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深き道理を得んと朝鍛夕錬してみれば、おのずから兵法の道にあう事、我五十歳の比也。
直なる所を基とし、実の心を道として、兵法を広くおこない、ただしく明らかに、大きなる所をおもいとって、空を道とし、道を空と見る所也。
2月になり軽い腸炎に罹ってしまい、体調もだがそれよりもモチベーションがすっかりと下がってしまった。シビアな山へ行くには、やはりそれなりの精神力や動機が必要であり尚且つ重要なのだろう。
クライミングジムの方も店舗の改装に伴い1ヶ月以上空けることとなったが、こちらも驚くほどクライミング力が落ちていた。確かにPUMP2はグレイドが辛目と言われているのだが、それにしてもPUMP2復帰初日は4級が1本登れただけで、あとはサッパリダメだった。1ヶ月でこれほどまで落ちるとは驚きだ。やはりクライミングという行為が非日常的な要素のとても強いものなのだろう。
グレイドがそれなりに高くなってくると40才台半ばのにわかクライマーの自分としては、身体能力が落ちるのもすこぶる早いようだ。
ボルダリングは3級を越えるのが1つの目安となるようで、この辺りから日常的な行動で使われている筋力などよりも大分違ったものになるのだろう。怪我をするのもこの辺りからが多いようだ。
身体を構成する筋肉には600種類以上有るそうで、私はその中の大きな筋肉からアップを初め、徐々に小さな筋肉へと移行していく。アップせずに自分の良いときのイメージのまま身体を使うと、全く筋肉が対応しきれずに腱や関節などに大きなダメージを与えることになる。
使われていない筋肉を目覚めさせるのに、コアトレや軽く叩いたりするのも有効のようだ。これは今年の初めに左肩甲骨辺りの痛みが3ヶ月経っても消えないので、カイロプラティックにかかったのだが、その時に体の痛みと他の部位との関係や神経系への刺激による不思議などを知った。ただいろんな意味で自分の通ったところへ他人を進められるかは微妙。。
以前ならジムは1日2時間半くらいもやれば、すっかり身体力も落ちマックスチャレンジなど出来なくなるのだが、最近はこの身体に刺激を与える方法で、まだ長くチャレンジを続けることが出来る。
そして最近その重要性を強く感じているのは、食事とレスト、心肺機能を大きく使う全身運動だ。
トレーニングは神経系の発達と身体の細胞を壊しては再生させる超回復の繰り返しで強化しているので、いかにそのサイクルを早めるかが上達のスピードに関わってくる。
食事は以前、やたらと高たんぱくを摂っていた時期も有ったが、今は量も落とし大分植物性に移行している。きっかけは以前他でも紹介されていた「ボーン・トゥ・ラン」に出てくるカリスマトレイルランナーのスコット・ジュレクが完全ベジタリアンだと読んでからだが、もともと自分の趣向や体質に合っているし、そんなことが有るのかと驚きの気持ちが強かった。優れたクライマー達を見ても重たそうな筋肉質の身体をしている者は皆無に近い。筋肉をやたら膨らましても直ぐに落ちるし壊れやすいようだ。クライミングはいかにパンプさせないで登るかだとY前代表も言っていた。
またテンセグリー構造という考え方が有り、最近のドーム型構造のテントと同じように細胞の枠で支えているというものだ。この辺の理論はまだ確立はされていないようだが一理有ると思える。
質の高いレストを如何にとるかで副交感神経の活性化や身体中に流れている体液の流れも変わってくる。
クライミングを激しく登ると体中の細胞の劣化も激しい。24時間では身体は回復しきらなく、レスト48時間でもそれを続けると厳しい。そのクライミングレスト中、何も運動をしないより走ったり泳いだりと心肺機能を上げて全身運動をすると体の中での循環が活性化し老廃物を流し修復しているペースが上がっていると思う。
実際に毛細血管や体内のミトコンドリアの量も増え代謝も活発になるようだ。
トップアスリートは試合の後にマッサージを受けるが、当然そんなことはできない。しかしその代わりと言ってはなんだが、最近郊外に増えているスーパー銭湯の強力なジャグジーがその代わりになっている。酷く痛んでいるときは、これに長く当たると疲労や痛みがかなり消える。ジムではクライミング後は手のアイシングをし、軽く栄養補給。できれば軽くジョギング、ジャグジーでマッサージ、ストレッチ。十分な栄養補給。ストレスを残さない睡眠。とやれば十分だが普通の社会人としては中々そんなフルコースはキビシイ。。
3ヶ月くらい前にジムで薬指の付け根を酷く痛めた。強く被った壁のカチもちで薬指が残り、引っ張られたようだ。その日は左手では髪を洗うだけで激痛が走るような状態で片手で頭を洗うことになり、これは全治1週間はかかるかと思えたが3日で痛みは殆ど消えた。手をかばいながらだがジムで十分登ることができ、我ながらその回復力には驚いた。
ジム後のランニングは正直きつく、その時間をジムに当てた方が面白いのだが、長い目で見ると全身運動の重要性はかなり大きなもだろう。そしてそれを支えるのはモチベイションと精神力になる。ただ、がむしゃらな根性だけでは長くは続かない。なぜ必要なのか動機が必要だ。
と五輪書の前置を書くつもりが長くなり過ぎて疲れたのでとりあえず終了。。次はいつになることやら。。
じゃじーさんこんにちは
話は宮本武蔵に戻るのでしょうか?
いろいろへりくつ考えてからだと対話するの、おもしろいですよね。
動機は何ですか?ありますか?僕の場合なんだかよくわからないのです。
武蔵の「見切り」関するたとえ話は、クライミングにも通じますね。
kanemaru
yoneyamaさん、こんばんは。
とりあえず「へりくつ」は愛あることばと受け取らせていただきます
酒井雄哉大阿闍梨がよく書いていますが、人生に無駄なものなど1つも無いと。全てのものは関係しながら変化し続けているとはダライ・ラマ14世辺りが書いてたかな?
つづきで触れようと考えていましたが、武蔵自身も何度も触れている二天一流と他との大きな違いは相手を切るということが一番の前提になっているということです。刀で切るということは当然九分九厘死ぬでしょうし、相手も死に物狂いで向かってくるので、自分も切られれば死にます。時代背景も有るでしょうがその極限状態の中で勝ち続け顕されたものです。
また武蔵は清貧を貫き無欲を徹していたようです。
最近信長公記を読んでいますが信長は幸若舞の「敦盛」一番を大変に好み“人間五十年、下天の内を較ぶれば、夢幻の如く也。一度生を稟け、滅せぬ物の有る可き乎。”の節をうたいなれた口つきで舞ったそうです。
そして本能寺にて謀反を起こしたのは明智光秀と聞いたとき「是非に及ばず」と。
クライミングは自然の理を舞台にした最も解り易い行の場の1つと思います。努力をすれば、しただけ結果が付いてきます。
肉体的な変化とそれを支える精神力。そして続けることが大きな力になると思います。
まあyoneyamaさんの場合、家族を犠牲にしない程度にどうぞ
kanemaruさん、こんばんは。
すいません、今出張に出ていまして手元に五輪書がなく「見切り」に関する例え話を正確に思い出せません。。
前へ出るときや、引く時は引くといった辺りかな?
ちなみに今の所11日の月曜日にまたしても秋葉原パンプに行く可能性大です。
司馬遼太郎の「新説宮本武蔵」にあるくだり(以下引用)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
武蔵は道斎からたのまれて、この道意に兵法を教えた。
あるときこの少年が、
「お師匠さま。兵法は、どういう心得で修業すれば上手になれますか」
「わけはござらぬ」
武蔵は、部屋の敷居を指さし、
「あの上を歩けますかな」
少年は即座に、
「歩けると存じます」
「されば、あの敷居を一間も上へ吊りあげたとしたら、渡れるか」
「はて、それは怖うございまするな」
「では、敷居の幅を三尺にすれば?」
少年はちょっと考え、
「渡れまする」
「それを見切りという。自分が、これならば自分の手に合うという
判断の範囲が、見切りである」(中略)
「されば、その三尺幅の板を、姫路のお天守から僧位山の頂上まで
橋のごとくわたしたとしたら、おことは渡れようか」
少年は想像するだけでおびえ、
「それは見切れませぬ」
武蔵は、そこよ、とうなずき、
「モトモトは三尺幅の板にすぎない。
その位置が一尺の高さであろうと
百丈の高さであろうと同じことであるべきである。
しかし百丈ならば、落ちれば死ぬという不安の心がおこる。
兵法とは、不安を殺すことであり、よく見切って、不安を殺せば、
たちどころに達人になれる」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ってやつです。
kanemaruさん、なるほど。五輪書の原文には直接は無いものですね。ただこれは常々私も考えていました。
よく高所恐怖症の話が出ているときにこのことを思いますね。恐怖は自分が作り上げているもので、そこを克服できたら全く世界が変わると思います。
じゃじーさん
もちろん愛いっぱいです。冷やかしじゃないです。
クライミングと兵法の続きまた長くお願いします。
人の読んでいる古典を聞くと、世界が広がります。
日々鍛錬する元になる強い動機が自分にあるとすればそれは何かをはたと考えてしまいました。が、まず、日々鍛錬していませんでした。
家族との話で言えば、日々鍛錬の人もたぶん家族を忘れては長く続かないことでしょうね。犠牲しあってこその家族という面もありますけど。あ、武蔵は家族居なかったか。
山登りの中でも、クライミングに特化したジャンルは、最も鍛錬の継続を要求するジャンルですね。長く一定レベルを続けているだけでも稀少です。何十年も続けられる人は武蔵並に尊敬です。だから何十年も続けるには、クライミングに特化していないジャンルのツナギが重要になるような気もします。
yoneyamaさん、こんばんは。
武蔵は武士は兵法のみに限らず「武士は文武二道といひて、二つの道を嗜むこと、これ道也」とも書いています。
今、手元に五輪書が無いので記憶を辿っていますが、大工や商、農業、諸芸など他の職業を深く知ることも必要としています。
また当時の侍が死を乗り越えることが嗜みで特別という風潮をよしとはせず、他の農工商等でも同じ事と書いていました。
皆それぞれの立場が有り、自分の立場の中で全力で向かうことが美しいのではないでしょうか。
ちなみに昨夜は明け方の4:13までおつかれさまでした
近々山梨に来られるとの事、機会が有りましたら是非ご一緒させて下さい。
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