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正直それほど感動しませんでしたので、ハードディスクから消してしまいました。
ところが、かみさんが辻まことが書物の中で絶賛しているというので購入して読み始めました。
ならばと私もそのあとに読みました。
いやおもしろい。
記憶に残る「カピタン!」という言葉と映像が文章から蘇ります。
アルセーニエフの原作も素晴らしいのでしょうが、長谷川四郎の訳も素晴らしいのでしょう。
訳は古いので読むスピードは上がりませんが、自然の描写、特に天候の変わり目などの記述は山の中に寝泊まりした人には目の前に再現されます。
長谷川四兄弟の長谷川濬が翻訳したバイコフの「偉大なる王」とはまた違った魅力があります。
この時代に生きた先住民たちの描写もさることながら、アルセーニエフとデルスウとのやり取りは哲学的会話と思いきや、目に見えるままの世界を自分が生きることとの関連性のみで捉え、擬人化して解釈するデルスウの考え方にハッとさせられます。
特にアルセーニエフが「太陽とは何か」とデルスウに聞いたやり取りやデルスウがクリスマスツリーについてアルセーニエフの部下にその意味を聞くとその部下が下手にキリスト教を解説しますが、デルスウは聞き終わると「馬鹿か!」と捨て台詞を残すあたりは圧巻です。
映画に感動した人はこの原作を読めば感動は二乗です。
さすが辻まことのお勧めです。
脚色した映画より圧倒的に理解しやすく、気持ちの良い読後感です。
borav64m様、こんばんわ。
デルスは街に連れてこられて水を売り買いしているのを見て憤慨していましたね。
流浪のマタギみたいな人でしたが文明社会に適応出来ず非業の最後が悲しかったです。
私もカピターン!と叫ぶ声が忘れられません。
honestyさん コメントありがとうございます。
デルスウが全幅の信頼を寄せてカピターンと呼ぶ声がいいですね。
私は鳥が鳴き始めるとデルスウがまだ雨がやまないのに出発の準備を始めるシーンを読み、自分の経験と照らし合わせ納得したことを覚えています。
マタギといえばデルスウが街の酒場で騙されるところなど、なめとこ山の熊と同じですね。
最新式の猟銃を手にしたがためにデルスウが殺されてしまうあたりはアルセーニエフの文明批判なのではないでしょうか。
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