高校で山岳部に入りましたがゴールデンウィークの計画はなかったので加藤文太郎を決め込みました。
また、中央本線始発６時１５分です。
むしろこの電車に乗って遠くまで行ってみたかったのです。
韮崎駅で降り増富ラジウム温泉行きのバスに乗ります。
増富ラジウム温泉からは歩きです。
とても気持ちのよい道でした。
ただ林道沿いにある岩全てに看板が掲げられ、ガマ岩とかいろいろな名前が付けられていました。ただ大半が無理矢理付けた名前と感じました。
金山平は牧場のように気持ちのよい高原でした。
林道から離れやっと登山道です。
当時はみずがき山荘などなかったと思います。
富士見平小屋を過ぎて暫く登ると雪です。
３月の鷹巣山では雪があったけれど、それより奥深い酉谷山では雪も氷もなかったじゃないか。
それがどうして５月にこんなに雪があるんじゃ。
頭が混乱しました。
しかし足下はセルバンシューズで土踏まずには金属の歯がついている。
恐れることはない。
このセルバンシューズは神田美津濃本店で買った物。
一緒に買った物には東京トップのコッヘルがあります。
飯盒等という土臭い物は買わない。
何故なら加藤文太郎がコッヘルを使っていたから。
靴もキャラバンシューズを買ったつもりでいたが、何故かセルバンシューズと書いてあった。
あれは何処の製品だったのだろうか。
更に今回は固形燃料に懲りていたのでツバメガスコンロを買った。
これは大砲の弾のような樹脂製の容器に入っていた。
購入先は小川スポーツ。
池袋西口の雑居ビルの二階にありました。
中学生の時に前の席に座っていた女の子のお兄さんが山岳部で、この店を教えてくれた。秀山荘に合併吸収されるまで、キスリングから羽毛服、半シュラフ、登攀道具まで、毎回値切ってずっと買い続けました。だから潰れたのでしょうか。
さて、雪の中をがんがん先行者を抜いていく。
背中には３０�僖�スリング。
その上にトップのコッフェルを格好良く括り付けていた。
サイドポケットは１．５リットルのポリタンクを入れるとぱんぱんでした。
気が付くと金峰山小屋についている。
あれ山頂はどうしたんだろう。
まだ早いので山頂を目指す。
どんどん降りていく。
下から女の人二人があがってくる。
「山頂はまだですか？」
「え！」
「金峰山の山頂です。」
「ここを降りたら川端下ですよ。」
「カワハゲ？」
お姉さんに説教されて小屋に戻る。
小屋の前でご飯を炊いて、ソーセージを炒める。
炒まらない。
目玉焼きの半熟？にしかならない。
小屋にはいると小屋のおじさんが「こんな小さな子が一人でやってきた。スペースを空けて。」と優遇してくれる。
ものすごい混雑である。
暑くて眠れない。
暗くなってから宿泊費４５０円の集金が始まった。
身動きが取れない。
すると隣のおじさんが俺が出しといてあげると二人分を払ってくれる。
暑くて眠れない。
諦めて外に出る。
満天の星空だ。
既に歩いている人がいる。
雪明かりで歩ける。
寒いので４５０円で買ったポンチョを着て歩く。
ポンチョはあっという間にゴワゴワの板状になりました。
諦めて脱ぐ。
わ、巨大白蛇。
山頂でやっと空が白み出しました。
そこから国師ヶ岳を目指して歩き始める。
とても静かで気持ちいい。
大弛峠に出て驚いた。
ガードレールがある。
そのまま突っ切るとまた原生林の中。
国師ヶ岳に着いた。
誰もいない。
向かいの北奥千丈ヶ岳に向かう。
ここから踏み跡がぐっと少なくなる。
原生林から突然伐採あとに出て、方向が分からなくなる。
更に林道に出てしまった。
あれ、もう麓？
地図で確認するとこの林道を横断してゴトメキに向かわなくてはならない。
カワハゲの次はゴトメキ？ウルトラＱか。
ゴトメキで休憩しているとギギギギーと変な音が聞こえる。
必死になってその正体を探す。
木と木が擦れている音だ。
雪の中を歩いていると２メート先で雪と枯れ葉が跳ね上がる。
心臓が止まりそうになる。
雪に隠れた枝を自分の足で踏んづけて、その枝の先が起きあがり跳ねたのだ。
広い笹尾根を歩く。
必死で踏み跡を探しながら進む。
すると向こうからお兄さん達が歩いてくる。
「オー登山者だ。ルートはこっちだ。」と私の方に走り寄ってくる。
これで自信がついた。
笹の谷を駆け下りた。
塩山のホームには２時３０分に立っていた。
とても自信のついた山行でしたが、４５０円を返せなかった山行でもありました。
40年も前、中学生の時に親に買ってもらった革の登山靴が、池袋小川スポーツのオリジナルでした。黒の表革で6000円だったのを今でも覚えています。本当はヘンケやローバが欲しかったけど、とても高価でしたね。その時は一階二階とも店舗だったような記憶があります。
久し振りに思い出させていただき有難うございます。
ankotaさん
うれしいです。
小川スポーツをご存知の方がいて。
あのごちゃごちゃ感が好きでした。
ポスターはジャンクロード・キリーでした。
確かに1階に靴が並んでいた気がします。
高校2年生の夏休みに肉屋で時給270円のアルバイトをして、
16,800円のノルディカを買ったのを思い出しました。
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