|
|
|
雨上がりの若々しい緑がしっとりと濡れて美しい。最初に着いた尾根や小下沢分岐の尾根の、以前は切り株があったところにいつの間にか休憩用のベンチができていた。この場所で休んでいる人を見かけることはあまりなかったが、自分のような高齢者にはありがたい。
景信茶屋の広場には人影がほとんどなかった。城山から高尾山へつづく山並みには雨の後の雲がかかって何ともいえない趣があったが、山裾が雲に覆われた丹沢の大室山あたりを目にしたときは、やはり心が痛んだ。どうしてそうゆう場所で骨が見つかったのだろう、道に迷ってパニック状態に陥り(大人の我々もそうなるのだが、)無我夢中で歩き回った末、途方もない地点に辿り着き遭難したとしか考えられない。自分の孫が、と置き換えて想像しかかり、いやいやもういい、その先はもう思考停止、考えられない。想像したくない。
小仏バス停まで普段は1時間10分をみるのだが、雨のため滑りやすいからと1時間20分の予定をとって下山を始めた。しかし、道の状態はそれほど悪くなくいつもと歩くスピードは変わらないので、これならもう少し急げば20分前に発車するひとつ前のバスに間に合うのではないかと思い始め途中から足を速めた。いつもは何となくぼんやりする小仏峠もさっさと素通りして山道から林道と小走りに急いだ。お陰でひとつ前のバスに余裕で乗車できた。
湿気のため登山開始直後からグショグショに濡れたシャツが車内のクーラーの冷気に当たり身体が急速に冷えてきた。今の季節にクーラーは要らないのに、と思いながらも我慢できないので乾いた予備のシャツに着替えようと横に置いたザックの中から取り出しているうちに急に気分が悪くなってきた。ああ、濡れたシャツが冷たい、気分悪くてうずくまりたい、なんとかしなければと焦って脱ごうとするがうまくゆかない、最近は年のせいか普段も着替えがスムーズにできなくなってきている、なんとか脱げたときには次のバス停が見えてきた。車内は今なら中年男性が前方の席に離れて一人しかいない、だが次のバス停には女性を含んで3人並んでいる、その人達が乗り込む前に何とかしなければと気ばかりが焦る、ようやく乾いたシャツを頭から着込んだと思ったら後ろが肩甲骨に突っかえて下に降りてゆかない、しきりに後ろに手を伸ばして引きずりおろそうとするがうまくゆかない、気分は悪くなっていくばかり、どうしよう、とりあえず前にかがんで醜い腹部を隠しどうにかシャツを下におろしたと同時に乗客が入ってきた。ああ、間一髪恥をかかずに済んだ。ほっとした。
それはいい、着替えのトラブルは終わった。しかし当初の気分悪さが収まらない。クーラーの出口を手で回してみたが、二つあるうちのひとつが回らない、もう身体を縮めてじっと我慢するしかなかった。さらに着込めばいいのだがその動作を起こす気力も湧かなかった。もう面倒くさい、早く高尾駅に着いてくれ、と祈るばかりだった。回復したかった電車の中でも外気とは別にクーラーめいた風が吹いていた。
ほうほうの体で家に帰った。やはり急がなければよかった、予定通りのんびり歩いて下山し、ゆっくり外で着替えればよかったと後悔しきり、高齢者は頑張ってはいけない、無理が効かない、最近の奥武蔵で調子に乗り過ぎたバチが当たったか
写真1 小下沢分岐のベンチ こんなベンチを見ると
写真2 同じ 自然とこうしたくなる(子供か)
写真3 景信茶屋の広場 遠くの端に楽しそうな二人連れ
ありがとうございます。
家に着いて玄関ドアーを開けたときは本当に助かったと思いました。
あったかいお風呂に入って何とか回復です。
汗びっしょりの身体を急激に冷やしたら、高齢者ならずとも異常になりますよね。
毎年、暑い季節になると帰りの電車・バスの冷風に備えているのですが、今年はまだそこまで頭が回りませんでした。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する