南会津の隆起準平原縦走(舟鼻山→七ヶ岳)
- GPS
- 65:34
- 距離
- 55.6km
- 登り
- 2,830m
- 下り
- 2,664m
コースタイム
- 山行
- 1:10
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 1:10
- 山行
- 11:32
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 11:32
- 山行
- 10:29
- 休憩
- 1:14
- 合計
- 11:43
- 山行
- 9:50
- 休憩
- 0:32
- 合計
- 10:22
天候 | 金曜:みぞれ 土日:雪時々晴 月曜:晴時々雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
|
写真
装備
個人装備 |
ぱんつ
毛の下着
化繊のラガーシャツ
夏用ペラペラズボン
カッパのズボン
化繊綿入り上下
純毛山シャツ
ワークマンのソフトシェル
ヤッケ
帽子
ネックウォーマー兼ニット帽
化繊ピチピチ手袋(着けっぱなし)
防寒テムレス
防寒じゃないテムレス
予備のラックナー手袋とオーバーグローブ(枕になった)
象足
寝袋(モンベル3番)
シュラフカバー
銀マ
マット
園芸用アームカバー
冬用靴下
重登
スパッツ
アイゼン
自作クソ重いワカン
なんちゃって山スキーとシール
ストック
ピッケル
スコップ
50Lザック
一人用テント(無雪期用フライとペグ)
たわし
コッヘル
バーナー
シリコンスプーン
割箸
ちょん切った歯ブラシ
煙草セット
フリーズドライ甘酒3個(1つしか飲まず)
インスタントカフェオレ6杯分
紅茶ティーバッグ6個
ペミカンとインスタント味噌汁とアルファ米2食分
早茹でパスタ300グラム
キューピーあえるパスタソースバジル2食分
同たらこマヨネーズ一食分
行動食(チョコ・柿の種・魚肉ソーセージ・甘納豆など)1000kcal×3日分
日焼け止めクリームとリップクリーム
グラサン
眼鏡
予備眼鏡
ローペ
レザーマン
携帯トイレ
ウエットティッシュ
コンパス
ヘッデンと予備電池
手ぬぐい
車の鍵
財布
スマホと防水ケースとタッチペン
カメラ
腕時計
救急セット
2Lポリタン
500ccテルモス
500ccペットボトルのお茶
|
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備考 | 日焼け止めとリップクリームは休憩5回に対し2回ぐらいの頻度で塗り直したが、唇はバリバリになった。 冬用ズボンやフリースのズボンは暑そうだが毛のタイツに直接カッパのズボンでは寒そうなので、夏用ズボンを加えた。ちょうど良かった。 夜は寒かった。 |
感想
南会津郡の中央を貫く、駒止湿原に代表される高原状の地形は地質学的には隆起準平原に分類されると何かで読んだ気がするがソースが分からん。南郷村の谷底から近くで見る分にはそれなりにそびえ立っているが、周りの山に登って眺めると真っ平らに見えてスキーで縦走したくなる。
こういう地形は読図の腕試しをすべきところだが、南郷村在住だと気軽に書店で地形図を買うこともできないので全行程スマホのGPSと電子コンパスで歩いた。特に視界がいまいち効かなかった土日はスマホを取り出していちいち確認するのに時間を食った。ただのコンパスをもっと活用すべきだった。地形に違和感を覚える度に頻繁にGPSを見たので迷うことは無かったが、間違えそうな所をまんまと間違えていたり、予想外の方向に進んでいて修正した箇所が数回あった。
金曜は当初早退して舟鼻山まで登ってしまうことも考えていたが、仕事終わらず。雨も降っていてテントを張る気にならないので、田島ダムなら人工物の陰で野宿できるだろうとあたりをつける。車でダムに向かうと管理等の軒先にちょうど人一人寝れるスペースのアスファルトが顔を出していた。荷物をデポし、田島メトロポリスで晩飯の後、滝原へ。終電で田島駅に戻り、空荷で車道歩き。車に積みっぱなしの荷物が無いか心配になりながら歩く。ゴアのヤッケを新調したのだが、いきなり雨の中新品だけが発揮する撥水性が役に立った。
土曜
ヘッデン行動で林道を進む。下の方は結構雪が切れて路面が川になっていた。林道終点で一旦スキーを外しワカンで尾根へ直登。既にスコップ等を外付けしているザックにスキーを括り付ける作業に手こずる。
尾根に上がってからはスキーで楽しく進む。
山頂台地に上がる斜面で再びスキーを外す。どうせ短距離なので、さっきの反省からスキーとストックを片手に2本ずつ持ち、ワカンも付けずに突破。スキーを外す前にしばらくジグを切って粘った時間が無駄だった。
舟鼻山山頂台地は感動的に真っ平らだった。天気が今ひとつだったし下層植生の様子も気になるので色んな時期に再訪したい。気温上がり霧氷が雨のごとく融け落ちる中、密生する若齢林の中をうねうね進む。
山頂台地の西端から御前ヶ岳を目印にして下るが、踵を固定できないなんちゃって山スキーはこの程度の斜面を滑れない。秘技「下りキックターン」、奥義「下りカニ歩き」でスキー本来の機動性と時間を台無しにしつつ進む。でもハードオフにてテキトーに選んだこの1500円の板は、剛性が無くフニャフニャなので、凸凹の雪面を歩く上では悪くない選択だったとも思う。
1203からの下りでまんまと北に向かう尾根に引き込まれ修正。この辺りで地図に無い鉄塔を見た。何だったのか。
1162からの下りはやはりスキーを履いたままではしんどそうなので、適当なところで林道にエスケープ。驚くべきことに先人のシュプールがあった。こんな所に何しに来たのかしら。たかつえスキー場までで唯一目にした人間の痕跡であった。
林道はスキーのおかげで時速4kmぐらいで歩けるので、1172もパス。
転石峠は雪に覆われて特に峠らしい物は見なかった。その少し先で石ぽろ山を見る。転石峠と無関係では無かろうそのユニークな名前が気になっていたが、深い谷を挟んで顕著にそそり立っている。峠と併せて無雪期に再訪したい。
田島・昭和町村界が南北から東西に直角に曲がる地点は、地形がややこしくて間違えそうだし、ずっと代わり映えのない樹林の中を進むのも飽きてきたので、宇中沢源頭のこぢんまりした湿原を利用してショートカット。谷底に降りる時は少し滑走できる。小さな湿原は単なる平坦な雪面と化しているが、こんな山行だからこそ立ち入れる場所なので機嫌良く通過。
1142三角点峰は地図で見ると綺麗な円錐形の独立峰だが、標高差がしょぼいので実物は目立たない。でも折角なので山頂を踏んでおく。だいぶスキーに慣れて来たので、この峰の下りはボーゲンで木々の間を縫うように滑走できた。
駒止湿原の東隣の湿原をテン場候補とするが、これ目掛けて下っているつもりが田島側に引き込まれていた時はびっくりした。谷の向きがおかしいので気付いたが、下り始める前にもGPSを見ていたのに間違えたのは恐ろしい。湿原は北風が吹き抜けていたので稜線の南側で幕。
日曜
折角の駒止湿原をヘッデン行動してもつまらないので3時起床の予定を30分ほど遅らす。5時半は結構明るい。気温が下がってだいぶ雪が締まった。シールが横滑りしてしまい昨日ほど気持ちよく歩けない。
駒止湿原は折角なので木道が無い所を選んで歩いたが、どこも雪原で景色が変わらない。もう少し遅い時期だと沢が出てきてルートが限定されるだろう。ここばかりはGPSがないとかなり難しそう。
いまいちペースが上がらない中ダラダラと進む。1292の登りがアイスバーンの段々になっていて、カニ歩きでも登れないので面倒くさいがアイゼン履いてシートラに切り替える。すると悲しいことに、今日のような固く締まった雪ではシートラの方が速いことが判明してしまう。アイゼンを脱いだ後もザックから飛び出たスキーを木に引っ掛けまくりながら進む。
戸板峠を過ぎたあたりから天気が良くなって気分も揚がる。黒岩山は3つのピークがあるが、中央の標高表示のある頂が眺望に恵まれていた。遅くなったが何とか最低目標の保城峠にて幕。日が暮れると快晴となり、ぐんぐん気温が下ってテント内のあれこれが凍ってゆくのが分かった。
月曜
3泊目となる寝袋は湿気て来たこともあり、非常に寒かった。就寝から3時間ほどは疲れていたことと、体温が残っていたので寝られたが、一旦目覚めてからは代謝が下がっていることもあり寒くてたまらん。学生時代は今と変わらない装備で寝ていたはずだが、単独行であることもテント内の温度に影響しているかも知れない。深夜に1人カラオケ大会を開催して代謝を上げる。同時に腹も減る。寝られないので2時半には起きる。
水を作ったりしたこともあり、早起きにも関わらず出発は5時を過ぎてしまった。遅い。
今日は朝から割り切ってツボ足シートラ。天気も比較的良く、順調にコブを越えて行く。途中カモシカのトレースが大平山山頂の木陰で小休止し、再び下って行った様を克明に示していて面白かった。わざわざ山頂まで登ったのは何故か。野生動物も単なる移動目的だけでなく、人間と同じように行楽目的で登山するのかも知れない。好奇心によって非合理的な移動を行うことは、生息地拡大のために備わった本能なのではなかろうか。なおこの山行中、各種獣のトレースと熊棚は沢山見たが、鳥以外の動物の姿は見なかった。
1602まで来た頃からケツにあった粉瘤が歩行による摩擦で化膿し、一歩ごとに痛い。化膿自体は昨日から始まっていてテント内でカッパのズボンを一時的に脱いだとき変な臭いがした。
たかつえスキー場ゲレンデトップに出ることは承知していたものの、余りに突然到着して驚いた。おばちゃんに話しかけられたが、自分以外のホモ・サピエンスと会話するのは殆ど3日ぶりなので上手く話せない。マゴマゴしていたらおばちゃんに「突然話しかけてゴメンね」と謝られてしまう。
このゲレンデトップからの眺めが全行程で1番良かったのも可笑しいものである。
七ヶ岳山頂へ空荷で往復。最初雪庇の脇、藪の際を歩いたが、どうやら藪の端即ち雪庇の上となっているらしきことに気付き、藪の中の夏道に逃げた。
丸山への稜線は更にヤバそうな雪庇が発達していて、時間を掛け慎重に進む。丸山の南面の下りは今山行の核心と目していた所で、ここのためにアイゼンとピッケルを持ってきたようなものである。しかし雪が腐っていたのでピッケルとツボ足で臨んだ。まっさらな雪面を予想していたが樹林帯だった。雪崩の心配は無さそうだが、木が支柱となって積雪深に差が生じ、オーバーハングの段々になっている。木に捕まってぶら下がりながら降りた。ぶら下がっている時にシートラのザックが木に引っ掛かると一旦登り返したりせねばならず草臥れた。腕力を要する下りだった。
林道に出て漸く再びスキーの出番である。シールを外すと面白いほど良く滑るしコントロールも効く。ここまでシートラでヒーコラ言ってきた甲斐があった。ゲレンデでの練習により、下手にテレマークターンを試みるより慣れ親しんだアルペンの技術で滑った方が良いことが分かっている。ザックの重量を活かし踵を踏みしめ浮かないようにする。ヘアピンカーブは片脚シュテムターンで行ける。5kmぐらいのうちで2回コケた。
最後雪が消えた車道を歩いていた時、融雪に誘発された自然落石(直径30cm位)が、30秒前まで立っていた辺りに着弾したのが一番危なかった。
ここ数年でも指折りの充実感ある行程を踏破できたし、脚にはまだ余裕があったが、ケツから膿を垂れ流しヒリヒリしていたせいで楽しさが3割ほど減じてしまった。
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多雪の年にあって南会津外周トレースという発想と実践したところに唸らされました。
南会津〜会越あたりは奥深い山域で、地図を眺めても飽きが来ません。
今後のご活躍も楽しみにしております。
ご高覧いただき恐縮です。
発想と評して頂きましたが、2013年にほぼ同じコースを歩いた方の記録に着想を得て、多いに参考にさせてもらっております。
おっしゃる通り会越・奥只見方面へは私も興味が尽きませんが、今回歩いたエリアより里から遠く登攀の要素も出てくるので、なかなか実行できずにいるところです。
ご不都合などありましたら、ご指摘ください。(事後にて恐縮です)
https://blog.goo.ne.jp/accj1946/e/0a02c19dfe00dbf99239b38ba7df7c6f
高倉山の北尾根は私も七ヶ岳山頂から眺めて気になっていました。
記録についてはもとより公開してあるものですからリンクの件は問題ございません。
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