「自然のことなので防ぎようがない。引率の先生にも責任はない」とお父様の言葉を見たとたん、涙があふれてしまった。
那須で発生した雪崩による事故。多くの若い命が失われた。ご遺族からしてみれば、「訓練を早く切り上げてくれていれば」という思いはあるだろう。一人の高校生のお父様がご遺体と対面なさり、悲しみの中でおっしゃった言葉。
お子さんとの17年間の思い出が頭の中を駆け巡り、言いようも無い悲しみやぶつけ所の無い怒りにも震えていよう。
お父様も登山が趣味で家族で登られていたという。登山をするからこそ、自然の驚異、人事を尽くしてもどうにもならないことが起きてしまうということも十分に分かっていらっしゃるのだろう。
私も時々思うことがある。どんなに準備をし、どんなにしっかりと計画を立てても山に入ってしまうと自然の中ではどうにもならないことがある。それはもう、「運命」と言ってあきらめるより仕方が無いことなのだと思うことがある。
しかし、我が子の遺体を前にして、私なら分かっていてもどこかにこの悲しみや怒りをぶつけずにはいられないかもしれない。訓練計画や状況判断に不備あったのではないかとか、早めに訓練を切り上げることができたのではないかとか、「たら、れば」だとは分かっていながらぶつけているかもしれない。
それでも「自然のことなので防ぎようがない。引率の先生にも責任はない」とおっしゃったお父様は、やっぱり山男なのだと思った。そして、私の眼から涙が止めどなく流れた。
犠牲になられた皆様のご冥福を心からお祈りしたい。同じ山を愛する一人の男として、昔、我が子を亡くした父親として・・・
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