かながわの遺跡展関連講演会「律令国家とは、なにか？」

2024年01月13日 17:29講演会・研究会全体に公開

かながわの遺跡展関連講演会「律令国家とは、なにか？」

チャリをポートに返却し、徒歩で会場に向かうが、場所を間違えて、あわてて正しい会場を探す。市庁舎の敷地内にあるホールだった。会場には、下寺尾官衙遺跡の出土木簡などと発掘時の写真や地図などが展示されている。講演は元奈良文化財研究所で、長年にわたって飛鳥宮、藤原京、平城京などを調査してきた井上氏が、律令国家が出現した背景、意図、中国や百済などの都城との比較などを話され、特に歴史は恐怖心で動くという説を強調された。混乱していた中国に陏唐という強大な帝国が出現し、盛んに制服戦争を仕掛けていた様子を見て、また、百済が滅ぼされ、倭国が援軍を送ったところ白村江で唐新羅連合軍に大敗し、恐怖のあまり古代山城を造営したが、このような山城の手本である百済はあっという間に数十万という唐新羅連合軍に攻め滅ぼされ、倭国の援軍も唐の水軍に攻め潰された。山城だけでは防げないので城の造営を停止し、律令国家制度を導入し、軍団制度を作り、集権体制を整えたという。九州は、百済支援の派兵で疲弊したので東国に頼らざるを得なかった。唐の当時の軍隊の数は推定二十万人で、日本の防人や軍団の数も19万人と数も合わせたのではないかという。井上氏の恐怖が歴史を動かすという論理だ。
　ただし、こうして成立した律令国家だが、唐の制服戦争が一段落し、国内外にほころびが出てきてガタガタになってその後崩壊してしまう。そのため対外戦争に備える必要がなくなり、律令国家は、対エミシ制服戦争以外に目的がなくなり、形だけが維持されて、内実から崩壊過程を歩むのが末路だったという。
　確かにそうした側面はありそうだ。

2024-01-13 1月13日(土)高座郡衙下寺尾

2024-01-14 1月14日(日)藤原京へ

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