【年末年始山行】赤石岳〜荒川三山
- GPS
- 104:00
- 距離
- 61.5km
- 登り
- 3,902m
- 下り
- 3,904m
コースタイム
- 山行
- 4:10
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 4:10
- 山行
- 4:40
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 4:50
- 山行
- 9:00
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 10:00
天候 | 29日:冬型 晴れ 30日:ゆるい冬型 晴れ 31日:谷の通過→弱い冬型 曇りの晴れ 朝風強し 1日:高気圧の張り出し 晴れ 2日:高気圧圏内 晴れ 風強し |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
詰所に計画書提出 |
コース状況/ 危険箇所等 |
ラクダの背の雪壁は雪少なければ残置使用等でザイルは不要 雪稜部分も雪が少なく雪庇の判断等は簡単だった。 悪沢手前、千枚前の痩せ尾根も注意が必要 |
その他周辺情報 | 白樺荘で温泉 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
ゲイター
ネックウォーマー
バラクラバ
毛帽子
靴
ザック
アイゼン
ピッケル
ビーコン
スコップ
ゾンデ
行動食
ガスカートリッジ
コンロ
食器
調理器具
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
針金
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
ナイフ
カメラ
ポール
テントマット
シェラフ
|
---|---|
共同装備 |
行動食
調理用食材
調味料
飲料
水筒(保温性)
ファーストエイドキット
針金
テント
|
感想
今年の年末年始はがっつり山に入りたいと思っていたが記録的な少雪。
いろいろ考えたが、去年から温めていた南アルプス南部の赤石・荒川三山を歩きとおす計画を実行に移すこととする。
南アルプスの北部にはよくいっていたが、南部は初めて。どうなることやら。
28日 仕事納め
仕事納めしたその足で、高速道路を快走して、今年最後の下界飯としてカレーを食べつつ、静岡SAで沈。
29日 長いアプローチ
高速インターを降りてから畑薙ダムまでは延々山道を2時間半ほど走る。
ようやく沼平ゲートまでたどり着き、計画書を提出してパッキングしていざ出発。
久々の長期山行の荷物が肩にずしりと来る。
ここから椹島まで17kmの林道歩きだ。
少し歩いたところで学生らしい登山者とすれ違う。静岡大の山岳部の学生。
上河内岳に入っていたことを充実した表情で、話してくれて元気が出る。
我々もあんな表情で下山できるだろうか。
ところどころ自然落石に注意しながら、大井川を遡っていく。
他愛のない話や歌ったりしながらだらだら歩いて、4時間半ほどで椹島まで。
冬季解放小屋にはすでに2組の先客がいた。どこにいくのだろうか。
入山をビールと少々のつまみで祝いながら久々のアルファ米雑炊を食べて沈。
30日 富士見平へコンタ上げ
今日は富士見平を目指して登る。
朝は早起きしすぎて1時間ほどうだって出発。
最初はまったく雪のないただの夏道歩き。急なジグ道を登っていく。
標高1700mくらいから雪がちらほら出てきて、1850mくらいから雪道を歩く感じになる。
ラッセルになるほどの雪の量でもなく、トレースもしっかりあるのでまったく問題にならない。
歩荷返しも越えて赤石山荘へ。天気がよく赤石岳がよく望める。登山者が2人ほど降りてきた。今日なら最高のアタックだったに違いない。
明日の行程を考えここでは泊まらず、1時間ほど登って少し上の富士見平へ。
開けた気持ちのいいところで、目の前にはずっしりとした赤石岳、右を見れば荒川三山とこれから目指す行程が、そして振り返ると富士山がよく見える。
少し風も気になるが気持ちがいいのでここでテントを張る。
風が強い時は20mほどおろした木々の中でテントを張ることもできる。
テントを張って暮れなずむ山々を眺める。
夕日は赤石の向こう側に隠れてしまったが、荒川三山や富士が赤く染まっていく最高の時間を楽しむ。
そのあとは、明日のためにペミと酒で英気を養う。
31日 ラクダの背を越えて赤石へ
2015年最後の日。今日は核心のラクダの背を越え、赤石をアタックし中岳避難小屋を目指す予定。
気合いの早デッパと思っていたが、夜から強かった風がさらに強くなる。
外を見るとガスガス。う〜ん・・・
少し様子を見ることとしてシュラフに再度もぐりこむ。7時、8時と状況は変わらず。
もう今日はステイか、と不貞寝を決め込んでいたが、9時前くらいに再度外の様子を確認したtentyoが「行こう!」と一言。
外を見てみると、風は強いものの赤石のガスが飛び始め回復傾向だ。
時間的に中岳避難小屋は無理なので赤石岳避難小屋を目指すべく、急いでパッキングして出発する。
ラクダの背の一つ目のコブは雪が少ないため夏道を使って巻くことができる。夏道だが、なかなか急なトラバース。
一つ目のコブを巻いた先のコルから尾根上を進む。
最初はブッシュ交じりの急な尾根を登って高度を稼いでいく。
高度を上げるとブッシュも埋まり白い雪稜となっていく。
時折、吹きだまりが小雪庇となっているところもあるため、尾根筋の確認には注意が必要だ。
いくつか細い雪稜をこなすと、一番のポイントである雪壁へ。
記録ではザイルを出していることが多いが、今回は雪がすくなく、残置ロープもところどころ見えているため、ノーザイルで行けそう。
最初の岩を回り込むところが少し怖いが、あとはステップを確認し残置やブッシュを掴めば登っていける。
ザイルを出したら50mいっぱいくらいか。ピンとなるブッシュはあるが、雪が多い時に掘りだせるかどうかはわからない。
そんなこんなで最大のポイントを終えて一安心かと思いきや、まだまだ主稜線上は遠く、ここからも雪稜や急斜が続くので気が抜けない。
幸いなことにラクダの背は風は強くもなく、青空のもと緊張感のあるリッジ歩きだ。
それにしても赤石岳は大きく、急斜を登って行くのなかなか堪える。
何度か偽ピークにだまされながら、小赤石岳へたどりつき南アルプスの主稜線上に乗ることができた。
ここで、大聖寺平にテンパることも考えたが、テンバとしての情報が不足していたため、やはり赤石岳避難小屋を目指す。
そうとなれば、大きく聳える赤石岳を目指すのみ。
やはり南アルプスの山は一つ一つが大きく特徴的だ。
主稜線上に上がるとやはり風は強いが、負けじと青空を目指して登っていく。
聖岳や上河内岳などの山々が目に見えたと思ったらピークのボッコにたどり着いた。
富士山や中央アルプスは少しガスっいるが、上記の山々に加え、塩見や仙丈、南ア北部に山々、太平洋までも望め、2015年のラストとして申し分のないピークだ。
写真を撮ったりしていたが、いかんせん風が強いので赤石岳避難小屋へ転がり込む。
とてもきれいで避難小屋とは思えない快適さだ。
少しくつろいでいると、あとから2人組が小屋へやってきた。
昨日は荒川小屋にいて、風が強いので昼から歩いてここへたどりついたそうな。
水づくりをしたりして過ごしていたが、気圧の谷か寒気の影響かガスってしまし、日没の時間はなにも見えなかった。
2015年最後の夜も、ペミカンを食べて、稜線祝いのビールなどの酒を飲んでつまみを飲むといういつもの山生活だが、3000mの稜線で年を越えられるのは幸せだ。
明日は天気はばっちりのようだ。千枚小屋までの長丁場だが、最高の新年になりそうだ。
期待に胸を膨らませて、シュラフにもぐりこんで2015年の幕が閉じた。
1月1日 最高の新年 気合いの稜線歩き
明けましておめでとうございます。
今日こそは気合いの早デッパと思いきや、予報に反して外はガス。
とりあえず、軽くパッキングをして時間待ち。
6時過ぎくらいにガスが薄くなってきたのでそそくさと準備をして小屋の外へ。
東の空が赤く燃え、まさに日の出直前という感じだ。
富士山の横手から真っ赤な太陽が昇り、周囲の山々を赤く染める。
最高の新年の幕開けだ。ちなみに2016初ピークも赤石岳。
2人組は今日、椹島に降りるとのこと。片方は山岳ガイドの方だった。
こちらは荒川三山を目指す。まずは小赤石を越えて大聖寺平を目指す。
昨日はガスっていた中央アルプスも丸見えで、先週いった木曽駒の山々も見える。
小赤石から振り返った赤石はどっしりとして本当にかっこよかったが、低温のためカメラの電池が効かず撮れなかったのは残念だ。
昨日ほどではないが、少し風があり体が冷える中大聖寺平へ。
雪山ルート集ではテンバにできるとされているが、完全に吹きさらしだ。
避難小屋に泊まる判断でよかった。
ここからは雪が少ないため、荒川小屋までトラバースの夏道を歩くことができる。
途中から日なたにでると風もなくまるで春のような暖かさ。
途中で夏道とトレースが消え、ツボ足ラッセルがしんどくなったので、スノーシューに履き替え荒川小屋まで。
ここも立派な小屋。ここでこれからの登りのために一息つく。
ここからは夏道ルートをたどることはできないので、稜線へ復帰する。
稜線まではスノーシューでいきアイゼンに履き替える。
前岳まで400mのコンタ上げだが、見上げた斜面に雪がなく、めんどくさそうだ。
なんとか雪のあるところをつなぎながら標高を上げてくが、昨日までの疲れもありなかなか登るのがしんどい。
左手に見える大崩壊地はさすがの迫力だ。
途中岩稜を右手から急なトラバースで巻いたところがあったが、それ以外は特に難しいところはない。
何度か偽ピークに騙されながらも荒川三山の一つ目、前岳へ。
再び3000m越え。
振り返れば赤石がどっしりと構え、北岳、間ノ岳、農鳥岳、塩見岳、甲斐駒、仙丈と北部の山が一望でき、さらに遠くには一層白い北アルプスが後立まで望める。
もちろん富士山もよく見える。
続いて中岳へ歩を進める。ここにも立派な避難小屋があり、小休止。
残すは悪沢岳だが、三山といいつつこれだけ明らかに独立している。
悪沢岳の登りに差しかかるまでは少し細い雪稜が続く。
その雪稜の奥にどっしり構える悪沢岳はさすがのかっこよさ。
登り自体は雪が少ないため雪の付いた夏道をたどることができる。
ところどころ岩の段差を越えたりしながら、ピークを目指して登っていく。
最後の力を振り絞って、今山行最高点の悪沢岳山頂にたどり着いた。
見えるものは変わらないが、ここまでたどり着いた達成感は得も言えない。
握手とピーク写真を撮って、今日の宿泊地の千枚小屋を目指す。
丸岳までは尾根上に岩稜があるが、適当に巻いたりしてかわしていく。
丸岳は名前のとおり開けていて気持ちのよいところだ。思い思いに歩いて、続く千枚へ。
千枚までは痩せ尾根に岩稜があり、岩登り交じりの登り返しとなる。
もう登り返しに関しては無心だ。
千枚のピークで稜線の景色に別れを告げる。しんどいがいざ稜線から下ろすのはさみしいものだ。
適当に夏道であろうところをたどると、あっという間に樹林内へ入っていく。
もう4時も過ぎ夕暮れという中、小屋を目指す。少し積雪が増え歩くのがしんどい。
微妙に小屋の位置がわかりづらく、疲労がマックスになったあたりで小屋発見。
小屋に下ろすところでは富士山よく見え、それが赤富士となっていて素晴らしかった。
そして、ようやく千枚小屋に転がり込んで今日の行動終了。日没ぎりぎり、久々にヒラヒラになった。
ちなみに小屋には単独行の方がおり、聞けば聖平からの縦走。そのすごいガッツだと驚かされた。
ちなみに千枚小屋は冬季でもトイレが解放されていてありがたい。
晩御飯はペミを食べきったため棒ラー。
素食だが、油が体にしみわたる。ありたっけのつまみやらスープやら酒やらで、疲れた体を癒す。
新年の会心の乗っこしを終えた達成感と疲労感を胸に眠りに落ちた。
2日 気合いの一気下山
今日は椹島を経由して畑薙ダムまで一気下山を目指す。
今日はゆっくりめに起きて日の出とともにデッパ。
美しい東雲が広がり、雲海に浮かぶ富士山の横から今日も太陽が昇る。
最高の夜明けを楽しみながら出発。
ラッセルもあるかと思い、スノーシューで出発したが、トレースはばっちりだった。
今日もそこそこ天気が良いが、風は強い。
シラビソの樹林内に入っても風が吹き荒れている。
不思議なことに赤石岳の尾根よりもこちらの千枚尾根のほうが積雪が多い。
雪が少なくなってからはスノーシューからアイゼンに変えて下る。
1800m過ぎの清水平を過ぎたあたりで雪はなくなった。
途中展望台から、昨日歩いた稜線を望む。
昨日歩いていたのがウソみたいに稜線が遠くなってしまったが、1日でなかなか歩いたことを実感できた。
下部のほうは地形図通り夏道はついておらず、1437ポコに一度登り返し、送電線沿いにあるいてから沢筋に下りる。
滝見橋直前に滝の下を通りが氷結して転倒してしまった。
下手すると滑落するので要注意だ。
そして椹島へ帰ってきた。しかし、ここで終わりではない。デポした荷物を回収し、一休み。
水を飲み、行動食を食べて、沼平のゲートを目指す。
椹島のライブカメラのところで白い赤石は見納だ。
あとは気力で歩くのみ。
雑談をして、話題もつきたら大声で歌ったりしながら歩き続けて、日が沈んで暗くなりかけたくらいで愛車のもとへたどり着いた。
白樺荘では営業時間を過ぎているにも関わらずお風呂に入れていただけた。
あとは、今年初の棒ラー以外の飯を胃にかきこみ帰路へ。
少雪などに助けられたこともあったが、4泊5日の山行を完遂でき、最高の2016年の山のスタートを切ることができた。
今年もひよらず、いろいろな山に挑戦していきたい。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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その節はお世話になりました。
千枚小屋で御一緒させて頂いた者です。
1日で赤石岳避難小屋から千枚小屋に来たと聞き、よく歩いたなぁ、
と感心させられました
そして、翌日は千枚小屋から沼平のゲートまで1日で下山とは・・・(笑)
素晴らしい健脚です。
ちなみに私は、翌日の椹島からゲートまでの林道歩きで足がガクガクになりました^^;
なにはともあれ、お互い素晴らしい年末年始を過ごせましたね。
ぜひ、今度、東北の山へもいらして下さい。
山を深く楽しむ御二人にはオススメの山や沢が沢山ありますので。
そして、そこでまたお会いする事が出来れば嬉しく思います。
これからも御活躍を期待しております
Luskeさん
こちらこそ、稜線や千枚小屋までのトレースに助けられました。ありがとうございます。
歩けるだけ歩いてしまうのもいいですが、やっぱり山のなかでゆっくり過ごすのが一番な気もします。・・・
東北は学生時代は夏ばかり行っていたので、春の白い山をのんびり歩いてみたいものです。
また、どこかでお会いしましょう。
Luskeさんの山行に幸あれ!
やっぱり林道が長いと空いてますね。冬山は空いてるのが一番です。
小渋川(信州側)から10年ほど前に登りました。大聖寺平にイグル―、悪沢アタック、赤石、大沢岳のっこし、聖アタックでした。山頂の太い看板の色がすっかり色あせているね。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-21130.html
赤石であったガイド氏は花谷くんではないかな?いい男だったでしょう。ピオレドールの山梨在住クライマーです。ちょうど年末年始にそこ行ってたみたい。
yoneyamaさん
お久しぶりです。そして明けましておめでとうございます。
そうなんです!赤石岳避難小屋でご一緒しました。
どこかで見たことあるなと思っておりて調べてみたら花谷さんでした。
さわやかな屈託のない笑顔のナイスガイでした。
確かに山深さ際立つ静かな山域でした。
林道歩きはしんどいので次行くときはもっと手前から主稜線に乗りたいです・・・。
そしてイグルー山行!大聖寺平は今回はテンバとしは不可でしたが、イグルーが作れればいいBCになりますね。
イグルーもさることながらケルン作りも楽しそう・・・
昨年はイグルー作れなかったので、今年こそはイグルー山行を実現したいです。
白山なんてイグルー向きだと思い虎視眈々と狙っています。
またyoneyamaさんともご一緒したいです。
今年もよろしくお願いします。
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