山人生の転機（Ⅳ）

2010年11月15日 22:11山岳クラブ全体に公開

昭和の匂いの溢れた雑居ビルの階段を3階まで上っていくと、まだ扉は閉められ灯りも点いていない。
緊張しながらもノックしてから鉄の扉を開けると、薄暗い中、奥行きの有る広めの部屋には古びた
事務テーブルが並び、手前には使い込まれた皮張りのソファーが置かれている。白板が置かれている
所などいかにも昭和の会議室を思い出させる造りになっている。
もう開始5分前だが、やはりS氏は集まりは良くないと言っていた通りのようだ。緊張したまま階段を
下に向かって下りていくと、1階の入り口に白髪の紳士が立っている。一瞬S氏？とも見えるが別人の
ようにも見える。誰かはっきりとは解らないのだけれども一応会釈する。自分の少し困惑したような
表情を察してか紳士は話しかけてきた。「この間の人でしょ」。やはりS氏だ。着ている物が変わると
大分イメージも違って見える。S氏の後ろについてまた3階へと登り返す。部屋の明かりを点けると
「適当にすわって」と案内される。「うちは集まりが悪いから」とS氏。そのまま2人で腰を掛けクラブ
の活動内容などの話を伺う。今日はもう一人入会希望者が訪れることになっているそうだ。

しばらくするとS氏と同世代くらいに見受けられる方が入ってきた。後に知ることになるのだが日本
登攀クラブ前代表のN氏だ。今はフリークライミングに傾倒しているようす。クラブには色々なタイプ
の方がいるそうでフリークライミングが好きな者、アイスクライミングが好きな者、ボルダリングに
傾倒している者、アルパイン好きなど。誰それは今は12bだがキャリアピーク12dまでいった。誰々は
ボルダリング4段。そして私に「どうだ15を目指しては」私「ま、まだフリークライミングは始めた
ばかりで6ヶ月ちょっとです。。全然フリーの身体は出来ていません。。もう少し現実的なところを。。
フリーはアルパインのトレーニングとして始めました。。」
「じゃあ、あれだ。なんて言ったっけ。滝沢第1だっけ。有名なやつ」私「3スラですか。。」「そうだ。
あれ行ってこい。」私「え゛。。いや。。な、雪崩が。。」・・こりゃぁとんでもない所へ来たかな。。
いや。。たのもしいということにしておこう。。

2010-10-29 山人生の転機（Ⅲ）

2010-11-30 山人生の転機（Ⅴ）

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