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■大腸の「畑づくり」は食物繊維から
大腸を整える「腸活」は、畑づくりとよく似ています。畑を上手に耕して、土の状態をよくしないと、いくら良い種をまいても花は咲きません。便通を改善したり、腸内フローラを育てたりする腸活も同じ。まずは大腸の状態を良くし、様々な腸内細菌に住み着いてもらい、バランスよく働いてもらう必要がある。そのための畑づくりに欠かせないのが、不溶性と水溶性の2種類に大別される食物繊維です。
水に溶けない不溶性食物繊維の代表的な成分は、植物性のセルロースです。キノコ、穀類やイモ類、豆類、野菜類など、様々な食材に含まれています。
一方、水溶性食物繊維には、海藻からとれるアルギン酸ナトリウムや、大麦などに含まれるβ(ベータ)グルカン、ごぼうや玉ねぎに多いイヌリン、りんごやみかんといった果実に入っているペクチンなど、様々な種類があります。
■不溶性はかさ増し、水溶性はエサとして
不溶性の食物繊維には、日頃のお通じをよくする効果が期待できます。役割は大きく二つ。ひとつは便のかさ増し。便の量が増えることで腸管のぜん動が活発になり、便通を促します。もう一つは腸管の掃除です。大腸の中を移動しながら腸壁にくっついた古い便かすをからめとってくれます。
水溶性の食物繊維も二つの役目を担っています。まず便を軟らかくして、滑りを良くしてくれます。不溶性食物繊維による便のかさ増しとともに、日頃の排便がしっかり、すっきりするよう、助けてくれるわけです。もうひとつ、水溶性ならではの役割が、腸内の細菌のエサとなることです。大腸にすむ有用菌の多くは、水溶性の食物繊維が大好物。水溶性食物繊維が多くとどけば、こうした腸内細菌はこれをエネルギー源に自分たちの活動や勢力を広げていけます。細菌の宿主となる人間側も、細菌がだす生成物などを活用し体の健康を保ちます。共存共栄の関係です。
■食物繊維が不足する現代の日本人
その逆に水溶性の食物繊維が不足すると、これが主食の腸内細菌は勢いが衰え、たんぱく質や脂を食べる腸内細菌との間で勢力が逆転し、腸内環境のバランスが悪化していく恐れがあります。腸内フローラを良くしていくには、水溶性食物繊維をしっかりとることが欠かせないのです。
葉物野菜は、それほど多く食物繊維を含んでいるわけではありません。たとえばレタスやキャベツの場合、100gあたりの食物繊維は、不溶性と水溶性をあわせても1〜2gです。1日に取るべき食物繊維の目標量は女性で18g、男性で20gとされています。野菜だけでは、なかなか必要量をとりきれません。おすすめは、日本人伝統の朝ごはん。ごはんとワカメ入りのおみそ汁に、主菜のほかに、ヒジキの煮物などの小鉢やのりや納豆がついてくる。いろいろな食材から、様々な種類の食物繊維がとれます。
京都府の京丹後地区は長寿の地区として知られています。この地区のお年寄りと京都市に住む同じ年代層の方々を対象に、それぞれの食生活と腸内細菌の様子を比較した興味深い研究があります。海藻類、雑穀、イモ類、キノコなどの摂取量が、いずれも京丹後の人たちのほうが多く、腸内には、こうした食物繊維をエサにする菌が多く住み着いていたのです。健康な人の大腸にはざっと1千種の細菌が生息しているといわれています。一方、生活習慣病など、様々な病気をもつひとの腸内フローラを調べると、細菌の種類がへり、500種程度まで半減している例もいくつもあがっています。こうした一連の研究で、食物繊維や腸内フローラの重要性は、様々な角度から再確認され、長寿や健康とのつながりも分かっています。まずは、いろいろな食材から、食物繊維をしっかりと。とくに不溶性の食物繊維に気を配りたいですね。
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