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方位磁石の登場場面では同時に地形図も登場することになる。私が方位磁石を使うときは主に尾根の分岐点。これから下るべき尾根はどっちかの判断に方位磁石を使う。このとき、真の方位と方位磁石の指し示す方向は微妙な違いがあるので地形図に磁北線を入れている人もいるだろう。しかし、私の経験ではこのくらいの角度は誤差の範囲で方位磁石の北=真北と考えて支障をきたしたことはないから、藪山で持ち歩く地図にも磁北線は書き込んだことはない。たぶん私の藪山仲間連中も同様だろう。
尾根が分岐する場合、多くの場合は尾根同士の角度の開きは90度近くある。だから間違った尾根に入った場合、少し進めば進行方向が正しい方向と直角に近いことが多く、ちゃんと磁石で確認すればすぐに誤りが分かる。尾根が接近している場合でもせいぜい45度くらいだろう。経験的には方位の分解能は30度程度(たとえば北西よりちょっと北寄りくらい)で認識できれば読図は問題無し。絶対方位を数度の誤差で正しく計測するのは非常に難しいと思うし、過去の経験上、少なくとも尾根歩きに限定すればそれほどの精度は不要だと思う。
角度の分解能よりも地形図からイメージできる地形と現場の地形との誤差の少なさの方が重要な場合が多い。尾根の広さや傾斜の度合いなどが正しくイメージできていれば間違った尾根に引き込まれても早めに気付くことが可能。これに方位磁石と高度計の情報を加えてルート判断というのが私の行動パターンだ。いや、正確には高度計が最優先で(ただし誤差±2,30mは見込んでおく)次に方位磁石、最後が地形のイメージかな。でもルートミスをしたかどうかの最終判断は地形のイメージと実際の地形との食い違いってことが多い。
今はスマホで地図が見られる時代だから、昔ながらのアナログ読図は廃れていくかなぁ。というか、今の時代に藪山は流行らないだろう。昔は大学のワンゲルと言えば藪山が相場だったが、今の時代はワンゲル自体が絶滅危惧種だろう。
ありがとうございます、大変ためになりました
何を調べても、誰に聞いても『磁北線は必要』となります。
「そんな小さな誤差よりも大局だけ分かったらいいんだけどなー・・」なんて思っておりました。
読図がまだまだなのでまだ磁北線はワタクシには必要なのかも知れませんが。
おっしゃる通り、感覚・地形判断でルート外しに気付くレベルになりたいです。経験を積んでいきたいと思います
こんにちわ 初めまして
読図という事でコメントしました
私も読図の基本は沢と藪歩きで勉強したものです
私の基本は25000の地図から始まります
行きたいルートを決めてベアリングなど行いながら
現地で確認と修正をやりながら行きます
でも基本は地形を読む事です
そして高度と磁北との角度で行きたいところへ
行ってきました
特に下りは難しいので慎重ですけど
決めたルートをたどれた時は本当に
嬉しかったりしました
今やGPSやスマホなどの機材を使って
登る人がおおいですが、そんなの自分の力では
ないと思っています
アナログですけどこういう事が
自分の本当の力だと思いますね
sin-kazamaさん、おはようございます。
磁北線が必要となるのは地形の特徴に乏しい平地でのオリエンテーリングかと思います。道がない籔山歩きの場合、基本は尾根歩きなので尾根を外さない程度の読図力が主要な技術となります。数度の微妙な進行方向の差ではなく、もっと大きな角度で分岐(少なくとも30度以上)する尾根のどっちが正しいかを判断できればいいので、磁北と真北の方向差は誤差の範囲ですね。
尾根は登りの場合はどんどん収束して通常は山頂で1つにまとまるのでどこをどう登っても山頂に到着できるので細かいことは気にしなくても山頂に到着できますが、下りの場合は尾根がどんどんバラけていくのでどこかで間違うと目的地とは別の場所に下ろされてしまいます。小さな山ならさほど離れた場所に出ることはありませんが、大きな山で初めの方でミスをやらかすと10km以上離れた場所に下ろされたり、渡渉できない沢が横たわって対岸に渡れないなんてこともあります。下りの方が圧倒的に難しく、読図能力をフルに使うのはいつも下りです。登りで読図をするのは現在位置を確認して山頂までの所要時間や労力を推測するためでルート確認の意味はあまりありません。途中に崖などが無い限り、上を目指せば自動的に山頂に到着ですから。
私は籔山を始めてから20年くらい経過しますが、今でも下りでミスをすることはよくあります。ただし、読図能力が上がるとミスったことに気づくまでの時間が短くなり、ほとんどの場合は間違った尾根を下りだして数分で分かりますので最小限の被害で済みます。この時の最大の情報源は方位磁石ですが、地形図から読み取れる尾根の傾斜や尾根の太さも大きな情報源です。
そのレベルまで地図が読めるようになるには、それなりの経験が必要でしょう。登山道がある山だとなかなか身に付かないと思いますので、道がない山を独力で歩く経験を積むのが近道だと思います。ただし、これから夏の時期は道がない山は雲の巣、毛虫、ブヨ、ダニなどいろいろな虫が出るので、虫がいなくなる秋以降がお勧めです。最初は里山のような小さな山がいいですよ。
karankurunさん、コメントありがとうございます。karankurunさんの読図関係の日記は読ませていただいています。
整備された一般登山道を歩く分には読図は必須能力とは言えませんが、道がない尾根や沢、雪で登山道が埋もれた時期にトレースが無い山を歩くには読図は必須ですね。おっと、トレースが必ずしも正しいルート取りとは限りません。私が行く山は人のトレースよりもカモシカのトレースの方が多いです。籔尾根のテープ類もどこに導かれるのか分からないので、参考程度に利用しますが読図メインで進みます。
今まで読図もせず適当に歩いていた人がスマホやGPSで現在位置を確認できるようになったのは決して悪いことではないと思いますが、機械は故障したり電池切れしたり低温で動かなくなったり谷間などでは衛星の受信状況が悪くて現在位置を特定できなかったり嘘をついたりと常時使えるわけではありませんので、特に道がない場所では機械に頼り過ぎるのはちょっと危ないですね。
先日は「熊との遭遇」でコメントいただきありがとうございました。
今回も、とても参考になります。
磁北線が要らないというのも全く目からウロコでした。
私も素人ながら、疑問は感じてましたから。
以前、冬のガスった日に「大城」という里山に登り、広いピークから歩き出したら(下調べの予備知識にはない)ナイフリッジが出てきて、「あれ?」と思い磁石を見たら、行くべき方角と全く逆を指していて「ありゃ間違えた」と。
地図を取り出す以前に磁石だけで派生尾根に入り込んだのがすぐ分かり、いかに磁石が大切かを思い知りました。
「尾根が接近している場合でもせいぜい45度くらいだろう」という行も、かえすがえす目からウロコです。
あえて道迷いの勇気はないですが、頂上から山座同定するなどで地図読みのスキルを上げていきたいと思います。
おはようございます。
広いピークからの出だしは特に難しいですね。先日の日曜に登った奥秩父の「八丁ノ頭」も同じように山頂がなだらかでだだっ広く尾根の存在が分からない山でしたので、最初は方位磁石で慎重に進行方向を定めて低い笹原を歩きました。又、まだダラっとした地形のまま途中で大きな尾根が右に分岐する個所があり、そちらが主尾根のように見えるのにも注意が必要でした。狭い尾根なら間違いようがないのですが、広い場所は本当に難しいです。
人間の感覚は意外にいい加減で、こっちでいいだろうと疑問も無く進もうとして一応方位磁石で方向を確認したら90度違っていたなんてことはよくあります。さすがに180度違うってことは滅多にありませんが、全く無いわけではありません。
樹林が開けて周囲が見えればこんな間違いはないだろうと思いますが、岩山や森林限界を超える高い山以外は樹林であまり先が見えないので、普通であれば道がない山では方位磁石は必須です。
読図能力を鍛えるには、やっぱり道がないコースを自力で歩くのが一番かと思います。山座同定でもある程度読図技術を鍛えられるとは思いますが、こちらは細かな地形云々ではなくもっと大きな地形変化、マクロな視点が重要です。でもバリルート歩きで必要な技術はもっとミクロな読図能力で、両者には大きな違いがあります。やっぱり身をもって現地の傾斜や尾根の幅、肩や微小ピークを地形図と比較しながら体験し、それを積み重ねるのが遠回りなようで近道かと思います。
お返事ありがとうございます。
またしても、感嘆しながら頷くばかりでした。
やはり実地からくる言葉は染み入ると言いますか、短い言葉の裏にある何倍もの実地から来る重みを感じます。
熊のお話のときもそうでしたが「熊鈴はデフォルト」という台詞も染み入りました。
教科書通りがすべて正しいわけではないと、あらためて痛感しました。
以前、雨飾山の頂上でお話した人も全く同じ事を言っていました。
熊鈴は持たず、「居そうな場所では”柏手を打つ”」と。 なるほどな!と思いました。
かなりベテランな感じの人で、興味深くて一時間以上も話してました。
その方はストックは持たず”キツいときは膝の上を押せばストック代わりになる”と、まさに目からウロコでした。
歩き方も”南部歩き”がいいと言っていました。
手足を一緒に出す歩き方で、特に登りの時に重心が良い、とのことですが、さすがに南部歩きは真似できてませんが(苦笑)
話が少し横道に逸れましたが、toradangoさんとその人の話と共通しているのは、やはりベテランの方の言うことは一つ一つ説得力があるということです。
今後ともtoradangoさんの記事を要チェックさせて頂きますのでよろしくお願いします。
こんばんは。
「熊と柏手」。これ、鈴より効果が大きいのは実感済みです。私も鈴が鳴らない休憩中とかでやります。新潟糸魚川の黒負山ではブナに登った2頭の小熊を発見したのですが、鈴を付けて登っていたにもかかわらず気付いてもらえず、柏手で退散してもらいました。これが私が生まれて初めて撮影に成功した熊の写真でした。ただ、当時のデジカメは光学倍率は低くて性能も悪く(私の山歩きが激しすぎて性能が低下した可能性も)、等倍表示ではボケボケの画像でした。写真はさておき「射程」では圧倒的に拍手が有利なようです。もちろんいい音が出るうまい拍手じゃないとだめだと思います。私の場合はまとめて数発やってます。
まあ、熊に会うことは普通の登山者では滅多にあることではないと思いますので、私の体験が役立つ機会は無さそうな。役立ちそうなのは熊対策じゃなくて読図技術ですね
これから気温が上がって虫が多くなると道がない&
風通しが無い籔山は敬遠して森林限界を越えた高い山ばかりになってしまうので、本気モードの読図からしばし離れてしまします。2000m以上の山は登山道の有無に関係なくほぼ登りつくしているのでアルプス級の山はどこに行ってもほとんどが過去に登った山ですので、暑い時期は東京からアクセスがいい登山道がある普通の山ばかりです。気温が下がってそろそろ籔に突入してもいいかなと感じてからは本領発揮ですが、近年は下手をすると10月でも暑いので困ります。
私は個人でHPをやっていて、そちらの記録書きだけで1週間を費やす登山ペースで登っているのでヤマレコの記録作成まで手が回りません。日記程度ならそれなりに書けますが(でも少ないか)山行記録まで作成するのは時間的に無理な状況です。山行記録については個人のHPの方を見て下さい。読図の失敗例が出てくると思います
南アルプス、間ノ岳弘法小屋尾根の下りでハイマツの海原抜けた広い尾根のところですっかり方向失いました。
50mくらい進んで違和感感じたら90度違う方向へ。
スマホが差す方位嘘だろって疑ってかかりましたが間違っていたのは私でした。
私の日記にコメント頂いた通り、地形図拡げて磁石出した方が全体の地形やらと照らし合わせやすいですね。
スマホだと範囲拡大すると地形図の細かさが消えてしまい、大局が掴みづらいなとうすうす無意識で認識していたのですがそれを気づかさせて頂きました。
ヤマレコでも年一で記録出るかどうかの尾根はまだ三本しか歩いたことがありませんが、いろいろと奥が深いですね。
スマホ一辺倒ではなく、コンパス、高度計(腕時計検討中)、地形図も併用し勘を磨く努力した方がいいようです。
こういうルート歩くのはピリッと緊張しますが一般道歩きでは味わえない充足感があって楽しいですね。
林道にたどり着いた時の安堵感は本当になんとも言えません。
勉強になりました、ありがとうございます。
わざわざこちらの日記にコメントいただき恐縮です
昔は地形図を読めないと迷ったらにっちもさっちも行きませんでしたが、今ではスマホのナビでほぼカバーできるので、登山界全体としては安全性は相当向上したと思います。ただ、スマホ頼りが続くとスマホが使えない事態に遭遇するとヤバいことになるのが心配です。もっとも、一般登山者が歩く一般登山道ならあまり心配は無いでしょうけど。
tomhigさんなら経験済みでしょうが、登りより下りの方が格段にルート判断が難しいため、下りで鍛えるのがよろしいかと
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