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夏を控え、札幌近郊の沢に関する珍しい記事、記録がないかと、「北海道の山」「山とスキー」などのバックナンバーを見てみたが、あまり変わったものは見つからなかった。最近の私のテーマの一つが「昔はよく登られていたのに、最近は忘れられてしまったルート」。それで今冬は手稲山に永峰沢から登ってみたりしたが、沢でも何か面白そうなものはないか?神威の木挽沢や定天の岩魚沢など、定山渓ダム・さっぽろ湖が出来て廃れてしまったところとか百松の常次沢ぐらいしか思いつかない。
山岳館に着いたのが3時近くで、4時には閉まってしまうので、あまり時間がない。文献探しは早々にあきらめて、興味のある書籍を探していたが、これも時間がないので深入りはできず。
高澤光雄氏の新刊「北海道の登山史探求」(北海道出版企画センター・北方新書)が既に書棚にあった。著者本人が最近来館したとのこと(そういえば来館者名簿には、やはり日本山書の会会員の清水敏一氏の名前もあった)。坂本直行に関する著書も近く出版されるらしい。「北海道の登山史探求」はHYMLで紹介されていて、買おうと思っていた本。
山岳館で6/25に行われる木崎甲子郎氏による講演「上昇するヒマラヤ」のチラシを戴き、紅茶を一杯ごちそうになって同館を後にする。近道でちょっと薮こぎして(写真)北18条駅に向かう途中、気になっていたログハウスの喫茶店「Monte Rosa」に寄ってみる。Tea roomと書かれていて紅茶がウリのようなので、また紅茶(=ニルギリ。これはアンナプルナ、ダウラギリのそばのニルギリとは関係ないようですね)を飲むハメに。しかし、北大祭のためか学生のような客がいっぱいで、外国人が大声で話していたりして落ち着かず、飲み終えてすぐに出る。
北18条駅そばの古本屋・北天堂に何年ぶりかで寄ってみる。あまり、そういう記憶がなかったが、ここは山岳書がかなり充実していた。札幌の古書店は、他にも南陽堂とか並樹書店とか石川書店とか、山岳書を扱っているところが多い気がする。
ウォルター・アンスワース著「そこに山があるから」(経済往来社・1968年刊)を1000円で購入。これはマロリーについての本ではなく、彼やウィンパー、ママリーを含む戦前の24人の登山史上のパイオニア(主に英国人)の評伝集。これを買ったのは、その24人の中に、ノーマン・コリーとかスリングスビーなど、ちょっと興味のある人が含まれていたから。また著者・アンスワースの「アルプスは再び征服された」を高校時代にかなり熱中して読んだ記憶があったのも一因。
その後、大通駅そばのリーブルなにわに行ったが、なかったので、オーロラタウンの紀伊國屋まで足を伸ばし、現金がないのでカードで「北海道の登山史探求」を買って家路についた。ちなみに同書はAmazonでは売っていなかった。
ところで、「そこに山があるから」にはグランドジョラスのウォーカー・ピーク、ウォーカー・バットレスの名前の由来になったウォーカー一家のことも書かれているが、昨日「北海道の登山史探求」を拾い読みしていて、今冬私が登った小樽の遠藤山が、ノルウェー・スキー術を初めて日本に持ち込んだ北大教授・遠藤吉三郎の名に由来することを初めて知った。
ケンさんこんにちは
「北海道の登山史探求」、ぼくも高澤さんに送っていただき、いま読書中です。この方の探求ぶりは大変息の長いものです。ようやく本になりましたね。読後は、感想文をAACHのHPにでもと思っています。
北18条の北天堂、山岳書が多いですよね。昔はあったかどうか記憶も無いのですが。18条界隈は拡幅工事して以降、前の風景が頭の中から飛んでしまいました。
札幌の、町全体の山岳古書の集まり方は、神田や早稲田通りや名古屋の鶴舞、上前津あたりよりも溜まっている印象があります。やっぱり手が伸びるのは千円台の「みつけ本」ですね。古本屋のある町が羨ましい。おとついは、弘前の古本屋で、「初歩の詰将棋」なんか買いましたけど(300円)。
僕も将来は山岳館の近くにでも住んでニルギリでも飲みたいものです。
ゆうべはこども寝かして8時就寝してたら10時過ぎに電話で起きて、その後眠れず結局読んでしまい、書いてしまいました。ご参考まで。
http://aach.ees.hokudai.ac.jp/xc/modules/AACHBlog/details.php?bid=644&cid=7
yoneyamaさん
書評読ませていただきました。
高澤光雄さんと言えば、私の中では「北の山脈」の頃から北海道の登山史研究の第一人者というイメージです。
この本は、体系的、網羅的な登山史ではなく、様々な雑誌等に別々に発表された文章をまとめたものですが、北海道の山という意味では共通でも、様々に視点の異なる各章のテーマが、異なる意味で興味を惹くものになっていますね。教科書的な登山史ではなく、裏面史というか登山技術史、登山文化史、登山風俗史とでもいうようなものも含まれているところが魅力でしょうか。
まだ、ほとんど読んでおりませんが、阿倍比羅夫の章は、古代史の謎に迫る興味。戦前の国威発揚と結びついたところなど「東日流外三郡誌」や「竹内文書」等の偽書論争を思い起こさせます。
「北海道における自殺山行三例」という章は、猟奇的というか三面記事的・タブロイド紙的な興味。首にゴムチューブを巻きつけて窒息しながらネオパラから滑降したという昭和初期の北大生の事件はまさにエログロナンセンスの時代ならでは。奥手稲へのシュプールが見つかったり、ヘルベチアの奥で別の腐乱死体が発見されたり、報道の過熱ぶりも、今では考えられませんね。
yoneyamaさんの書評のまとめの部分、なるほどと感じました。「山とスキー」に関する文章などは、加納一郎や板倉勝宣らによる雑誌づくりの細部がわかって興味深いです。引用部分に引用符が使われていないために、地の文章と混ざって、注意して読まないと、誰が語っているのか、「私」とは誰なのか、よくわからなくなってしまうところがあるのはちょっと残念ですが。
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