鋸岳(甲斐駒ケ岳〜角兵衛沢)


- GPS
- 18:27
- 距離
- 14.7km
- 登り
- 2,178m
- 下り
- 2,503m
コースタイム
- 山行
- 6:57
- 休憩
- 1:19
- 合計
- 8:16
天候 | 1日目:晴れ。16時過ぎに雨。 2日目:夜明け前はガス、のち晴れ。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
バス:往路は北沢峠まで、復路は歌宿から。復路は、歌宿まで歩いている間に通りかかったバスの運転手さんが、空席のあるバスを手配してくれた。支払いは戸台パークの自動券売機(支払っていない客を案内するための係員が、バス降り場に待機している) |
予約できる山小屋 |
北沢峠 こもれび山荘
|
写真
感想
Europaさんにお誘いいただいてから3シーズン目、この梅雨の時期に催行は難しいのでは?と正直思っていたが、梅雨明けと間違うような夏空のもと、無事にこのルートをいけたのは、Europaさんの執念が届いたに違いない。素晴らしいルートをご一緒できたことに、感謝。
一連の行動の詳細はEuropaさんが書いてくれているので、私は徒然なるままに、ポイントのみ記載。
■下調べ
・これはEuropaさんがかなり頑張ってくれて、ビバーク予定地点、水場などの情報を集め、行程を全て決めてくれた。感謝。
・ぶっちゃけ、ヤマレコだけではイメージがつかない部分が多かったので、現地合わせで大丈夫そうなところは置いておいて、ポイントだけYoutubeで動画を探してみておいた。確認したのは、「水場へのアプローチ」「第二高点から鹿窓へのルート取り」。これは見ておいて正解だった。
・共同装備はできるだけ削った。削ったのは、テントマット(100均のペラペラのに変更)、ツェルト(テントあるし)、コッヘルは1つに、といったところ。
・どのGPSログを参考にするか?は事前に確認していたが、水場へのログがなかった(携帯を稜線に残していた?)のは誤算。慌てて他のログをDLした。ちなみに、稜線で携帯が通じるか?については事前に確認済み。緊急連絡用に、ある程度の山に入るときは、事前に「どこなら電波が入るか?」を確認するようにしている。
・後から気が付いたが、共同装備のバランスが悪かった。駐車場の時点でロープもあるのにテント本体も持ってもらうのはおかしいので、フライ以外は私が持ったが、途中でテント一式を持つことにした。多分これで30mロープとバランスが良いくらい。駐車場で重さを確認したときに、まだ水を入れていないとは思わなかったのが誤算。
■1日目
・甲斐駒まではノーマルルートだが、何気に北沢峠から直上するのは初めて。最後の部分も直上ルートを使った。
・甲斐駒以降はバリエーションルート。何気に、甲斐駒からの下りからルートが分かりにくかった。全然目印がないのは、迷い込みを防ぐためか。確かに、そのほうが遭難対策的に無難な気がする。
・石室は稜線にあると思い込んでたら、ちょっと下にあった。このあたり、ちょっと分かりにくい。石室から先は、何故か全般的にルートが明瞭になった。
・水場は、石室の先の、いかにもなビバークポイント(砂浜的な)に白いポールがあり、そこから下る。下りは、入口さえ間違わなければ迷わず行ける。登りは分かりにくく、ロストしてしまったが、どうせ稜線には着くので、適当に登れそうなところを登った(この辺、沢ヤ感覚)。
・水場は、かなり強かった。あっという間にプラティパスが満タンに。ここで2.5L、1Lのプラティパスと500mlのナルゲンをいっぱいにする。一気に重くなる。少し多めに持ったつもりだったが、下山時点で300mlしか余らなかったので、ちょうどよかったと思う。二日目がもっと暑かったら、ギリギリだったかもしれない。
・第二高点手前のビバーク地点は、まぁまぁ快適に整地されている。先行者がいたらややこしいことになっていたが、誰もいなくて良かった。2張はムリ。
・夕食は、計画書に「お湯で出来るもの」と書いてあったので、「あー、これは軽量化最重視で、フリーズドライ以外持ってくるなってことだな」と、超本番山行モードでハヤシメシ(GWの余り)を持参。これに贅沢品としてソフトサラミと焼酎200mlを持ち込む。そしたら、Europaさんは普通にシューマイと漬物持ってきていて、逆にビックリした。
・この日は風が強くて、19時半から23時半くらいまでは熟睡できたものの、それ以外は寝たり覚めたり。あまりに風がうるさいと耳栓を探し始めたら、起床予定時刻の15分前だった。。
■2日目
・朝起きるとガス。晴れないと面倒なことになるなと思ったが、行動開始時にはほとんど消えてくれた。3時起き、概ね4時半発。ヘッデン不要で、ちょうどいい時間帯での出発だった。
・第二高点は、遠くからの見た目はすごいが、近くに行くとそうでもない。明らかに右が弱点だと思ったが、よくよく見ると最後まで踏み跡があった。踏み跡を丁寧にたどるのが吉。
・第二高点から下降、Tamba氏がその昔間違えたというルートはこれか、と思いつつ、ザレを渡る。このザレの部分が、一番怖かった。微妙に岩のフリクションに自信がなく、かつハンドホールドがはっきりしない。時間をかけて、慎重に進んだ。
・鹿窓までの登りは、事前情報通り、クライミングをやっている人であれば問題ないレベル。(ここに限らず)鎖がある場所が最弱ルートではないように思うけど、鎖から手を放す勇気はない。
・鹿窓から山頂までの下り、登りも何気に悪い。鎖が多いので、滑り止め付きのグローブがあるほうが良いと思う。鎖に頼って降りざるを得ないところが数回あった。
・山頂、まさか人がいるとは思わなかった。写真を撮っていただき、ありがとうございました。
・角兵衛沢、確かにザレザレ。あまり崩れる感じではないので怖さはない。逆に、崩れるような場所はルートを外れている。うすーく踏み跡があるので、それをたどるのが吉。目印のテープは、途中まではあまりない。ちなみに、樹林帯に入れば安全かと思ったら、残念ながらまだザレは続いた。。
・樹林帯に入ってから、水が出ている箇所あり(かなり下部)。今回は使わなかったが、本流よりはマシだろう。
・問題の渡渉。裸足で行けるもんじゃない、と聞いていたので、考えた結果、長年保管していたマリンシューズを引っ張り出してきた。真夏に近いので、素足にマリンシューズで十分。膝上まで裾をまくったが、一番深いところではちょっとズボンが濡れた。多分水量は多めだったのだと思うが、弱点をつけばそれほど流れは強くなかった。見極めは必要そう。上手くすると1回で終わるとのことだったが、結局合計3回靴を履き替えての渡渉が発生した。
・帰りは歌宿バス停からバスを利用したが、渡渉の手間がかかること、バス停まで登りが発生すること、バスの待ち時間が思った以上に長かったことから、多分戸台バス停まで歩いてしまったほうが手っ取り早かったと思う。
・歌宿まで歩いている間に回送バスに声をかけてもらい、歌宿から乗るための空席を作ったバスを出してもらったが、合計3台以上は空席無しのバスが通りすぎ、結局かなり待つことになった。(まぁ、北沢峠から乗る人もかなり待っているだろうし、仕方ないか)
■持ち物について
・基本的に夏山衣服一式。Tシャツ、長袖シャツ、ウィンドブレーカー、フリース。下はズボンのみ。過不足なし。
・ガチャ類は、30mロープ、ヌンチャク(120cmスリング)、240cmスリング、環ビナ(フリー)3つ、ATC、PAS。セルフ用にPAS、スリングは実際に利用。登攀があるわけではないので、ATCは無くてもよかったかも(いざというときはムンタービレイ/懸垂)。
・鎖に頼らざるを得ない箇所があるので、滑り止めのついた手袋は必須だと思う。渡渉用にマリンシューズ持参。まぁ、しっかりした足首で固定されるサンダルでもなんとかなったかもしれない。
・寝袋は#3、完全にオーバースペック。夏用でも十分だった。
鋸岳の鹿窓を知って以来、計画し続けて3年目。天気などで流れ、ようやく今年行く事ができた。北側の釜無川からのアプローチが通常だが、同じ会の人達も過去に行っている、このルートにこだわった。会内外のたくさんの人達のヤマレコレポによる下調べ(行ってみたら下調べが不足してる部分もあったが)と、強力助っ人tartletさんのおかげで、タフで変化に富んだこのルートを順調に終えることができた。アルパインではないけれど(ロープは一応持って行ったけど)、達成感と充実感は半端なく、感慨深い山行となりました。
このルートのお楽しみイベント
① 北沢峠からの甲斐駒
② 六合石室
③ 中ノ川乗越でのビバーク
④ 鹿窓潜り(メイン)
⑤ 戸台川遡上
【1日目】
⚫︎北沢峠~甲斐駒ヶ岳
苦労とーねからは2回登った事があるが、北沢峠から登るのは初めてだったので楽しみにしていました。雲が多く青空ではありませんでしたが、北岳、仙丈を始めとする南アルプス、八ヶ岳、富士山、中央アルプスなどの山々が良く見えていました。普段よく見る山でも、別の角度からだったので新鮮に見えました。終始先頭を歩きましたが、駒津峠からの登りでバテて、共同テントで私が唯一持っていたフライをtartletさんに移させてもらう(ロープは申し訳ないので最後まで担いだけど)。
⚫︎甲斐駒ヶ岳~六合石室〜水場
甲斐駒山頂の休憩で少し持ち直し、六合石室まで先頭を歩く。六合石室は思ってたより、立派で綺麗で大きく快適そうだった。ここに泊まるわけではないが、見ておきたかった。そしてもう一つ、重要な任務の水汲み。今夜と翌日1日分の水を確保しなければならない。しかし水場(小さな沢)は10分程急坂を降りたところにあると言うのは調べていたけど、六合石室からではなかった。稜線に戻って少し先にテントが張れそうな場所があり、そこから降りるようだ。稜線なので携帯の電波が入り、すぐに調べ直すことができるのはありがたい。そのテン場から降りるポイントの目じるし(白くて低いポール)もtartletさんがご存知だったよう。電波の入らないバリエーションルートの場合は、下調べの重要性が身に染みてわかる。この水汲みで思わぬ時間のロスがなくて良かった。
⚫︎水場~中ノ川乗越
水場で水を汲んでの登り返し、そこから中ノ川乗越までの道のりもまた地味に長い。稜線の少し右下側の樹林の中をずっと歩くので景色もほぼなく、水3kg以上が追加されたこともあり、次第にヨレる私。変わって先頭に立ち、悪路の登りだろうが藪漕ぎだろうが、怯まず淡々と一定の速さで進むtartletさんに引っ張ってもらって助かった(その代わり休憩入れてくれ~と言わないと入れてくれないけれど)。中ノ川乗越のちょい手前にあるビバーク地の判断も早いし、その先の偵察もしてくれてとても頼もしかった。ビバーク場所は、聳え立つ第2高点への壁がよく見える場所。壁左側の谷筋のガレを登って行くことを確認した。ビバーク中は雨も降り、乗越のためか風は終始強めで、朝まで眠りは浅く熟睡感はまったくなかった。
【2日目】
⚫︎中ノ川乗越~第二高点~鹿窓
2日目はバスに間に合わせるために早く出て、ロスなく進むことがなにより重要になってくる。 3時に起きて、計画より30分程早く出発できた。雨は降ってなかったが雲多めのガスぎみ。すぐに第2高点へのザレ登り。ビバーク中に落石の音を聞いたのが影響し、岩壁のない左側を登ろうとしたが、tartletさんが右の方が傾斜が少し緩いと言う。行ってみると、下からは見えなかったジグザグの薄い踏み跡があったので、やはり右が正解。朝露で靴や膝下がびしょ濡れになりながら第2高点まで登り詰め、山頂の凛々しく立っている剣を拝む。そしていよいよ大ギャップへ。本当にすごい景観のところ(崖崩れ)だった。ここは入念に下調べしていたので迷う事なく行けた。黒赤のトラロープと鎖のある岩壁を確実に登り、無事鹿窓をくぐる事ができた。2人で「やったね」とグーダッチ👍。
⚫︎鹿窓~鋸岳
天気が良くなり青空が。景色もよく見えるようになったが、日差しが強くなって暑くなってきた。鹿窓のすぐ先にある小ギャップ。鎖のある垂直に近い所を降りるのだが、鎖や岩が朝露で濡れていて手や足が滑りやすく、ここが1番怖かったかも。その次の鎖登りは、クライミングをしている人なら問題ないと思う。その後の偽ピークを過ぎると、鋸岳が見えてきた。朝が早いので誰もいないと思いきや、山頂に人が1人立っているのが見えた。私達の登頂を待っていてくれたようで、写真を撮っていただいた。ありがとうございました。鋸岳からの景色は、それはそれは感動の絶景でして、鋸岳から見る甲斐駒、北岳、仙丈はかっこいい。昨日は雲に隠れていた御嶽も見えた。八ヶ岳も中央アルプスも乗鞍もはっきり。北アルプスも遠く白馬まで見えていました。
⚫︎鋸岳~角兵衛沢ノ頭~角兵衛沢出合
鋸岳山頂から角兵衛沢ノ頭まで降りる途中から見え始める、崖のような角兵衛沢。あんな所降りれるの?と言いながら頭まで行く。この角兵衛沢ノ頭から、出発点の北沢峠の標高よりも低い角兵衛沢の出合まで、一気に1250m程の標高差を降りて行くことになる。最初は浮き石だらけの不安定なガレガレで、慎重になりスピードが出ない。下がるにつれて気温も上がり、顔にたかる虫もしつこく、次第にヨレて行く。またtartletさんに先頭になってもらい、この後は最後まで引っ張ってもらった。下半分は樹林帯に入り日差しは免れるが、まー長い。下りが辛い私には、1番体力を奪われた。
⚫︎角兵衛沢出合~歌宿
ようやく戸台川の流れる音がしてきて、角兵衛沢出合にたどり着く。青空が広がり、日差しがギラギラと照りつけていた。ここから戸台川に沿って下り、戸台大橋のバス停まで行くレポも多いが、私は戸台川を遡上し、丹渓新道を登るルートを選択した。その方が距離も半分くらいで済むし、戸台大橋までこの炎天下に晒されながら歩きたくはなかったので、良かったと思う。ピンクや赤のテープを辿って戸台川を遡上していく。丹渓山荘跡の少し先にある丹渓新道の登り口までに、登山靴のままでの飛び石渡渉2回、簡易の沢靴に履き替えての膝下渡渉が3回でした。日差しが肌にジリジリ刺すほど強かったですが、川の水は長くは入っていたくないほど冷たかったです。最後の丹渓新道は九十九折だが陽の当たらない樹林の中。黙々と50分で登り上げ、歌宿のバス停まで舗装路を歩いてGoal。お疲れ様でした。
----
クライミングの比率が大きくなって体力が低下したため、平日も自主トレをしてなんとか歩き切ることはできましたが、tartletさんにご一緒していただいて本当に良かったです。ありがとうございました。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
突然のコメント失礼します。
鋸岳山頂の手前、お二人からは鋸岳を下った所で、すれ違った者です。
女性二人で凄いなぁと思いましたが、想像以上に凄いですね👏👏
こちらのルートが鋸岳が山梨百名山の四天王と言われる所以のコースなんですね。
私には到底歩けないコースですので、お二人のレコを拝見して、息をのみながら疑似登山させて頂きました。
無事に登頂、下山、おめでとうございます。
お疲れ様でした。
本当に、素晴らしいルートでした。
お互い、素晴らしいコンディションで登頂できて、良かったですね(^^
濡れてたら、とても無理でした(汗)
コメントいただきまして、ありがとうございます。
レポを少し拝見させていただきました。
鋸岳からの景色は素晴らしかったですね。お花もいろいろ咲いていたんですね。
このルートは、変化に富んでいてとても刺激的で、surely-kさん達から声もかけていただいて、
思い出に残る山行となりました。
surely-kさんも精力的に山に行かれているようなので、またどこかでお会いできるといいと思います。お疲れ様でしたー。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する