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・繰り返される墜落の夢は、堀越二郎の夢ではなく、空飛ぶファンタジーの名手であるがゆえの、宮崎駿の悪夢なのではと思った。
空を飛ぶものは、いつも堕ちることへの根源的不安を抱くのだろう。飛ぶことは長く人類の夢だったが、それは禍々しき夢でもあり、多くの人を不幸への導く夢でもあった。
それでもやはり風が吹けば、人は空へと誘われるのかもしれない。
・二郎は零戦開発のチーフだが、このストーリーで二郎が作っているのは、零戦ではなくその一つ前の、逆ガル翼を持つ九試単座戦闘機である。軽井沢のホテルで菜穂子と飛ばしたあの紙飛行機だ。鯖の骨の丸みを持つ優美な機体である。ユンカースの複葉機もそうだが、この時代の新しい飛行機の曲線の柔らかさ、ふくよかさにはなんとも言えず懐かしさを覚える。
エンディングで、最終兵器「零戦」が群れをなして飛ぶ場面がある。九試に比してより機能的で無駄のないフォルム、本当の名機だが、宮崎の手はこの前で止まっている。なぜなのか。どんなに美しくとも戦闘機は殺戮の兵器である。それが隠れたメッセージの一つだから。零戦は「一機も帰ってこなかった」と二郎が呟いた。そのとおり。あの名機は一機も還ってこなかった。
・菜穂子の恋について。関東大震災の日の出会い、軽井沢のホテルでの再開、そして八ヶ岳山麓のサナトリウム。死期を察した菜穂子は病院を抜け出し、二郎のもとへ向かう。「一番美しい自分を見て欲しい」と。ひっそりとした祝言、病床の妻の手を握りながら、計算尺を動かす二郎。「恋」と「別れ」が短い時間に凝縮される。
恋はこのように突然始まり、死によって終わるべきもの。まるでそう語っているかのようだ。美しいね、結核でさえも。女は男を本当に愛しているのだなあ。じわりと涙があふれる・・・。ところで、女は本当に愛されていたのか…ふと思った。
・草と花と樹木と、ドアと廊下の質感と、ディテールの美しさはいつもながら見とれてしまう。見事である。作中、ゾルゲと思しき男、wikiの画像にそっくりであった。
・ファンタジーアニメの巨匠の最後の作品である。怪物もモンスターもナイスな悪役も可愛いデフォルメキャラクターもスーパー美少女もでてこない、静かな穏やかな作品。最後は、これでよし、と私は思う。いや、これでもよし、くらいかな。
一昨日たまたまTV放送していた紅の豚を、ついさきほど日曜昼に葡萄酒飲みながら家族三人で見たところです。
以前風立ちぬ鑑賞の感想で書きましたけど、僕も中高生までは熱烈な飛行機好きで、山に乗り換えちゃったのですが、今でもときどきあの少年みたいに手作りの飛行機で空を飛ぶ夢を見ますよ。
どちらの映画も、ファシストの影に苦しみながらでもやっていかなきゃならない、そういう時代でも後世の人には思いもよらない夢の磨き方はあるのだと、考えてみればそりゃそうだよなと思える話ですね。
言葉でいちいち解説できるようなら、苦労して映画なんかつくらないだろうから、記者会見で、まずは映画を見てください、という宮崎さんをその通りだなあと思いました。
手作りの結婚式のところは好きな場面ですが、あの黒川主任みたいに、アドリブで結婚式の祝詞いえるような支度をしておきたいものです。
ところでナウシカの乗っていた変なグライダー本当に作っちゃった話、ご存知ですか!
http://www.huffingtonpost.jp/2013/09/06/hachiya_opensky_n_3877673.html?fb_action_ids=499664366790282&fb_action_types=og.likes&fb_source=other_multiline&action_object_map={%22499664366790282%22%3A440645632717623}&action_type_map={%22499664366790282%22%3A%22og.likes%22}&action_ref_map=[]
yoneyamaさん、コメントありがとうございます。
以前の日記読ませていただきましたが、手製の飛行機、大傑作ですね。風立ちぬのイントロで、「これは俺か!」ってびっくりしたんじゃないですか。個人的にはyoneyamaさんの飛行機の方に一票ですね
リンク先のグライダー、実写版を見ているようです。もうちょっと高く自由に飛べれば最高ですが。ただ空は寒いですよね、みんな宮崎さんのアニメが好きなんだなあと思いました。
私は宮崎アニメはほとんど娘の成長に合わせて見てきましたが、熱心なファンではありません。ナウシカを見たときは、ちょうどモリスの「カンブリア紀の怪物たち」という本を読んでいて、腐海に住む動物の様子がそっくりだなあと思った程度(yoneyamaさんの専門にちょっと近い?)。それでも印象に残る作品や場面は幾つもありました。トトロなど、パーフェクトな子どもの夢の王国だなあ。一番好きですね。
彼の作品は「気高いもの」、「志が高いもの」が描かれていて、子どもたちに見せたいアニメの筆頭です。風立ちぬは、ファンタジーを捨てて現実の人間を描いているので、雑音が入りやすいでしょうが、宮崎さんが最後に作りたかったものですし、飛ぶ夢を追いかけた男の姿がそのまま宮崎さんに重なっていきますね。75歳、一作作るのに5年かかったと言われているので、これでおしまいと言うことならそれでよいと思います(また作りたくなったらそれでもよし)。彼の評価は、風立ちぬも含めてトータルに今後も論じられていくのでしょう。天才ですね。
山で足を滑らす夢は良く見ます
疲れてうたたねして、膝を立てて寝てるときに必ず見ますね
この前の吹き矢を足に固定しておくなど、対策はありそうですね
私はいつも追っかけられる悪夢
相手がキスリング背負ってるかどうか不明ですが、いくら逃げても追いつかれちゃうので、最近は諦め気味
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