沢歩きの装備はというと、必要最小限のザイルやカラビナ、シュリンゲは持つものの、足回りはフェルト底の沢用サンダルに地下足袋かトレランシューズで、あとはいつもの山歩きの格好です。これは若いころの沢歩きのスタイルと本質的には変わっていません。昔は沢登りといっても特別な道具があるわけでなく地下足袋にワラジを履くくらいで、普通の登山靴で登っている人も沢山いました。
最近の沢登りの道具はフェルト底の沢専用シューズを初めとして、ネオプレーンのウエットスーツのようなウエア、濡れても保温性のあるシャツなど多彩な物があり、これらは最初から水に入るのを前提としているようです。私達の世代以前の沢登りは、どうしても必要ならば泳いだりシャワークライムもするけど、基本的に釜はへつり、滝でも瀑心は避けて極力濡れないようにしていましたが、今の沢登りは積極的に水の中に入って行き、それを楽しんで登るという感じですね。こうしたスタイルは何時の頃から定着したのでしょうか。
1980年代の中ごろ、幾つかの山岳会の混成パーティで丹沢の小川谷廊下に行った事があります。私達はなるべく濡れないように一生懸命にへつっていたら、ある山岳会の人は最初から濡れても良い服装で釜に飛び込んで泳ぎ、滝では瀑心で流れ落ちる水をモノともせず盛大な水しぶきを上げて登っていました。これを見て、こうした楽しみ方もあるのかと目からウロコで関心したものです。その頃から徐々に今のようなスタイルになって行き、1990年代に定着したのでしょうね。ちょうどクライミングが今のスタイルになり始めた時期と一致しているようで面白くもあります。
夏の時期に泳いだりシャワークライムするのは、涼しくて楽しいのは判っています。それでも、装備をそろえるのは費用もかかるし、今の所それほど本格的にやろうとは考えてはおらず、当面は昔のスタイルで適当な沢で遊ぼうと思っています。
しかし、晩秋や春先の頃は水が冷たいから何とかならないかと考えていたら、ウインドサーフィンに凝ってた時に使っていた冬用のドライスーツがあるのを思い出しました。
引っ張り出してみると、多少ゴムの劣化はあるけど十分に使えそうです。ドライスーツの下にセーターを着れば、冬でも水に入っても寒くはなく、セーターが濡れることもありません。それに上半身の所に空気が溜まるので浮力があり、深い釜でもライフジャケットは不要です。しかし、水に入っていない時は暑くてムレそうだし、脱ぐと尋常じゃなく嵩張って荷物になるから、山で使うのは無理そうです。
やっぱり、昔のスタイルで乗りきるか、沢用の装備を買うしかないのか〜
写真1:1971年12月 丹沢、大山川 F11
写真2:1973年11月 丹沢、新茅ノ沢 F7
写真3:ウインドサーフィン用のドライスーツ
guchiさん、こんにちは!
ザイルにシュリンゲ、生きた世代がバレますよ!(今はロープ、スリングって言わないと、若い人には理解不能かも )
釜を泳ぎ瀑心を登る・・・、少し前に宮城公博の「外道クライマー」を読んだら、そいうのゴルジュストロングスタイルと呼ぶとか?(違ったかな?)1960年代後半だったら、間違いなく邪道って非難されるでしょうね。
サーフィン用のドライスーツを引っ張り出す・・・流石と思いましたが、やっぱり嵩張って半端じゃないでしょうね。
山や沢に限らず、技術や用具の革新が楽しみ方の変化を生むのか、違ったスタイルの楽しみ方への欲求が技術や用具の変化を生むのか、ちょっと研究したら面白そうですね。
f15eagleさん、こんにちは。
写真が古いから、あえてザイルという言い方に拘りました。
ゴルジュストロングスタイルというのですか、勇ましいですね〜〜
確かに昔だったら邪道なんでしょうけど、そういう遊びと考えれば”有り”ですね。
ただ、バランスと技術を駆使して濡れないようにルート取りに極限に拘る、というのも捨てがたいとも思います。
小川谷廊下の時も濡れたのは靴の踝の下までと、滝の水飛沫で服が少しだけだったので、それそはれで凄いと終了後の歓談のときに言われたものです。
まあ、ゴルジュストロングスタイルでもルート取りには拘るのでしょうけど。
技術や用具の変化は必要に駆られてだから、楽しみ方が変わった事が先な気がします。
それとスタイルの流行り廃りもあるでしょうね。
クライミングが昔の人工登攀からフリーに代わってきたのは、最初はロイヤル・ロビンスが提唱した『なるべく少ない道具で自然と一体になる』というクリーンクライミングの考え方だったのが『肉体の究極を極める』に変わってきていると思っています。
なんにしろ、道具が進化して楽しみ方が増えるのは良いことです。
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