崩壊後の北岳バットレス4尾根登攀＋小太郎山ハイキング
山梨県
all-green
その他1人 
体力度について
- GPS
- 30:31
- 距離
- 34.2km
- 登り
- 3,127m
- 下り
- 3,322m
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5:30 夜叉神峠登山口P バス乗車
6:10-6:40 広河原
8:25-8:35 白根御池小屋
8:50 二俣
9:30 B,C沢中間尾根
10:10-11:55B ガリー大滝登攀
12:35 ヒドンスラブ
13:00-13:20 4尾根取付き
14:55 マッチ箱懸垂後
15:35 枯木テラス
15:55 最終ピッチ
17:00 BP
8/18
6:00 BP
6:20 縦走路
6:30-6:40 北岳山頂
7:05-7:20 肩の小屋
7:35 小太郎尾根分岐
8:30-8:35 小太郎山
9:30 小太郎山分岐
10:30 二俣
11:45 広河原山荘
12:40 広河原インフォメーションセンタ 乗合タクシー乗車
13:00 夜叉神峠登山口P
| 天候 | 8/17：曇りのち雨時々雷 8/18：曇り時々薄晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2012年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
バス 自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
4尾根は枯れ木テラスまでは今までと全く一緒。 その後2Pであるが、最初のピッチはDガリー奥壁の城塞ハング基部のビレー点まで真横にトラバース(途中ハーケン有り)。 最後のピッチはDガリー奥壁のルートである城塞ハングの右の浅いルンゼを登り終了。 |
写真
正規ルートよりだいぶ右側を登ってしまい時間をかけてしまう。
この後、正規ルートのだいぶ右に出てしまったので正規ルートに戻るため1Pロープを延ばす(藪の中をトラバース)ことに。
取付きから4Pでマッチ箱まで登り、懸垂。懸垂後、崩壊箇所(枯木テラス)を撮影。
比較写真がないとわかりにくいが、何度も登ったことのある人なら判るはず。
1
懸垂後、崩壊箇所(枯木テラス)を撮影。
比較写真がないとわかりにくいが、何度も登ったことのある人なら判るはず。
写真はフォローする相方。
いつかこのマッチ箱も崩落するのかなぁ？？
この場所も今でも崩壊するのではないかとビクビク。
Dガリー奥壁の最終ピッチである浅いルンゼ状を登る。
重荷＋雨で濡れていたので下部2ピン分A1になってしまった。
感想
【山行報告】
南アルプス 北岳バットレス第4尾根登攀（崩壊後）＋小太郎山
期間：2012年8月17日〜18日
2012年8月17日（金） 曇りのち雨時々雷
〈コースタイム〉
夜叉神峠登山口P5：30−バス−6：10広河原6：40−8：25白根御池小屋8：35−8：50二俣−B,C沢中間尾根9：30−10：10 Bガリー大滝11：55−ヒドンスラブ12：35−13：00 4尾根取付き13：20−マッチ箱懸垂後14：55−枯木テラス15：35−15：55最終ピッチ−17：00 BP
Web上で記録を見ると、昨年の4尾根上部崩壊後、結構登っているパーティがおり、その記録を見ると、どうにか行けると考え、偵察を兼ねて行ってきた。
前夜は川崎から車で夜叉神峠登山口の駐車場に停め、車中泊。
翌朝は始発（5：30発）のバスに乗り広河原へ向かう。
広河原に6：10に着き、インフォメーションセンタのトイレに入る。 ところが男子便所は大待ち20分、いきなり出鼻をくじかれる。
インフォメーションセンタの天気予報によると今日は夕方から雷雨になる予報。 しかし、時間的にはまだ余裕があり、この時はそれほど焦ってはいなかった。
吊り橋を渡り広河原山荘で登山届けを記入し提出する。
提出後すぐに歩き始め、最初の分岐を道標通り二俣方向へ進む。
何の迷いもなくもくもくと歩き続ける。 二俣へのルートはいつも序盤ほぼ沢状に濡れた道を歩くイメージだがそれがなかなか現れない。 しかも急登で階段も所々出てくる。
なんかいつもと違うなと少し思いながらも、今年のシーズン始めくらいは大樺沢沿いのルートは道が荒れて通れないことがあったようなので、道が少し変わったのかなと思っていた。
1時間くらい登った時、GPSをふと見てみると、何だかおかしい。 軌跡が白根御池小屋へのルートを辿っている。 確かに分岐の道標通りに進んだはずなのに。。。 休憩すると後ろから数パーティ登ってきたのだが、話を聞くと皆、私達と同じく今登っている道は二俣に直接向かう道だと思っていた。
御池小屋に向かう道のようですよと伝えると、驚いていた。
はたしてどこで間違ってしまったのだろう？ 下山時に分岐を確認してみることにする。
何回か歩いたことがあるのに何故？
今更戻っても仕方ないのでこのまま進む。
予定外の御池小屋に着き、取り敢えず休憩し水道から出ている南アルプス天然水をガブガブ飲む。
休憩も早々に二俣へ向かう。
御池小屋回りだと予定より二俣に着くのが1時間遅れる。 しかし私の計算なら二俣を遅くとも10時に通過すれば18時には肩の小屋へ着けるとふんでいた。
二俣には9時前に着き、時間的にはまだ余裕がある。
ここも例年と比べ雪が多のか、二俣にもまだ大量に雪渓が残っている。
二俣では休憩せずに先に進む。
B沢出合の大きな岩は健在。 その先C沢出合手前にある黄文字で何か書かれた岩を目印に登山道から離れ尾根に取付く。
崩壊後はメッキリ登攀者が減ったのでこの尾根の踏み跡も消滅しているか心配したが、まだハッキリ残っていた。 その踏み跡を辿って順調にBガリー大滝まで辿り着く。 この場にはもう雪渓はなく、安定したところでハーネスと必要なギヤを用意する。
今までの経験から、この大滝登攀は簡単なので靴は履き替えずに取付くことにする。 もちろんロープは出して登る。
ただ、久し振りのせいか、どこのラインを登ったら良いか迷う。 多分ここだろうと思うところから適当に取付く。
ここでバスで一緒だったおじさん2人パーティに追い付かれる。
登ってみるとすぐに間違っているとわかる。 しかし間違っていても、まー登れるでしょーと甘く考えハーケンが見える方向に登っていく。 何だか段々難しくなってくる。 しかもピンもまばらになってきた。
それでも登山靴でも登れるところを選んで上へ向かう。
全く今まで登ったことのない所を登っている。 途中1回ピッチを切り、滝のうえに上がったが、だいぶ右に来過ぎていて本来のルートまで樹林帯をトラバースする必要があり、もう1ピッチロープを延ばし、本来のラインの終了点に辿り着いた。
なんだかこの大滝こそがアルパインクライミングって感じの登攀になった。 と同時に時間を大幅に費やしてしまった。
本来のルートを登っていれば1時間かからないくらいで2人が滝上まで行けると思っていたが、ルートミスによりほぼ倍の2時間弱掛けてしまい少々焦る。
ロープをしまい先を急ぐ。
終了点から少し登り左のルンゼを登り途中から左への踏み跡を辿る。
ここでも踏み跡を見失い、30分くらいロスしてしまう。
なんだかダメダメなリーダーだ。
正規踏み跡に戻りCガリーに出る。 先を見ると先程のパーティが緩傾斜帯を登っている。 我々はかなり遅れている。
Cガリーはやはり以前よりガレガレな感じで、大きい岩はそれほど目立たないが逆に粒が小さく歩くと少し雪崩る感じ。
我々は時間短縮のためヒドンスラブを経由するのでCガリーの右岸を上部からの落石を気にしながら素早く詰める。
すぐに4と赤ペンキで書かれた岩に着き、そこにヒドンスラブがある。
小雨が降ってきてスラブが濡れてしまったがロープを付けてそのまま登山靴で登る。
ようやく4尾根取付きに到着。 おじさんパーティも既に到着しており、今後の天気で悩んでいる。
ここまででも雨が降ったり止んだり、更に少し雷も鳴り始めている。
我々も予定より2時間以上遅れていることもあり迷う。
取り敢えず我々は登る準備をしながらギリギリまで考える。
おじさんパーティはやはりこの天気なので中止するとのことで降りて行った。
さて、登攀準備は整い、我々はどうするか。 取り敢えず雨でも登れる自身はあるが、問題は雷だ。
今はまだ遠くでゴロゴロ鳴っている。 予報では夕方から雷雨。 ここまでスムーズに来れていれば悩まず登っていたのだが。。。 んー、なんとかギリギリ間に合うか。。。
全ピッチ私がリードで登攀開始。
今まで5回くらい4尾根は登っているがその内半分以上がテント泊装備を担いでの登攀で、今回もまたである。 初めての相方にはかなりキツイだろうと思ったが、テントも一式背負ってもらい頑張ってもらった。
1P目のクラックが私にとっての核心だ。 今回はスムーズに越えられ、初めて気持ち良く感じた。
本来の核心である途中の三角形の垂壁も若干濡れていたがフリーで越え、延べ4Pでマッチ箱の懸垂点に着く。
ここまでガスガスで高度感がなく、崩壊した箇所も全く見えない。
懸垂後、小雨状態だがガスは取れてきて崩壊箇所が顔を出した。
急いでカメラを出し、その変わり果てた姿を写真に収める。
インターネットで見てはいたが、あれだけの大きな岩が崩壊したその姿を目の当たりにすると、少し恐怖さえ覚えた。
本来は崩壊箇所等、もっと色々写真を撮りたかったが、雷がだいぶ近く、多くなってきたので先を急ぐ。
本来懸垂で降り立ったところから2Pで枯木テラスであるが、なんとかギリギリ1Pで枯れ木テラスまで延ばし時間短縮に成功。
枯れ木テラスの枯れ木はまだ健在で、崩壊以降も枯木テラスという名前はそのまま使える。
テラスから崩壊箇所を何枚か写真に撮る。 中央稜への懸垂支点は岩もろとも無くなっていた。
崩壊断面は白く擦れた感じで、まだ苔等生えておらず、4尾根初登攀からの歴史の経過からすると、本当につい最近の出来事であるということがうかがえる。
今確保しているこのテラスもいつ崩壊するんじゃないかと本当に怖く不安になる。
ここからが新しいピッチとなる。 Webの記録によるとテラスから崩壊した岩の角をホールドにして進み、次はここが崩壊するのではないかと思ってしまうほどの大きな割れ目をヨイショとまたぎ、城塞ハングの基部をホールドにしてDガリー奥壁の城塞ハング基部にあるビレー点までほぼ真横にトラバースしていく。
このピッチは割れ目を越えるまでがリッジの通過となり、劔の八ツ峰6峰Cフェース剣稜会ルートのリッジと似ている。
次の最終ピッチはDガリー奥壁と同じルートとなり、インターネット上では、ザックを背負ってでも登ってみれば�卦蕁椶�らいに感じたとあったので、私もザックを背負って挑む。 数手フリーで進んだがやはり雨で壁が濡れているのと、荷物が重いせいもあり、登れなくなる。 仕方なく残置ハーケンにヌンチャクを掛けセルフを取りテンションを掛ける。 ザックからアブミを出しA1で出直す。
2ピン分アブミで進み、アブミは相方のために回収せず、その後残置ハーケンもあるが、カムでもランニングを取りながら何とかフリーで城塞ハングの上のハイ松まで抜け、そこでセルフを取り相方を迎え入れる。 かなりハードなピッチとなり、二人とも息が上がっている。
実質的な登攀はこれで終了だが、テントを張るスペースまではまだ少し簡単な岩を越える必要があるので、濡れていることもあり一応ロープを付けて登る。
テントを張るスペースで肩絡みでピレーし相方を迎え入れロープを解き、登攀具を外す。
時間は17時、雨は中雨で雷が酷くなってきた。 まだ時間的にはギリギリ肩の小屋まで行けるが、無理せずここでテントを張ってビバークすることにする。
テントを張り早々に中に潜り込みホッとする。 しかし雷はまだ頻繁に鳴っている。 一発、光ったのと同時に爆発したような雷鳴が全身を襲う。 近くに落ちたようだ。 テントに落ちたら助からないだろうと少し覚悟はしておく。 やはり肩の小屋まで行った方が小屋内に避難できるから良かったか？
しかし、雷は段々収束に向かっているようで夕飯を食べる頃には鳴りやんでいた。
雨は、就寝し一度起きた23時頃はまだ降っていた。
2012年8月18日（土）曇り時々薄晴れ
〈コースタイム〉
BP6：00−6：20縦走路−6：30北岳山頂6：40−7：05肩の小屋7：20−小太郎尾根分岐7：35−8：30小太郎山8：35−9：30小太郎山分岐9：35−10：30二俣−11：45広河原山荘−広河原インフォメーションセンタ12：40−乗合タクシー−13：00夜叉神峠登山口P
朝4：30に起きると雨はやんでいるようだ。
通気口から鳳凰方面を見ると雲は多いが朝焼けのオレンジ色が綺麗だ。 また、外の石を触ってみると既に乾いている。 今日はそこそこ天気が良さそうだ。
朝食を済ませ出発準備をし、用を済ませ6：00に出発。
BPからはしっかりした踏み跡を辿って約20分で縦走路に飛び出る。 既に登山者が何人も歩いている。
ここから10分弱で北岳頂上である。 頂上は多くの登山者で混み合っていた。
証拠写真を登山者に撮ってもらい、ザックを下ろし少々休憩する。
頂上からの展望は、雲は多いものの、富士山は勿論、北・中央・南アルプス、浅間山等、360°のパノラマを満喫できた。
頂上で10分くらい休憩し、小太郎尾根の分岐に向けて進む。
途中肩の小屋で小休止し、小太郎尾根に7：30頃到着した。
ここから小太郎山を見ると結構遠く、アップダウンもあるように見える。
ザックを分岐にデポし、ペットボトルを手に持って小太郎山へ向かう。
私の持っている地図では点線ルートであるが、踏み跡もしっかりしていて目印も結構多い。 また特に難しいところもなく、何パーティかが既に歩いている。 現在の地図では実線になっているのかなと思った。
分岐から1時間弱で小太郎山に着き、写真を撮ったりして5分くらい休憩し、分岐に戻る。
帰りも行きと同じくらいの所要時間だった。
荷物を回収し、下るルートは二俣へ向かう右俣コースをとる。
途中、何組もの登山者と擦れ違い、二俣直前では韓国人登山ツアーと思われる団体とも擦れ違う。
二俣では5分くらい休憩し広河原へ向かう。
途中、入山で間違った分岐を確認するが、やはりちゃんと二俣方向へ進んでいる。
おそらく分岐から少し歩いたところに御池小屋へ向かうルートに合流する踏み跡があって、そっちを登ったとしか考えられない。 ただ、その踏み跡は下山時には気付かなかったが。。。
なんとも奇々怪々である。
二俣から1時間ちょっとで広河原山荘に着き、この山行初めてのビール、それもジョッキの生ビールを注文し、崩壊後の4尾根登攀成功と、無事の下山に乾杯する。
飲んでいる途中で雷が鳴り始めたので、まもなく雨が降ると感じ、早々にバス停に向かう。
帰りはバスより少し早い乗合タクシーに乗ることにする。
規制の問題で出発までまだ1時間弱あるのでインフォメーションセンタ内で暇潰しをして待つ。
程なくして雨が降ってきてバスに乗る頃には本降りになっていた。
バスに乗り込み出発し、夜叉神トンネルを通過すると雨は全く降っていない様子。 道路も濡れていない。
やはり、トンネルを抜けるとそこは・・・だったというのは、よくある話のようだ。
帰りは南アルプス街道沿いの天恵泉白根天笑閣で汗を流し帰路についた。
今回はアプローチでの失敗が多く、反省するところであるが、悪天候の中、しかも重荷と上部は初見のルートであるにもかかわらず強行して登攀を決行した。 今回はなんとか雷の被害はなかったが、この日他の山や下界でも雷に打たれ亡くなった方もいるという。 それを考えるとちょっとやり過ぎたかと少し反省している。
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MSZ-006さん、はじめまして。
昔の様子を思い出して記憶を辿りながら興味深く写真とコメントを拝見しました。
感無量です。
もう行くことはありませんので仲間達への、せめてもの土産話にさせて頂きたいと思います。
有難う御座いました。相仲
相仲さん、はじめまして。
私の纏りのない山行報告を見て感無量だなんて恐縮です。
若い頃はクライマーだったのですね。
私はみんなの山行報告を読んで登った気になったりします。
山は足で登るだけでなく、頭(想像)でも登れるのです。
これからもみんなの山行報告を楽しんでください！
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