想いでのピッケル (８）

　（つづき）悲しい事が次次とあり、傷心のソロ山旅で偶然にも岳会の合宿キャンプに立ち寄る機会がありました。
懐かしいピッケルを持った彼が、参加しているに違いないと思ったのです。
残念な事に彼は実家に帰省の途中で交通事故に遭い、後遺障害を負って登攀不能になり無念の退会をしていました。
そしてピッケルの行方を知る岳会員は、誰一人として居りませんでした。

1975年当時、私は長いシャフトのピッケルを所持していませんでした。
35センチ短シャフトのトップとエヴァニューの2本使いで、山歩きをしていたのです。
1本で充分の場合はトップを、2本使いの場合は左手にトップと決めていました。
左が利き腕だからです。

年始の挨拶をメールに変え、年賀状を廃止してから何年になりましょうか？
それでも11月には其の年に亡くなった人の喪中通知が届きます。
亡きザイル相棒の妹さんが亡くなりました。
妹さんは官僚の御主人と幸せに暮らし、一人っ子の娘さんが居りました。
年月が過ぎて御主人が先に亡くなり、やがて妹さんが亡くなり娘さん独りが残されました。

近年、覚えのない苗字の女性から突然御手紙を頂戴しました。
文面を読むと娘さんの嫁ぎ先の苗字でした。
母上の相続を終えて遺品の整理中に、一冊の大学ノートを見付られたとの事でした。
ザイル相棒と母上とainakarenとの交流が、1年に亘り連続して綿密に綴られていました。
その記録がザイル相棒が亡くなる1ヶ月前に、突然途絶えているのです。
御自分がお孫さんを持つ身になってから、御自分の生まれる前に亡くなった伯父上と母上とainakarenとの交流が、詳しく知りたくなったとの事でした。
直ぐに釈明の御手紙を差し上げ、改めて御詫びさせて頂きました。　

悲しい事が数多く有りました。
亡き相棒は妹思いで、二人は本当に仲のよい兄妹でした。
そして実際に有った事と有れば善かった事の遺恨は、恩讐の彼方に消えて行ったのです。
長い年月を経て、今は心残り無く筆を置けます。
お読み頂き、誠に有り難う御座いました。ainakaren

コメント

135oji3

renさん！
ザイル友の娘さんも、自分の知らないお父さま、お母さまのことを知りたかったのでしょうね！😺
ピッケル話というと、田部井淳子さんが亡くなる前に、同じくエベレストに登頂成功したタレントのなすび🍆さんにピッケルを形見分けしたとラジオ番組で聞いたことがありますね。😺
オジサン😺もピッケルは持っています。
renさんよりは長さが長いですがグリベルの48cmで、現行市販の物では最短に近いですね。😺そのピッケルのおかげで何度も命拾いしました。🙇😺命の恩人です。🙇😺
まあ、行いの悪いオジサン😺の場合、何をやっていたかは親族の思いの外😅だとは思いますが、言えることは、今日をしっかりと生きることと、目の前の山にチャレンジすることでしょうかね！😺
野球で9対0でリードされ、9回2アウト2ストライクでも、試合は負けてはいません！。😺そんな状況でも、逆転するぞ！勝つぞ！と思っていれば、次の一球は自ずと道は開けるのかと思います。🙇🙇🙇😺

ainaka ren

135oji3さん、こんにちは。
コメント深謝です。

失語症がありますので、文章が解り難くてすいません。

ザイル相棒は、若くして独身のまま亡くなりましたので子孫はありませんし、母上の実兄なので娘さんの伯父上にあたります。
伯父上は娘さんの生まれる前に亡くなっています。
父上は優しい人格者とお聞きしていますが、お会いしたことがありません。
一家三人、幸せに暮らしておられたと妹さんから聞いておりました。

娘さんはお孫さんが生まれたそうですから、私の倅と同年輩と思われます。
文章を読み返して修正も考えたいと思います。

山で死ぬなら本望とお考えなら間違いだと思います。
ご家族が山好きとは限らないのです。
山好きが原因で、ご家族を悲しませてはいけません。ren

hashimori

心に沁みるようなお話を公開してくださり、ありがとうございます。
（1）から拝読しましたが、やさしい文体にたくさんの思いが込められているのを感じ取りました。
大切な想い出をお聴きできたこと、嬉しく存じます。
お礼まで

ainaka ren

hashimoriさん、こんにちは。
コメント深謝です。

長い連載をお読みくださり有り難う御座います。

7回目の連載までは言語力が普通にありましたが、間を開けた8回目は耄碌が進行して失語症気味の文章です。
解り易く修正を加えてみます。
お読み頂き、ご理解頂いたことに感謝します。
有り難う御座いました。ren

ainaka ren

言語力の衰退から解り難い日記本文になり、お読み頂いた皆さんにご迷惑をお掛けしました。
拙速ですが多少の修正を致しました。ren

okku

　十勝岳に拍手ありがとう、十勝岳は正月元旦の吹雪時に四人の同級生と登頂した想い出があります。北海道在住時に、白金温泉〜層雲峡まで、ヒグマに怯えながら、テント泊での大雪縦走、3泊でしたが
ヒグマが心配で睡眠不足で、疲れた体に鞭打っての縦走でした。
　1963年には千葉在住となっていて、単独で北アルプス表銀座縦走、両夜行、槍ヶ岳一泊（有明-中房-燕-常念-（槍ヶ岳泊）-大キレット−北穂-奥穂-前穂-岳澤-上高地ー松本。
一泊二日で歩いた想い出があります。
　私も80代半ばになり、足腰の衰えを感じ、チームの足を引っ張らないよう、場所と体力を勘案して
山行やスキー行も続けております。

ainaka ren

okkuさん、こんにちは、
コメント深謝です。

悲しい遭難事故が続いた後、1961年5月に所帯を持って、暫く山歩きを自重していました。

悲しい遭難事故が頭から離れません。
其の間はゲレンデ・スキーに集中し、只管 自然との対話をしていました。

貴殿の山行記録を拝見し、その実績をを高く評価し、尊敬の念を持っています。
大先輩に お読み頂き、誠に有り難う御座いました。ren