八ヶ岳/天女山から権現岳・赤岳(真教寺尾根下山)
- GPS
- 11:50
- 距離
- 16.0km
- 登り
- 1,930m
- 下り
- 1,988m
コースタイム
- 山行
- 10:15
- 休憩
- 1:33
- 合計
- 11:48
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
天女山駐車場を利用。 ◆タクシー 下山した美し森からは高根タクシー(0551-48-2211)に配車をお願いして天女山駐車場に帰着。迎車賃を含み2650円。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
◆道の状況 ・天女山から権現岳 権現岳の手前に岩場はあるが特に危険箇所は無い。 ・権現岳から赤岳 変化があって面白いルートではあるが、危険箇所も多い。 権現岳から降りる権現梯子は長く休む場所が無い。 キレットの登りはガレた岩場が標高で200m以上に渡って続く。 ・真教寺尾根 上部は結構神経質な岩場が多い。2400m以下は樹林帯で問題は無いが、スキー場に入ってからの登山道は笹が密生していて露岩等判然とせず注意を要する。 そのため歩きやすい防火帯を行ったが突き当たりからは猛烈な笹原のラッセルになってしまった。 ◆登山ポスト 天女山駐車場登山口から登山道を1-2分登った所に設置してある。 |
その他周辺情報 | ◆温泉 甲斐大泉駅前のパノラマの湯を利用(820円)。HPからクーポンを印刷またはスマホで画面を見せるとフェイスタオルがプレゼントされる。 温泉営業時間:10:00-22:00(受付終了21:30) 食事処営業時間:11:00-21:00(LO20:30) 定休日:第2・4火曜日(祝祭日の場合は翌々日) http://panoramanoyu.sakura.ne.jp/ |
感想
次の山行の企画はよろしく、と振られ天女山から権現岳・赤岳縦走ルートを提案したらあっさりと了承された。展望も好く変化も多くて実に楽しいルートだと思うが、出逢った人も少なく秋の日に静かで充実した山行を過ごせた。
僕的には旭岳とツルネの間にある筈の父が建立した遭難碑の現況を知りたいと言うのが隠れた目的だったが、無事目的を達することが出来た。父が56年前に立てたステンレス鋼製の道標は今も同様の輝きを示していた。
湘南を朝2時位に出発し5時頃に天女山到着を見積もっていたが圏央道を使うと4:16には着いてしまった。未だ夜明けまでかなり時間があるので30分程車中で休息し、それからのんびりと準備をして5:27に出発した。気温は7℃と平年よりも高い。天女山から前三ツ頭は登り一辺倒だが前半はカラマツ林の緩斜帯で、結構良いペースで登って行った。甲府辺りまでは曇り空だったが、月齢15の月が明るい。日の出の10分前にその月も三ツ頭の尾根に沈んで行ったがおかげでヘッドランプが必要だったのは30分程だった。カラマツ林は未だ黄金色の葉が残っているところは残念ながら真っ暗なうちに通過してしまったが、標高が上がって来ると徐々に展望も開けて黄金色の裾野が望まれる。左手に南アルプス、振り返ると富士山が遮るもの無く望まれる。八ヶ岳を境界に東側の街は雲海に沈んでいて、富士山は歌にある姿のように頭を雲の上に出している。右手には赤岳が樹林に見え隠れしているが、モルゲンロートに染まって行った。
日の出と同時に前三ツ頭への登山道も急登になり、途端にペースが落ちる。Aki-CLさんと13Kさんは冬靴、T女史と僕はトレランシューズで登山靴とアイゼンをザックに持ってと言う出で立ちだが、久し振りの冬靴やら装備が重く感じたのだろう。でも一歩一歩登って行くとやがて南アルプスも鋸岳越しに仙丈ヶ岳も見えるようになった。奥秩父は雲海に沈んでいるが、沈んでいると言うよりは山々に雲が纏わり付いて盛り上がった形になっている。前半の貯金が効いて天女山から2時間10分で前三ツ頭に出たが、これ以降はこの貯金を食いつぶして行き結局はコースタイムと同じになった。
前三ツ頭に出ると中央アルプスの展望がご褒美のようだ。中央アルプスの奥には御嶽山も望まれる。時折白い噴煙が立ち上っている。手前で休憩を取ったのでここでは立ち止まらずに三ツ頭を目指す。三ツ頭ではこれまで尾根に遮られていた編笠山、西岳の眺望が得られるが、もう青年小屋が眼下に見えるのには元気づけられる。更には乗鞍から穂高連峰も視野に入って来た。御嶽も積雪が見えるが、流石に穂高はそれ以上に白銀の世界になっている。権現岳が尖った頂きを突き出し、阿弥陀岳や赤岳の猛々しい姿も今日は見事に展望できる。三ツ頭から権現岳はハイマツの小径を進む。高く聳える権現岳の尖塔を眼前にして見るからにギャップが大きく感じるのだが、歩いて行くとそれ程の苦労も無く権現岳山頂に出る。ここからの眺めは360度、更に良い。しかし山頂に出ると突然に強い西風に煽られる。権現岳の頂上稜線は南北に伸びているが今回の山行ではこの北側と旭岳でだけ大同心、小同心が望まれた。
権現岳からは権現梯子を下るが、ここを初めて通ると言うAki-CLさんもその長さには驚いていた。僕は20年振りだが登るよりも下る方が心理的に微妙な感じがするし、休む所が無いのが苦しい。下りきってトラバースして行くと旭岳が目の前に現れ、それを攀って行くとまた急降下。旭岳の山頂直下からの赤岳の眺めが素晴らしかった。シンメトリックに天狗尾根と大同心、小同心が両肩に突き出している。如何にも八ヶ岳の主人と言う図柄だ。その手前にツルネのたおやかな丘が見える。そのツルネ南峰の手前の丘に僕の求めるものがあった。それが父が前年の大晦日に遭難死した友人のために1958年に建立した道標を兼ねた遭難碑だ。20年前に父とここを訪れたがその時と変わらない姿で立っていた。
ツルネ辺りは赤岳から権現岳の間で異色の風景だ。牧歌的と言うかアルプ的と言うかそのような景色が広がっている。蒼い空に緑のハイマツが映える。ツルネまで来ると大同心、小同心は見えなくなるが赤岳が眼前にその名のように赤く聳え立つ。キレット小屋は既に営業期を終えているがそこで休憩を取りキレットを目指す。キレットは岩屑だらけの急斜面に道が付けられており、長い登りが続き、結構神経を費やす。今日は天女山からの登りで2人、権現岳山頂で1人しか出逢っていないが、権現岳からの稜線でもキレットを降りて来た単独行の登山者とキレットの上部で天狗尾根をやって来たと思われるクライマー2人にしか出逢わなかった。この稜線を独り占めとは贅沢なことだ。もっともキレットでは多くの登山者と遭遇はしたく無いもので、この空き具合は好適だった。
やがて天狗岩も眼下に従えるように高度を上げるとしっかりとした岩尾根になり息を付ける。いくつかの岩峰をへつって行くと竜頭峰で突然眼前に赤岳山頂が現れる。稜線の西側では強い風が当たり寒いが東側に廻ると無風と言う具合、なので山頂でも先ずは直下で休憩し、ヤッケを着込んで頂上に上がって全天の展望を楽しんだ。相変わらず東側は雲海が支配しているが奥秩父連山は姿を現している。後立山も白銀の世界だ。北を眺めれば雨飾から火打、妙高の連なる様子も見える。そして御嶽山からは噴煙が立ち上っていた。
帰路はツルネ東稜と考えていたが皆踏んだことが無いのでそこはもっと時間に余裕がある機会に廻すこととし、一般ルートである真教寺尾根を清里に下ることにした。尤もこのルートも13Kさんがずっと昔に辿ったことがあると言うところ。いざ降りてみると300m位は鎖場が続くので一般ルートとしてはここもかなり厳しい。樹林帯まで下りて傾斜が緩まると印象は正反対になる。コメツガの心地好い樹林が続く。余り歩く人もいないのだろうか、扇山や牛首山の道標は朽ちていた。賽の河原から数分行くともうスキー場のリフトがあった。Aki-CLさんは「リフトやってないんだ」とショックの言葉を漏らしていた。確かに。
ここからの登山道も今日の核心部の一つと言う状態だった。登山道の両側から笹が覆い被さり登山道の様子が掴めない上に、結構大きな岩がゴロゴロしている。13Kさんはその隠れた岩にすねを打ち付けて負傷。痛みはしばらくしたら収まったが下山後にパノラマの湯に入ったら血が溢れ出してしまった。やっぱり負傷にはアイシングで、傷が塞がる前の温泉はまずいんだねと反省。兎も角、歩き難いので横に防火帯だろうか切り払われた斜面が現れたら迷わずにそちら側を下って行ったが、やはり急がば回れだろうか、もう建屋が200m先にあると言う所で途絶えてしまって仕方なく右手に見える道標を目印に今度は笹原をラッセルさながらに突っ切って行った。しかしこの笹原の獣道も昔は遊歩道だったらしく、確かに遠目に見えたのは朽ちた道標だった。ここも木の根や大岩がゴロゴロした所だったが教訓を得ているので何とか無事に突破することができた。10分以上奮闘して現在の遊歩道に出ることができた。そこからは遊歩道を美し森展望台駐車場に降りて行った。何とかヘッドランプ無しで到着、高根タクシーに配車をお願いして天女山駐車場に帰着した。
結局コースタイム通りに1日をフルに使ってしまったが、冬に入る直前、秋深い八ヶ岳を満喫できた山行だった。
真教寺尾根下部、笹薮に隠れた岩に右足すねをぶつけて負傷。
下山後確認したところ、かなり出血していた。
絆創膏で保護してパノラマの湯に入浴したが、食事中に再度の出血に気付いた。
温泉で血流が良くなったのだろうが、着替えたズボンと靴下も汚してしまった。
なお、登山中に使用した毛ズボンと毛靴下の該当部分は穴が開いていたことから、
かなり鋭利な岩角に足をぶつけた様だ。
真教寺尾根を歩くときは、笹薮を避けてスキー場経由が良い。
はじめまして、tadomasaさん。
キレットでお会いした単独行のものです。
下から人来ないで!と念じながらガレ場通過してホッとしたところでした。
皆さん大荷物に見えましたのでテント泊縦走なさるのかと思ってました。真教寺ルートで日帰りされたんですね。
最後スキー場に出たら北側のゲレンデ下ると20分くらいで車道にでられます(ズルですが)。
HIRAさん、初めまして。山行記録読ませて頂きました。アプローチ15分とは羨望の限りです。
スキー場の情報もどうも有り難うございました。やっぱりゲレンデ下りが吉でしたか。
好い山でしたね。
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