今日は、自分自身が意識せずとも、その行動が他の方に影響を与えてしまったことで体験した出来事を日記に書いてみたいと思います。
(結構、重い話になります。)
実はずっと前から下書き状態にして寝かせていたのですが、今日アップされたhastler1208さんの鋸岳レコを拝見したことがきっかけとなり、よい機会だと思いアップした次第です。
前置きはここまで、以下本編(?)です。
2019年7月13日、自分は南アの鋸岳に登っていました。
(その時のレコ → http://yamare.co/1925676 )
スタートから天気はあまり良くなく、中ノ川乗越に着いたと同時に雨が降ってきてしまいました。
今思えば、この時点で引き返すのが最善だった気がしますが、自分は山行を続行しました。
第二高点までは、それほど苦労せずに登ることができました。
休憩していると、甲斐駒から縦走してきたという男女二人組(おそらくご夫婦だと思います。)がやってきました。
自分が見た感じ、お二人はかなりの登山経験者のように見えました。
挨拶して軽くお話しし、自分が先発しました。
第一高点へ行くには、第二高点との間にある「大ギャップ」と呼ばれる危険なガレ場を少し下ってから、途中にある第一高点への取り付きから登っていく必要がありますが、それが分かりづらく、自分は取り付きを見つけられずにそのまま大ギャップを下り続けてしまいました。
大ギャップには浮石しかないので、自分が下りる度に落石が発生し、ガラガラと音を立てます。
マズいことに、第二高点でお会いしたお二人も、自分の後に続いて大ギャップを下り始めてしまいました。
このとき、お二人の判断でそうしたのか、自分が下ったから後に付いてきただけなのかは、今となっては窺い知ることはできません。
しばらく下ると、右はザレ場、左は雨水が小さな滝のように流れ落ちているルンゼになっていました。
水に濡れて滑りやすくなっているルンゼを下るなんて自分にはとてもできないため、ザレ場を下りました。
後に続いていたお二人も、当然ザレ場を選ぶと思っていたのですが、お二人は何とその超危険なルンゼを下り始めてしまったのです。
(自分は100mくらい先を歩いていたので、気が付くのが遅れました。)
男性が先行して下り、しばらく後に女性が下り始めたようでした。
ゆっくりとではありますが、着実に下るお二人を見て、「これなら何とか下まで降りられるかな・・・。」と思った次の瞬間、女性の悲鳴が!!
ルンゼの上部にいた女性が足を滑らせ、ルンゼ内を滑落してしまったのです!
女性は何とかルンゼの岩壁に手足を突っ張って落下を止めようとしていましたが、速度が遅くなるだけで、ズルズルと滑り落ちていきます。
下にいた男性が辛くも受け止め、男性を巻き込んでの滑落は何とか避けられました。
女性は半分パニック状態。
暴れることはありませんでしたが、二人はルンゼの途中で進退窮まってしまったようでした。
自分はというと、もう顔面蒼白、生きた心地がしませんでした。
もし万が一、お二人が滑落してしまった場合、おそらく命は無かったでしょう。
そして、何もできずその状況を見ていることしかできなかった自分は、(いくら「山は自己責任」とはいえ)お二人を危険に晒す一つの要因を作ってしまったと自身を責め、山をやめてしまったかもしれません。
とりあえず、「大丈夫ですかーーっ!!」と大声で呼びかけました。
このときお二人からどのような返事があったのか、そもそも何かリアクションがあったのかは、(気が動転していたからなのか)よく覚えていません。
お二人を救助しようにも、ロープやザイルなどは当然持ち合わせておらず、仮に持っていたとしても自分が現場に行っても出来ることは何もなく、それどころか余計にお二人を危険に晒してしまうだけです。
電波も圏外だったので、電話で外部に救助要請をすることもできません。
ひとまず、お二人が下ったルンゼの上まで行き(石を落としたりしないよう、細心の注意を払いました)、下に向かって呼びかけてみましたが、ルンゼ内を流れる水の音にかき消されて、あまり伝わっていないようでした。
それでも何度かできうる限りの大声で呼びかけるうち、ルンゼの下から「下りられましたー!」と女性の声が。
その後、何度か呼びかけを行いましたが、やはりルンゼを流れる水の音でかき消され、下まで届かないようでした。
もう夕方に差し掛かろうかという時間になり、自分自身の命を守るためにも、いつまでもそこに留まっていることはできませんでした。
お二人のレベルであれば、きっと大ギャップを下降するルートで下まで辿り着けるだろうと信じて、その場を後にしました。
大ギャップを登り返していくと、無造作に置かれた石に黄色のペンキで上矢印が書かれているのを見つけました。
そこが第一高点への取り付きでした。
ここは大ギャップ内に置かれた石にペイントするのではなく、もう少し分かりやすい位置に目印があればいいのに・・・と思いました。
その後何とか第一高点を踏み、すぐに下山開始。
角兵衛沢の長大なガレ場は、どこもかしこも浮石だらけ。
雨で濡れた石は滑りやすく、そもそも足を置いたそばから崩れるので、何度コケたか分かりません。
やっとのことで戸台河原の駐車場に戻ってきたのは、日付が変わって1時間近く経った午前0時50分でした。
お二人の車は、まだ自分の隣りにありました。
おそらく、今夜はビバークされたのだと思いました。
このまま立ち去る気にはどうしてもなれず、メモに「自分の道間違いの所為でお二人の命を危険に晒してしまって申し訳ありません。」といった旨の謝罪文を書き、濡れないようにビニール袋に入れて、お二人の車のワイパーに挟んでおきました。
それを見たお二人がどう思われたか、今となっては知る由もありません。
メモに自分の連絡先を書いておこうかとも思いましたが、もしお二人から責められたらどうしようという気持ちもあって、書くことができませんでした。
自宅に戻ってから1週間程度は、ニュースや山梨の県警、自治体サイトを毎日チェックしていました。
「鋸岳 遭難 2019/07/13」といったワードで検索したりもしました。
翌週はとても山へ行く気にはなれませんでした。
1週間が経ち、2週間を過ぎようとしても、鋸岳で遭難者が出たという情報がアップされたり、ニュースが報じられることはありませんでした。
いつまでも気に病んでいるのは精神上よろしくないので、お二人は無事下山されたのだと思うことにし、気持ちを切り替えました。
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このことがあってから、後ろを歩いている人がいた場合、変なルートを歩かないよう、特に気を付けるようになりました。
もし、後ろを歩く人が「前を歩いている人がいるから、そこが登山道なんだろう。」と思って付いてきてしまったらマズいからです。
まあ、自分も人間なので、いくら気を付けていてもルートミスすることはありますけどね。
皆さんは、山で前を歩いている人に安易に付いていったりしていませんか?
久しぶりの奥高尾縦走でしたが慣れた道だからとタカを括って地図も持たずに陣馬高原下バス停から陣馬山経由で景信山、小仏城山、高尾山の山頂を踏み高尾山口駅から帰宅のつもりで、遅くとも15時には駅に着けるだろうとひとり歩いていました
途中奥高尾縦走路の中であまり目立たない堂所山の山頂も踏みましたがこの時私の目の前を一人の男性をスッと通り過ぎたのですが、何故かその後をついて行ってしまいました
堂所山から景信山への道、こんなところを通ったっけ?と思いつつ既に姿の見えなくなった男性を追うように登山道を下り続けました
途中何度かおかしいな?と思いつつ20分降り続け「関場峠」の道標に辿り着きました
ここに至り漸く私は景信山への縦走路から外れている事に気が付き、高尾山近辺の観光用雑誌(地図は持って無かったが地図付きの冊子を持っていた)を開くとギリギリ関場峠が載っていました
散々降り続けたので恐らく標高は100mは下がっただろうと想像し、このまま道標の示す城山へ向かうべきか(小仏城山とは別の城山)元来た道を引き返すべきか⁈
このような場面では水を飲むなりして落ち着く事が肝心、と思い出し暫し休憩
道に迷ったら元来た道を戻れ、という言葉が頭の中に浮かびUターンを決めました
下りは20分でも登りは倍の40分掛かり、丁度1時間後に再び堂所山の山頂を踏みました
結局高尾山口駅に着いたのは予定より2時間後の17時過ぎでした
数年前の今頃、6月の空梅雨の暑い日の出来事です
いつもコメントありがとうございます。
「道に迷ったら元来た道を戻れ」、いざそういった状況になるとなかなか実行できないんですよね。
大きく下ってしまった場合、登り返すのは大変だし、正常性バイアスで「何とかなる」と思いルート修正しようとしてしまったり。
自分もセオリーどおり戻れたことが何度あるか・・・。
10年前に甲斐駒ヶ岳から鋸岳へと歩き、角兵衛沢を戸台へ下りました。
その頃はルートが整備されて間もない時期だったらしく、鎖は新しくて岩に描かれた目印も明瞭で迷う事なく快適に歩けました。
角兵衛沢はその頃も浮石だらけで下るのに難儀しましたが。
あれから10年経過して目印も薄く見にくくなり、雨の為にルートも分かりにくくなっていたのかも知れませんね。
ご無事で何よりでした。
コメントありがとうございます。
vt250zさんも角兵衛沢を下ったことがあるんですね。
永遠に続くのではないかと思えるくらいの浮石だらけのガレ場を下るのは、ほんとに心が折れましたよ。
自分の場合、下ったのが夜だったので、ヘッデンの明かりが届く範囲しか見えず、余計にそう感じたのかもしれません。
ですが、この経験があったからこそ、今では余程のことがない限り山では動じなくなりましたし、冷静でいられるようになったのも事実です。
私が失敗したのは、逆パターンです。
先行者に付いて行ったのではなく、
下から登ってこられたのを見て、
その方向へ降りて行ったのです。
しばらく行っても縦走路の標識が見当たらず、
20分ほど進んで、異変に気付き引き返しました。
その頃はまだGPS使ってなかった。
ダイトレだから大丈夫と舐めてました。
コメントありがとうございます。
ああ、確かにそのパターンもありそうですね。
「他の人が歩いているから、そのルートは正しい」とは限らないんですよねー。
自分も他の人が歩いている道なら大丈夫だろうという安心感と思い込みから、付いて行って大変な目にあったことがあります(笑)。
危険な目では無いですが、北穂高から涸沢小屋へ下山途中での出来事😳
後ろから来られた中年のご夫婦ですが、涸沢岳へはこちらで良いのですよね😳
小屋へのコースですよと お伝えしましたが、分岐点から30分も下った地点ですので、そこからの登り返しが大変のご夫婦。分岐点の目印を見落とした様ですね😅
登り返し後の涸沢岳へのコースも大丈夫だったかな〜です。
コメントありがとうございます。
よく、「地図を見れば分かるだろ!」って内容を聞いてくる人っていますよね。
そういう人たちが、あまり人がいないようなマイナーな山へ行ったら、どうなっちゃうんだろうと心配になりますよね。
まあ、そういった人たちは、マイナーな山になんて行かないかもしれませんけど。
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