前回の日記にリングワンダリングと、そこに付けていただいたコメントの返信にホワイトアウトの二つの遭難未遂について書きましたので、今回は雪山ラッセルについて。
前回失敗談を書くと決めてから、さて今度は何を書こうとさっき風呂の中で色々思い出していたら、ふっと記憶がよみがえり、「ああ」とスキーでの出来事が登山とつながり自分でも驚いてしまいました。
今回は雪山ラッセルの失敗談を。
どのくらい前だったでしょう、30年近く昔だと思います。あるスキー場(万座温泉スキー場だったような気もしますが記憶が定かではありません)に仲間と滑りに出かけたときのこと。その頃はまだ登山など自分には無関係の世界で、ましてや雪山の知識など何もない頃です。
そこには山の反対側にもゲレンデがありましたが、そこへ行くにはバスに乗って10分ほどかかるというので、それなら、使われていないゲレンデを登った方が速いのではないかと考え、仲間と山越えを始めました。斜度は25〜28度ぐらいあったと思います。距離にしておよそ200〜300m。すぐに登り切るつもりで、スキー板を担ぎ登り始めました。当時まだ、カービングスキーの時代ではなかったので、長さ2mほどの板を担いでいます。
すぐに登り終えて、ささっとすべってこようぐらいの気持ちでした。
ところが使われていないゲレンデですから、当然圧雪はされていない。一歩踏み出すごとに腰まで沈みます。10分も登ると息切れ。20分で体力限界。暫く休憩。また登り始めます。登れど登れどつきません。一歩踏み出し、体を投げ出して雪を固めてまた踏み出して腰まで沈むの繰り返しです。雪の中なのに汗びっしょり。1時間ほどかかってようやく半分まで登ると、上にレストハウスが見えました。
「よし、上へついたらあそこでお茶をして休もう!」皆で励まし合いながら登ります。それでもなかなか進みません。休んでは雪の中に埋まるようにして登り、また休む。わずか10分を惜しんでバスに乗らなかったことを後悔しました。
体は痛いし筋肉はパンパンに張っています。
およそ2時間。ようやくゲレンデの上に着きました。レストハウスにむかいます。が、改装中で営業をしていません。皆呆然。反対斜面のゲレンデに行くつもりでしたがその気力もなく、回り道をして元の場所まで滑り降りてきました。その間わずか2〜3分。何のために2時間も登ったのか・・・。泣きたくなるような経験でした。
あの苦しさは記憶から消えません。
ところが、ついさっき、風呂につかりながら思い出していたら、この記憶がよみがえってきたのです。今では多少、雪山をかじっている僕は、「あれって、雪山ラッセルをしていたんじゃないの」とはじめてあの時のことと、雪山のことがつながりました。記録報告や、映像などで雪山ラッセルのことをいろいろと見たり聞いたりして、その大変さは知っていましたが、僕が山で実際に経験したラッセルはせいぜい膝下ぐらいまで。腰までのラッセルのきつさが実感としてありませんでした。
でも、さっき、実感を伴ってあの苦しさがよみがえってきたのです。ゲレンデではありましたが、あれは、まぎれもなくラッセルでした。今思うと・・・
ああ、雪深い所のラッセルはきつい、苦しい、やりたくない。あの時は好天だったのでまだよかったのですが、吹雪く中でなんて考えたくもない。きっと遭難して命を落としてしまいます。
さっき思い出した、僕のラッセルの思い出・・・
長々とお付き合いいただきありがとうございました。
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