北岳・間ノ岳・農鳥岳(奈良田から周回)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 23.5km
- 登り
- 2,354m
- 下り
- 3,017m
コースタイム
6:32 奈良田第二駐車場バス停
7:20 広河原バス停
7:40 広河原山荘
9:53 二俣(10:10出発)
12:25 草すべり分岐(12:38出発)
13:05 小太郎尾根稜線(13:12出発)
13:48 北岳肩ノ小屋 (幕営)
【2日目】
5:25 北岳肩ノ小屋
6:00 北岳(6:25出発)
7:13 北岳山荘
7:50 中白根山
8:47 間ノ岳(9:20出発)
10:18 農鳥小屋 (幕営)
【3日目】
5:20 農鳥小屋
6:07 西農鳥岳
6:54 農鳥岳(8:25出発)
8:50 大門沢下降点
10:35 大門沢小屋(11:00出発)
12:07 大古森沢出合(12:17出発)
13:05 休憩小屋
13:34 奈良田第一発電所
13:59 奈良田第二駐車場
天候 | 1日目 8/14(日) : 晴れのち霧 2日目 8/15(月) : 晴れのち霧 3日目 8/16(火) : 霧(稜線下は曇り) |
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過去天気図(気象庁) | 2011年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
奈良田までの県道37号線(県道南アルプス公園線)の夜間通行規制 http://www.pref.yamanashi.jp/cgi-bin/kotsu/kisei_data.cgi?id=2074 県道南アルプス公園線(奈良田〜広河原)のマイカー規制 http://www.pref.yamanashi.jp/kankou-sgn/50915161945.html 県道南アルプス公園線(奈良田〜広河原)のバス時刻表 http://www.minamialps-net.jp/ACCESS/bustime_6.htm http://www.town.hayakawa.yamanashi.jp/mycar/bus/index.html |
コース状況/ 危険箇所等 |
1.登山口まで 奈良田までの県道南アルプス公園線は全線舗装の走りやすい道です。現在、工事による片側通行規制が行われています。夜間(22〜6時)は通行止めとなりますので奈良田に前泊する場合は注意してください。 奈良田には集落内のバス停付近と早川の河原(第二駐車場)の二ヶ所に無料駐車場があります。特に奈良田の集落を少し進んだ第二駐車場は160台がとめられるかなり大きなもの。奈良田バス停には併設して綺麗なトイレあり。第二駐車場にもバス停と仮設トイレあり。 奈良田(第一発電所)から広河原までの県道南アルプス公園線には現在マイカー規制が行われています。この区間はバスまたはタクシーを利用することになります。当日は奈良田集落内のバス停と第二駐車場のバス停からそれぞれ一台づつ始発のバスが出発しました。バスはほぼ満車状態。片道1100円です。 北岳登山口の広河原には野呂川広河原インフォメーションセンターが建っています。ここにはトイレや登山ポストもあります。 2.登山道 【1日目】 広河原バス停を降りてすぐの場所に野呂川広河原インフォメーションセンターがあって、更に車道をすすむと大きな吊橋が見えてきます。吊橋を渡った先にあるのが広河原山荘。ここからは本格的な登山道となります。 歩きはじめは樹林帯。白根御池小屋への分岐を右に見送って、大樺沢に沿った登山道を歩きます。概ね緩やかな歩き易い道。一度大樺沢を右岸に渡り、しばらく後に左岸に戻ります。周囲の樹木が低くなり正面に北岳が望めるようになると二俣が近い。 大樺沢二俣から右手斜面を登ったところにバイオトイレあり。ここからは目指す右俣コースの他に、八本歯のコルへと続く左俣コースと白根御池小屋への道も分岐しています。始めは沢に沿って道が続き、これまでとはうって変わって急な登りとなります。低木の中の急登をしばらく登ると道は沢から離れ、樹木のまばらな広い草地に出ます。再び低木帯の登山道を斜上すると白根御池小屋からの道が合流。周囲はハイマツ帯に変わり登山道の両脇はお花畑が広がります。ここから小太郎尾根の稜線まで最後の急登。 稜線に出ると一気に展望がひらけます。ここからは一部に急な登りがあるものの概ね穏やかな登山道。30分ほどの稜線歩きで北岳肩ノ小屋に到着。 【2日目】 北岳へは肩ノ小屋背後の露岩帯を登ります。急登ですが概ね歩き易い道。両俣小屋への分岐を見送って眼前のピーク(山頂ではない)目指して登ります。ピークからやや降って、そこから山頂までは緩やかな稜線上の道。北岳山頂からは360°の大展望。富士山や間ノ岳、どっしりとした山容の仙丈ヶ岳、白く光る甲斐駒ヶ岳などが一望できます。 山頂から北岳山荘のある鞍部までは露岩帯の急な降り。吊尾根への分岐を左に見送ってジグザグと降ります。下部はハイマツ帯。鞍部には北岳山荘。縦走路よりも一段低い所に建っていて、併設してとても綺麗なトイレあり。 北岳山荘からはハイマツ帯の登り返し。中白根山の直下が少し急ですが、概ね歩き易い道です。中白根山は平坦で広いピーク。ここからの展望も良く、三角に聳える北岳が格好よく望めます。目指す間ノ岳も間近に見えますが、コースタイムではここから約1時間。意外と距離があります。中白根山から間ノ岳の間は露岩帯の広い稜線歩き。概ね緩やかで歩き易い道です。間ノ岳は平坦でとても広い山頂。山頂からは360°の展望が得られます。これまで見てきた山並みに加え、塩見や荒川といった南部の山々を見渡すことが出来ます。 農鳥小屋までは起伏の少ない広い斜面の降り。濃いガスに巻かれた場合は迷いやすいかもしれません。道筋はしっかりしていて、ペンキの目印も頻繁につけられています。ややザレた斜面なので浮石・転倒に注意して下さい。遥か眼下に見える農鳥小屋目指してジグザグと降ります。山頂から農鳥小屋まで約1時間。 【3日目】 この日に奈良田まで降る場合はコースタイムで8時間ほどと行程が長めです。 農鳥小屋から西農鳥岳までは露岩帯の急な登り。ここから農鳥岳までは起伏に富んだ岩稜の登山道となります。斜度は概ね緩やか。稜線の西側をトラバースするように登って農鳥岳へ。山頂からの展望は濃い霧のため不明。 農鳥岳からは稜線を外れ、緩やかな東側斜面をトラバースするようなかたちで降ります。大門沢下降点は広い鞍部にあって、降り口の目印に鐘が吊るされた黄色い鉄標が建っています。 下降点からはハイマツ帯の急な降り。ややあって樹林帯へと変わりますが、急な降りであることは変わらず、木の根や石ころ、高い段差も多くて歩き難いところです。我慢して降ると水音が大きくなり左手に水の流れが見えてきます。ここまで来れば、ようやく斜度も緩やかに。ここから大門沢小屋までの間に登山道を2つの小沢が横切りますが、掛けられている橋が微妙に厄介です。最初の沢に掛けられた丸太橋は水飛沫で濡れていて滑り易く、南沢に掛けられた梯子状の橋はバランスが悪くて左右に揺れます。通過には十分気をつけて下さい。大門沢小屋にはチップ制のトイレ有り。また、小屋の玄関前には水場があり自由に使わせてもらえます。 小屋からは沢に沿って降ります。はじめ丸太橋で左岸に渡り、少し進んだところで右岸に渡り返します。先ほどまでの橋に比べれば安定していますが、沢は水量多く流れも速いので転倒に注意して下さい。この辺り概ね緩やかな降りですが、小さなアップダウンがあります。また、登山道に山水が流入し沢のようになっている区間があります。 小尾根を巻いたところから八丁坂が始まりますが急な降り区間は僅かです。広葉樹が美しい緩やかな斜面を進み、枯れた沢状地形の急斜面を一気に降ったところで八丁坂が終わります。しばらく進むと大古森沢に出合い沢を丸太橋で通過、その先の小古森沢には橋はなく渡渉します。当日は渡渉に問題ありませんでしたが増水時は手こずりそうです。ここからは吊橋を3つ越えて林道に出ます。奈良田第一発電所経由で舗装道路を歩き奈良田の駐車場へは約1時間ほど。 3.幕営地 【北岳肩ノ小屋】 幕営料は500円。水場は小屋から東側の急斜面を降ったところにあって往復15分程。水量は細いです。また小屋でも100円/1Lで販売しています。幕営張数は50張り。小屋の前、尾根の西側、東側にそれぞれテントサイトがあります。小屋の外にトイレあり。汲み取り式。チップ制で利用料金は100円。幕営跡は綺麗にならされているので平坦で快適です。西側の幕営地に張りましたが、正面に仙丈ヶ岳が望める素晴らしい所でした。 【農鳥小屋】 幕営料は500円。水場は小屋から東側の急斜面を降ったところにあって往復30分程。結構距離があります。水量は豊富。また小屋でも100円/1Lで販売しています。幕営張数は50張り。小屋のすぐ脇と間ノ岳側に少し離れた2個所にテントサイトがあります。小屋の外に男女別のトイレあり。渡した板に穴が開いているだけのかなりワイルドなもの。なかなか衝撃的。幕営跡は綺麗にならされているので平坦で快適です。幕営地からは間ノ岳や農鳥岳が間近に望めます。 4.温泉 奈良田や県道沿いには良い温泉がいくつもあります。登山後(の薄汚れた格好)でも利用しやすいのは奈良田の里温泉だと思います。硫黄の香りがする柔らかい温泉で掛け流し。入浴料は500円。休憩所利用の場合は1500円です。 |
写真
感想
連日最高気温を更新するような暑い日が続いていますが、日差しが強すぎて山の天気はかなり微妙。せっかくのお盆休みなのでテントを担いで何日か山篭りといきたところですが、朝からガスガスでは面白くありません。いくつか候補を検討した結果、2泊3日で白峰三山を縦走することにしました。宿泊を考えている北岳肩ノ小屋も農鳥小屋も幕営地から山頂までわずかな距離というのが魅力的で、朝の天気を見ながら行動を決められるのがいいところ。初日に広河原から入山し、天気が良ければ農鳥岳まで縦走して奈良田に下山。2日目に天気が悪ければ肩ノ小屋で停滞し、3日目に軽装で間ノ岳を往復して広河原に下山。という感じでざっくり計画を立てて登山口に向かいました。
前日は奈良田の第二駐車場で車中泊。広い駐車場はだいぶ余裕があり、奈良田側から広河原に入山する人は比較的少ないのかもしれません。奈良田から先はマイカー規制されているので、初日、朝一のバスで広河原に向かいました。第二駐車場始発のバスはほぼ満車状態ですが、補助椅子を使うような混雑ではなくゆとりがあります。座席でウトウトするうちに広河原に到着。奈良田からのバスは少し遅い到着になるので、入山口は既に閑散とした雰囲気。
登り始めは大樺沢に沿った道。沢沿いの道は吹き抜ける風が涼しく気持ちいい。登山口ではすっきり晴れわたった空でしたが、早くも雲が湧き上がっているのが見えます。大樺沢上部に到着した頃には、北岳がガスに包まれるのも時間の問題といった感じ。とは言うものの稜線下は強い日差しが降り注ぎ、日陰のないところではとにかく暑い。二俣近くになると大樺沢も草地となり、汗が一気に噴出します。二俣分岐の木陰で休憩していると、ようやく太陽も雲の中へ。やれやれ、少し涼しくなったところで先へ進みます。ここからは沢沿いの道とうって変わって急な登り。山は好天に限りますが、このコースに限っては雲が日差しを遮ってくれて本当に助かりました。白根御池小屋からの登山道を合わせると空が一気に近くなり、稜線まで後僅かであることを知らせてくれます。登山道左右のお花畑を楽しみながら稜線へ。小太郎尾根の東側はガスの中ですが、西側はまだ晴れていて大きな仙丈ヶ岳が正面に見えます。こちらも山頂はガスの中。久しぶりの登山で少しバテ気味でしたが、稜線に出ると気力が回復するのは何故でしょうか? 気持ちも足取りも軽く北岳肩ノ小屋へは午後2時前の到着。幕営場所はいくつかに分かれていますが、正面に仙丈ヶ岳が望める西側のサイトを選択。午後はガスに包まれてしまいましたが、夕方は再び晴れて鮮やかな夕焼けを見ることが出来ました。さーて、明日の天気はどうだろうか?
翌朝目を覚ましてみると北岳はまだガスの中。今日はダメかな〜と二度寝し、5時に再び外を見てみると……すっかり晴れてる! 慌ててテントを撤収して小屋を出発。なんだかちょっと出遅れた気もしますが、間ノ岳までなんとか持ってくれ〜。
小屋の裏の斜面を精一杯のハイペースで登り、約30分後北岳山頂に到着。山頂からの景色はもう凄い。大きな山容の仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳の山頂は早朝の日差しにキラキラ輝き、水墨画のような富士の姿に間ノ岳から農鳥岳へと続く縦走路。どこを向いてもスケールの大きな風景が広がります。いつまでも滞在していたい山頂でしたが、雲が昇ってこないうちに間ノ岳まで進みたい。30分ほどの滞在のあと、山頂を後にしました。
ここからは北岳山荘のある鞍部まで急斜面を一気に下り、そこから中白根山まで登り返し。中白根山から見ると間ノ岳はすぐそこに見え、これは結構余裕かな? などと思っていたのですが、ここからが意外と遠い。たいして急な登りもないのですが、しっかり1時間かかって間ノ岳に到着。だだっ広い間ノ岳からの景色もなかなかのもの。塩見岳や蝙蝠岳、荒川岳といった南部の山々まですっかり見渡すことができ、また、ここからの北岳は三角形の整った山容でとても格好良く見えます。のんびり景色を見ているうちにも雲は慌しく動き、山頂に到着して30分後には周囲の山々はすっかりガスの中へ。どうやらギリギリ間に合った感じでした。やっぱり二度寝はいけませんね。休憩のあとは遥か眼下に見える農鳥小屋目指してガレた斜面を大降り。こちらの幕営地も間ノ岳や農鳥岳が間近に望める快適な場所。トイレは繊細な山ヤにはなかなか衝撃的です。ちなみに農鳥小屋には癖がある性格で有名な名物おやじがいるというので少々緊張していたのですが、私が到着した時には非常に機嫌がよく、普通に感じのいい方で少々残念?でした。休憩後に水場へ水を汲みに。急な斜面をだいぶ降ったところに水量豊富な水場。調子にのって水をがぶ飲みするも、帰りの急斜面に全部汗で流れる。
翌日テントの外を見ると農鳥岳は薄いガスの中。今日は天気に関わらず奈良田に降りるしかないので、ガスが取れることを祈りながら出発です。西農鳥岳までは急な登り。朝一で体力も十分。山行も3日目で体も慣れているためか、意外と足取り軽く山頂へ。朝は薄くかかっていたガスも日が昇るにしたがって徐々に濃くなっていきます。時折ガスが途切れることもありますが、これは微妙かも。起伏に富んだ岩稜を無心に進みます。なんとなく行く手が賑やかになったと思ったら、霧の中から農鳥岳山頂が出現。もちろん濃いガスの中で山頂からの景色は全くわかりません。さて、どうしようか。そうそう来る機会のない山頂なので、出来ればガスの晴れることを期待して少し待っていたいところですが……。今日の行程は長く、ここから奈良田までCTで7時間。多少は短縮できるとしても、あまり長く山頂に留まるわけにはいきません。結局8時半まで待って見ましたが全く晴れる気配なく、この辺が潮時と下山にかかりました。ちょっと残念。
遅れを取り戻すべく、少しハイペースで先を急ぎます。最初はハイマツ帯をジグザグに降り、そのあとは樹林帯の急斜面。木の根や石ころも多く、段差の高いところもあって歩き難い。高度を下げるごとに気温も上がり徐々に蒸し暑くなってきます。到着した大門沢小屋で冷えた缶コーラを一気飲み。炭酸うま〜い。普段は全く飲まないですが、山の炭酸飲料は本当に美味い。時計を見るとまだ10時半。この分なら予定通り下山できそうです。このあとはペースを戻して奈良田まで。最後は涼しい風の吹き抜ける沢の出合い毎に休憩して、のんびり山歩きとなりました。
農鳥岳はガスの中でしたが、2日目のメインストリートは好天に恵まれて素晴らしい山行になりました。奈良田の温泉に浸かりながら満足感に浸っていたのは言うまでもありません。夏山ってやっぱりいいもんだなあ。
ホームページ「旅の道標」もよろしくお願いします
http://aralagi.travel-way.net/
北岳・間ノ岳の縦走して最後奈良田温泉に入ると言う山行
いつか行きたいと夢見ている私
車でどうにか行けないかと考えていました。
「aralagiさんのルート」まさに夢の山行です(*^。^*)
Myテントデビューはまだなのですが、参考にさせて頂きます。
いつかなぞりたいと思います!
私も白峰三山の縦走コースはいつか歩いてみたいと思っていた憧れのコースだったので、今回の山行はとても満足。すごく良かったですよ〜
自分もマイカー登山がほとんどなので、ルートをどうするかはいつも頭を悩ませるところです。登山口からのピストンばかりだと面白くないし……。
白峰三山縦走のような伝統的なコースが周回ルートで整備されているというのは、ほんとありがたいです。
ピストンは極力避けたいと思いますよね!
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