺尾根の連続鎖場を降りてから食べることにして、リュックをきちんと背負い直して出発した。この先が今山行で一番慎重さと体力が求められるコースとなる。
まず、竜頭峰へ強烈な岩場を下る。鎖はあるが油断はできない。行者小屋方面への道との分岐は切り立つ岩の途中にあり、なかなか痺れる鎖のトラバースを経て竜頭峰に至る。ちょっと下った所がキレット小屋方面と真教寺尾根の分岐だ。下方の尾根の先に牛首山が望めるが、まだまだ遠い。
何人かが厳しい真教寺尾根を登ってきた。念のため鎖場の区間を尋ねると、「ここからずっとですね」との答え。ここまでは収納しなかったストックを畳み、両手をフリーにして鎖につかまった。足場を確保したら左手で鎖をつかみつつ半身になって下のステップとホールドを探し、右手はなるべく岩をつかむ。できれば動かない岩を支点としたいが、スラブ状の岩場では時に膂力に頼って鎖にぶら下がることになる。
いくつもの鎖場を過ぎると、さすがに腕が疲れてきた。ホームセンターの作業用手袋の中で左の掌も熱を持っている。軍手と違ってゴムのブレーキがやや効きすぎるようだ。ようやく「これで最後」と思える鎖を過ぎ、ストックを伸ばした。
わずかに傾斜が緩んできたので、休憩がてら昼にすることにした。こぼさないよう注意しながら湯を沸かし、カップ麺と玄米ブラン、コンビーフという怪しげなメニューを平らげた。
崖の途中ですれ違ったのを最後に、他の登山者の姿は絶えている。遠慮なく登山道わきにリュックの臓物を全部取り出し、スマホが隠れていないか探した。が、ない。そこで念のため持参していた会社のスマホを取り出し、「スマホが落ちてないでしょうか」と山荘に問い合わせた。
朝の掃除では気づかなかったとのことだが、いったん切って歩き出すとすぐ着信音が鳴った。布団の壁側に落ちていたという。ホッとして着払いで送付をお願いした。ただ、当然ながら稜線の小屋だからスタッフが下山するまで宅急便は出せない。「だいたい1週間はみてください」とのことで、お礼を言って電話を切った。
安心したところで先を急いだ。しばらくは比較的斜度のある下りが続き、腿がきつくなる。やっと鞍部に至ると、ほぼ平坦に近い林の道が延々と続く。小さな登り返しのたびに「扇山か?」と期待するが、それらしい表示はない。
正午過ぎにふと山行計画の行程表を見てギョッとした。扇山通過は12時16分とあるが、前方にピークの影はない。いつの間に大幅に遅れたのか。精一杯足を速め、地面に落ちた「扇山」の看板を見たのが12時50分。2時間後のバスはギリギリとなりそうだ。
牛首山へは初めて見た先行者が発つのと同時に到着。しばし腰を下ろした後、下りらしい下りに変わった道を急ぐ。2か所の崩壊地越しに下のゴルフ場が見えた。少し下ると道端に軽装の男性ランナーが休んでいた。「見晴らしのいい所まで登って折り返します」とのことだったが、その後は会わなかった。
先行者二人を追い越し、チシマザサの林床の道がほぼ平坦になった先が見覚えある賽の河原だった。15分ほど遅れを取り戻したようで、まずはひと安心。じきに人声がして左にワイヤー柵が現れ、アイスクリームをほおばる観光客が見えた。リフト下り場から続々とお客が降りてくる。サンメドウズスキー場だ。
乗ったら楽にバスに間に合うが、汗まみれのばっちい登山者では列に並ぶのも気後れする。ここは我慢して笹の林床に延びる登山道をおとなしく辿ることにした。30分ほどで無人の羽衣池に至り、飛び石風の遊歩道を暫く行けば美し森の展望地。やはり観光客がアイスクリームをなめている。
バスの時間には余裕で間に合うことを確認し、余韻を楽しむように板張りの階段坂を下る。振り向けば八ヶ岳はすっかり雲に隠れていた。後はピクニックバスで清里駅へ出て、甲斐大泉駅近くの温泉に寄る予定だ。皮脂を落とす男性用ウェットティッシュで入念に汗をぬぐってマスクを取り出し、バス停に立った。
9月の4連休で行かれたんですね。山小屋に泊まると、夕焼けや朝日が山から見られるのでいいですよね。私は、9月26-28日(月曜は有休)で、広島県の帝釈峡に行ってきました。素晴らしい峡谷でした。tatsu114 旅行 絵画 音楽と入れて検索すると一番先に出てきます。
zaoluckさんへ、野郎一人ではありません。紳士が一人です。(^ ^;)
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