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Yamareco

記録ID: 96871
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
白馬・鹿島槍・五竜

鷲羽岳(百名山53)水晶岳(百名山52)烏帽子岳

1999年08月04日(水) 〜 1999年08月07日(土)
 - 拍手
hagure1945 その他1人
GPS
80:00
距離
38.7km
登り
3,486m
下り
3,303m

コースタイム

8月4日23:00新宿
8月5日5:20-600新穂高温泉6:50笠分岐7:55-8:00小池新道8:18-22沢8:55-9:00いたどりヶ原10:30-11:00鏡平小屋12:00-12:10稜線13:20-50双六小屋16:05-10三俣分岐16:40三俣山荘
8月6日
5:45三俣山荘6:55-7:10鷲羽岳7:55-8:00ワリモ北分岐8:35-45水晶小屋9:15-40水晶岳10:00-10:15水晶小10:45-11:0東沢乗越13:20-40野口五郎岳15:15-25三ツ岳16:15烏帽子小屋
8月7日
5:45烏帽子小屋6:20-45烏帽子岳7:20-25烏帽子小屋8:05-15三角点10:20-10:22ダム10:35-40高瀬ダム(タクシー)12:05-13:15大町駅
天候 晴れ
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
新宿発夜行バス利用
鏡平から槍ヶ岳
槍ヶ岳尖りは雲に隠れいて鏡池には映らぬももさみし
鏡平から槍ヶ岳
槍ヶ岳尖りは雲に隠れいて鏡池には映らぬももさみし
乗越に出ると鏡平を下に見て稜線にでた。
乗越に出ると鏡平を下に見て稜線にでた。
弓折乗越からの双六(左)と遠くに鷲羽岳
弓折れの乗り越しに見ゆ鷲羽岳遠くにあれど姿優雅に
弓折乗越からの双六(左)と遠くに鷲羽岳
弓折れの乗り越しに見ゆ鷲羽岳遠くにあれど姿優雅に
双六が近づく。
双六の小屋前から鷲羽岳です。威風堂々としている。
双六の小屋から見つる鷲羽岳威風堂々見事なり
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双六の小屋前から鷲羽岳です。威風堂々としている。
双六の小屋から見つる鷲羽岳威風堂々見事なり
三俣山荘と鷲羽岳への登り
立山と槍穂高との真ん中にアルプスつなぐ鷲羽岳
鷲羽池火の山ならん跡のこしずっしり重し山の姿よ
三俣山荘と鷲羽岳への登り
立山と槍穂高との真ん中にアルプスつなぐ鷲羽岳
鷲羽池火の山ならん跡のこしずっしり重し山の姿よ
三俣蓮華の小屋から槍ヶ岳、右が双六で西鎌尾根が伸びている。
雲せまる天突く槍の尖りみて穂高につづく稜線を追う
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三俣蓮華の小屋から槍ヶ岳、右が双六で西鎌尾根が伸びている。
雲せまる天突く槍の尖りみて穂高につづく稜線を追う
中央の赤い尾根は硫黄尾根です。この尾根で昔、FACというクラブの友が雪庇を踏み外して谷に落ちて亡くなった。遺体を見つけたのは春になってからだった。
この硫黄尾根を見るのも目的の一つでもあった。
友死せる硫黄の尾根の肌赤し彼の歌本大事にもてり
中央の赤い尾根は硫黄尾根です。この尾根で昔、FACというクラブの友が雪庇を踏み外して谷に落ちて亡くなった。遺体を見つけたのは春になってからだった。
この硫黄尾根を見るのも目的の一つでもあった。
友死せる硫黄の尾根の肌赤し彼の歌本大事にもてり
三俣蓮華からの、水晶岳かな
黒部川その源の山らなぶ水晶鷲羽岳大鷲の飛ぶ
三俣蓮華からの、水晶岳かな
黒部川その源の山らなぶ水晶鷲羽岳大鷲の飛ぶ
三俣蓮華山荘
アルプスの真中に立てる山小屋に夕暮てきてしずかなり
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三俣蓮華山荘
アルプスの真中に立てる山小屋に夕暮てきてしずかなり
これはきれいに槍ヶ岳と硫黄尾根
暮れゆけば雲を背にして槍ヶ岳巌尾根広げ天そそり立つ
これはきれいに槍ヶ岳と硫黄尾根
暮れゆけば雲を背にして槍ヶ岳巌尾根広げ天そそり立つ
鷲羽岳山頂。百名山ですよ。
黒部なる大河の一滴落ちるらし鷲羽にワリモ祖父の岳から
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鷲羽岳山頂。百名山ですよ。
黒部なる大河の一滴落ちるらし鷲羽にワリモ祖父の岳から
鷲羽岳その頂きにわれ立てば山と言う山遮るものなし
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鷲羽岳その頂きにわれ立てば山と言う山遮るものなし
鷲羽池
竜の池と言われたる小さな池を眼下に見ており
幾億の時間が過ぎたこの星の小さな襞にわれ立てる
鷲羽池
竜の池と言われたる小さな池を眼下に見ており
幾億の時間が過ぎたこの星の小さな襞にわれ立てる
雲の平の奥に槍ヶ岳。水晶岳から撮った写真にちがいない。
雲の平手前において三俣を越えてはるかに槍聳え立つ
雲の平の奥に槍ヶ岳。水晶岳から撮った写真にちがいない。
雲の平手前において三俣を越えてはるかに槍聳え立つ
黒部五郎のカール
われが立つ水晶岳の翳越えて黒部五郎の残雪光る
黒部五郎のカール
われが立つ水晶岳の翳越えて黒部五郎の残雪光る
水晶岳から雲の平
巌山の幾連らなれる真中に雲の平は神憩う原
数多ある峰々におわす神々が集える原か雲の平は
水晶岳から雲の平
巌山の幾連らなれる真中に雲の平は神憩う原
数多ある峰々におわす神々が集える原か雲の平は
水晶岳の稜線から雲の平と黒部五郎岳
山ありてわが人生は豊かなり苦しみ耐える源にあり
水晶岳の稜線から雲の平と黒部五郎岳
山ありてわが人生は豊かなり苦しみ耐える源にあり
水晶岳山頂
遠い日に憧れ抱いた水晶と言う頂きにわれ友ときたれり
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水晶岳山頂
遠い日に憧れ抱いた水晶と言う頂きにわれ友ときたれり
水晶岳の稜線から雲の平と黒部五郎岳
夢として残れる原の雲の平雲降りてきて隠しゆくなり
水晶岳の稜線から雲の平と黒部五郎岳
夢として残れる原の雲の平雲降りてきて隠しゆくなり
水晶小屋
赤岳の頂に立つ水晶の小屋古びれてこころもとなし
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水晶小屋
赤岳の頂に立つ水晶の小屋古びれてこころもとなし
東乗越を過ぎる付近からかい一時の時間
のびやかに翼を広げる水晶岳の奥に赤牛しずまれり
水晶のカール谷水堕ち下り黒部の深き湖になる
東乗越を過ぎる付近からかい一時の時間
のびやかに翼を広げる水晶岳の奥に赤牛しずまれり
水晶のカール谷水堕ち下り黒部の深き湖になる
野口五郎岳山頂
まっしろな雲中にいて視界なし野口五郎の頂き哀れ
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野口五郎岳山頂
まっしろな雲中にいて視界なし野口五郎の頂き哀れ
高瀬ダム方面への谷
雲の下高瀬の谷の現れてはるかにみえるダムの湖
高瀬ダム方面への谷
雲の下高瀬の谷の現れてはるかにみえるダムの湖
三ツ岳山頂
三ツ岳と危うく読める道標も周囲の眺めも雲閉ざす
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三ツ岳山頂
三ツ岳と危うく読める道標も周囲の眺めも雲閉ざす
三ツ岳の稜線
悟堂詠む大鷲の飛ぶ三つ岳の空もま白に鳥も鳴かずか
*悟堂とは歌人中西悟堂のこと。
三つ岳の稜線歩きは楽しい。
確か残雪があって水が飲めた。
三ツ岳の稜線
悟堂詠む大鷲の飛ぶ三つ岳の空もま白に鳥も鳴かずか
*悟堂とは歌人中西悟堂のこと。
三つ岳の稜線歩きは楽しい。
確か残雪があって水が飲めた。
三ツ岳から裏銀座の稜線かな
三ツ岳から裏銀座の稜線かな
稜線の雲の中をば歩き来て雲去れば水晶岳黒し
水晶小屋から東乗越の部分を越えれば野口五郎、三つ岳の稜線は楽しいものだった。これで天気が良ければいうこと無しだが、雲に覆われていた。だが烏帽子小屋にちかくなるころ雲があがって、展望がえられた。
稜線の雲の中をば歩き来て雲去れば水晶岳黒し
水晶小屋から東乗越の部分を越えれば野口五郎、三つ岳の稜線は楽しいものだった。これで天気が良ければいうこと無しだが、雲に覆われていた。だが烏帽子小屋にちかくなるころ雲があがって、展望がえられた。
烏帽子小屋小屋に午後4時過ぎに到着。
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烏帽子小屋小屋に午後4時過ぎに到着。
ガラス窓透かして探す天の川漆黒の空満天の星
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ガラス窓透かして探す天の川漆黒の空満天の星
早朝の稜線。烏帽子岳に向う
さわやかな風そよぐ朝烏帽子岳への道しずかなり
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早朝の稜線。烏帽子岳に向う
さわやかな風そよぐ朝烏帽子岳への道しずかなり
残雪を一条のこし黒々と水晶ヶ岳凛として朝
残雪を一条のこし黒々と水晶ヶ岳凛として朝
針ノ木方面の稜線 右、蓮華岳に針ノ木岳(中)、手前が七倉岳かな。
針ノ木方面の稜線 右、蓮華岳に針ノ木岳(中)、手前が七倉岳かな。
朝の空青く光りて烏帽子針ノ木真向っており                                                                                                                                                                                                                                                                                          
朝の空青く光りて烏帽子針ノ木真向っており                                                                                                                                                                                                                                                                                          
烏帽子来て岩に遊べるひと時を過ごせば愉快腹から笑う
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烏帽子来て岩に遊べるひと時を過ごせば愉快腹から笑う
烏帽子岳への登山口(ブナ立尾根登山口)
ブナ立の急なる尾根を駈け下り山中二泊の旅をおえたり
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烏帽子岳への登山口(ブナ立尾根登山口)
ブナ立の急なる尾根を駈け下り山中二泊の旅をおえたり

感想

鷲羽・水晶・烏帽子縦走 1999年8月4日-7日
1999年8月の記録。百名山のうち鷲羽岳と水晶岳に登る。
裏銀座のコースは初めて通る。友人の横山さんと二人旅。初日に新穂高温泉から三俣蓮華まで入れてよかった。
鷲羽岳がなぜ百名山なのか、少し疑問に思うところがあったが、双六から眺めると威風堂々としている。水晶岳はその読売新道の長い稜線にあるけれど、名前もいいし、形もいい。
水晶小屋は、北アルプスの小屋の中では一番ひどいのではないかな。水がないのがつらいところだろう。
烏帽子は小屋から往復して高瀬ダムに下る。
もう十二年も前になる。私が五十四歳で横山さんが五十九歳、その後横山さんは癌になり、いまでも健在だが、往時のパワーはない。でも弓道三段でがんばっている。私も六十三歳で癌になった。大腸癌だったが、まだ生きてレコに記事を書いている。このときの記録ももう一度整理する必要があるだろう。
雲の平にはまだ足を踏み入れていない。このときに眺めているけど、その後それほどそそられるものがなかった。
しかし、もう一度元気なうちにこの二座も登り返しておこう。読売新道も歩きとおしてみたいものだ。写真が古ぼけていて美しくないが、槍ヶ岳と硫黄尾根の写真はいいとおもう。また撮りにいくことにしよう。(2011年ヤマレコに投稿時)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8月4日23:00新宿
8月5日5:20-600新穂高温泉6:50笠分岐7:55-8:00小池新道8:18-22沢8:55-9:00いたどりヶ原10:30-11:00鏡平小屋12:00-12:10稜線13:20-50双六小屋16:05-10三俣分岐16:40三俣山荘
仕事仲間でもあった横山氏とは幾度か山に行っていたが、裏銀座を歩こうと言う計画を立てて誘った。8月4日に新宿から新穂高温泉への夜行バスを利用して出かけることにした。帰りは大町に出るので車はつかえない。

アルプスの山に入るべし朝明けに槍穂の空気肌に感じる

進穂高温泉のバスターミナルに到着したのが、5日の午前5時20分ですでに明るかった。二人ともきわめて元気で、身支度をし、腹ごしらえをして、6時に双六に向けて歩き出す。新穂高からの道は以前にも歩いているので、私には懐かしい。笠分岐まで小一時間、おしゃべりしながら歩く。笠ケ岳へ妻と歩いたのが6年前だ。ここへ下りてきた。

六年も前のことかと思いつつ左股林道涼やかな風

ここからしばらく行くとわらぼ平小屋がある。素通りして秩父沢と出会う処から小池新道に入るところで一息ついていたどりヶ原で登りで、沢のわらび小屋がある。素通りして、いたどりヶ原までいき、沢のところで一息休む。こkでゆっくり休んだ。鏡平まで1時間の登りだが、一息で登る。穏やかな風景が見えてくると鏡平らだ。槍ヶ岳が正面に見えてくる。鏡平から前で写真をとる。
「横さん槍が見えるよ。」
「いいとこだね、右は穂高だな。」
嬉しそうに眺めている。横山さんもこの領域は初めてのことだ。池の周りで休んで小屋には寄らずに双六を目指す。今日は三俣蓮華まで足を延ばしたい。     
鏡平から双六の稜線へはキツイ登りであるが、背後に槍と穂高の稜線が高度を上げるごとに大きく見えてくる。槍ヶ岳の尖りもそうだが、穂高のどっしりとした姿が「でかい」と思わせる。弓折乗越からはまた風景が変わる。前方に双六の山が見え、左には笠が岳が見えるのだ。風景が変わってアルプスの背骨を歩くようになる。
ちょうどお昼の時間に乗越にでた。少し休んで、眺望を堪能しながら双六小屋に向う。
「三俣まで行けるでしょう?」
「大丈夫だよ」と横山さんの元気な返事。テント場が見えてくれば小屋は近い。双六に近づくと西鎌尾根と三俣へのカールの道の間に鷲羽岳が見えてくる。
双六ですね 双六の小屋前から鷲羽岳です たぶん三俣蓮華から槍ヶ岳 
歌集「立山」の作者、柳瀬留治は槍ヶ岳から三俣にきて、黒部五郎から薬師に抜けていく道を歩いて歌を詠んでいるが、鷲羽を詠む歌が無い。また、中西悟堂が歌集「安達太良」に黒部源流を詠んでいるが、その縦走の添え書きに、「赤岳から鷲羽へ登らず」に」三俣蓮華の小屋に急いだのは天気が崩れるからだったとある。

立山と槍穂高との真ん中にアルプスつなぐ鷲羽岳
鷲羽池火の山ならん跡のこしずっしり重し山の姿よ
黒部なる大河の一滴落ちるらし鷲羽にワリモ祖父の岳から
雲せまる天突く槍の尖りみて穂高につづく稜線を追う  
(硫黄尾根を眺めて)
友死せる硫黄の尾根の肌赤し彼の歌本大事にもてり
黒部川その源の山らなぶ水晶鷲羽岳大鷲の飛ぶ
暮れゆけば雲を背にして槍ヶ岳巌尾根広げ天そそり立つ
三俣蓮華からの水晶岳と鷲羽 これはきれいに槍ヶ岳と硫黄尾根 黒部五郎のカール
            、 
8月6日
5:45三俣山荘6:55-7:10鷲羽岳7:55-8:00ワリモ北分岐8:35-45水晶小屋9:15-40水晶岳10:00-10:15水晶小屋10:45-11:0東沢乗越13:20-40野口五郎岳15:15-25三ツ岳16:15烏帽子小屋
    
朝は一番で食事して、5時45分に小屋を出た。朝の小屋は賑やかだ。鷲羽への登りは見た目より時間がかかった。やはり山が大きいのだ。1時間以上かかったが、高度を上げるほどに天下一の光景が広がった。眼下に地佐奈噴火口の跡と言う和紙は池があり、昔は竜池と言われ、この山も噴火口を巡る外輪山の一つだと言う。鷲羽の由来は江戸時代にさかのぼるが、今の三俣蓮華岳が、そう呼ばれ、今の鷲羽は東鷲羽岳と名付けられていたと言う。私からすれば鷲の頭の様な山だと思える。しかし、冠松次郎の「黒部渓谷」を見ると鷲羽は脇役である。黒部五郎を越える道がメインにされている。今の地図では廃道に成っている金木戸川につけられた道があったのだ。黒部の源流は赤牛や水晶岳に向けられていたようだ。それはまた別にして鷲羽の山頂は「山と呼ぶ山はことごとく四方に、此処はその渦巻の中心に位して、眼を遮るものは少しもない」*と絶賛された(*1909年(明治42年)に登頂した辻村伊助「飛騨山脈の縦走』第4日紀行)→(「とよた時著「山の神々いらすと紀行」より引用。
改めて考えると、この山が不遇であるのは理に沿わない。このような北アルプのへその山が不人気であって良いわけがない。
しかしながら、この山は全くの意味で遠いのだ。新穂高温泉から入っても、七倉から入っても、一泊は要する。またここから下っても同様にその日のうちに帰宅するのはできないだろう。つまり北アルプスの奥山に位置することが原因と言えるだろう。したがってこの山をめざしてくるのは百名山ハンターぐらいしかいないのかもしれない。
この時はかようなことは考えずに面白く登ったし、鷲羽の眺望も楽しんだ。まだデジタルカメラもスマホもない時だから写真もわずかしか取っていないのだ。
まだ時間的には早い時間で、ワリモ分岐へ下り、水晶小屋へ。道は格別に難しくもなく、横山氏と稜線散歩の漢字であった。
水晶小屋へは8時35分に着いたので一休みして水晶岳に向うことにする。今回のメインはこの水晶岳に登ることでもあった。だが残念なことに、総じてこの時の印象が弱いのだ。水晶小屋は北アルプスの中では一番ボロイ小屋ではないかと燃えるほどで、しかも水に不便そうな小屋なのだ。水晶小屋から水晶岳まで45分ほどで登った。そして写真にある様に雲の平と黒部五郎のカールが見られる良いポジションを提供しているのだ。
水晶岳へ向かう。道は良くて雲の平を左にみながら登る。雲の平は一度は生きたいところだが、いまだ一度も行けていないのだ。雲の平小屋が建替えられているので、新しい小屋に一泊したいものだ。水晶小屋からは30分程度で登れるのだ。
水晶岳と言う名前は後からつけられたもので、以前から黒岳と呼ばれていて、水晶小屋が立っているところが赤岳と言われていたところらしい。高天原からワリモ分岐へ出だしに、池があり、その池が黒岳の姿を映しているのだった。

アルプスの最奥にある雲の平テント担いでソロキャンプせむ
雲の平ひねもすのたり歌詠みに一度はいかむおのが為

雲の平へは一度機会があった。松本のメンバーと行くことにしたのだが、体調が悪く鏡池でリタイヤーしたことがあった。         
だから一度は死ぬ前に行かないといけないのだ。水晶岳の山頂は人も多く賑やかだった。
水晶岳山頂からの展望は素晴らしく、雲の平が眼下に広がり、黒部五郎とそのカールが正面にみえ、更に左に目を移せば槍ヶ岳が両翼に羽を広げるように豪華に見えた。槍ヶ岳のすべてを見るようで感動する。水晶岳の位置は北アルプスのすべてを捕えるに最高の場所かもしれない。確かに鷲羽もそうだが、私は水晶岳を薦める。実際のところ甲乙つけがたい。

(水晶岳より)
雲の平手前において三俣を越えてはるかに槍聳え立つ
われが立つ水晶岳の翳越えて黒部五郎の残雪光る
巌山の幾連らなれる真中に雲の平は神憩う原
数多ある峰々におわす神々が集える原か雲の平は
山ありてわが人生は豊かなり苦しみ耐える源にあり
遠い日に憧れ抱いた水晶と言う頂きにわれ友ときたれり
夢として残れる原や雲の平雲降りてきて隠しゆくなり
(野口五郎岳稜線)
のびやかに翼を広げる水晶岳の奥に赤牛しずまれり
水晶のカール谷水堕ち下り黒部の深き湖になる
ましろなる雲間おれば視界なし野口五郎の頂き哀れ
     
山頂で堪能してから小屋にもどり、東乗越から今日の宿烏帽子小屋へ向かう。乗越を越えると野口五郎岳から三つ岳への稜線あるきだが、生憎雲に覆われてしまった。4時15分に烏帽子小屋に到着。この稜線は格別ののどかさがあるうように思えた。北アルプスの中では特異に思う。三つ岳の印象も強い。小屋の前で二人の写真を撮ってもらう。
今日は余裕で、夕食を食べた後の夜はくつろいだ。明日は烏帽子から高瀬ダムに下る。
(烏帽子小屋)
9時消灯小屋静まって明日をまつ眠りに見るや北斗七星
ガラス窓透かして探す天の川漆黒の空満天の星

8月7日
5:45烏帽子小屋6:20-45烏帽子岳7:20-25烏帽子小屋8:05-15三角点10:20-10:22ダム10:35-40高瀬ダム(タクシー)12:05-13:15大町駅
5時45分に荷物を置いて烏帽子岳を往復する。烏帽子は山頂の大岩が烏帽子のように見えるからで、その稜線上にはお花畑と池塘があって美しい場所なのだ。40分ほどで烏帽子岳に着き、散策して小屋にもどる。池塘も少し歩いたが、陽の足りない池塘はさみしい。ほどほどにして小屋にもどり、いよいよ下山となる。二泊三日ではあるが鷲羽岳と水晶岳と言う百名山の二座の山頂を踏んで私は満足であった。

さわやかな風そよぐ朝烏帽子岳への道しずかなり
朝の空青く光りて烏帽子針ノ木真向っている 
烏帽子来て岩に遊べるひと時を過ごせば愉快腹から笑う    

ブナ立の急なる尾根を駈け下り山中二泊の旅をおえたり

ブナ立の登山口から高瀬ダムを渡ると対岸にタクシーが待っていたのだ。横山さんと大町までタクシーで大町駅に着いて、都合よく大町発の特急に乗って東京に帰ることができた。
(2021.4.26改変)

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