天狗沢(下り)・ジャンダルム・奥穂・前穂
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- GPS
- 48:03
- 距離
- 30.6km
- 登り
- 2,344m
- 下り
- 2,332m
コースタイム
- 山行
- 2:03
- 休憩
- 1:06
- 合計
- 3:09
- 山行
- 8:27
- 休憩
- 4:26
- 合計
- 12:53
天候 | 1日目:快晴→雷雨 2日目:快晴→曇り 3日目:快晴→? |
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過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
600円/日(0:00-24:00) 金曜7時で7割埋まる。 日曜9時で9割埋まる。 岐阜県側から来る場合は、本駐車場に停めて上高地へ。 ▼シャトルバス(あかんだな・平湯〜上高地) 往復2,090円 繁忙期は30分おきに運行。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
▼天狗沢 上部3分の1が核心。 浮石だけで構成されたガレ場。 マークを忠実に辿るとあまり問題ないが、少しでも外すと落石を多発させてしまう。大人数での行動は推奨しない。重い荷物もバランスを崩しやすいためおすすめしない。軽装での通過が無難。 マークは上り用に設けられており、下りだとほとんど見えない。 上部のガレ場は3点支持が安心なところもあり、トレッキングポールは不要。 総じて、上りよりも下りが困難なルート。 特に周りに登山者がいると落石に要注意。ガスに包まれると進行方向がわからず蟻地獄状態になってしまう恐れあり。 沢登りの詰めだと思えば初級だが、登山ルートと捉えると難関コース。 GPS軌跡をダウンロードしておくと安心。 ▼岳沢小屋 テント:2,000円/人 学割:1,000円/人 宿泊者(テント含む)は飲料水・トイレ無料 ▼徳沢 テント:1,500円/人 飲料水・トイレ無料 利用者にアミノバイタルの試供品配布 |
写真
感想
▼概要
ジャンダルム周辺は奥穂〜西穂ルートがメジャーである。
奥穂〜ジャンダルムのピストンが全体の半数、天狗沢を使う人は全体の1%程度だと思われる。
天狗沢は、噂通り浮石地獄だったが、うまくルーファイすれば危険というほどでもなかった。ただ、下部に人がいる場合、落石に気を使いすぎて気疲れする。
▼日記
今回、登り残していた前穂〜奥穂間を埋める、そして天狗沢を見るために、岳沢を起点とした周回コースを計画した。
木曜日の仕事から帰ってきて夕食をとったあと、準備を済ませて出発。
京奈和自動車道、名阪国道、中部縦貫自動車道と無料高速を駆使して、高速は東名阪・名二環・東海北陸道を利用するにとどめた。父と1時間おきに運転を交代しながら走るが、2時過ぎから2人とも強い眠気に襲われて途中から20分交代で進んだ。アプローチが核心だったかもしれない。このときだけは、レーンをキープしてくれるクルマの必要性を感じた。
▽1日目
あかんだな駐車場に停めて上高地へ。スバル車ばかりだった。
上高地バスターミナルのトイレだけ有料(番台さん駐在)。立派な飲料水汲み場がある。
河童橋で綺麗な吊り尾根を見ながら朝食をとって、岳沢へ。両親は徳沢方面へ行った。
河童橋から岳沢方面へ歩いて1分のところに、吊り尾根を見渡せる隠れ家的スポットがあった。
岳沢への登山道は、序盤は整備されたばかりの木道があった。途中、風穴(天然クーラー)があり、肌寒いくらいに涼しい。同様の風穴は他にも点在しているようで、周辺の登山道は全体的に涼しかった。
この先も樹林帯を進むが、終始とても暑かった。最後に河原を渡って岳沢小屋へ。
学生証を見せたら、テント代は学割が効いて半額の1,000円だった。宿泊者は飲み水もトイレも無料で使って良いとのこと。テント場は涸沢の右岸に2張、左岸に20張〜できるらしかった。
左岸の下部で、日陰かつテント内から乗鞍・焼岳を展望できる箇所に張った。
ソフトバンクの電波は2回に1回入る程度。不安定。
これまでの睡眠不足を解消すべく、昼食後すぐに寝たが、登山道のすぐ脇で人声や足音があり熟睡というほどではなかった。
乗鞍がどんどん積雲に覆われていき、半分以上が隠れた。そのあと焼岳に雲がかかり、穂高もガスってきた。
夕食はインスタントの宮崎なんとか辛ラーメンだったが、身体に悪い感じの酷い辛さで失敗した。河原でリケンの増える海藻サラダを水に戻していると、夕立が来た。もう少しでサラダが完成しそうだったが、慌てて退散。このあと、大変なことが起こった。
前穂はみるみるうちに暗雲が垂れ込め、真っ黒になった。
雷が真横で光ったかと思うと恐ろしいほどの雷鳴が谷間にこだまして上高地へ抜けていった。前後して凄まじい雨が叩きつけ、周りから落石の音が聞こえてきた。Yahoo!の雨雲レーダーによると瞬間的に80mm/h以上の雨だ。地鳴りが響いて、上部から風が吹き下ろしてきたかと思うと、土石流が一気に駆け抜けた。
さっきまで、私が増える海藻サラダを優雅に食べようとしていた涸沢は茶色の濁流に覆われてしまった。怖い。対岸の小屋へ行くこともできず、我々テント組は完全に孤立。
岩混じり濁流の地鳴りはなかなか収まらない。テントも床とフライ上部が浸水してきて、結局ほとんど寝られなかった。
さて、明日の天狗沢はどうしよう。
▽2日目
1時過ぎに起床し朝食をとる。
チキンラーメンと赤飯にした。尾西の赤飯はとても美味しかったが、チキンラーメンは濃すぎて食べるのが辛かった。これに餅やらウインナーやらを入れて朝食にしていた学生時代が信じられない。
もう一度、地形図をよく見て考えると、岳沢は吊り尾根の全ての雨を集めて一ヶ所に集まっている。さらに植生の薄い岩肌が多いため雨水を吸収できず、土石流が起こったに違いない。一方、天狗沢の流域面積はごく僅かで、大きな影響はないと見た。
眠すぎてこんがらがる頭でサブザックに荷物を詰め込み、1:50に出発。前穂へ向かった。
岩はすでに乾いていて、これは天狗沢まで行けると確信。
今回は、800ルーメンの自転車用ライトを右手で持ち、要所でヘッデンも併用したが、とても歩きやすかった。
重太郎新道はクサリやハシゴがたくさん出てきたが、道は明瞭なのでナイトハイクで問題なかった。
前穂山頂には、3:50に到着した。松本の夜景が美しく、周辺の山もうっすらと浮かび上がって格好良い。ライチョウがよく鳴いていた。
吊り尾根は稜線の南西側をトラバースする形で進み、ところどころ岩場があった。うっすらと明るくなってきて、歩きやすくなった。奥穂の手前で夜明け。奥穂山頂で日の出を拝んだ人たちとすれ違うようになる。
奥穂山頂には5:50に到着。
ちょうど日の出組が出発した後で、ほぼ独り占め。槍ヶ岳・立山方面がスッキリ見えて、そのほか南ア・富士山・八ヶ岳・妙高だけでなく、日光の山並みまで見通せた。昨夜の雨で視界はくっきり。
これから歩くジャンダルムへの稜線が朝日を浴びてキラキラと輝いていた。
菓子パンを2, 3個放り込んで、馬の背へ。
ここに来るのは7年ぶり。当時は1週間分のテント泊装備を背負っていて、重かった。奥穂〜西穂間では馬の背が最も怖い印象だった。
今回は身軽なサブザックなので気楽だが、やはり馬の背は怖かった。
ここを越えれば、あとはルート取りと落石に気をつければ体力次第でなんとかなる。
ロバの耳は飛騨側を巻く。ここも足元がスッパリと切れ落ちているが、足場はしっかりしている。クサリはサビサビだった。
ジャンダルムは信州側を回り込んで鞍部に降りてから登る。最初、鞍部の奥穂側から登ろうとして浮石地獄に陥ってしまった。おかしいと思って引き返したら正規ルートを見つけた。「ジャン→」のマークを頼りに進めば良い。
ジャンダルムの山頂はとても広く、ちょうど奥穂で日の出を見た組が出払ったあとだった。静かに景色を楽しんだ。
ジャンダルムから先は安定した岩場が続く。特に危険箇所もないが、ガスでルートロスすると大変そう。この辺りから、西穂から来た人とすれ違い始める。
ガイドさんがついたパーティも何組かおり、通過待ちに時間がかかった。
天狗のコルで休憩。
ここで、天狗沢から猛者が上がってきた。上高地の始発便で入って2時間で来たという。コースタイムだと5時間超なのに、休憩込みでこれは信じられないスピード。
これから西穂へ行って、再び戻ってきて奥穂・北穂へ行くという。なんたる体力。
この直後、もう一人の強者が出てきて、彼も同じようなロングルートだという。
みんな口をそろえて、天狗沢は浮石が多い。落石は仕方ない。上りはいいけれど、下りはキツイよ...と。
天狗沢のルート取りについてたくさんのアドバイスをいただいた。
肝心の天狗沢は確かに浮石地獄だった。先行者が一人下っていたので、標高差100m以上をキープしながらそろそろと下りた。ガラガラと嫌な音が響くので、落石しないかと気疲れした。
最上部のガレ場を過ぎると、左岸の苔つき岩伝いに降りる。このあと沢の中央部左岸よりを経由しつつ、基本は左岸沿いを進む。
右岸に草付き小尾根が見えると、踏み跡を目掛けてトラバースして右岸へ。
小尾根を回り込んで再びガレ場が現れるが、お花畑の中のガレ場が主体で安心。美しい花々と前穂・上高地周辺の絶景に癒されながら気分よく下った。
アームカバーをテントに置いたままでゴアを着ていたが、暑くて汗まみれになった。パールイズミの自転車用フェイスカバーは息がしやすくて画期的なアイテムだった。
小屋に着くとテントの中の荷物を全て広げて乾かす。30分ほどで完全に乾いたのでパッキングして下山。
上高地は外国人も多くて、まさに観光地といったところ。
徳沢で両親のテントを見つけて横に張った。サルがたくさんいた。大学生グループが30人以上いて賑やかだったが、夜は静かだった。別の団体がボール遊びをしていて下界を感じさせた。
▽3日目
本来の計画であれば、1時から登山を開始して蝶ヶ岳山頂で槍穂モルゲンロートを拝む予定だった。
ところが、帰りの運転、膝への負担、帰宅時間の遅れ、前々日からの睡眠不足を考えると断念すべき理由がいくつも出てきた。
6時にテント撤収を終えて上高地へ。
帰りは高速を多めに使いつつ、名阪国道経由で16時過ぎに帰宅。その日のうちに山道具の洗濯を終えた。
早めに帰って、早めに片付けをすると翌日以降に疲れが残りにくくておすすめ。
蝶ヶ岳敗退は残念だったが、穂高の稜線を堪能できて総じて満足のいく山行となった。
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