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2019年09月15日 17:08山関係雑談全体に公開

山頂からの山岳展望同定

写真左:常念岳山頂からの展望
写真中央:大天井岳山頂からの展望
写真右:爺ヶ岳山頂(中峰)からの展望
各写真ともヤマレコの仕様上、解像度が落ちた状態で表示されるので山名の判読は困難


 今回、爺ヶ岳の山頂で「ある紙」を3人ほどの登山者に進呈したら大好評だったので書き留めておく。その手のアプリやネット検索で調べれば分かることでも、アナログ的なモノの方が喜ばれたのは驚きであった。


 私は長野に住んでいて、特に後立山と常念山脈は登山口まで近いので、夏の暑い時期は避暑目的で毎週通っている。北アルプスには100/200/300名山級の山がゴロゴロあり、どこの山も登山者は全国区。毎週北アルプスなど望めないのが通常だろう。

 年に数回程度しか来る機会が無い山では、山頂から見渡せる数多くの山の名前はほとんど分からないのは当然だ。読図がうまい人ならエアリアマップ等で判別可能だが地図の範囲は意外と狭く、範囲外はお手上げだ。そもそも山頂で地図を広げて同定をしている人の姿は圧倒的に少数だ。

 私は同じ山に年数回も登るし、展望がいい天気ならパノラマ写真を撮影して、写真に写った山名をお絵かきソフトで画像に書き込んで自分のホームページに公開している。この際に間違いがないかパソコンの展望シミュレーションソフトで確認しているが、同じ山で何度も確認すれば丸暗記してしまう。常念山脈と後立山については「生き字引」状態である

 今年は1回の山行で日帰りで1つの山にしか登らず、展望が良ければ最長4時間ほど山頂に滞在して下山のパターンの連続。その間に入れ代わり立ち代わり登山者がやってくるが、半分以上の人は縦走してきた隣のピークや槍ヶ岳のような顕著な山を除き、山頂同定できずにあの山は何だ?悩んだり、間違った同定をしている姿を見かける。これは仕方のないことだが、当人にとっては例えば過去に登った山がどれか分かるととても嬉しい思いができるはずが、そのチャンスを逃すのはもったいない。遠方からやってくる人はおそらく同じ山頂に2度と立つことはないだろうし。

 そこで自分なりに「空気を読んで」、話しかけられそうな人に教えてあげることがある。ここで問題になるのが、私が指している山がどこなのか相手に正確に伝わっているのか分からないこと。分かりやすいピークを基準として右や左に順番に説明していくのだが、顕著な地形が連続すればいいが、ごく僅かな鞍部でつながっていたり、似たようなピークが間にあると難しい。

 説明する上で最も分かりやすいのは写真で、その場でデジカメ等で撮影して見せればいいのだが、デジカメノの液晶では小さすぎて役に立たない。そこで、我がホームページに掲載している山名入り展望パノラマ写真データをA3用紙用に再加工して、カラープリンタで印刷して持っていくことにした。実は昨年、白馬岳で同様のことをやってみたのだが、これで説明してもあまり伝わらず実用性に乏しいと感じた。

 今年は止めようと8月までプリントアウトは持っていかずに山に登ったが、山頂での展望説明の需要は意外と高く、やはり写真が無いと説明が難しいと痛感。不評の原因を考えた結果、写真で見る山の大きさと現地で見える山の大きさに差がありすぎたためではないかと推測した。A3サイズの横幅いっぱいで360度を収めると、肉眼で見た時より遥かに小さくしか写っていなかった。昔のフィルムカメラだと焦点距離50mmが肉眼で見た時と同じ程度と聞いたことがあるので、50mmで撮影した画像を繋ぎ合わせればいいのだが、私のデジカメでは倍率何倍が50mmに相当するのか不明(そもそもセンサーサイズ(フィルムサイズ)が昔と異なるので50mmではNG)。このため360度を3〜4分割で表現してみることに。また、場合によっては槍穂など主要部は肉眼で見た感じより拡大して別枠で追加。

 今週末はこれを持って大天井ヶ岳と爺ヶ岳に登ったが、昨年と違って大好評だった。人に進呈するのを想定しておらず、強風で破けた時の予備として3枚ほど持っていったのだが、まず最初の青年には「この紙の写真撮影していいですか」との要望が出たので進呈。その後の人(グループ)は「この紙、もらっていいですか?」との質問だったので進呈。持って行った3枚は全て他人のザックに収まった。

 その場で山岳同定するだけならわざわざこの紙を持ち帰る必要は無いので、おそらく下山後にご自分が撮影した写真で同定するためだろう。最初に書いたが、山頂からの展望シミュレーションはスマホアプリがあるし、ネット検索すれば私のホームページと同じような現物の写真に山名を書き込んだものも発見できるだろう。考えられる紙との差は一度に見える範囲。スマホの小さな画面では一度に見られる範囲は狭いが、A4サイズの紙はデカいので360度を一目でカバー可能。パソコンの大きなディスプレならA3と同程度に見えると思うが、同じパソコンで自分で撮影した写真と横並びで比較するとなると、横が6000ドット近い解像度が必要だろう(私の元データは横3000〜4000ドットで作成)。自分で撮影した写真と見比べるには紙印刷物が最強のようだ。

 今のところ作成したのは常念岳、大天井岳、爺ヶ岳、白馬岳(不評だったもののまま)の4山。蝶ヶ岳、唐松岳は近々作成したい。鹿島槍も候補。他の山は登った回数が少なく、登った時刻も真昼間のガスが上がってくる時間帯で、あまりいい写真が無い。

 毎回こんな紙を山に持って行っておせっかいを焼くのもなんなので、ホームページ上にデータ公開を検討中。出かける前に印刷して持っていけば、山頂からの展望をさらに楽しめると思う。A3の紙1枚なら大した重さではないし、スマホと違って電池消耗も無い。ただし、紙は水が苦手なので、途中で雨に降られたときの防水対策は必需。また、A3サイズにもなると強風時に広げるのはほぼ不可能で、役立たない可能性も。
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コメント

RE: 山頂からの山岳展望同定
こんにちは

三枚とも全て目を凝らせば山名が判読できますよ。
このような貴重な情報が次々とアップされる新着日記に埋もれてしまい、多くの人の目に留まる機会がなくなるのが残念です。

昨日は新潟方面が晴れ予報でしたので越後駒ヶ岳に立っていましたが、居合わせた人がスマホアプリを見ながら「燧ってあんなに近いだっけ?」と言っていました。
紙の地図を持つ人は少数派かも知れませんね。
2019/9/15 19:02
RE: 素晴らしいですね
こんばんは

私も山座同定をするなら、地図を広げて派ですね。
以前、自宅の壁に何枚かぶんの20万分の1の地図を張っておいて、
山に行って撮って来た写真をもとに、地図に定規を当てて山座同定していました。

どの写真も、とても条件の良い時に写真を撮られたのですね。
爺が岳から、中越、尾瀬の山がこんなにクリアーに見えたなんて幸運な時に、頂に立てたのですね。
2019/9/15 20:05
RE: 山頂からの山岳展望同定
takayama2さん、こんばんは。毎度コメントありがとうございます。

 確かに今は紙地図よりもスマホで地図を見られている人の方が多いかもしれません。でもスマホは画面が小さすぎて一度に見える範囲がとても狭く、昔から紙地図を使っている人にとっては使いにくく感じてしまいます。もちろん、道を失ったような場合は狭い範囲でも正確な自己位置が分かるのは紙地図ではできない芸当で、今後も紙地図から電子地図への移行が進むでしょうね。これで道迷いによる遭難が減ってくれることを祈ります。
 
 今どきは山頂の写真撮影もスマホかミラーレスが多数派で、私のようなコンパクトデジカメ派は絶滅寸前です  でも安価なデジカメでも光学倍率が高ければピクセル等倍に表示しなければそこそこの画質で見えるので使えます。ただし、コトラストが低いとピントが全く合わないのが難点で、私の機種ではピントのマニュアル調整も不可能で、別の山でピント合わせしてシャッターボタン半押ししたまま目的の山にカメラを振って撮影しています。今使っているデジカメは2014年に購入してあちこちガタが来ているので、増税前に買い替えようと検討中です。

 山頂からの山岳展望同定ができなくても遭難の心配は無いので重要度も低いと思いますが、誰かに教えていると他の人も集まってきて、いつの間にか人の輪ができていることもあります。どこの山だったか忘れましたが、360度の展望を一通り説明し終わったら、周囲の人達から拍手喝さいを受けて驚いたことがありました。 どなたにとっても知らないよりは知っている方がいいようです。
2019/9/15 20:35
RE: 素晴らしいですね
Swan_songさん、こんばんは。

 takayama2さんが書いておられましたが、今は紙地図よりスマホが主流で、エアリアマップを見てなんてことをやるのは、私のような中高年層だけかもしれません。デジタルネイディブの若年層は紙地図を持っている方が少数派かもしれません。

 20万図なら範囲が広いので、山岳同定にはいいかもしれませんね。ただし、あの分解能で同定するには熟練度が必要ですので、Swan_songさんはかなりの熟達者と見ました。私も昔(20年くらい)は20万図でしたが、フリーソフトのカシミールを使い始めからは専らカシミールの展望シミュレーションが頼りです。ウィンドウズより前の時代は「山ヲタク」なんて展望シミュレーションソフトがあったのですが、今とは比較にならないほどの低精度でした。カシミールは写真とほぼ変わらぬ形で結果が出てくるので、検証が楽です。

 爺ヶ岳は位置関係が良く、奥多摩の長沢背稜(東京と埼玉の境界)や奥武蔵?の武甲山や大持山、小持山が見えたこともあります。北アの中では登りやすい部類なので、私にとって最も足を運ぶ山となっています。

 爺ヶ岳から中越の守門岳〜毛猛山が見えるのは非常に稀です(他の後立山を含めてもたぶん2回だけしか見てたことなし)。主な原因は雲海で、標高が高い越後三山の越後駒と中ノ岳だけが見えることはあります。尾瀬も簡単には見えませんね。安曇野は夏場はほぼ毎日雲海に覆われるので、標高2200〜2300mないと雲海に沈んでしまうことが多いです。秋になり乾燥すれば条件はずっとよくなると思いますが、あまり涼しい時期は本職の藪山に復帰するので、アルプスには登らなくなってしまいます。

 最も見るのが難しいのが佐渡島で、後立山には何10回も登っていますが見えたのは2回だけです。白馬岳で1回、爺ヶ岳で1回です。
2019/9/15 20:58
RE: 素晴らしいですね
えっ!武甲山までもですか。
それは驚きです。

懐かしくなり、30年前に後立山を縦走した時の山記録を取り出して、
爺ヶ岳での山座同定をした記録を見た所、
越後駒、中の岳、燧、日光白根は同定できてました。
おっしゃる通り、守門岳や浅草岳は雲海等で見えていなかったようです。

今は便利な時代ですけど味気ないですね。
やっぱり、地図と定規で写真を精査し、思わぬピークを見つけた時が山座同定の醍醐味と思っております。

https://www.yamareco.com/modules/diary/127062-detail-177392
(ぶしつけで恐縮ですが、山座同定について語った私の日記です。もしよろしかったら覗いてみてください)
2019/9/15 22:26
RE: 山頂からの山岳展望同定
 Swan_songさんの日記、拝見しました。手書きのスケッチは凄いですね! あそこまで調べるには相当な時間がかかったかと。まさに力作だと思います。私はあそこまでやったことはありません。

 爺ヶ岳から武甲山や大持山が見えたのは2018年6月30日の1回だけです。北アと武甲山の間には信州/上州国境の山々等が壁となりますが、一部区間(両神山〜御荷鉾林道が通る稜線)で標高が比較的低い場所があり、そこのみ見通すことが可能です。

 カシミールで確認したところ、武甲山から見えるのは燕岳〜五竜岳のようです。なお、爺ヶ岳〜武甲山の距離は約140kmで奥日光の白根山(約147km)と同等ですが、標高が低く雲海に隠れやすいので、日光白根より見える確率が低いです。過去に爺ヶ岳から見えた最も遠い山は新潟県の御神楽山(約180km)で、これも1回しか見えたことはありません。

 実際に常念岳から見た武甲山の写真と、武甲山から見えるはずの展望シミュレーション結果を張り付けた山行記録は以下で公開しております。

http://www.gekiyabu.sakura.ne.jp/public/2018/180630%20jiigatake/jiigatake.html


 天気予報の内容が金曜夜の時点から好転し、北アは今日も晴れのようです。私は土日で体力を使い果たして今日は家で寝てるしかありませんが、3日間とも天候に恵まれて大展望を楽しまれる登山者が多いかと思います。羨ましい! でも、もし見えていたとしても北アの山頂から奥武蔵や奥多摩、西上州、奥日光、尾瀬、中越地方の山々に目を向ける人は皆無に近いでしょう。普通は目の前に広がる北アの大展望で満足してもらえます。
2019/9/16 2:02
RE: 山頂からの山岳展望同定
おはようございます

早速、ブログを拝見させていただきました。
確かに、あれだけ拡大すると、武甲山の独特な形が確認できますね。
また、御荷鉾山や赤久縄山の山容もばっちり当てはまりますね。
爺が岳からと思うと、驚きました。

遠望が利く日は晴れよりも、高曇りの時が多いと思います。
2019/9/16 6:16
RE: 山頂からの山岳展望同定
Swan_songさん、こんにちは。

 20万図で遠くから見た山の形までイメージできるのは凄すぎます

 私の方はカシミール導入後は展望シミュレーション機能に頼りきりです

 確かに、高曇りの方が遠望が利くことがあります。毎回そうとは限らないかもしれませんが、爺ヶ岳から見た過去最高の遠望時はまさに高曇りで、この時に武甲山や新潟の御神楽岳、それに佐渡島が見えました。
2019/9/17 17:06
RE: 山頂からの山岳展望同定
こんにちわ!
確かに似たようなピークの連続を説明されて
「?」となった経験何度もあります!!

でもやはり、自身が登ったことのある山は
わかるから面白いですね!

ちなみに私はスマホじゃなくガラケーなんで
アナログもの大好きです〜
2019/9/22 15:13
RE: 山頂からの山岳展望同定
 DIJ345さ、、こんばんは。こちらへのコメント、ありがとうございます。

 こんなことをやっているので山岳展望については専門家と化しています

 自分で登った山は、登るときにはどれが山頂なのか分からなくても、下りで振り返りながら歩くと山頂がどれなのか分かるため、下界に戻っても山頂が分かるようになります。これをあちこちの山で繰り返すと、かなり分かるようになります。

 私の場合は標高2000m以上の山は登山道が無い山を含めて800山以上登っているので、アルプス級の山はもちろん、奥日光の山も全て登っています。ただし、男体山に登った頃はまだアルプスに興味が出る以前の大昔だったため、北アルプスのような遠くの山が見えるなどと考えもしませんでした。そもそも、山頂での展望がどうだったか既に記憶がありません 登ったのはフィルムカメラの時代でしたので、写真も残っていません。記憶にないということはガス等で展望が悪かったのかもしれません。

 もし今登るなら山頂で日の出を迎えられるように登り、北アルプスの展望を期待します。確か南アルプスの北岳からも男体山が見えた記憶があるので、天気が良ければ南アルプスも八ヶ岳も見えると思います。
2019/9/22 19:27
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