「(株)貧困大国アメリカ」堤未果 (岩波新書)★★★★★
シリーズ三部作のルポ完結編。前2作に圧倒されたが、さすがに同テーマ3冊はもういいんじゃないかと、何度か本屋さんで素通りしたのだが…買ってしまいました。夕方から読み始めて、一気呵成に最終ページまで。完結編と呼んでいいでしょうね。凄まじいアメリカの現状がここにある。アメリカの医療保険はどうなっているのか、どれくらいの公立学校が廃止されチャータースクール(民営化学校)が生まれたのか、GM(遺伝子組換え)食品がなぜアメリカで表示されていないのか、TPPは誰が仕掛けているのか、疑問は氷解する。アメリカの現在は多分日本の近未来だと思う。堤さんの取材力に感嘆。
「日本人はこれから何を買うのか」三浦展(光文社新書)★★
「下流社会」が売れた三浦さんの新作だが、ちょっと忙しくて斜め読み。これからの社会を「超おひとりさま社会」と規定し、統計資料を駆使しながら、将来の日本人の消費行動を予測する。そして「おひとりさま」が暮らしやすいコミュニティとサービス(有料)のあり方、ビジネスの可能性を提起している。が、ちょっと新味が…
「知の逆転」インタビュー吉成真由美(NHK出版新書)★★★★
「セックスはなぜ楽しいか」のジャレド・ダイアモンド、「変形生成文法」のノーム・チョムスキー、「レナードの朝」のオリバー・サックス、「人工知能」のマービン・ミンスキー、「アカマイ社」のトム・レイトン、「二重らせん」のジェームズ・ワトソン、MIT出身の元NHKディレクターが、現代世界最高の知性6人にインタビュー。とりあえず「世界最高の知性」というのがどれほどのものか、知っておきたいというやじうま根性で読んだが、結構面白い。専門的にならずインタビューが軽快に流れている感じで入門書としてはグッド。ワトソンがDNA構造解析競争でのかつてのライバルについて語った辛辣な言葉はなかなか意外。そもそもチョムスキーが現役であることも知らなかった。書名はイマイチかな。
「被災地から問うこの国のかたち」玄侑宗久、和合亮一、赤坂憲雄(イースト新書)★★★
東北在住の僧侶であり作家、教師であり詩人、そして民俗学者の言葉である。地震と津波の話ではない。爆発した原発の話である。3人はそれぞれの場面で福島の人達と行動し、議論し、考える。3人の言葉は福島の言葉である。切り捨てにはいっているエスタブリッシュな側の言葉でもなく、忘れっぽいマスコミの言葉でもなく、今現在の福島の人々の声である。ならば、聞き飽きたとなどと思わず、何度でも耳を傾けたい。それくらししか今の自分にはできない。壊れた原発は今も放射能を吐き出している。
「実践 日本人の英語」マーク・ピーターセン(岩波新書)★★★
英語が好きなら、この著者の本は一度手に取られているのでは。「日本人の英語」シリーズの第3作で、実践とあるほどには実践的ではないけど、英語で文章を書くことがある方は(どれくらいいらっしゃるだろう)読んでおくといいかも。思想性、戦略性はなし。ある意味テクニカルな本だが、使われる具体例がどれも身に覚えがあったりして、面白く読める。
for example / I think / and so on / these days
といったフレーズ、日本人好みだそうな。
these days (この頃)と覚えていて、普通に文頭に使ったりしてるが、「今時の」のニュアンスなんだとか。なるほど、ほんとか?と思ったり。いろいろ考える。
「日本人の英語でいいじゃないか」と言われる向きもあるだろうが、まあ発音は無理としても、幼稚に思われるのは嫌だな、ちょっとしたところで大人の英語を使ってみたいとは思う。どこから読んでもいい。ちなみに私はあとがきから読みだして逆走した

半年前に図書館で予約した「たざきつくる」の順番がやっと来ました!と図書館から連絡が・・・。
アメリカ、被災地、英語、おもしろそうですね。
ようやく読めますね、ちょっと旬が過ぎたかも
もっとちゃんとした読書をしたらいいのですが。堤さんのものは、どれを読んでもちゃんとしてます。このアメリカ論が終わったら、彼女はどの方向にいくのか興味ありますね
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