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しかし、残念ながらC3で17名全員雪崩遭難するという結果をもたらしました。
その後の再挑戦と失敗、諦めていた遺体の回収を15年間続けた著者の目から見た記録です。
地元の村長の協力を得て、15年間通い続けるエネルギーもすごいが、当初未踏峰への諦めきれぬ再挑戦をもくろみが、徐々に地元の人々の価値観を理解していき、生業としたはずの梅里雪山の撮影自体にも地元の人の価値観にそぐわないのではないかという著者の意識の変化を克明に記録しているところが本書の優れている点です。
著者はこの間に3回梅里雪山を巡礼し、記録を残しました。
欲を言うならば地元で呼ばれているカワカブという山名も表紙に併記してほしかったし、今回の活動に関する経済的側面も明らかにしてほしかった。
これに関しては最後に少し語れるだけで、奇麗事に終わっているのが残念です。
しかし1991年にはリエゾンが走るしかなかったが、今では村長が直接、日本にいる著者に携帯電話で遺体の発見を伝えてくるようになったという記述に、驚きます。
所謂山岳写真とは一味違う著者の素晴らしい写真を観賞するために大判の書籍をお勧めします。
その後、著者の小林氏は地元の村との交流を深め、ツアーを組んだり、カワカブ通信を配信して文化交流に尽力しています。
数年前には元村長の娘さんを日本に留学させ、元村長を招いて講演会を開催していました。
梅里雪山は著者の人生を変えた聖なる山となったようです。
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