北ア黒部奥山縦走【後編】水晶岳、鷲羽岳、黒部五郎岳
- GPS
- 23:27
- 距離
- 43.5km
- 登り
- 2,764m
- 下り
- 3,823m
コースタイム
- 山行
- 7:10
- 休憩
- 0:58
- 合計
- 8:08
- 山行
- 5:53
- 休憩
- 0:45
- 合計
- 6:38
- 山行
- 7:21
- 休憩
- 0:36
- 合計
- 7:57
過去天気図(気象庁) | 2018年09月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
バス
高山線と富山線の2系統があります。 https://www.nouhibus.co.jp/route_bus/shinhotaka-line/ https://www.nouhibus.co.jp/highwaybus/okuhida/ |
写真
感想
(前編より続く)
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1585414.html
夜は雨が降ったようですが朝にはあがり、朝食後の6時半ごろ高天原を出発です。
昨日雲ノ平から400mほど下っていますので稜線にでるためにはそれ以上の標高差を登り返さなければなりません。昨日の森の道のような泥道だったらいやだなあと思いながら岩苔乗越を目指します。
途中水晶池にも寄って見ましたが、雲は重く垂れ込めて下り、水晶岳の姿をみることはできませんでした。
やがて視界が開け、沢沿の道となりますが、こちらは清流で昨日の道とは大違い。靴の泥を落としながら歩けるくらいで、登りの辛さはあまりありません。最後の坂を頑張って登って岩苔乗越の稜線に到着しました。そのころには時々晴れ間も見えるようになっていました。とてもラッキーです。
そこからはまさにアルプスの稜線歩き。昨日いた雲ノ平を下に見ながら歩きます。黒部川に四方をえぐられながら、上だけたいらになっている雲ノ平の姿がよくわかります。
25人の団体ツアー客を追い抜いて水晶小屋に到着。ここで荷物をデポして山頂に向かいます。岩場で団体さんの渋滞に巻き込まれないようにとっとと進みました。
山頂はガスで見えたり見えなかったりの状態でしたが、確実に天候は良くなっており、時折黒部湖の姿も垣間見ることができました。
岩場も余裕を持ってこなし、山頂に到着です。我々以外は誰もいませんでしたので3人の写真を撮ってもらうことが出来なかったのが残念といえなくはないですが、こんなによいコンディションで静かな山に登れたわけですから、そんなことを言ったらバチがあたりそうです。
山頂では電波が入りましたので息子はなにやらタブレット作業で忙しいようでしたが、今日はもう一つ百名山を取らなければいけないので、山頂を後にし、小屋に戻ります。
水晶小屋には10時くらいに到着しましたが、お腹が空きましたので、息子は名物の力汁を、もちの苦手な私はカップラーメンを食しました。力汁は汁だけもらいましたが、生姜が効いていて美味しかったです。
目指す鷲羽岳は南方向の行く手にはっきりと見えます。均整のとれたその姿はやはり百名山にふさわしいものでその山容を見ながら楽しく歩けますし、左手には野口五郎岳から烏帽子岳につながる稜線も見えて、アルペン気分満載です。
手前のワリモ岳のところには山と高原地図では危険マークがついていましたが、今日のコンディションでは特に問題なく通り抜け、最後の登りをこなして鷲羽山頂に到着しました。今回は3人の写真、山レコ用の後ろ姿も撮っていただけました。
山頂の少し先には鷲羽池があり、静謐な水を湛えていました。槍ヶ岳の展望地と聞いていましたが、そこまでの高望みはしません。
高いところから今夜の宿泊地である三俣山荘がすぐそこのように見えます。しかし標高差はまだかなりあるはずで、それはつまり急坂ということ。ザレ場のジグザグ道を慎重に、でも快調に落下して三俣山荘に到着しました。
最終日の下り行程を少しでも軽くするために黒部五郎小屋まで行くという選択肢もあったのですが、小屋についた途端に雨が降り始め引き止められた形になりました。これもまた奇跡的なラッキーです。
小屋の人に聞くと、ここもお客が少なくてガラガラとのことでしたが、前夜までがあまりに少ない人数でしたので何か人が多いなあという感じです。
夕食は名物のジビエシチュー。スパイスが効いていて美味しいです。シチューに白いご飯をツッコンで食べたら美味しいだろうなあと思いつつお行儀が悪いと思ってせず、最後の少しだけやってみたらとても美味しかったので最初からやればよかったとプチ後悔。。。
夕食後は昨夜高天原山荘でご一緒させていただいた「テン泊トレラン男子さん(のちにkick-rinさんと判明)」と「ソロ登山女子さん(のちにkorisu06さんと判明)と再会を喜び、2F展望食堂の一番いい場所を陣取って談笑。息子が行動食用に持ってきたお菓子などを食べながら山談義に花を咲かせました。話の中身はあんまり覚えていないのですが、とにかく心の底から楽しかったことはよく覚えています。
この日の夜も雨が降ったようですが朝には上がり、出発する時間には槍ヶ岳が正面にはっきりと見えるようになっていました。繰り返される奇跡に山の神様に感謝しかありません。
黒部五郎小舎までは三俣の北側巻道経由で2時間ほど。途中眺望のよい場所でkick-rinさんが休憩していらしたので黒部五郎を望む3人の写真を撮ってもらいました。とても記念になります。ありがとうございました。
8時半ころには小屋についてチェックイン。この日も空いていそうなので3人で個室に入れないか聞いて見ましたらOKでした。
不要な荷物を小屋においていざ黒部五郎岳の山頂へ。計画段階でpapibanさんから稜線コースは良いコースとの情報を得ていたので上りは圏谷コース、下りは稜線コースとしました。
黒部五郎のカールは本当に格好いい。見ていて胸がすくような感じがします。
kick-rinさんには逆回りコースをお勧めしておいたので想定通り最後の登り地点で再開。お別れの挨拶をすることができました。
稜線に乗越したあたりでは、富山湾の海も見ることができましたが、天気は下り坂であることは間違いなさそうで、だんだんとガスがかかってきました。
程なく山頂に到着。先行していた、2年前に百名山を達成されたという先輩登山者さんに3人の写真をまた撮っていただきました。
さて下りは先輩登山者さんと共に稜線コースへ。岩場は多いですが、とてもマーキングがはっきりしていて良く手入れされている感じのコースです。山と高原地図では破線になっていてヤマレコでも情報の少ないルートではありますが、南八ヶ岳の岩場程度をこなせる人であれば全く問題ないルートと思います。山小屋の人とも会話してお勧めはしていないため破線ルート扱いということでしたが、一方で良く整備もされており、ちゃんと分かっている人であればむしろ使って欲しいのではないかなあなどと感じました。
カールを見下ろしながら下山。昼過ぎには小屋に着きましたが、山中最後の宿泊をゆっくり楽しむことにします。小屋で軽食を食べながら先輩登山者さんと会話して、百名山攻略法などを伺っていました。
家族で個室がとれていましたので、気を使わずに会話もでき、夜はとても楽でした。
しかしながら夜から雨。電波の取れるところで確認した情報によるとそれまで南下していた前線が再び北上し明日はこの地域一帯にかかるとのこと。ということはこの間の日曜月曜のように猛烈な雨になることもあり得るということです。これまで4日間、登山中は一回も雨に当たらずにいたこと自体奇跡的ですので、それに感謝しながら下山しようと思いました。
果たして最終日は雨。ザックの中の水没対策をし、カメラも防水袋にしまって、意を決して出発です。それでも最初は快調で、時折現れてくれる雷鳥の写真を撮れないことを後悔するぐらいの余裕があったのですが、三俣の稜線に出ると雨と強風にさらされ、体温が奪われていきます。「低体温症」などという言葉が頭をよぎりますが、体のエンジンを消さないようにとにかく歩き続けます。
やっとの思いで、双六小屋に到着。ホットカルピスで体を温めていると、なんとそこでもkick-rinさんと再開。奇跡のカウントがまた一つアップしました。
そこからはただひたすらの下山。鏡平にもわさび平にも寄らず、新穂高ロープウェイまで歩き、宿泊予約していたひらゆの森にバスで移動。温泉に入って今回の山旅、無事終了となりました。
思い返せばたくさんの奇跡に巡り会えた5日間でした。山で4泊もしたのは初めてであり、街に戻って見ると何か地球ではないどこかに行っていたような気すらします。登山を始めて約10年になりますが、家族でサポートしあいながら念願の雲ノ平、高天原、黒部の山々に行くことができ、感無量です。
出会ったみなさま本当にありがとうございました。そして、山の神様、ありがとうございました。
****
yoshiyan妻のコメント
山って素晴らしい。景色もさることながら,人々との出会いが。
挨拶を交わしただけなのに,ほんの数分立ち止まって会話しただけなのに,
言葉に優しさや温かみが感じられて。
今までの山で出会った方々も,お元気でいらっしゃるかしら?またお会いしたいな,
と時々思い出して。
今回は,山小屋に4泊もして,実は出発前から少々気が滅入っていたけれど,
1日では到達できない深い山には,色んな素敵な出会いが待っていた。
私の実力では到達できない深い山へ家族の手助けのお蔭で着いてみたら,
平日の山小屋は少人数でゆったりしていて,
素敵な人たちと語り合い,山の話しかしないけれど
お互い人生頑張ってきたよね,って伝わり。
すれ違った人たちとも,ほんのちょっと挨拶しただけなのに,
どうぞ気を付けてくださいね,と交し合い。
有難うございます,皆さま。
お互い,これからも頑張りましょうね。
あなたの人生に幸あれ。GOOD LUCK!
Fin.
後編作成ありがとうございました。
再開、そして『ソロ登山女子』として物語にも出演できて光栄です。
三俣山荘の夜は、高天原への道がどう嫌だったかの再確認と、地図を広げて行きたい道を探したり。
最後に注目を浴びていた『鍬崎山(くわさきやま)』はネット環境に戻った後、調べて自分が行きたくなってしまいました。
楽しい事は下界にもたくさんあるけれど、今回の山行は思い返すと幸せな事ばかりでした。
ママさんの言葉も、とっても嬉しかったです。
またどこかの山でお会いするかもしれません。生活圏も近いですし(笑)
他のヤマレコも楽しみにしていますね。
korisu06さん、こんにちは。
駄文長文にお付き合いいただきありがとうございます。
いずれ
雪の高尾山
日光澤温泉
本当の奥秩父の悪路
あたりでお会いできるような気がします。
今後ともよろしくお願いいたします。
前編に続き後編も大作ですね
最後は雨のなかお疲れ様でした
自分は下山したあとに合流予定の友達と連絡をとり、天気予報を見てテン泊はあきらめて帰りました(>_<)
他の記録も読ませてもらいます
またどこかでお会いしたらよろしくお願いします
seabassさん、こんにちは。
駄文、長文にお付き合いいただき、ありがとうございます。
最終日の雨は大変でしたが、その前までの記憶があまりにも素晴らしいので、早くも美化されようとしています。
また次の「男のロマン」の地を発見したら教えてくださいね。
今後ともよろしくお願いいたします。
たくさん登場してもらいありがとうございます😊
1日目、2日目、3日目とその都度お別れしたつもりが、奇跡的なタイミングで何度もお会いすることができ、なんだか3日間一緒に登った気になりました。
3日間の中で印象的だったのが、「ソロ登山女子」さんを交えた三俣山荘での地図を眺めながらの会議でした。
1つの山に対してたくさんのアプローチがある事、時期によって輝きを放つルートがある事、無数にある山々の魅力など、私の知らない山の魅力を皆さんから聞くことが出来、私自身まだまだヒヨッコだということを認識したと同時にこれから先の山ライフに胸が踊りました!
また、そんな素敵な山をご家族で回られてることを羨ましくも思えました。
私もいつかそんな日を迎えることが出来ればと。
皆さんとこの場所で出会い、時間を共有できた奇跡に感謝です。
2週間というこの先できるかどうか分からない、貴重な山行の中で、最も印象深い時間でした。
またいつか山で再会できる奇跡を信じてます!
kick-rinさん、こんにちは。
その後は槍ヶ岳はいかがでしたでしょうか。
息子はkick-rinさんに心遣いいただき、声をかけていただいたことに感謝しておりました。
妻は何度も奇跡的に再会したkick-rinさんにもうなにか親戚のような親しみを感じ、必ずどこかで再会できるはずと言っておりました。
私はヒマラヤに備えて薪割の訓練を始めようかと思っています。
コメント・メッセージありがとうございました。
yoshiyanさん、奥様、こんにちは。
北ア奥地への4泊5日の山旅、かなりハードだったかと思いますが、素晴らしい山と素敵な方々との出会いを堪能されたことがレコからも伝わってきます。これだから、山は止められませんよね。
おススメした黒部五郎の稜線コース、天気が今ひとつだったようで、ちょっと残念でしたね。天気が良ければ白馬から槍穂まで見える素晴らしいコースなのですが。
あ、尾根を外れたあとのチクチク地獄と悪路、私の場合、登りに使ったことと兎に角天気の良いうちに尾根に出たい気持ちが強かったので、気にならなかったのですが。
情報不足で申し訳ありませんでした。
papibanさん、こんにちは
> 情報不足で申し訳ありませんでした。
とんでもありません。
papibanさんから事前に情報をいただいていたので稜線コースを確信をもって楽しむことができました。圏谷コースの往復でしたら楽しみは半減していたと思います。
稜線コースと圏谷コース、どちら周りにするかは最後まで迷ったのですが、
伽藍のような黒部カールを正面に見ながら登れる圏谷コースを登ってよかったと思う反面、ガスが上がる前に稜線コースを行くのもよかったかなあと思うところもあります。まあ雨にあたらず黒部五郎の山容を十分楽しめましたので贅沢な悩みだと思っています。
またこれからもpapibanさんのレコを参考にさせていただいて山に登ろうと思います。
コメントありがとうござました。
****
妻からのコメント
いつも応援いただいてとっても励みになっています。
合計で10分間もお話していませんのに,
ずっと以前からのお知り合いのようで,
お元気でいらっしゃるかしら?
と思い出しております。
お互いの故郷が近いことがわかり,
きっとまたどこかの山でお会いできるのでは,と
楽しみにしております。
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