写真2 白馬岳のイブキジャコウソウ
先月、NHKのBS放送で「躍動する大自然 奇跡の絶景ストーリー 伊吹山「花と生きものたちの楽園」という番組の再放送があり、録画したものを今日になって見た。
鑑賞目的は伊吹山の花で、どんな花が登場するのか期待していた。結果としてはそれほど多くはなかったが、北アルプスで見られるイブキジャコウソウが本当に伊吹山で見られ、あちらの方が背が高かったのは興味を引かれた。北アのイブキジャコウソウは地面に張り付くような高さしかない。伊吹山には登ったことがないので花のシーズンに登ってみたい。
本題は花の話ではなく番組のオープニング映像。「自然」と題しているだけあって山岳映像が出てくるが、その中で日の出の逆光でシルエットになった端正な形のピークとその背後の山々が数秒間だけ映し出された。この番組はシリーズものなので伊吹山に関連した映像と言うわけではないだろう。
私はアルプス級の山はほぼ全て登っており主要な稜線の繋がりが頭に入っているので、解説無しの北/中/南アルプスの空撮映像でもある程度の範囲が映り込んでいれば、稜線のつながり方でどこの山が写っているのか大体推定できる特技?がある。今回の映像は範囲が狭いので尾根の繋がりから山域を推定することは不可能であったが、珍しく山の形そのものが見覚えがあるもので、同定に成功した。
まず端正な形のピークであるが、これは西側から見た常念岳だと見た瞬間に分かった(つもりでいた)。そして背景の山は志賀高原の横手山、岩菅山とその間に見えている日光白根山から男体山にかけての奥日光の山々だと、これも一目で分かった。北アで何度も見た特徴的な山並みなので間違えることはない。
回答は出たがいったいどこから撮影したかを確認したくなった。常念岳の西側なので候補は槍穂しかあり得ない。そこで最初に槍ヶ岳山荘からの展望をシミュレーションしてみたが、常念岳と岩菅山の位置関係が全く異なった。そこでこの位置関係が写真と同じくなるように展望地を南に移動していった結果、前穂高岳付近との結論に至ったのだが、常念岳のシルエットの形状が映像とシミュレーションで異なっていた。高さを色々変化させたりしてみたがこの問題は解決せずで、撮影場所は分からないでいた。
しかし別のことをやって少し時間を置いたらふとひらめいた。奥日光の山の位置である。槍穂付近等の北ア南部からは奥日光が見えるのはずっと南側で、四阿山と浅間山間鞍部の鳥居峠の向こうに見えるのを思い出した! 横手山より左側に見えるのはもっと北である!
そしてあのシルエットの尖った形状の山と言えば白馬岳がまず頭に浮かんだ。そこで西側の旭岳からの展望をシミュレーションしてみたが、白馬岳は西から見ると全く尖っていなかった(考えてみれば当然)。
次に思い浮かんだのは鹿島槍ヶ岳。ここを西から見ると映像のピーク右側の肩は布引山、左側の小ピークは八峰キレットから五竜岳へ続く稜線と考えればつじつまが合う。そこで西側の立山連峰からだと推定して最初に別山からの展望をシミュレーションしたらまだ南のようなので、真砂岳にしてみるとほぼ一致。画像に載せたシミュレーション画像は真砂岳山頂よりも少し別山側に下った稜線上からである。これですっきり。
解決までに要した時間は数時間。奥日光の山々と志賀高原の山々の位置関係に気付かなかったら常念岳だと誤解したままだっただろう。久々に仕事以外で頭を使った(笑)
ちなみに立山連峰から奥日光までの距離は150km近くあるため、夏山シーズンでは見える確率は非常に低い。当然ながら撮影は好天を狙って行ったのだろう。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する