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内容に重複する部分がありますが、歳を重ねた後に思い出しながら記した文章です。
若い頃から大切な人と死別して、歳を重ねてからも身近な人の死を見て堪えているようでした。
登山の記録もありますが、主に戦前から戦中にかけて戦時の制限を受けながら山里や峠を歩いた随筆です。
昭和11年の草津での記述に
途中、立派な文化住宅らしい建物の並んでいるところがある。近づいて見ると国立癩病病院とある。ここは雄大な高原の一角にあたり、草津から熱湯を引いて、患者のためにありとあらゆる設備が施されていると聞かされた。
とあります。
「ありとあらゆる設備」の中に窓の一切な独房があったことは田部が知る由もありませんが、この年に北条民雄の「命の初夜」が発表されたことを思うと、この時代のハンセン氏病のとらえ方が分かります。
もしかしたら「聞かされた。」という言葉に疑問符を含ませているのかもしれません。
ウェストンもそうですが田部の紀行文も宮本常一の著書に並ぶ民俗誌の感があります。
私はこの本を1996年に1,400円で購入していましたが、今はAmazonで1円で購入できます。
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