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岳会を離れて独り歩きをするようになってから、怪談話を聴くこともなくなりました。
この話は70年代の単独行時代に偶然、避難小屋の先客だった若い男性登山客から聴いた噂話です。
互いに寝袋を広げ、就寝準備をしている時のことでした。
彼は未だ新しいブルーのナイロン外布の寝袋を広げながら、私の木綿外布の寝袋を見て云いました。
「軍用寝袋ですか?」
「そうです。米軍のなんですよ」
「長いですね、寸法」
そしていつの間にか寝袋談義が始り、お互いアルコールも効いてきて口が軽くなりました。
「米軍の寝袋はベトナム仕様だから冬山では厳しいでしょう?」
「これはその前の朝鮮仕様で耐寒用です」
「それは凄いですね」
私の寝袋は進駐軍放出の中古品だったのですが、それとは知らず彼は話を続けます。
「来歴の分からない中古の寝袋を使うと怖いことがあるって云いますよね」
彼は夜話会のつもりになって、怪談めいた話を始めました。
彼の山仲間が中古の寝袋を購入しましたが、それを使うと眠れないだけでなく悪い夢で魘されるので使うのをやめて部室に放置したら、訳を知らない部員が共同備品のようにその寝袋を使いだした事、ところが使った人は二度と同じ寝袋を使わないこと、そして誰もその理由を言わないなど奇妙なことが起こったのだそうです。
そこで彼が持ち主の山仲間に使わない理由を訊ねた所、悪夢を見たり魘されるなどの事実を渋々話したのだそうです。
寝袋は部会で皆と相談し、大学と懇意にしている近くのお寺さんで御炊き上げにしてもらったとのことでした。
ナイロン外布の綺麗な品物で「訳有り」には見えないが前の持ち主が遭難死でもしていて、その怨念があったのかも知れないとのことでした。
「〜だから来歴の分からない中古寝袋は怖いですよ。〜でも、それは山道具の何んにでも云える事かも知れませんねぇ」
「何か怖い話ですね〜」
私はそう云ってから話題を変えました。
私の寝袋が進駐軍放出の中古品で、しかも戦死者の遺体運搬に使われた代物であることなど、このような場面ではとても話せませんでした。
翌朝、早立ちの彼は御来光と共に元気良く出発して行きました。ainakaren
*「進駐軍の寝袋」http://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-12174
本当にあった話、と思うと、お山で聞いてしまったらドキドキして眠れなくなりそうです。
山の格好をして六甲山の氷瀑を見た帰りに芦屋までバスに揺られていたとき、キラキラしたダイヤの指輪をした感じの良いマダムが話かけてくれ、昔ワンゲル部で進駐軍払い下げのテントを担いで重くて下ばかり見ていたとお話して下さったのを思い出しました。
penko1110さん、こんばんは。
米軍用寝袋が戦死者の遺体運搬用に使われ、その一部が各地で払い下げられ、販売されたことは事実です。
確かに天幕も払い下げられて小型の製品は山用に使われました。
とにかく重いテントで、しかもナイロン素材のテントと違って濡れると倍以上に重量が増してさらに大変でした。
反面、ハーケンとカラビナは軽合金製でとても軽かったのです。
全て安価に手に入りましたが、特に寝袋は馬鹿安でした。
恐らくタダ同然で払い下げられたか、廃棄処分を請け負った業者が横流ししたのでしょうね。
日本の山登りの歴史にもそんな時代があったのですよ。
今は夢のような時代ですが、当時も又、別の意味で夢のような時代でした。ainakaren
本などでは戦後の山の道具はヒドいものだとよく書かれているのを見ますね、
寝袋だけでなく、履物などもやはり払い下げの軍靴などはよい方だと、
私らの時代には何とか、それなりになりましたが、
テントは相変わらずの重たい布製の三角テントでした、
原因不明の痛みのために冬の合宿には行けずに、
他の人にピッケルや冬山用の寝袋などを、個人で使用できるのを貸しましたが、
不幸にも事故のために亡くなりました、
5月の本格的捜索では私の寝袋の中で亡くなっていまし、
今は手元にはありません、
おはようございます。なぜか「ふとん」の怪談を思い出してしまいました。「お兄さん寒かろう」「おまえこそ寒かろう」と布団から死んだ兄弟の声がするという話です。
なにかと怪談のもとになるのは、人間の思念が染み付いた物体ですね。最近になって登山用品のレンタルが始まったそうですが、みなさん平気なんでしょうか。怪奇現象のレンタルになったりして
気の小さい小生にはレンタルは無理、ひと気のある山小屋もコワイのでしばらく野宿が続きそうです。
naiden46さん、こんにちは。
当時の山道具でもピッケルとアイゼンは国産品に良いものがありましたね。
ウエアー類に登山用がありませんから皆、代用品でやりくりしていましたね。
背広のお古にヤッケとオーバーズボンで冬山に登っていました。
貸してあげた寝袋の中で仲間が亡くなっていたのではショックでしたでしょうね。
さぞかし辛かったと思います。ainakaren
jinzaemonさん、こんにちは。
心霊、幽霊を信じてはおりませんが、未だに科学的に解明されていないことが存在することだけは確かなようです。
人智を越えることを理由にそれを否定しません。
私の寝袋はいわく付きの代物ですが、それを使っていて怪奇現象に遭遇したことはありません。
いつでも暖かく安眠できました。
それでも、80年代に無人の山小屋に単身で宿泊したとき、血も凍る恐ろしい思いをしたことがあります。
それ以来、無人の建物に単身で泊まることはしていません。
人工物の無い自然の中で安心してツェルト泊するようにしました。ainakaren
・
一体どのようなご経験をされたんでしょうか。
聞いてしまったら最後、無人小屋に泊まれなくなってしまうかなあ…ロウソクのあかりに想像が膨らんで気になります…
penko1110さん、こんばんは。
一般的に心霊現象とされる不可解な怪奇現象です。
そのうち詳細に日記に書きたいと思っています。
昔、キャンプの夜話会で聴いた幾つかの怪談は、既に私の日記中にあります。
例えば〜http://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-18685
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