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数あるマツヨイグサの中でコマツヨイグサと特定したい理由は写真のように地面を這うと言う特徴があるからで、こう言う性質は他のマツヨイグサにはないそうだ。
で、色んな個体を見ているうちにその匍匐性に一定の法則があることに気づく。
中の写真を見ると分かるように、中心部分に冬を越す時の態様であるロゼットが見られ、その周りに放射状に長い茎を伸ばして大きな広がりをつくってその先端付近で花を咲かせている。
はじめはこの中心部のロゼットと周りの匍匐状の植物は別のもので、たまたまタンポポか何かがそこに生えているのだろうと思っていたのだが、よくよく見るとどの個体にもその中心部ににロゼットがあり、茎を逆にたどっていくとロゼットとつながっていることから同一のものであることが分かった次第。
そしてさらに右の写真のようにそのロゼットが発達して立ち上がったと思われる個体を見つけた時、最初の写真に見られる枯れた大きな花茎と種子の入った鞘の意味が分かった気がした。
1本だけ大きく発達したこの花茎には他の花とは違う大きな花がついていたと思われる。そして周辺に咲く小型の花には種子らしきものが見当たらない。
つまり真ん中のロゼットは将来発達して花茎を立ち上げ、実のなる花を咲かせる雌花の、そして周辺の小さな花たちは花粉を提供する雄花の役割を果たしているのではないだろうかと言うことだ。
右の写真の中心部分は今年の役割を終えたもの，中の写真のものは本来の役目であるこれから冬を越すためのロゼットで、周辺の茎や葉は枯れてしまうと思われる。
海浜植物の中には根や蔓が飛砂に埋もれているものが多いが、これも寒さから身を守る上でプラスに働いていると考えられる。風が強いので完全に埋もれてしまうことは少なく、砂地であることを巧みに利用しているように見える。
コマツヨイグサのこれらの態様は、風の強い砂地と言う特殊な環境に適応し、巧みにそれを生かしたしたたかな戦略と言えるのではないだろうか。
なお、マツヨイグサの仲間には、コマツヨイグサの他に、オオバナコマツヨイグサ，オオマツヨイグサ，目マツヨイグサ，ツキミソウ，ヒルザキツキミソウ等があるが、コマツヨイグサは海浜か海浜近くだけに見られ、他のマツヨイグサ属のように内陸部では見られることはないそうだ。
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